| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ソードアートオンライン アスカとキリカの物語

作者:kento
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

アインクラッド編
  ボス戦終結



場は混沌を極め,ボスの咆吼とプレイヤーたちの悲鳴が部屋にこだました。


ボスのベータテストとは異なる武器の使用。
レイドパーティーのリーダー、ディアベルの死。

この二つの出来事は,これまで上手くいきすぎていたプレイヤー全員をパニック状態に陥らせた。
このような状況下で場の統率を行うはずだったディアベルはもういない。
情報が何もない武器の攻撃に翻弄されて、次々とイエローゾーンに陥るプレイヤーが増えていく。取り巻きも新しくポップしている。
予想外の事態に誰も対処できない。


アスカは場の喧噪とは打って変わり、冷静に思考を巡らす。
離脱しようと思えばできる。
取り巻きの相手をしていたアスカはボス部屋の一番後方にいるので、扉まで約30メートル。離脱の障害となるボスも取り巻きも他のプレイヤーがタゲを取っている。邪魔が入らない状態ならアスカの敏捷値なら5秒もかからない距離だ。

他人のことなんて関係ない。自分のことだけ考える。他のプレイヤーがどれだけ死のうと知ったことではない。
それならば、前線でパニック状態になっているプレイヤーが蹂躙されている今の内に逃げるべきだ。
最悪、レイドパーティーが全滅されようが、自分1人で何食わぬ顔で〈トールバーナ〉へと戻り、明日からまた1人で迷宮区のモンスターを狩り続ければいい。
それが今までの1ヶ月間の自分の姿。変わらない姿。
このボス戦も元はといえば,迷宮区の最奥にて偶然であったキリトに誘われて,参加しただけだ。何も他のプレイヤーのために攻略に貢献しようなどと思っていたわけではない。
それに,誰もみそっかすの2人パーティーに救援ができるなどとは思っていないはずだ。

ここで逃げることが普通。合理的。正しい判断。



しかし、アスカの体は振り向くことを許さなかった。ただ視線の先にボスのみを見据える。
アスカとて恐怖がないわけではない。自分より防御力の高い金属装備をつけてたディアベルさえも2回の攻撃で葬り去るほどの威力。アスカなら間違いなくソードスキル2発で全損だ。
それでもアスカは前に出る。振り返らない。

ここまでやって来たのは何のためだ?
自分という存在が腐っていくことを恐れて、自分という存在を確固たるものに保つため。
この世界に負けず、立ち向かうためだ。
ならば、ここで逃げるわけにはいかない。
たとえ死ぬことになっても、逃げることは断じて許されない。

このゲーム、この世界には負けられない。


不意に横に人が並ぶ気配。パーティーメンバーの少女、キリト。
キバオウに檄を飛ばしていたキリトも逃げる気はないようで、決意を固めた表情をしている。
一瞬、キリトがアスカの方を向く。フードの下に隠れているキリトの目とアスカの目が交錯し,キリトが何かを口にしようとする。
何となくアスカにはキリトの言いたいことが分かってしまう。その表情にはアスカへの思いやりが含まれているように感じたから。
だから、その前に、

「行くぞ」

とアスカが促す。キリトの目を真っ直ぐ見つめ返す。アスカの目を見て覚悟が伝わったのだろう。

「・・・・分かった」

と、キリトが答えてくれる。
2人はアイコンタクトのみで走り出す。
50メートル近く離れたところで暴れているボス目掛けて駆け抜けていく。
敏捷値の高い2人は5秒と少しでボスへとたどり着く。

ひどい有様だ。
場の統率は取れておらず、多くの者が何をするべきか分かっておらず混乱している状況。
全てのプレイヤーが少なからずダメージを負っているが、特に最初に範囲攻撃をくらったアタッカー隊の損害が厳しい。ディフェンダー隊がフォローに回っているが、未知のスキル相手なので長くは持ちそうにない。長物隊も近接戦闘が行えないので,相手をするには分が悪すぎる。
このままでは次の死者がいつ出てもおかしくない。
キリトが口を開こうとして、つぐむ。
こちらから指示を飛ばそうとしたらしいが、秩序が乱れて喧噪に包まれている今の状況では、たいした効果が期待できない。

「取り敢えず、一度、ボスへと攻撃してタゲを取る。手順はセンチネルと一緒!」
「分かった」

キリトの指示に短く答えながら、後ろに控えているプレイヤーたちを追い抜きボスへと迫る。何人かから制止の声がかけられるが、無視して進む。
あと10メートル、というところでボスがアスカとキリトに気づき、ぎらりと光る赤い目で2人の姿を捉える。
ボスが刀を後ろに引き、居合いのような構えを取る。刀には水色のライトエフェクト。
刀を振る前に、キリトが剣を肩に担ぎ、体を地面すれすれまで前に傾ける。ボスの刀と同様に薄緑色のライトエフェクト。
突進系のソードスキルが発動し、キリトの体が凄まじい速さで10メートルの距離を一瞬で詰める。

