| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

FILE112 帰還・・・そして再会

デスゲーム、ソードアート・オンラインがクリアされてから一ヶ月後の西暦2024年12月8日。オズマこと、小田桐弭間(おだぎりはずあ)は一カ月間のリハビリを経て退院していた。
入院中は父が稀に見舞いに来る程度で基本的にリハビリ漬け…!父の土産物である規制が緩かった時代のエロ本を眺め、看護師の呼び出しと共にリハビリ再会…!酒もタバコもギャンブルも女もゲームも…一切存在せぬ過酷な環境下にオズマは一カ月間耐え抜いたのであった……! by立木ナレ


俺「ここに、いるのか……?」

俺が訪れたのは埼玉県川越市にあるとある病院だった。比較的規模の大きなこの病院を俺が訪れた理由はソードアート・オンラインでかわした約束を守る為だった。

俺「ディンゴ……石田淳平(いしだじゅんぺい)の弟の淳太(じゅんた)だったな」

俺がここを訪れた理由は第二回リアルマネーゲームで俺の自分の金の延べ棒――ゲームクリア後に1000万円の権利となるアイテムを俺に託して地の底に落下し命を落としたディンゴとの約束だった……奴には病気で入院している弟がいて、そいつの治療費に1000万円が掛かると言う。
俺はディンゴの弟、正確にはその親にディンゴが得るはずだった1000万円を治療費として渡す為にこの病院を訪れていたのだった。

俺は一つ一つ病室のネームプレートを確認して、石田淳太の名前を探し続けていた。だが、何せ比較的規模の大きな病院なので中々探し人の名前が書かれたネームプレートを発見するに至らない。


無論、オズマも当初は病院の関係者に石田淳太の病室を聞こうと言う事も考えていた、だが…その場合十中八九…!入院患者に会いに行く目的を問われるのは必須!そして、オズマの訪問理由は1000万円などと言う大金を渡す事であった!
この1000万円はオズマが入院中にいつの間にかオズマの病室に大きな二つの紙袋にそれぞれ1000万円ずつが入った状態で渡されたものであった。
そしてこのような大金を渡すなどという事を説明すれば、多かれ少なかれ大金に目のくらんだ者が金を横領してしまいかねない可能性をオズマは大いに疑い、それ故にこの大金を病院の関係者に預けたり、病室を訪ねたりする事は断念し自力での病室探しを続けていた……そして、病室のネームプレートを見落とさぬように用心深く確認していたオズマは自分の後ろから、ペットボトルを持って歩いてくる少女に気が付かぬのであった。by立木ナレ


「きゃっ!」

俺「あ……大丈夫か?」

背中に何かがぶつかったと思い背後を振り返ると、そこには黒髪ショートヘアーの10代半ばと思わしき少女が足元のペットボトルのスポーツドリンクを床に落とした状態で突っ立っていた。

「あ、こちらこそすいません……スマホ見てて気が付かなくって」

その娘は落したペットボトルを拾う前に俺に腰を下げて謝っていた。ひとまず俺はペットボトルを拾い上げるとそれを手渡してやる。

「あ、ありがとうございます……本当にごめんなさい。入院中の兄に渡すジュースだったので」

俺「俺もこんなところでボーっと突っ立てて悪かったな、入院中の知り合いを探しててな」

それにしても、こいつ……童顔で背も大して高く無い癖に胸は服の上から見ても分かるほどの大ボリュームだな。
こんなふとした偶然で見た目の年齢に不釣り合いな巨乳少女と出会うなんて、これはひょっとしてチャンスだろうか?
俺がそんな本来の目的から完全にずれた卑猥な妄想と卑猥な思考を浮かべつつあったときだった。

