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魔法科高校の劣等生の魔法でISキャラ+etcをおちょくる話

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第百四十八話

17:10 ラボ最下層 地底湖

水面を踏むと、フワッと波紋が広がる。

一歩踏み出す度に、新たな波紋が生まれる。

それと同時に、灯りが強くなる。

淡く白く光る浮島。

近付けば近付く程、その純白の光は強くなる。

カツン、と義足が浮島に触れた。

地底湖全てを照らすほど、光が強くなった。

「ヨイヤミ」

義手の中に一本の剣を展開。

構えて、浮島から飛び出ている細長いクリスタルを見据える。

IS専用カタナ・ブレード:ヨイヤミを振るうと、スッと刃が沈み込んだ。

「サイコシャードって……切れるんだな…」

「そうだね……」

地底湖のサイコシャード。

俺達はソレを圧切を使って切り刻んでいた。

「でもこんなのどうするのいっ君?」

「サイコシャードはサイコフレームと同一の物。なら、インテンションシステムが通じるはず」

切り刻んだサイコシャードをネットに入れる。

ネット、というが網目の大きさはナノ単位だ。

「圧切 キャスト」

ネットの網目に展開された圧切によってサイコシャードが砂状になる。

「集え」

片方のプラスチック製の義手を格納庫に入れ、砂状サイコシャードを肩に集め、手の形に成型する。

「サイコミュ 起動」

コアのサイコミュを起動する。

手を握ると感触が生まれた。

「ああ…やっぱり…。成功だ」

「何が?」

「サイコシャードで作った腕なら感覚のフィードバックがあると思ったけど、予想通りだったね」

残った手足の分のサイコシャードを採集して、同じように手足を作る。

地面を踏むと、しゃり…しゃり…と音がする。

「あとは人工皮膜でおおって…」

スーっと肌色……というには少し薄い色のゴムで手足が覆われた。

「うん。これでよし!」

感覚があるっていうのは、いいものだ。

「さ、帰ろっか束さん」

手足がなくなって3日目の事だった。









同日06:57

幼女の雷巴の中で目覚めた。

「なんで居るんだろうコイツら…」

着替えて階下に降りると、束さんが朝食を作っていた。

「あ、おはよーいっ君」

「おはよう…束さん。なんでアイツらいんの?」

と視線で二階を指す。

「んー。フィーネが喋っちゃったみたいでさ。無抵抗のいっ君を弄りに来たみたい」

「……最悪だな」

「昨日いっ君が帰って来たのに気付いたら三人とも大急ぎで二階に上がっていったよ」

なつかれてるのは嬉しいが…

「そ」

「あー。それと昨日はあんまり義手が進まなかったんだ。ごめんね」

「謝らないで束さん。この手足は俺の身勝手の産物なんだからさ」

カンヘルは、俺の理想……わがままだ。

「あ、それと思い付いた事があるから試したいんだ。それが上手く行けば複雑な義肢なんていらなくなる」

「そうなの?」

「うん。昨日思い付いたんだ」

「わかった。それで、いつためすの?」

いつ……かぁ……。

「出来るだけ早い方がいいから……今日の放課後かな」

「放課後にどこ?」

ん? 束さん来る気なのかな…?

