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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE107 明かされた黒幕の正体

 
前書き
前日は忙しくて更新が出来ずに申し訳ありませんでした。 

 
まさに地獄の死闘……第75層フロアボス戦は14人の死人を出すと言う、悍ましい結果となってしまった!今回フロアボス戦に参加した32名はいずれも攻略組の中でも選びすぐりの上位プレイヤー達。にもかかわらず、実に半数近くが死!
生き残ったプレイヤー達は勝利の余韻に沸き立つ事も無く、意気消沈し続ける中、一人のプレイヤーの予期せぬ行動により、アインクラッドの残り約6000人のプレイヤー達の運命を揺るがす事態に発展! by立木ナレ


俺「アイツ――何してやがる!?」

それは、キリトが既にボスがいなくなった状況下であるにも拘らず、片手剣の基本技のレイジングスパイクを発動したのだった。
しかも、その剣技が狙った相手はあろう事か、血盟騎士団の団長であるヒースクリフだった。まるで訳の分からないキリトの暴走に理解が追い付かないまま、ヒースクリフは咄嗟に左手の盾を掲げて、ガードしようとしたが、キリトの剣は空中で軌道を鋭角に変化させ、盾を掠めてヒースクリフの胸を突いていた。

エルダ「―――――!!」

俺「おい、エルダ――――」

そのキリトの動きを見てエルダが真っ先に立ち上がり、地を蹴りつけるように駆け出していた。そして、ヒースクリフの胸を突いたキリトに背後から飛び掛かる様に抑えにかかるが、それ以上に俺の視線を釘付けにしたのは、キリトとヒースクリフの中間に出現した、紫色のシステムカラーのメッセージだった。

【Immortal Object】

レイナ「……不死存在?」

俺「なんだと……?」

英文が読めない俺をフォローするように、或いは今回ばかりはレイナも本気で驚嘆して思わず言葉に漏らしたのかもしれないが、それは決して俺たちプレイヤーにはあり得ない属性だった。

アスナ「キリト君、何を――」

キリトの突然の攻撃、アスナは驚きの声をあげてキリトに駆け寄るが、そのアスナはメッセージを見て動きをピタリと止めていた。
だが、それはアスナだけではなく、クラインもエギルも、周囲のプレイヤー達も同じである中、唯一エルダは険しい表情でヒースクリフに剣を向けたキリトを背中から抑えにかかっていた。

そんな中、アスナがキリトの右横に並びエルダに対して警戒心を帯びた視線を向けていった。

アスナ「お願い、キリト君を離して……!」

エルダ「…………」

アスナの強気な目付きに対してエルダはそれ以上に険しい表情で睨み返していたが、やがてゆっくりとキリトを解放し、それを確認したアスナは戸惑ったような声でヒースクリフに問いかける。

アスナ「システム的不死……?…って…どういうことですか…団長…?」

だが、ヒースクリフは答えなかった。険しい表情でキリトを見据え続けている。俺としては何故エルダが咄嗟にキリトを取り押さえに向かったのか、それをエルダに問いただしたかったが、今はとてもそんな事を聞いていられるような状況ではない気がしてならなかった。

キリト「これが伝説の正体だ。この男のHPはどうやろうと注意域(イエロー)にまで落ちないようシステムに保護されているのさ。……不死属性を持つ可能性が有るのは……NPCでなきゃシステム管理者以外ありえない。だがこのゲームに管理者はいないはずだ。唯一人を除いて」

俺「たった一人の……このゲームの管理者……ま、まさかそいつは!」

俺の脳裏に思い浮かぶのは俺達をこのデスゲームに閉じ込めた顔もよく知らないマッドサイエンティストの名前だった。
そしてキリトは言葉を切り、上空をチラリと見ていた。

キリト「……この世界に来てからずっと疑問に思っていたことがあった……。アイツは今、どこから俺達を観察し、世界を調整してるんだろう、ってな。けど俺は単純な心理を忘れていたよ。どんな子供でも知ってる事さ―――他人のやってるRPGを傍から眺めるほど詰まらないことはない―――そうだろう、茅場晶彦(かやばあきひこ)