「あ、あの……もしかしてお兄さんが探してるのって、その―――ソードアート・オンライン事件の被害者で一カ月前に目を覚ました人なんじゃないですか?」

その少女はこちらの様子をうかがう様な目付きで俺にそんな事を聞いてきたが、それは微妙に外れていたが惜しいところまで当たっていた。

俺「惜しいな、確かに俺はソードアート・オンラインの被害者の知り合いだが、実際に用があるのはそいつの弟だよ」

「あ、そうだったんですか?」

俺「色々とあってここに入院してるはずのソードアート・オンラインの被害者の弟に用があるんだよ。けど、そいつの病室が中々見つからなくってな」

俺がそう漏らすと、黒髪の娘は俺の顔を少しじっと見つめた後、思い当たる節でもあるかのように口を開くのだった。

「えっと……もし良かったら、お兄さんが探してる人の名前聞かせてくれませんか?私、この病院には入院中のお兄ちゃん……兄のお見舞いによく来てて、もしかしたら名前を知ってる人かもしれませんし」

俺「ああ、名前は――石田淳太だよ」

「え―――石田淳太君って……SAO事件の犠牲者の石田淳平って人の弟さんの!?」

俺「ああ、そいつで間違いない」

この娘の驚き振りからして心当たりがあることに間違いないようだった。そして流石に目の前の娘も、俺の正体にある程度察しを付けて、聞いてくる。

「あの……間違ってたらすみません。お兄さんもその――私の兄と同じ……あのゲームからの生還者なんですか?」

俺「お前の兄貴は知らねーが、ご察しの通り俺もつい一カ月前にソードアート・オンラインから戻って来たばかりだよ。つい先ようやくリハビリ終わらせて、こうして埼玉の病院に来たってわけだよ」

「凄いですね……まだ一ヶ月なのにもうリハビリ終わったなんて。私の兄なんてまだよれよれでヒョロヒョロの身体で退院もまだまだ先だってお医者さんに言われてるんですよね~」

無邪気な笑顔で、その娘はクスクスと笑いながらそう言った。

俺「あのさ、もしお前が石田淳太の病室を知ってるんなら案内してくれるか?出来れば、保護者に会えればいいんだけどな」

「ええ、それなら大丈夫です。私も淳太君とは少しだけ顔見知りですから任せてください」

黒髪の娘は快く頼もしい返事で引き受けてくれたのだった。

直葉「私、桐ケ谷直葉(きりがやすぐば)って言います」

俺「俺は小田桐弭間(おだぎりはずま)。道案内だけになるけどガイド頼むぜ」

直葉「あ、淳太君の病室に行く前に兄にこれを渡してからで良いですか?私のお兄ちゃんってば、リハビリの度にひーひー言いながら疲れたとか、喉乾いたとかブツブツ言ってるんです」

兄貴の話をしている時の桐ケ谷は妙に楽し気な表情だった。二年間眠り続けていた兄を会えた事が相当嬉しくて感動の再会を果たした余韻にまだ浸っているのだろう。
俺の時とは大違いだ、俺が退院してから親父が見舞いに来たのは一週間近くが経過して一度きり、爺に至っては一度だって顔も見せず、再会を果たしたのは俺が退院して実家のアパートに戻ってからだったが、特に退院おめでとうとかの言葉も交わす事は無かったってのにな。

そして、そんな事を考える間に俺と桐ケ谷は桐ケ谷の兄の病室に辿り着いたようで、桐ケ谷は病室の前に立ち止まり指を差しながら言った。
その病室のネームプレートには『桐ケ谷和人』と入院患者の名前が書かれていた。

直葉「あ、ここが兄の病室です」

俺「ああ、リハビリでひーひーと言ってる兄貴に速くそいつを渡してやりな」

直葉「は~い、すぐに終わらせますからね」

病室を軽くノックして桐ケ谷は元気の良い声を掛ける。

直葉「お兄ちゃーん。スポーツドリンク買ってきたよぉ~」

「おつかれスグ~、もう待ち侘びたぜ」

俺「聞いたことのある声だな……」

気のせいだろうか……病室の中から聞こえてきた返事は俺がSAOで聞き覚えのある黒の二刀流剣士の声に似ていた気がした。

俺「まさか……んなわけあるかよ」

だが、それはあり得ない事だ――可能性ゼロだろう。キリトは最後の戦いでヒースクリフと刺し違えて死んだと聞いた。
だとしたらアイツはクリアの直前にナーヴギアに脳を焼かれて死んでいるはずだ……奴がこの現実世界に生きて帰還したわけがない。

