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ハイスコアガール 前世がゲームオタクの俺がラブコメを展開するのは間違っている件

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投げハメするならNザンギ

夏休みの宿題も昨日でようやく終わった。本当なら夏休み初めに終わらせておくのが正しいのだけど、昔からの癖なのか、こういう学校の課題は期限がギリギリになるまで貯めてしまう。まあ、それでも夏休み最終日までに慌てて夏休みの宿題をやらないで終わらせた俺は悪くないはずだ(汗)

でも、本当にもう少しで夏休みも終わる。あと一週間近くも経てば二学期が始まって学校に登校して勉強するかったるい毎日の始まりだぜ。

そんな俺は現在……。

「おい愚図。皆が待っているぞ。早くくるんだ」

「へいへい」

俺のクラスメートの土井達と一緒に御花園に来ていた。

土井玄太。俺のクラスメートの男子で美形だけど、そのあからさまなキザな行動と、他の男子達を見下し、器の小さい行動が目立つ為に、男子や女子達からの評価は「美形だけど微妙な男」というイマイチな評価を下されているが、本人は気が付いているのか気が付いていないのかは知らないが、キザったらしい行動を続けている。ある意味ここまで突き詰めると、別の意味で関心してしまいそうだけどな。

今も自分を大きく見せようとキザったらしい臭いセリフを周り……特に大野に向けて呟いていた。

「僕の素晴らしいプランに心が躍っただろう大野さん」

「……」

明らかに大野の気を引こうとする行動がまるわかりだ。土井の奴は他の連中の視線に気が付いていないのか?あからさまで、しかもキザったらしい恥ずかしいような臭いセリフの連発で、お前に対して引き気味だぞ。それを言ったら俺もこいつの言動に対して若干うぜえ~と思っているが。

てか、それよりも大野が土井の企画に参加するなんて珍しいと思った。俺も本当なら土井の誘いなんて断るつもりだったんだけど、大野の奴が言ってはいないが、俺が参加するなら自分も参加するという感じだったのだ。何ていうか大野が、8月の後半に入ったあたりから急に元気が無くなってきたんだよな。少しでも時間が合えば俺の家でファミコンやPCエンジンをプレイしたり、チャリで一緒に乗ってゲーセン巡りをしたりして嬉しそうだったんだけど、ここ最近は何処か元気がなかったんだよな。

何か大野が元気になりそうな事を考えていた時に土井からの今回の誘いだ。男子と女子との数名のグループと一緒に御花園と遊園地に一緒に行こうという誘いだ。俺は、正直言って興味はないのだが、大野に今回の件を聞いたところ、一緒に行こうと意思表示があったから来たんだよな。いつも自分から積極的に行こうと言わない大野にしては珍しと思ったが、大野が元気になるなら別に良いと思って土井の誘いに俺は乗った。

「ハルオのアホンダラ。少しは大野さんに気を遣ったらどうなの」

そこのクラスメートの女子の鬼塚が俺に対して呆れた表情で呟いた。鬼塚は何かと大野を気にかけている女子だ。まあ、独特な趣味とその言動が原因で男子達から敬遠されているが、それを無視させすれば面倒見のいいやつなんだよな。

「何でだよ鬼塚」

「だってハルオは大野さんの彼氏でしょ」

大野の彼氏が俺?何でそうなるんだよ。別に俺は大野とそんな上等な付き合いなんてしてないぜ。やってる事といえばゲーセン巡りや俺の家でファミコンやPCエンジンを一緒にプレイしている以外に特に何も大野にやってないぜ。

「ハルオが一緒の時は大野さん。凄く嬉しそうだったわよ。何度もあんな光景を見たら、誰だって大野さんの彼氏だと思うわよ。それにしても大野さんも変わってるわね。どうしてゲームマニアでゲームしか興味がないハルオを好きになったんだか……」

