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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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行き止まり

<いざないの洞窟>

小さな湖の畔にいざないの洞窟への入口は存在した。
アルル達は警戒しつつも洞窟内部へ下りて行く。
暫く進むと何もない行き止まりの空間に出た。
そこには一人の老人が…

「あの…お爺さん。この洞窟には他の大陸に抜ける事の出来る『旅の扉』があると聞いて来たんですが…それは何処ですか?」
アルルが躊躇いがちに訪ねると…
「お前さん方…『魔法の玉』はお持ちかな?持ってないのであれば、これより先へは進めんよ。出直してきなさい」
「あ、あの!魔法の玉って何ですか?」

「…ふぅ…そんな事も知らんでここまで来たのか…」
《ムカー!!何なのこの爺は!人が下手に出てりゃつけ上がりやがって!》
「あ!僕、聞いた事あるよ。確かレーベにある様な話だった…かな?」
アルルが老人に対して暴言を吐き出す直前、リュカが遮り話を始める。
「リュカさんは何でそんな情報を持ってるんですか?」
「うん。レーベで女の子をナンパしてたら教えてくれた。でも『僕の玉の方が凄いんだよ』なんて事言ってたので、詳しい事は知らない」
一行はリュカの言葉を信じ、取り敢えず洞窟を後にする。


洞窟を出た所でアルル達は多数のモンスターに囲まれてしまった。
バブルスライム3匹、魔法使い4体、サソリ蜂3匹…
「ぐっ!ちょっと数が多いわね!」
「愚痴ってもしょうがないだろ!ともかくやるしかない!」
「バブルスライムは私が『ニフラム』で何とかしますから、他をお願いします!」
「じゃぁ、私が魔法使いでウルフがサソリ蜂ね…いける?」
「やるしかないだ「魔法使いは僕が相手をしよう」

「「「え!?」」」
普段、戦闘に参加しないリュカが自ら戦いを申し出た!
つまりそれ程この状況はピンチなのである!
「ほら!呆けてないで…行くぞ!」
慌てて各々の相手に攻撃を開始する。
ウルフが新たに憶えた魔法、ヒャドで1匹のサソリ蜂を凍り漬けにすると、アルルが直ぐさま2匹のサソリ蜂を切り倒す。
ハツキもまた、憶えたてのニフラムでバブルスライムを消し去る。
その間、時間にして1分弱…

各々の相手を倒しリュカの戦闘を見学しようと振り向くと、戦闘前と同じ状況で立っているリュカが…
しかし、魔法使い4体は既に倒されていた…
《い、いつの間に…リュカさん、強すぎて参考にならない…》
3人共、全てではないにしろ戦闘中リュカの動きに注意をしていたのに、戦った痕跡を残さぬまま4体もの敵を瞬殺してしまったリュカに驚きを隠せない。

「さぁ…一旦レーベに戻るんでしょ?誰かルーラとか使える人居る?」
「ル、ルーラなんて高位魔法、使える訳ないよ!それにルーラは術者一人しか移動出来ないんだから!」
ウルフが少しの憤慨を込めて説明してくれる。
リュカの居た世界ではロストスペルであったルーラだが、この世界では普通に存在する様だ…
しかし、かなりの修練を積んだ者にしか習得できない高位魔法で、基本的には術者のみの有効範囲らしい…
「じゃ、サクサク行きますか!レーベまで5日くらいかかるし…」
5日という具体的な数字に、げんなりする若者3人…
アルルは情報収集の大切さを骨身に染みて理解する事となった…



<レーベ>

辺りが暗闇に覆われる頃、アルル一行はレーベに到着した。
早速宿の確保に向かったのだが、生憎部屋が埋まっていて大部屋を1つしか確保出来なかった。
兎に角疲れを癒したアルル達は大部屋で了承。
部屋に着くなり深い眠りに旅立った………リュカ以外は…

朝、アルルが目を覚ますと…リュカが居ない!
また外で小鳥と戯れているのかと思い広場へと向かう。
しかし居ない…
村内を見回ると村外から帰ってくるリュカを発見する。
「リュカさん、何処行ってたんですか!」
慌てて近寄り声をかける。
少し驚いた表情をするリュカ。
そしてリュカからは微かに女性物の香水の香りが…
「ちょ、ちょっとそこまでお散歩?」
《散歩な訳ない!きっと女と会っていたのよ!でも何処で?村の外に居るの?いえ、考えられない…じゃぁ何処で?きっと聞いても答えないだろうなぁ…》

腑に落ちない点も多々あるが、アルル達は朝の鍛錬を終え村内で情報収集をする。
程なく魔法の玉を制作していると言う老人の家を突き止めた。
向かう一行…

(コンコン)
アルルは丁寧にノックをして住人を呼び出す………が、出てこない。
「留守…かしら?」
「いや…気配はするよ。人嫌いって言われてたからね…居留守だよ!」

(ゴンゴンゴン)
今度はリュカが力任せにノックする。
「おい、爺!居んのは分かってんだ!大人しく出てこい!出てこないとドアぶち破って乗り込むぞ!」

(ゴンゴンゴンゴン…ガチャリ!)
鍵が開く音と共にドアが開き老人が顔を出す。
「やかましい!!いったい何の用じゃ!!用が無いなら帰れ!!」
「痴呆症ですか?用があるからノックしたんです。用が無ければこんな爺の面など見たくない」
この間、リュカの表情はいつも通りの優しい微笑み…若者3人はあからさまに引いている。

「………で、何用じゃ!」
「うん。魔法の玉を頂戴」
脈略も何もなく、ただ要点だけを言い放つリュカ…
「何で見ず知らずのお前等に魔法の玉をやらにゃならんのだ!」
リュカと老人の険悪なムードは続く…(老人の一方的な険悪ぶりですが)
「魔王バラモスを倒す為には必要なんです。お願いします、ご老人!」
堪らずアルルが口を挟む。

「ふん!お前等なんぞにバラモスが倒せるのか!?無駄な事に儂の発明品を渡すつもりはない!」
「そんなのやってみなければ分からないだろ!最初から諦める奴は嫌いだ!」
……………………………………………………
長い沈黙が続く…

「良いじゃろ…交換条件を達成したら魔法の玉をくれてやる」
「あ、ありがとうございます!」
「礼を言うのはまだ早い!達成してからにせい!」
「んで、条件って?」
「儂はな『盗賊の鍵』という物を作ったのだが、『バコタ』という盗賊に盗まれてしまったのだ。それを取り返してこい!この玄関もその鍵で開く!取り返したのなら勝手に入って来るが良い!その時は魔法の玉をくれてやる」
バタン!ガチャリ!
一方的に条件を言って、また引きこもる老人。
「勝手だなぁ~」



 
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