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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE98 青の悪魔グリームアイズVS二刀流使い

「あぁぁぁぁぁ……!」

それは、明らかに人の悲鳴だった。軍の連中である事はほぼ十中八九間違いない事は確定だった。俺達は一斉に顔を合わせると、一目散に駆け出した。
敏捷力のステータス的に俺、アスナ、キリト―――そして、若干敏捷力で劣っているレイナがそれに続き、クライン達、風林火山のメンバーはさらに引き離される形になるが、今はとにかく状況を確かめなくてはならなかった。

俺「聞き耳スキルを使うぞ!」

聞き耳スキルで聴覚を強化し、壁際の音まで聞こえるようになると、俺の耳に聞こえてきたのは生々しいプレやーたちの悲鳴、ダメージを受けた時に発生する音源、防具が破壊されたのであろう金属音などがハッキリと聞こえてきた。

レイナ「……どう?」

俺「多分―――いや、間違いなく軍の連中がボスに良い様に一方的にやられてるに違いない!」

キリト「くそ……せめて犠牲者が出る前に!」

やがて、キリトとアスナが先に発見したと言うフロアボス部屋の大扉が発見されたが、既に左右に大きく開いた状態で、内部からは燃え盛る青い炎の揺らめきが見えていた。
その奥でうごめく巨大な影は間違いなく第74層のフロアボスモンスターだろう。

アスナ「バカッ……!」

アスナが悲痛な叫びをあげると、更にスピードを上げた。それにキリトと俺が、続いてレイナも追従する事になる。
扉の手前で俺達は急激に減速して止まり、入り口ギリギリで停止する形になる。

俺「おい!大丈夫なのか!?」

と叫んでみるが、言ってから大丈夫ではない事は目に見えて分かる状態だった。


それは、まさに地獄絵図! 床一面が青白い炎で燃え上がる光景……その中央ではオズマらに背を向けて屹立する、金属質に輝く巨体、第74層フロアボスの青の悪魔『ザ・クリームアイズ』であった!
禍々しいヤギの頭部から燃え盛る蒸気を噴き出しながら、悪魔は右手の巨大な剣を縦横に振り回す!ボスモンターのHPは未だに3割すら減少していない状態であった!
そして、その向こう側では死に物狂いで逃げ惑う軍のプレイヤー達―――もはや軍の統制などは崩壊しており、防戦一方に駆逐される弱者に過ぎないのであった! by立木ナレ


俺「連中って元々12人だったよな……今数えてみたら、10人しかいねぇぞ!」

キリト「咄嗟に転移結晶で離脱したとかなら良いんだけどな……」

キリトの言った通り出なかった場合、その二人は既にボスモンスターに倒されて命を落としてしまった事になるが、そう考えている間にも更に一人が巨大な剣に薙ぎ払われて床に転がり付けていた。
HPは既にレッドゾーンにまで減少していた。

レイナ「……あんなところにボスモンスターがいたら脱出もままならないわね」

レイナの言う通り、軍と俺達のいる入り口の間にボスモンスターが陣取っている以上、離脱は非常に困難になるのは当然であった。

キリト「何をしている!早く転移アイテムを使え!」

倒れたプレイヤーに向かってキリトが大声をあげるが、男はこちらに顔を向けると、絶望に満ちた表情で叫び返す。

「だめだ……!く……クリスタルが使えない!!」

キリト「な……」

俺「ボス部屋でクリスタル無効化エリアだと……?」

迷宮区で稀に見られるトラップではあるが、それがボス部屋にある等とは前例のない事であった。

アスナ「なんてこと……」

レイナ「……これでは、迂闊に助けるのも難しいわね」

アスナが息を呑み、レイナがシビアながら的確な指摘を口にしていた。その時、ボスの向こう側で一人のプレイヤーが剣を高く掲げて、怒号をあげる。

コーバッツ「何を言うか……ッ!!我々解放軍に撤退の二文字はあり得ない!!戦え!!戦うんだ!!」

愚行に等しい命令を下したのは、パーティーのリーダのコーバッツだった。

キリト「馬鹿野郎……!!」

レイナ「……愚かね」

キリトが感情的になり叫び、レイナも珍しく辛辣な一言を漏らしていた。

俺「結晶アイテムが使えないエリアで二人足りなくなってるって事は……死んだって事じゃねぇか!」

12人中既に二人が死んでる上に、残りのメンバーも何時死ぬか分からぬ状況、その上ボスのHPは3割も減っていないと言う有様でありながら戦闘続行だと?


