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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE101 デュエル決着・・・奇妙な違和感

 
前書き
第100話を超えたところで、本日より一日の更新回数を一度にしたいと思います。今後ともよろしくお願いします。 

 
アスナのギルド一時脱退を巡り、二刀流使いのキリトと神聖剣使いのヒースクリフのデュエルが決定した!新たに開かれた第75層の闘技場を舞台にユニークスキルの所有者同士がデュエルすると言うだけあり、大勢のプレイヤー達がその戦いを一目見ようと第75層へと押しかけ……まさにお祭り状態!圧倒的バカ騒ぎの場と化していた! by立木ナレ


円形の闘技場を囲む階段状の観客席はぎっしりと埋め尽くされていた。アインクラッドの残りの生存者はせいぜい6000人強だが、この観客席のプレイヤーの数は軽く1000人を超えてると思われた。
最前列にはエギルやクラインの姿があり、斬れだとか殺せだとか物騒な言葉が飛び交っていた。

ユッチ「やっちまえ――!アスナさんをキリトの野郎に渡して溜まるかぁ―――!」

そして、俺の隣にもやかましくヒースクリフの応援……というよりも、キリトに対するアンチ丸出しのユッチが騒いでいた。

エルダ「私は別にどっちが勝っても負けても関係ないんだけど……アスナさんがギルドの活動を一時的に休む事で支障がないか心配なのよね~」

ユッチ「でしたら一緒にキリトの負けを祈りましょうよ!アスナさんには血盟騎士団の副団長として輝き続けるか、MBTに入ってもらうかのどちらかっすよ!」

エルダ「少なくとも、後者に至ってはあり得ないと思うのよね……」

ユッチはエルダの何気ない一言に食い付いて、自分と同じ側に引き込もうとするがエルダは引き攣った笑みを浮かべながらそう言ったのだった。

ガチャモン「ねーねー、オズマ君はこのデュエルはどっちが有利だと思う?もう一人のユニークスキル使いの意見は貴重だから是非聞かせてよ」

俺「いきなり現れて、自然に話しかけて来るんじゃねーよ」

後ろからごく自然に声を掛けてきたのはSAOのマスコットを自称するガチャモンだった。あまりにも堂々と平然と観客席に紛れていたので周囲の他の観客たちは呆然と呆けていたり、慄いた表情を浮かべたり、嫌悪感に満ちた視線を送ったりと千差万別の反応を見せていた。

モック「おお――!ついに二人が現れましたですぞ!って耳がぁ―――――!」

モックがコロシアムの中央を指差し叫ぶ頃には丁度キリトとヒースクリフが控室から姿を現す。それに伴い歓声は一気に高まるのだったが、それがうるさいと言わんばかりにモックは自分には付いていないはずの耳を抑えていた。
ちなみに、このデュエルでキリトが勝った場合はアスナの一時脱退を認める一方で、キリトが負けた場合はキリトが血盟騎士団に入ると言う約束が為されているらしい。
一般のプレイヤーからしてみれば、最強ギルドに入れるなど羨ましい限りの事だろう。



そして、キリトとヒースクリフの間にはこの時すでにデュエル開始のカウントダウンが開始していた!二刀の剣を構えるキリトと、盾の裏から細身の長剣を引き抜くヒースクリフ―――そして、カウントダウンが0となり、両者の間に【DUEL】の文字が閃くと同時に、キリトが地を蹴り付けて飛び込む様に駆ける!地面ギリギリを滑空するように突き進む! by立木ナレ


キリトはヒースクリフの直前で身体を捻り、右手の剣を左斜め下から叩きつけるが、ヒースクリフの十字の盾に迎撃されていた。
だが、キリトの攻撃は二段構えだったようで、右にコンマ一秒遅れで、左の剣が縦の内側へと滑り込んでいた。