「せああっ!」
「ぐるああっっ!」

キリトが叫び、ボスが咆えた。
キリトの剣とボスの刀が恐ろしい速度でぶつかる。ガキン!と甲高い衝撃音がアスカの体を叩く。
取り巻きのセンチネルの攻撃を余裕で弾き返していたキリトが後ろへと大きく弾かれる。しかし、それはボスも同様。刀を上に弾かれて体制を大きく崩している。

その隙を見逃すアスカではない。

さきほどのキリトの突進もかくやというスピードでボスとの間合いを詰める。がら空きの土手っ腹に全力の〈リニアー〉を叩き込む。

「・・・・うおおぉっ!」

かつてない重い手応えが伝わってくるが無視して、無理矢理剣を振り切る。
ボスが後方に吹き飛ぶ。微量ながら確実に減っているHP。
場が静寂に包まれ、完璧な連携でボスへと攻撃を加えた2人に周りのプレイヤーの視線が集まる。
その間に大きく息を吸い込んだキリトが叫ぶ。

「HPバーがイエローゾーンに入った人はポーションで回復!余裕のある人はそのフォローに回れ!」

高い声がボス部屋に響く。
指示を受けて弾かれたように全プレイヤーが動き出した。直ぐに後方に下がり、ポーションで回復している。ようやく場の統制が取れ始めた。
だが、この世界の回復アイテムは基本的に即時一定量回復するのではなく、時間が経つごとに少しずつ回復していくものしかない。ポーションを飲んでも、回復しきるまでにはかなりの時間が掛かる。しばらく援護には来れないだろう。
それに、今の一撃は完璧な連携でボスにダメージを与えてノックバックさせることに成功したが、毎度成功すると楽観視できる状況ではない。
アスカはキリトが相殺していたボスのソードスキルを見たが、恐ろしい速さだ。刀の視認が難しいほどだった。
いくらキリトとはいえ、あの攻撃を完璧に弾き返すことは容易ではないはずだ。
アスカも同様で、機動力重視の軽い細剣で巨大なボスをノックバックさせるほどの威力の攻撃を放つには、クリティカルポイントに全力全霊の〈リニアー〉を的確に叩き込む必要がある。
センチネルに比べるとノックバックによる硬直時間が短いボスに毎回正確な攻撃を加えるのはアスカでも至難の業だ。
――でも、負けられない。
アスカは〈ウインドフルーレ〉を強く握る。〈ウインドフルーレ〉が自分の思いに答えてくれたかのように、白銀の刀身をきらりと輝かせる。確かな存在として自分に力を貸してくれる。

アスカの攻撃によりノックバックして硬直していたボスが再度動き始める。獰猛な目が捉えているのは無論、アスカとキリト。
その恐ろしい形相に怯むこともないようにアスカもキリトも表情を引き締める。

「次、来るよ!」
「ああ!」

キリトの合図でアスカも〈ウインドフルーレ〉の切っ先をボスへと向けた。



それから3分近く、アスカとキリトは2人で前線を支え続けた。タンクプレイヤーでもない2人にしては驚異的な時間だ。3分だけの時間支えることが困難なほどボスは強力なモンスターであるのだ。
キリトがボスのソードスキルを自身のソードスキルで相殺して、その隙にアスカが渾身の〈リニアー〉で攻撃。
センチネルと同じ動きだが、行っている作業の難しさは比べるまでもない。
薄い氷の上を歩いている状況。いつ氷が割れて、連携が途切れてもおかしくない。
特にキリトが厳しい。情報にないボスの数々のソードスキルを的確に弾いているが、動きを見る限りキリトは独自の情報によりボスの動きを先読みしている。
先読みしてようやく均衡が保たれているので、先読みに失敗したら確実に押し負ける。

しかし、キリトの表情は揺るがない。決意の灯った視線でボスへと意識を全て集中させている。
女の子であるキリトにこんな危険な作業を担当させていることにアスカは多少罪悪感に似たものを覚えるが、代わってやることはできない。
片手剣プレイヤーとして重い剣を使い、先読みしているキリトがようやく均衡を保てているのだ。軽い細剣を使い、情報がないアスカには不可能な所行だ、と割り切ってアスカはキリトに任せる。
だから,アスカも自分の役割,ボスへの攻撃に専念する。
クリティカルポイントに突き込むことだけに全神経を集中させる。