まさに死の箱舟!彼ら―――軍の12人のメンバーはコーバッツの指揮下で迷宮区に向かった時点で既に沈没する事が決定づけられた船に乗せられたも同然の状況であった!まさにタイタニック号に乗せられた哀れな者達である! by立木ナレ


クライン「おい、どうなってやがるんだ!!」

俺達に遅れてクライン達も追いついてきていた。俺達は手早くクライン達にも状況を伝えると、普段はへらへらとした表情でいることの多い男の顔が歪んだ。

クライン「な……何とかできないのかよ……」

レイナ「……危険度が高いわ、私達10人で彼らの退路を拓くくらいは出来るかもしれないけど―――あのボスモンスターは12人の軍のプレイヤー達を相手に大したダメージを負う事無く二人を殺して、残りのメンバーもあそこまで追いつめてる」

俺「せめて、もうちょい人手がありゃ良いんだが、都合よくここに来る連中がいるとは思えねぇな」

俺達が悩んでいる間に、ボスの向こう側で何とか部隊を立て直したらしいコーバッツの声が響いた。

コーバッツ「全員……突撃……」

キリト「やめろ……!!」

キリトの制止も虚しく、冷静さを欠いた―――或いは元から冷静な判断力など持ち合わせていないのかもしれない指揮官は無謀な突撃を実行させた。
ボスモンスターにとって軍の連中はコーバッツを含めて、取るに足らない相手なのは明白だ―――ボスモンスターは仁王立ちになると、雄叫びをあげると共に、口から噴気を捲き散らした。

レイナ「……あの息にもダメージ判定があるみたいね」

俺「何かのデバフ効果があるのか……」

突撃に向かったメンバー達の勢いが呆気なく緩んだ。そこに、すかさずボスの剣が付きたてられた、一人がすくい上げられるように斬り飛ばされて、ボスの頭上を越えて俺達の眼前に落下した、それはおろかな指揮を下して二人の犠牲者を出したコーバッツだった。

既にHPバーは消滅した状態で、自分のみに何が起きたのかも理解して無さそうな様子で呟く。

コーバッツ「―――あり得ない」

それが最後の言葉になった。こうして、無能極まりないとはいえ、指揮官を失ったパーティーは瓦解し、もはや戦意は完全に喪失し、逃げ惑うばかりだった。

アスナ「だめ……だめよ……もう……」

絞り出すようなアスナの声を聞いた時には、既に彼女を止められる者は誰もいなかった。

アスナ「だめ―――!!」

絶叫と共に、アスナは駆け出した。空中で抜いた細剣は一筋の閃光となりクリームアイズに突っ込んだ。

キリト「アスナッ!」

クライン「どうとでもなりやがれ!!」

キリトは叫びながら剣を抜刀して後を追う。クライン達も声をあげつつ追従する。

レイナ「……どうするの、オズマ?」

俺「残りの連中を全員助けるのは無理かもしれねーが、全滅されるよりかはマシだ……!」

レイナ「……そう、なら助けましょう」

俺はボスモンスター『クリームアイズ』にタゲを取るが、その頃にはアスナの捨て身の一撃はクリームアイズの背に刺さっていたが、大したダメージを与えられる事も無く、巨剣を振り下ろした。
アスナはステップでかわそうとしたが、完全に避け切れずに余波を受けて地面に倒れていた。そこに連撃の大技が降り注ぐ。

