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オズのエリカ

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第四幕その八

「これからね」
「そうしましょう、今回もエリカの我儘だけれど」
 ここで笑って言うアンでした。
「今回はいい我儘ね」
「いい我儘しか言わないわよ、私は」
「そこは違うから」
 このことはきっぱりと否定したエリカでした。
「ちゃんと言っておくわ」
「私の我儘で悪い我儘あったかしら」
「むしろそちらの方が多いわよ」
「何処が?」
「何かと勝手な行動取ったりそうしたこと言ったりするじゃない」
「具体的じゃないわね」
「具体的に言うと寝かせろとかブラッシングしろとかあれ食べさせろ遊ばせろとかよ」
 具体的に言うと色々でした。
「実際にあるでしょ」
「私にとっては当然のことよ」
「だからいいのね」
「そうよ、聞いてみたらいい我儘しかないんじゃない」
「それは貴女にとってでしょ」
「そうかしら。とにかくね」
「今回はいい我儘っていうのね」
 アンはエリカをどうかという目で見ながら言いました、言いながらテーブル掛けを出しました。晩御飯を出す為に。
「そう言うのね」
「そうよ。あと今日はバーベキューがいいわね」
「バーベキューね」
「ええ、皆好きでしね」
 それでと言うのです。
「リクエストするわ」
「このこともね」
「我儘っていうのね」
「ええ、ただ今回もいい我儘ね」
「そのいい我儘と悪い我儘の違いが不明よ」
 エリカにとってはそうでした。
「私はいい我儘しか言わないって言ってるでしょ」
「そこがわからないというか」
「わかっているわよ」
「つまり勝手な解釈してるのね」
 エリカにとって都合のいい、です。
「そこも貴女らしいわね」
「言ってる意味が本当にわからないわね」
「やれやれね、けれどね」
「これからバーベキューを食べてね」
 そしてと言うエリカでした、今も自分の我儘はいい我儘であると考えてそのうえで皆に言っています。
「そうしながら蛍と蛍に照らされた街を見ましょう」
「ええ、今から出すわね」
 こう言ってでした、アンはテーブル掛けから牛肉や野菜を串に刺したバーベキューを出しました。皆それを食べながらです。
 そのうえで夕暮れが終わり夜の帳が世界を覆うのを待ちました、そうして夜になるとです。
 蛍達が出て来てです、そうしてでした。
 駒の国を隅から隅まで照らしました、それを見てです。
 エリカは唸ってです、ちょこんと座った状態で言いました。
「凄く奇麗ね」
「うん、優しい青がかった緑の光がね」
「その光がとても奇麗で」
「国中を照らしてね」
「お空にも一杯あって」
「本当に奇麗よ」
 ジョージ達五人がエリカに応えました。
「まさに天然の灯りね」
「夜の国を照らす」
「僕達の世界じゃ電灯で照らすけれど」
「電灯にも負けていないね」
「しかも幻想的だし」
「そうよね、自然のイルミネーションね」
 こうも言ったエリカでした。
「これは」
「そうね、しかもね」
 ここで空を見上げて言ったアンでした。 
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