こんな緊迫した状況でもアスカの頭は冷静に思考を行っており、判断も速い。
恐怖で体が竦むこともなく、凶悪なボスへと全力で攻撃ができている。

2人の神懸かった連携が10回以上続いて、ボスのHPバーも3割近く減っている。


だが、そこでついに連携が途切れる。
ボスの斜め上から振り下ろされる刀に振り上げるように剣を振るって迎撃しようとするキリト。
しかし――
ブン!という音と共にボスの刀の軌道が大きく変化し、斜め下からの切り上げがキリトへと迫る。
キリトは急な攻撃軌道の変化に付いていけない。

「やばっ・・・・!」

慌てて剣を体の前に待ってこようとはするが、ソードスキルがキャンセルされてしまい、動けない。
無防備なキリトの体をボスの刀が後ろに吹き飛ばす。
チラッと右上に表示されているキリトのHPバーを確認すると、3割近く減っている。


アスカはどう動くべきか、迷ってしまった。

キリトを助けに行くべきか、技後硬直で動けないボスへと攻撃するか。
以前のアスカなら迷わずにボスへと攻撃していただろう。だが、今のアスカは躊躇ってしまった。
たった1日行動を共にしただけの少女であるはずのキリトの安否の確認に行こうとしてしまった。
それは,ほんの数秒の逡巡。

その隙を見逃してくれるほど、ボスは甘くはない。

一瞬の躊躇いの後、ボスへと向かっていくアスカに対して技後硬直の短いソードスキルを発動していたようで、すぐに動き出したボスが再度ソードスキルを発動する。
あの構えはディアベルを殺した三連攻撃―――!!
アスカが理解したときには避ける暇すら与えずに、視認が難しいほどの速度で刀が体へと迫っていた。
金属装備をかなり付けていたディアベルのHPバーを半減させた技だ。アスカなら半分では済まない。下手したら一撃でレッドゾーンに入ってもおかしくない。
剣で防ごうとするが、〈リニアー〉を使うために体の正中線に構えていた剣では斜めから迫ってくる刃は防げない。
迫り来るであろう衝撃に身を固くするアスカ。
その後ろから、

「・・・・・うおらぁっ!!」

野太い雄叫びと共にボスの刀目掛けて斧が振り上げられるのが視界に入る。
鼓膜が破れそうなほどの衝撃音。ボスが大きく後方に飛び下げられる。
キリトですら大きくノックバックしていたのに、後ろの斧使いは両足を踏ん張って耐えてみせた。装備からして、かなり筋力値を上げているのだろう。
ボスを大きく後ろに吹き飛ばした斧使い、エギルはキリトにポーションを投げる。

「あんたが回復するまで俺たちが前線を支えるぜ。いつまでもアタッカーにディフェンスやらしておくわけにもいかないからな」

最初の範囲攻撃をくらった人が少ないことと、ビルド構成が防御力重視に置かれているおかげで、エギル率いるディフェンダー隊は回復が早かったらしい。
他にもダメージの少なかったプレイヤーが数人前線に戻ってくる。

「分かった。ボスの攻撃の軌道は俺が指示する。ソードスキルで相殺しなくてもきちんとガードすれば大ダメージにはならない!範囲攻撃はボスを後ろまで囲んだら発動するからそれだけ注意して!」
「おう!!」

ディフェンダー隊のメンバーがボスの真後ろ以外を取り囲む。
ボスは誰を攻撃するか迷うような素振りをするが、正面にいる槍使いにソードスキルを発動する。

「左斜めからの切り下ろし!!」

キリトの指示でやり使いの男は左手で持っているタワーシールドを左斜め上に構える。
凄まじい威力に後ろに下げられるが、ディフェンダー隊のメンバーだけあってたいしたダメージも入っておらず、ノックバックも発生していない。
ソードスキルを発動したボスに数秒の硬直。
槍使いの男の横からアスカが駆け抜け、的確に〈リニアー〉をクリティカルポイントに突き込む。
僅かに減少するボスのHP。
攻撃したことによりアスカにタゲが移りそうになるが、

「うおおおおっっ!!」

ボスの左側にいたエギルが雄叫びを上げる。
敵の憎悪(ヘイト)値を上げる〈ハウリングスキル〉を使ったのだ。
アスカへと移りそうだったタゲがエギルへと移り、ボスが刀をエギル目掛けて振りおろすが、キリトの指示で巨大な斧でガード。さすがの筋力値で耐える。その間隙にまたしてもアスカが〈リニアー〉を叩き込む。手に伝わってくる確実な手応え。
ついにボスのHPバーが半分を割って、イエローゾーンに突入した。