俺「どんな名前か知らないが、あれも二刀流のソードスキルなんだろうな」

レイナ「……オズマの補足転移と同様で、ユニークスキル所有者のみが使えるソードスキルね」

それからも、キリトとヒースクリフの攻防は全く収まる事無く、一対一とは思えないほどの激しい死闘がコロシアムで繰り広げられつつあった。

ガチャモン「う~ん、多分だけどさ。キリト君はヒースクリフ騎士団長の神聖剣のソードスキルに付いてはアスナさんから色々とレクチャーされてると思うんだよね~」

ユッチ「はぁぁ!?な、なんでアスナさんが自分の上司の情報をキリトの野郎になんかに売るんだよ!適当な事抜かすなぁ!」

唐突にガチャモンがまるでアスナがキリトに肩入れしていると言った様子の言葉を口にすると、ユッチが露骨にガチャモンに対して猛反発していたが、俺もアスナがキリトにアドバイスをした可能性は充分あり得ると考えている。

ガチャモン「だってさ、アスナさん自身がギルドの一時脱退を申請したんだからさ、アスナさんとしては是非ともキリト君に勝って自分の一時脱退を勝ち取ってほしいと思うのが当然じゃんか?」

モック「ぐほほっ!まあ、それはあくまで建前でして、本当はアスナさんの個人的な感情からして、条件に関係なくキリトさんに勝ってほしいと思ってるのかもしれませんですな~」

モックのその言動は大のアスナのファンであるユッチの焦りを煽る言葉となったのは想像に容易かった。

ユッチ「な、な、なんだよそれぇ!?アスナさんの―――アスナさんの個人的な感情からしてキリトの野郎が勝つ事を願うなんて……あるかそんな話!!」

残念ながら――ユッチにとってはかなり気の毒な事なのだろうが―――奴らが言った言葉は的外れどころか俺から見てもかなり的を射ていると思わざるを得ない言動だった。
ユッチを気の毒に思っている最中にもコロシアムの死闘はその苛烈さを失う事なく続く。そして―――双方のHPバーが5割を割り込みかけたところまで来た。

そこでキリトは両手の剣を全力を込めて使い攻撃を開始していた。それは、第74層のフロアボスに対して使ったとどめの必殺の二刀流ソードスキルで、俺もあのソードスキルの名はキリト自身から聞いていた。

俺「スターバースト・ストリーム……だったな」

16連撃の上位ソードスキルがヒースクリフに対して次々と叩き込まれ、ヒースクリフも懸命に十字の盾を掲げてガードに徹していた。

エルダ「あれが二刀流のソードスキル……!ヒースクリフ団長じゃなかったらとっくに滅多切りになってるわね」

エルダが思わず息を呑み、キリトのスターバースト・ストリームの凄まじさに感服すると同時にそれをここまで耐えるヒースクリフの神聖剣の防御力にも圧巻している様子だった。
無論、俺もこれにはどちらも俺と同等以上の実力者なのだろうと認めざるを得ない戦いであった。

キリトの連続攻撃の前にヒースクリフの反応が僅かずつだが遅れつつあるのが分かる―――この調子でいけば、キリトの攻撃がヒースクリフに直撃するか?
それはキリト自身もほぼ確信していただろう、ヒースクリフの盾が右に振られ過ぎたそのタイミングにキリトの左からの最後の一撃がヒースクリフ目掛けて放たれる。

エルダ「あれが当たれば……ヒースクリフのHPが半分を切ってキリト君が勝つわ!」

ユッチ「くっそぉ―――!何してんだよ騎士団長の癖によぉ――!!」

エルダもキリトの勝利が決まると確信し、ユッチが文句を喚き散らしたのだったが、そのコンマ数秒後の結果はそんな予想を大きく覆す展開だった。
当たるはずであったキリトのスターバースト・ストリームの最後の一撃が……ヒースクリフのガードの隙を付く様に決まるはずだった一撃が……右に構えられていたはずの盾が瞬間的に左に移動したかのように見えた。
そして、それにより左側を狙っていたキリトの最後の一撃は弾き返されていた。キリトの表情もそれが何なのかまるで分らない様子で驚嘆の表情を浮かべていた。

レイナ「……形勢は逆転するわ」

まさにその通りだった。大技をガードされ切ったキリトは、ソードスキル発動後の硬直時間が課せられる事になり、当然その隙をヒースクリフが狙ってくる。

ユッチ「おぉ―――!!やったやったぁ――――!キリトの負けだぁ――――!!」

ユッチのその言葉通りキリトは負けていた。右手の剣の単発突きによって食らったダメージにより、キリトのHPが半分を切り、それでデュエルの勝敗は決していたのだった。
ユッチはキリトの逆転負けに大いに沸き立ち、その場で立ち上がって喚き声をあげてはしゃぎまわっていた。