まぁ、みられて困るような事でもないからいいけどさ。

「ラボの地底湖。サイコシャードを使う」

からん、と束さんがお玉を落とした。

「いっ君、正気?」

「何が?」

「いっ君はアレのせいで手足を失ったんだよ?」

「大丈夫。次はちゃんと制御するさ」

「……何か危ない事が起こったら、問答無用で私が止めるから」

「うん。ありがとう。束さん」










飛行術式を切っても問題なく歩く事が出来た。

「あぁ…この全身で体重を支えている感覚……懐かしい……」

「本当に大丈夫なの?」

「大丈夫大丈夫。ヤバくなったらパージするから」

仮に何かあってサイコシャードが増加してもエクスブローダーで撒き散らすか俺が離脱すればいいだけだ。

ラボから出ると、夏だというのにもう薄暗い。

山あいだし、地理的にもこの地域は昼が短い。

まぁ、吸血鬼としては嬉しい限りだが。

「いっ君。何かあったら言ってね」

「うん」



家に帰ると、箒と円香が待っていた。

「ありがとね、箒」

玄関で出迎えてくれた箒にお礼を言う。

「いや、どうという事はないぞ」

「あのねあのね、箒お姉ちゃんがすっごい気持ちいいキスの仕方教えてくれたの!」

おい箒。お前何をしている。

「円香はかなり才能があるとおもうぞ」

「そんな才能要らんわ!」

「後でお兄ちゃんにしてあげる!」

「しなくていいから……」

「ぇ………」

「あー!もうっ! あとで好きなだけやったげるからそんな顔するな!」

「やった!」

墓穴を掘った気がするが……まぁ、よかろう。

「それはそうと、義手はできたのか一夏?」

「ああ、ちゃんとフィードバックもある」

人工皮膜を格納し、右手の中身を見せる。

「砕いたサイコシャードを成型した物だ。
きちんと感触がある」

「そうか。ちゃんと出来たならいい」

「なんだ? 心配してくれたのか?」

「当たり前だろうが」

「お兄ちゃんの手、綺麗だね」

サイコシャードは現在淡く白く光っている。

人工皮膜で押さえられる光量ではあるが、暗いとわかるかもしれない。

皮膜を被せ、円香の頬に触れてみる。

「暖かい……柔らかい……」

ぽかぽかしてて、すべすべしてて、ぷにぷにしてる。

「お兄ちゃん?」

「ごめん、もうちょっとこうさせて」

「ん。いーよ」



三分くらい円香をむにむにしてたら箒に妬かれて尻尾を握られた。

「にゃにすんだよー?」

「すまんな。お前があまりにもこちらを無視するからな」

うわっ…かわいい……

「このおっきくて可愛い生き物俺の彼女なんだぜ」

「?」

手に尻尾を絡めてやるとすりすりしてきた。

「にゃに?」

「いや……なんでもない」

構って欲しいなら言えば良いのに……

という訳で箒に抱きついてみた。

ぎゅーって。

「むぅ………身長差が…」

どっちも立って抱きつくと箒の鳩尾辺りに俺の頭が来る。

せめて、せめて胸ぇ!

「お兄ちゃんやっぱりちっちゃいね」

「うるせぇキスで黙らすぞ」

「え?ほんとに?」

なぜ喜ぶ。

「そうだな、いつまでも玄関で話してる訳にもいかんし、ソファーで実演するか……円香、よく見とけよ」

グイッと首根っこを捕まれた。

「おい箒、何する気だ」

「円香のキスの練習だ」

「させんでいい! お前は俺の妹をサキュバスにでもする気か!?」

そのままリビングまで連れてかれて、ボスっとソファーに投げられた。

円香と箒がじりじりと近づいてくる。

「ちょっと束さん! どうにかしてよ!」

「うん? 面白いから却下ね」

嘘だろおい!?

「大丈夫。お兄ちゃんはそこでじっとしてればいいから……」

「さぁ、一夏、円香をキスで黙らせるのだろう…?」

「あ、ちょ、やめ、あ、うそ、ちょ…あ………」

side out











10分後

「ぐすっ……兄の威厳が……」

「元からないだろそんなの」

「いっ君は可愛いからいいんだよ」

「正直お兄ちゃんのカッコいい所見たことない。
可愛い所は見たことあるけど」

円香の一言がトドメになったのか、一夏は三角座りでいじけだした。

「うぅぅ……どーせおれなんて……」

「あ、面倒な拗ね方になった」

「拗ねてにゃいもん!」

涙目猫耳黒髪幼女である。

円香の中でイケナイ焔がチロリと舌を出す。

円香がそっとソファーの裏に回り込む。

ふにふに……ふにふに……ふにふに……

と耳を弄る円香だったが…

「ふしゃー!」

「ひゃっ!?」

一夏に威嚇されて後ずさった。

「はぁ…しょうがないなぁ…」

束がヒョイと一夏を持ち上げた。

「フーッ!」

「ちょっといっ君落ち着かせて来るから、二人は来ちゃダメだよ」

と言ってリビングから出ていった。

「「………………」」

残された二人は顔を見合わせ……

「キスの練習するか?」

「するー!」

全く反省していなかった。








一時間程で戻ってきた一夏はムスッとはしていたが、そこそこ機嫌が治ったようだった。

「束お姉ちゃん。どうやったの?」

「うん? ただいっ君を抱きしめてじっとしてただけだよ」

一夏は顔を赤くして、フイッと顔をそらす。

「一夏も元に戻ったようだし、私はそろそろ帰るぞ」

「もう暗い。泊まっていけ」

不機嫌そうだが、喜色を隠せていない声色で一夏が言った。

「ふむ…そうだな。少し家に電話してくる」

箒がリビングから出て、電話をかけた。

「もしもし。父さん?」

『どうした箒? 今日は一夏君の家に泊まるんじゃなかったのか?』

「そうなのですが、暫く止まる事になりそうで…」

『何かあったのか?』

「実は先日ISの実験で一夏の手足がなくなっ…」

『なんだとっ!? なぜもっと早く言わなかった!?』

「一夏に口止めされていました。今日義手が完成しましたが心配なので暫く泊まります」

『……わかった。一夏君を頼んだ』

「はい」

ガチャ、と箒が扉を開けた。

「おいどういうつもりだ箒。明日も泊まるのか?」

「どうもこうもない。この数日間私がどんな気持ちだったか考えろこのアホめ」

有無を言わせぬ口調で箒が言った。

一夏も唇を尖らせながらも反論しない。

「箒お姉ちゃん泊まるの?」

「ああ。暫くはな」

「やったぁ!」

「では今日は四人で寝るとするか」

「変な事したらベッドから蹴り落とすからな」




その晩篠ノ之姉妹は織斑兄妹を挟んで、満足げに微笑んでから眠りについた。
 
 

 
後書き
一夏目覚める
束と話す
幼女と朝ごはん
学校へ
一夏、箒織斑家へ
箒に円香を任せて二人はラボへ
義手製作完了
帰宅
というのが今回の話です。
正直いうとエレンとリムを交えた朝食とか円香箒、一夏束のやり取りとか入れたかったのですがぐだるのでカットしました。
もうぐだっているという意見は受け付けません。 
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