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純情ロボットガール

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第一章

               純情ロボットガール
 花渚ロボは実はロボットである。
 このことは一緒に暮らしている博士だけが知っていることだが。
「別に隠すことはな」
「ないですか」
「疚しいところがあるか」
 戸籍上の父にもなっている博士はこう言うのだった。
「御前はロボットだ、確かにな」
「それでもですね」
「何が悪い」
 ロボットであることがというのだ。
「御前が誰かに迷惑をかけているか」
「ロボットであることでは」
 どうかとだ、ロボは博士に答えた。
「私の見ている限りです」
「ないな」
「はい、特に」
「それならだ」
「別にですか」
「御前がロボットでもだ」
 それでもというのだ。
「何の問題はない」
「そうなのですね」
「そうだ、だから隠すこともだ」
「私がロボットであることもですね」
「疚しいと思うことはない」
「堂々としていればいいのですね」
「そうだ、若し御前がロボットだからだということで文句を言ってくるなら」
 それならというのだ。
「気にするな」
「このことがいいのですね」
「そうだ、気にするな」
 一切と言うのだ、それでロボは誰にも自分がロボットであることは言わないが隠すこともしなかった。
 そしてその彼女にだ、ある日。
 声をかけてくる娘がいた、その娘はこう彼女に言ってきた。
「花渚さんって趣味何なの?」
「オリジナルティーシャツの作成です」
 ロボは彼女に即座に答えた。
「それが趣味です」
「そうなの」
「それが何か」
「いえ、よかったらね」
 オリジナルティーシャツの作成が得意ならとだ、少女は彼女にあらためて話した。
「うちの部活来てくれる?」
「部活ですか」
「そう、うち刺繍部だけれど」
「ティーシャツも作ってるのですか」
「衣装全体やってて」
 それでというのだ。
「ティーシャツも作ってるから」
「私に入部をですね」
「そうしてくれたら嬉しいけれど」
「下手ですが」
 趣味でもとだ、ロボは少女にこのことを断った。
「いいですか」
「いいわよ、下手とかじゃなくて」
「大事なことはですね」
「やる気だから」
 それ故にとだ、少女はロボに話した。
「部活に入ってくれたら」
「それでいいですか」
「ええ、どうかしら」
「少し考えさせて下さい」
 即答はしなかった、ロボはリュックサックの中のコンピューターも使ってそのうえで思考モードに入った。
 それで暫し考えてからだ、ロボは少女に答えた。
「宜しくお願いします」
「それじゃあね」
「刺繍部に入部させてもらいます」
 こうしてだった、ロボは通っている学校の刺繍部に入った。その部活は刺繍も行うがそれでもだった。
 実際にティーシャツも作っていた、ロボは刺繍も出来たが何よりもティーシャツの作成が特によくて。
 何着か作ってみせるとだ、部員達は口々に言った。
「いいじゃない」
「プリントのセンスいいし」
「デザインもいいし」
「色の組み合わせもね」
「全部いいわ」
「これ中々以上よ」
「これはいけてるわ」
 特に彼女に入部を誘った娘が笑顔で言ってきた。 
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