「言っておくが俺は大野の彼氏じゃないしそこは勘違いするな。今回も知り合い程度に元気がないアイツが元気になればと思ってきただけだ。」

「そんな言い訳をしなくていいから早く大野さんを元気にしなアホンダラ!!」

「痛え!!」

鬼塚に思いっきり背中をビンタされた。それから御花園から遊園地に移動した俺達だが、鬼塚が気を使わせたのか知らないが、何時ものように俺と大野だけになってしまった。途中で土井の奴か無理でも大野と一緒になろうとしたけど、鬼塚が土井を拉致まがいにつれていき「男のチ〇コに骨が……ぐへへへ」とつぶやき……うん、聞かなかった事にしよう。

土井は何か俺を恨めしそうに見てたけど、別に俺はお前を身代わりにしてないよ。

本当だよ……(棒読み

ーーー。

土井達のグループと離れた大野と俺と二人で遊園地をぶらつく。あまり会話は長く続かない。と言うより大野が基本的に喋らないから会話が成立しないって言うのが正しいだけどな。俺が一人だけで喋っているようで少し虚しくなってくるが、しばらくすると遊園地のゲームコーナーにたどり着いてゲームコーナーに入った。

「何処に行っても変わらねえな俺達は。遊園地にまで来てゲーセン巡りとはな」

遊園地のゲーセンって基本的に一世代前のゲームやゲーセンで使用されなくなったレトロゲームを中心に構成されてる。クレーンゲームの景品も何処か、その時代で少し古臭い物が多いんだよな。

まあ、それはそれで遊園地独特なゲームコーナーの味でもある。

「見ろよ大野。元祖ストリートファイターの専用筐体だ。これを知ってるか?」

「……(ふるふる)」

「実はこれがあったからスト2が生まれたと言っても過言じゃない。」

初代ストリートファイター。カプコンから発売されたスト2の前身となったゲーム。スト2の六ボタン方式と違い、ボタンの押す強さによって攻撃力が変化する2ボタン方式が採用された。このボタン方式は後に採用はされなかったが、このゲームの攻撃力が変化するボタン方式は後のスト2の六ボタン方式に継承されるようになる。リュウやケンといったストリートファイターシリーズを代表するキャラも、この初代ストリートファイターから生まれた。

『昇竜拳!昇竜拳!昇竜拳!』

(こいつ。初見プレイで難易度が高いドラゴンダンスを成功させてる!)

ドラゴンダンス。初代ストリートファイターのリュウの必殺コマンドの昇竜拳を連発する技の名称の事。この初代ストリートファイターは、対戦の事を考慮されておらず、スト2と違って昇竜拳の着地後のスキは全くなく。CPU戦で昇竜拳を連発すれば理論的に無傷でクリアする事ができる。

しかも波動拳、昇竜拳、竜巻旋風脚の威力もスト2では考えられない威力であるため、一撃でも必殺技を当てれば相手の体力ゲージを半分まで削る事が可能だ。

(スト2と違ってスト1のコマンド入力は凄く繊細でちょっとの入力ミスも許されないのに、普通に成功させてる。しかもあのデカパンでコマンド入力が難しくなってるのに……)

その後も大野の快進撃は続いてラスボスのサガットも必殺技を数発当てて完勝した。

『オーライト』

「……(むふ~)」

(初見プレイでクリア。改めて思うと本当にゲームの才能の塊だよな大野って)

何度も同じ光景を見てるから初め程の驚きはないが、それでも大野は自分にはない才能を持っていると思い、若干だが本当に嫉妬してしまうぜ。

「大野。遊園地のゲームコーナーて、もう近所のゲーセンだと扱ってないタイトルもあるから色々と見て周ってみようぜ」

「……(こく)」

それから俺達は古いゲームを楽しんだ。世代的に古いゲームだろうとも俺にとって前世の記憶があるから全てがレトロゲームで、実は前世でプレイしていないゲームが沢山あったから俺的には凄く楽しかった。

