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どういう苦手か

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第一章

               どういう苦手か
 ザン=アディは京都で表では薬屋その実は情報屋をやっている、その彼の好物は日本食であるがすっぽんは苦手だ。
 その話を知っている京都府警のある刑事が彼に言ってきた。
「すっぽんは苦手か」
「はい」
 その通りだとだ、アディは自分の店に来て聞いてきた刑事に答えた。
「どうしても」
「そうなんだな」
「あれだけは駄目ですね」
「そういえばあんたの国にはいなかったな」
「すっぽんはいないですね」
 実際にとだ、アディは刑事に答えた。
「本当に」
「それでか」
「はい、日本はいい国ですが」
 それでもとだ、アディは刑事にまた答えた。
「それでもです」
「すっぽんだけはなんだな」
「そうなんです」
「そうか、わかった」
 刑事はアディの言葉に頷いた、そしてだった。
 彼を京都のある店に連れて行くことにした、刑事は彼にフェアにいこうと思い彼に事前にこう言った。
「まるの店に行かないか?」
「すっぽんですか」
「ああ、よかったらな」
「いいですね、行きましょう」
 すっぽんと聞いてだ、アディは刑事に笑顔で答えた。
「是非」
「えっ、いいのか」
「いいですよ。ただ」
 ここでアディは刑事に心配そうな顔で尋ねた。
「京都ですっぽんのお店は」
「まるはな」
 関西ではすっぽんをまると呼ぶ、甲羅の形が丸いからだ。だから月とすっぽんという言葉もあるのだ。
「高いな」
「一見さんお断わりだったり」
「安心しろ、それ位の金はあるさ」
 刑事はアディに笑って答えた。
「だからな」
「こうしたことはですか」
「気にしないでな」
 そうしてというのだ。
「食いに行こうな」
「では割り勘で」
「いやいや、気遣いは無用だからな」
 刑事は実際にここは自分が出すと言ってだった、彼を店に連れて行った。そうして彼の食べ方を見るが。
 彼はすっぽん鍋をゼラチンも足も全て食べてそれから最後の雑炊まで食べた。そのうえで刑事に店を出る時に言った。 
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