全てが凍り付いたように静寂が周囲に満ちた。そしてキリトが口にしたその名前は、先程俺の脳裏に浮かんだマッドサイエンティストの名前だった。

アスナ「団長……本当……なんですか……?」

ヒースクリフはアスナの掠れた声には答えず、小さく首を傾げると、キリトに向かって言葉を発した。

ヒースクリフ「……なぜ気づいたのか参考までに教えてもらえるかな……?」

キリト「……最初におかしいと思ったのはレイのデュエルの時だ。最後の一瞬だけ、あんた余りにも早すぎたよ」

それは、俺達もコロシアムで観戦したキリトとヒースクリフのデュエルだ。キリトのスターバースト・ストリームの最後の一撃が、当たるはずの一撃は、ヒースクリフの不自然な盾の動きではじき飛ばされ、そしてそのままキリトの敗北と直結したあのデュエル。

ヒースクリフ「やはりそうか。あれは私にとっても痛恨事だった。君の動きに圧倒されてついシステムのオーバーアシストを使ってしまった」

俺「それで、アスナの一時脱退を掛けたデュエルなんてのを自分から申し出たのかよ……とんだ出来レースだったわけだな……」

ヒースクリフの表情に初めて変化が表れていた、苦笑の色の笑みを浮かべている。

ヒースクリフ「予定では攻略が95層に達するまでは明かさないつもりだったのだがな―――確かに私は茅場晶彦だ。付け加えれば、最上層で君達を待つはずだったこのゲームの最終ボスでもある」

俺達は堂々と自らの正体を告白したヒースクリフこと茅場晶彦に対してある者は驚嘆の視線を、ある者は失望に満ちた視線を、中には下を俯いている者もいた。

キリト「……趣味が良いとは言えないぜ。最強のプレイヤーが一転最悪のラスボスか」

ヒースクリフ「なかなかいいシナリオだろう?盛り上がったと思うが、まさかたかが四分の三の地点で看破されてしまうとはな。……君はこの世界で最大の不確定因子だと思ってはいたが、ここまでとは」

既にヒースクリフの視線が捕らえているのはキリト唯一人だけのようだった。それ以外の連中は奴にとってモブキャラ、愚鈍な群衆、そして―――その中には無論俺も含まれているのだろう。なのでその先の言葉も、キリトに対してのみ向けられた言葉である気がした。

ヒースクリフ「……最終的に私の前に立つのは君だと予想していた。全十種存在するユニークスキルのうち、《二刀流》スキルは全てのプレイヤーの中で最大の反応速度を持つ者に与えられ、そのものが魔王に対する勇者の役割を担うはずだった。勝つにせよ負けるにせよ。だが君は私の予想を超える力を見せた。攻撃速度といい、その洞察力といい、な。まあ……この想定外の展開もネットワークRPGの醍醐味と言うべきかな……」

相変わらず奴の視線はキリとのみを捉えているが、ならばそれはそれで好都合だ。システム的不死によって守られている奴に不意打ちしたところでまた妨害されるんだろうが、いい加減に俺達を蚊帳の外にしてベラベラと得意気に語ってるあの口を斬り飛ばしてやりたくなっていた所だ――既に俺は奴にタゲを取った状態で補足転移を発動する、それで俺の身体はその場から消えて、次の瞬間には俺の身体はヒースクリフの眼前に出現し、目の前のヒースクリフに剣を振り下ろすが……俺の目の前にいたのは、本来俺の仲間である、俺と同じギルドの細剣使いの少女だった。

そいつはヒースクリフの前に立ち盾を掲げて、俺が振り下ろした片手剣の一撃を防いだのだった……なぜおまえが?俺の邪魔をするんだ……?なんでヒースクリフを守るんだ?

俺「どういう事だよ……エルダ?」

エルダ「悪いけどオズマ君、もう私は貴方の……貴方達の仲間ではいられなくなってしまったわ」

エルダはほんのつい先ほどまでのヒースクリフのような無表情を浮かべた状態で俺の攻撃を防ぎながらそう告げたのだった。

ヒースクリフ「よくやってくれたよエルダ君。オズマ君の補足転移からの攻撃に気が付くとは流石だな」

エルダ「誉め言葉なんて必要ないわ、どうせ私の助けなんて必要なかったんでしょう……茅場先生?」

ヒースクリフ「茅場先生か……君にそう呼ばれるのは実に懐かしいな……沢井恵梨香(さわいえりか)君。」

エルダとヒースクリフがお互いを名前で、本名で呼び合っている。つまりあの二人は実はリアルで既に知り合いであった事になる。
つまり、エルダとヒースクリフは最初から――――