ガチャモン「ありゃりゃ、ユッチ君ってばキリト君が負けてそこまで嬉しくなれるんだね……」

モック「この人と近くの席だと、何故だか我々まで恥ずかしくなってくるですな~」

この二人の言葉に同意せざるを得ないのは癪だが、困った事に俺もガチャモンとモックとだいたい同じ気分だった。
だが、そんなユッチの浮かれモードを呆気なく打ち砕く様に、敗北しその場に倒れて呆然としているキリトの元にアスナが駆け寄って助け起こしていた。

ユッチ「え、ええ―――!?負けたキリトの無様な姿にアスナさんが失望する展開になるかと思ってたのになんでだよ!?」

間抜けな叫び声をあげて、自分の思惑が完全に外れた事をユッチは嘆くのだった。俺としてはそんな事よりも、ヒースクリフの最後の妙な動きからのガードが妙に印象に残っていた。

俺「ヒースクリフ騎士団長殿の最後のあの動きは、なんかしらのシステム外スキルとかか?」

レイナ「……分からないわ、確かに早すぎる動きだったけど」

俺だけでなくレイナもヒースクリフのあの最後の動きには違和感を感じていたようだった。キリトのスターバースト・ストリームの最後の一撃はヒースクリフのガラ空きになっていた左側を狙って直撃するかと思われたが、右側の盾がまるで瞬間的に移動したかのように左側に移動し、キリトの最後の一撃はガードされてそれによって形成は逆転されてしまった。

ユッチ「ああもうちっくしょー!折角キリトの野郎が負けたってのにアスナさんはキリトに失望しないし……世の中間違ってるっすよぉ~!」

俺「思い通りにいかなくてイライラしたくなる気持ちは分かるが、少し大人しくしろって――――」

俺は喚き続けるユッチを注意しようと視線を向けるのだったが、その隣にいるはずのエルダの姿がいつの間にか消えている事に気が付き、言葉を途切れさせたのだった。

俺「エルダの奴、何処に行っちまったんだ?」

レイナ「……分からない、私も見てないわ」

どうやら、何の用があったのか知らないが何も言わないまま先にこの場から立ち去ったようだった。デュエルが終わった時点で早々と立ち去ったと言う事かもしれない。

ガチャモン「もしかしたらエルダさん……トイレを我慢してたりしてぇ~?」

モック「ああ、それですよそれ!なにせ年頃の娘さんですからな~、声に出して『トイレ行ってくる!』なんて言い難いでしょうからな~」

レイナ「……SAOでトイレに行く必要なんて無いし、トイレ自体が存在しない」

レイナの言う通り、排便の必要が一切ない、ソードアート・オンラインの世界でトイレに行くために黙って行ってくるなどはあり得ないのだった。
やはり、デュエルが終わったので早々に席を立ったとかだろう。映画とかでもあるあれだ、本編が終了した途端エンドロールを見る事無く早々に立ち去り、エンドロール後の最後のワンシーンを逃すタイプだ。

レイナ「……私達も、これ以上ここに用は無いわね」

俺「そーだな、お祭りの最大の一大イベントは終わった、何時までも嘆いてねぇでお前も行くぞユッチ」

俺はユッチの首根っこを引っ張りレイナと共にコロシアムの会場を後にするのだった。


※ ※ ※


ヒースクリフ「まさか……こんな早い段階で見破られるとはね、君には驚いたよエルダ君」

エルダ「あくまでキャラクターネームで呼ぶんですね―――でしたら、私もこの世界にいるうちはあくまでヒースクリフ騎士団長と呼び続けた方が良いかしら?」

ヒースクリフ「好きにした前、それで―――この事実に気が付いた君は私に何を要求する?」

エルダ「別に弱みを握ったつもりなんてありません、貴方なら私一人をこの世界から消すくらい、何時でも出来たでしょうしね。ただ、一つ要望があるとしたら……私の妹を―――――」 
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