直葉「お兄ちゃんも行こうよ。階段の上り下りも立派なリハビリの一部でしょ?」

「うへ……勘弁してくれって――今リハビリ終えたばっかりでもうクタクタなんだよ~」

直葉「もうだらしないよお兄ちゃん!今外で待ってる人なんて、一ヶ月でリハビリ終えちゃったんだよ!」

「そいつ……きっと根っからの脳筋だぜ」

まただ!あの妙にイラっとする台詞をポンポンと何度も口にしてきたあの声そっくりだ!


それは、信じ難い事であった!既に亡き者が…最早二度と会う事が無いと思われていた者が…この現実世界で、オズマのすぐそばにいるなど普通に考えれば到底あり得ぬことが現実となる! by立木ナレ


桐ケ谷に引っ張られるように、彼女の兄であるソイツは、だらしない眠たそうな表情で顔を出したのだった。
そして、そいつは…キリトは俺の顔を見るなり現実離れした光景でも目の当たりにしているかのように口をポカンと開けて呆けたのだった。

俺「大口開けて間抜け面したいのはこっちだっての…てっきり死んだかと思ったぞお前」

俺が眉をひそめて皮肉を言ってやると、キリトはようやくハッと我に返ったようにして、すぐに照れくさそうな苦笑いを浮かべて話し始める。

キリト「ひ、久々だなオズマ……俺も信じられないけどちゃんとこうしてピンピンしてるよ、俺もあの時は流石に生きては帰れないと思ったんだけどな……」

直葉「え、ええ!?お兄ちゃんと小田桐さんって友達だったの!?」

俺とキリトが顔見知りである事に桐ケ谷も驚嘆の表情ですっきょんとんな声をあげていた。だが、友達という関係と認識されるのは誤解も甚だしいのでここは誤解を解いておかないといけない。

俺「確かにお前の兄貴とは何度も共闘した事も有ったけど…友達って程の間柄か?」

キリト「同感だな、初対面で強請りしてきた奴と友達ってのは考えにくいよ」

ここはお互いに上手く息が合って、双方ともに否定する言葉を口にする事になった。ひとまず俺とキリトはお互いの本名である小田桐弭間、そして桐ケ谷和人(きりがやかずと)を教え合った。

何でもキリトはあの後、自分の病室に訪れた『総務省SAO対策本部』とか言う御大層な組織の役人に自分が知っている情報を離す交換条件にアスナの所在を聞きだしたところ、キリトを庇って死んだと思われたアスナも生存していると言う事を聞きだしたらしい。だが―――

俺「アスナはまだ目を覚ましてないのか……」

キリト「ああ、アスナだけじゃない。あのゲームクリア時に生存していた6000人中の殆どはこうして俺もお前も無事にログアウト出来てるんだが、300人ほどは未だにアスナと同じように眠ったままなんだ……」

俺「気味のわりぃ話だな―――あの胸糞悪いデスゲームはもう終わって、アインクラッド―――ソードアート・オンラインも既にデータ上は消えたはずだってのになにがなんだってんだ……!」

まさか茅場晶彦がまだどこかで生きていて、奴が未だに何かしてやがるんじゃないかと俺は本気で思っていた。
何せ奴は1万人を死のゲームに閉じ込めて、4千人を死に至らしめたマッドサイエンティストだからな。俺達見てーな凡人風情には想像も及ばないような事を幾らでもやってのけるだろう。

俺「ま、そんな話はもう良いから…案内を頼めるか?」

直葉「ええ、淳太君の病室は上の階にありますからね。お兄ちゃんもしっかりと付いてきてよね!」

キリト「あ~、しんどいなぁ……どっちか肩貸してくれると助かるだけど?」

真面目な表情から一転し、再びだらしのない、気の抜けた表情を見せるキリトに対して妹は説教するように『文句言わない!』と一喝しキリトを無理やり引っ張り階段を上がることになったのだった。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