レイナ「……貴方達は最初から内通していたの?」

俺の疑問をレイナがそのまま口にして訪ねていた。だがエルダは数秒間の間、僅かながら悲痛な表情をレイナに向けた後、目を閉じて首を小さく横に振っていた。

エルダ「いいえ、私がヒースクリフ団長が茅場先生である事に気が付いたのはね、キリト君と茅場っ先生のデュエルの直後だったわ」

キリト「そうか…俺の負けデュエルを見た時点でアンタはその違和感に気が付いて、すぐに直に確かめたってわけか?」

キリトがエルダに視線を向けながら、静かな口調で問いかけるとエルダは首を縦に振る。言われて見れば確かにあの時、キリトとヒースクリフのデュエルが終わって早々に近くで観戦していたエルダは姿を消していた。

エルダ「ええ、デュエルを終えた直後の彼に一人で接触して問いただしたら、あっさりと認めたのよ」

キリト「だったら、ヒースクリフの正体を最初にカンパしたのは俺じゃなくてアンタって事になるわけだ……だが、それはそれで別の疑問が出てくる」

俺「そうだよな、奴の正体を最初に見破ったお前が何でヒースクリフを庇った?いやそれ以前に―――お前がヒースクリフの正体を最初に見破ったんなら、その時点でヒースクリフがお前をそのままにして臆とは思えないだけどな……」

そう言いながら俺はヒースクリフに視線を向ける、ヒースクリフは無表情で俺を見据える。その表情からして奴は俺になどまるで関心が無いと言わんばかりの様子だった。
だが、ヒースクリフはそんな無表情のまま口を開き、ゆっくりと話を始める。

ヒースクリフ「そうだな。私も彼女に正体を見破られた時点で彼女が私の元で研究の助手を務めてくれていた恵梨香君であったことに気が付き、要求は何かと尋ねたよ」

そう言えば、エリカという名前はどこかで聞き覚えがあるような気がした……苗字はまだ聞いてないから分からないが、下の名前の恵梨香(えりか)はおそらく、このソードアート・オンラインの世界で聞いた覚えのある名前だ。

ヒースクリフ「だが、彼女の要求は単調直入だったよ、彼女には自分と同じこのSAOにとられている妹がいてね、その妹の身の安全の保障を要求されたのだよ」

妹だと?奴の名前はエリカで妹がいる……なんだこれは?俺の今までのこの二年間のSAOの出来事の中で何かが繋がっていく気がする。
だが、これは俺にとって重要な事ではなく、俺の隣でじっとエルダの顔を見据えているレイナの事だ。

レイナ「……まさか、貴方が?」

俺「そう言えば、確かお前の本名はサワイレイナだったよな……?」

俺が不意に、記憶を失いリアルの自身の事を何も知らないはずのレイナの本名を思い出したのは、かつてガチャモンとモックによって二度に渡り配信された身内動画を見た記憶を思い出したことによる事だった。
そして、レイナの身内動画には確か姉が登場していたはずだった。確かその姉の名前が―――そして、俺の疑問に対するその答えは、エルダ自身の口から証明された。

エルダ「私の妹の名前は沢井玲奈(さわいれいな)よ。このソードアート。オンラインの世界でもレイナのキャラクターネームで、第一層から今に至るまでオズマ君のパートナーとして……私とギルドメンバーとして……MBTのメンバーとして私の側にいるその子が私の妹なのよ」

そう宣言したエルダのレイナを見る表情は、確かに実の妹に対する確かな情の籠った目付きに俺には感じていた。
一方で今まで詳細も行方も生死も解らなかった実の姉が実は同じギルドのメンバーとしてずっとそばにいた事を初めて知ったレイナは、俺も今まで見たことの無いような驚嘆に満ちた表情で目を大きく見開いていた。

レイナ「……貴方が私の姉だなんて……なぜ、なぜ何も言わなかったの?どうして、正体を隠していたの?そしてなぜ今、オズマの敵になろうとしてるの?」



遂に明かされた二人の黒幕の正体!血盟騎士団団長ヒースクリフの正体はSAOのゲームマスターにして黒幕の茅場晶彦。そして、エルダの正体はレイナの姉にして茅場の助手である沢井恵梨香という衝撃の真実が明かされる! by立木ナレ



 
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