「次はファイナルファイトをやりたいの」

「……(こくこく)」

「でも地元でもできるだろ」

ファイナルファイト。カプコンから発売されたベルトスクロールアクションゲーム。このゲームの登場により対戦ゲームが登場するまでシューティングゲームと並ぶ、ベルトスクロールアクションゲームがアーケードゲームの主流となった。使用キャラはコーディ、ガイ、ハガーの三キャラで協力プレイが可能で、後にスーファミにも移植された人気のゲームであり、特にコーディとガイはストリートファイターシリーズにも使用キャラとして参戦しており、敵キャラのソドムやポイズンも参戦している。

「だあ、死にそうだ!肉だ!肉を!」

「……(壊すなという顔)」

「え、高得点を狙えないから樽を壊すな。無茶いうな!今にも死にそうなんだよ!」

結局。俺は途中でゲームオーバーとなった。だけど大野は普通にファイナルファイトで上級者向けのハガーでダメージを食らわないで全てのステージをクリアしてしまった。

「俺と言う足かせがあるのにクリアしちゃうんだから、本当にお前の腕には関心させられるよ。」

ファイナルファイトはプレイするのは好きだけど、俺の腕はそこまで高くないから途中で死んじゃうんだよな。一人でプレイするとだいたい四面のロレントまで行けるけど、後が続かないんだよな。

「そろそろ戻るか?いい加減に戻らないと、皆に置いてけぼりを食らうと思うぜ」

「……(いやいや)」

「いやいやって……まだ遊びたいのか」

「……(こく)」

しゃあねえな。もう少しこのお嬢様のわがままに付き合ってあげますかな。ゲームコーナーを出た俺達は、残りの数時間を遊園地のアトラクションで遊んだ。ジェットコースターやコーヒーカップにゴーカート。時間ぎりぎりまで俺達は遊んでいた。何処か元気のなかった大野も嬉しそうにしていたし、まあいいか。

最後に観覧車に乗ろうとしたけど入園時間がギリギリだったので乗れなかった。その時の大野が残念そうで悲しい表情であった。そんなに観覧車に乗りたかったのか?土井が誘ったけど乗り気じゃなかったのに、どういう心境の変化だ?

それで俺達はバスで帰宅した。土井達はどうやら先に帰ったようだ。まあ、俺達が土井達を無視して二人で遊んだから勝手に帰った土井達を攻める事も出来ねえな。

「……(す~す~)」

「こいつ、疲れて寝てるわ」

ここ最近は本当に元気がなかった。土井達と行動してる時もなんか元気がなかったが、ゲームコーナーでゲームしたり遊園地のアトラクションを遊んで少しは元気が戻って良かったと思うよ。大野の場合は夏休みでも、家の稽古や勉強漬けで休まる事がなかっただろし。

それに親に遊園地に連れてきて貰った事もなかったらしいしな。初めての遊園地で少しでも長く遊びたいと思うこいつの気持ちもわかる気がするよ。

夏休みが終わば秋がきて、直ぐに冬が来る。中学に近づくにつれて家の方針で大野との行動も制限されるだろうし、出来る限りは大野の支えになってやろう。

そう思っていたが、まさか夏休みが終わってからあんな事があるとは、俺は、この時は予想もしなかった。
 
 

 
後書き
簡素ゲーム用語

ストリートファイター1 スト2の前作であり、まだこの時は対戦ゲームというよりCPU戦を想定したアクションゲームの沿線上のゲームという認識であり、次作のスト2程の人気はなかった。しかし、スト2の人気に伴い認知度が高くなり、ストリートファイターシリーズの元祖的な扱いとなる。なお、スト2と違い、この時は、まだリュウとケンしかキャラを使用できなかった。

ドラゴンダンス リュウやケンの必殺技の昇竜拳を連発する事を刺す。特にスト1では必殺技が強力であるため昇竜拳の数発ヒットするだけでKO勝利が可能であった。

ファイナルファイト カプコンから発売されたベルトスクロールアクションゲーム。後のベルトスクロールアクションゲームを主流として有名にしたシリーズ。後の続編も販売されて、格闘ゲームのストリートファイターシリーズに主人公キャラや敵キャラを含めて参戦している。 
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