「次、来るぞ!!」

ボス戦の歯車が再度、かみ合って回り始めた。




ボスの武器が変更されただけでなく、取り巻きのほうも出現回数に変更が加わっていたようで、すでに12匹倒したはずなのに4匹の〈ルインコボルド・センチネル〉がポップした。
取り巻きの4匹はキバオウ率いるE隊と回復の済んだ長物隊が相手をしているが、3匹ですらアスカとキリトの2人の援護無しでは厳しそうだったのだ。倒すことよりもダメージをくらわないように戦っているようだが、長くは持たないだろう。
ボスの方も順調なように見えているが、危険な綱渡り状態だ。
キリトの指示通りに攻撃が来るので、未知のスキル相手でも大ダメージを受けずに捌ききっているが、ノーダメージで防ぎきれる威力ではないのでタンクプレイヤーとして多くあるはずのHPも少しずつ減っている。ポーション類で回復がしたくても,スイッチするほどの人員がいない。
だが、それはボスも一緒だ。
最初はアスカが1人で攻撃していたが、アタッカー隊も2人ほど参加して攻撃するようになり、ボスのHPバーも順調にその幅を縮めている。

そしてついにボスのHPバーが2割を切り、レッドゾーンに達した。
が,レッドゾーンに達したことにより緊張の糸が切れてしまったのか、槍使いの男がボスの真後ろで体勢を崩してしまう。

「早く後ろに下がれ!!」

キリトが声を張り上げるが、遅かった。
全方位を囲まれたと判断したボスが体をしゃがませて、どんッ!と垂直に飛び上がる。
空中で体をギリギリと捻る。刀にも赤色のライトエフェクト。
あれは最初の範囲攻撃―――
アスカは飛び退こうとしたが、リニアーを打とうとしてボスの目の前まで距離を詰めたことが仇となり、間に合わない。他のプレイヤーたちも敏捷値が低いので間に合わない。
ボスが溜めていた力を解放しようとしてその瞬間、

「と・・届けぇー!!」

後ろからキリトが斜め上、空中へと黒き弾丸のように飛び出した。
限界まで伸ばしたその剣先が、
ざしゅう!とボスの左腰を引き裂く。クリティカル特有の激しいエフェクト光が空中を照らす。
範囲攻撃が失敗に終ったボスの体が空中でぐらりと傾いたまま、落ちてくる。
轟音と共に床に仰向けに倒れてジタバタともがいている。おそらく、何らかのバッドステータス。

「みんな!全力攻撃!! 囲んでもいい!」

キリトが言い切る前にディフェンダー隊6人は今までの鬱憤を晴らすかのように、アスカとアタッカー隊の人も同じくソードスキルを発動する。

アスカの細剣が、アタッカー隊の片手剣が、ディフェンダー隊の斧、メイス、ハンマーが色とりどりのライトエフェクトを纏い、ボスの体へと叩き込まれていく。
キリトが全方位囲んで良いと言ったのはこれで決めきるつもりだからだろう。だが、ボスのHP残量を見ると、削りきれるかは五分五分のような気がする。
10人近くの一斉攻撃で勢いよく減っていくボスのHP。
1度目のソードスキルによる技後硬直が終っても、動けないボスに再度全方位からのソードスキルが降り注ぐ。
しかし、ボスが急にもがくのを止めたかと思うと、勢いよく上半身を起こす。
間に合わない――!!
アスカは内心焦る。
他のプレイヤーたちのソードスキルをくらいながらもボスは立ち上がる。

ボスの残りHP、僅か数ドット。

大きく咆えたかと思うと、すぐさま先ほどと同様に腰を屈めて飛び上がる体制に。
今度こそ技後硬直で動けないディフェンダー隊のメンバーを範囲攻撃の凶刃が襲う、と思ったアスカの背後から声が響く。

「アスカ、最後の攻撃一緒に頼む!」
「了解!!」

この状況でも怯えのない声にアスカも今日一番の声量で返す。
アスカの使う〈リニアー〉は初期技の単発技なのでかなり硬直時間が短いので,すぐに動き出す。
まさに飛び上がろうとしているボスへとディフェンダー隊の隙間を縫って走る2人。
先に攻撃したのはアスカ。
何度も繰り返した突きの反動で耐久値が大きく削られ、刃こぼれしている〈ウインドフルーレ〉で今日一番の速さ、鋭さの全身の力全て使った乾坤一擲の〈リニアー〉が放たれる。
剣先が霞むほどの速度で撃ち出された〈リニアー〉によりボスは大きく体制を崩す。

残り2%。

交代で飛び出したキリトの剣が右肩口からボスの体を抉る。

残り1%。

アスカは目に映ったボスの顔が獰猛な笑みを浮かべているような気がした。
キリトの剣が勢いよく跳ね上がる。初撃と併せてVを描くような軌道で左肩口から剣先が抜ける。

残り―――0%。

大きく後ろに傾いたボスの体にいくつものヒビが入った。
両手で持っていた刀も手から落ち、床に転がる。
短き咆吼の後、

パシャン!!

という盛大な効果音と共に第一層ボス〈イルファング・ザ・コボルト・ロード〉の巨軀は幾千、幾万の破片となり砕け散った。


 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