キリト「アスナ――――!!」

キリトが間一髪でアスナに迫る巨剣に対して、自身の剣でグリームアイズの攻撃の軌道を反らしていた。

俺「アスナの事になると必死になりやがるな……」

俺はその場で補足転移を発動し、キリトが正面からグリームアイズの攻撃を受け止めてくれることを期待しつつ、グリームアイズの眼前に瞬間移動していた。
出現と同時に既に鞘から抜いておいた剣を落下と同時に斬り下ろしてクリームアイズの頭を斬り付ける。

キリト「ぐっ!!」

キリトは何度もグリームアイズのかなり衝撃の重い事が予想できる巨剣の攻撃を自身の片手剣で打ち弾こうとしていたが、ついに力負けして一撃がキリトの身体を捕らえていた。

俺「救援はなかなか進んでねぇみたいだな……」

クラインの仲間達が倒れた軍のプレイヤー達を部屋の外へ運び出してはいるが、中央でボスモンスターと戦っているのでその動きは遅く、なかなか進んでいない。

キリト「アスナ!クライン!オズマにレイナ!10秒持ち堪えてくれ!」

キリトは叫ぶと右手の剣でグリームアイズの攻撃を弾きながらも、床に転がっていた。

レイナ「……何をするつもりなの?」

アスナ「キリト君を信じましょう!何の考えも無しに私達にこんな事を頼んだりしないわ!」

俺「10秒くらいなら―――乗ってやろうぜ」

既にクラインが刀で応戦していた。続けてアスナも細剣で迎え撃つが流石にグリームアイズの巨剣を捌ききれない。
次に最も筋力ステータスが高く、両手剣使いのレイナが迎え撃っていた。

レイナ「……ッ!」

レイナは辛うじて頭上から迫り降りてきた巨剣を両手剣の構えで耐えきり、上から押しつけられる巨剣の重圧に必死に耐えていた。

俺「くそ、まだかキリト!?」

レイナの負担を早く取り除くべく、俺は補足転移ソードスキルのデストラクションブレードによる闘気の籠った状態でリーチの長くなった剣をグリームアイズに向かって振り下ろした。

レイナ「ぐっ!」

俺「レイナ……!」

だが、それでもグリームアイズの攻撃は止まる事無く、巨剣にさらに力を込めて、レイナの構えの態勢がいよいよ崩れかけた時だった。

キリト「いいぞ!!」

ようやく、キリトのそんな叫び声が響き渡った。その言葉を合図にレイナは剣の構えを解くと同時にステップでその場から待避するが、直後に地面にたたきつけられた巨剣の余波で軽く吹き飛ばされてしまっていた。
気が付けば、レイナもアスナもクラインもHPバーが半分前後削られた状態と化していた。こんな状況下となってもここでは回復結晶で即座にHP回復がお超えないのが現状だ。

アスナ「イヤァァァッ!!」

アスナはそんな状態でも突き技を放ち、グリームアイズの剣と衝突して火花を散らしていた。大音響とともに両者はノックバックして間合いが出来ていた。

キリト「スイッチ!」

そのタイミングでキリトが叫ぶと、そのまま真正面に向かって飛び込んでいた。炎の軌跡を惹きながら打ち下ろされてきたその剣を、キリトは右手の剣で弾き返し、間髪入れずに左手に背を回して新たな剣を握っていた。
そして、抜きざまに一撃をグリームアイズのどうに見舞っていた。

グリームアイズ「グォォォォ!!」

初めてのクリーンヒットにグリームアイズも叫びを漏らしていたが、それ以上に俺の目を惹いたのは今キリトがやってのけた左手から抜いた第二の剣だった。

俺「二刀流……って奴か?あんなスキル初めて見たぞ―――まさか」

俺がそう呟いている間にキリトは二本の剣を用いてグリームアイズの攻撃をほぼ単独で捌き続けていた。
そして、右の剣で中段を斬り払い、間を開けずに左の剣で突き、右、左、また右……そう数えていて、その攻撃は16連撃にまで達していた。
キリトのソードスキルである事は明白だが、16連撃のソードスキルなど当然初めて目の当たりにする技だった。



そして、キリトの雄叫びと共に放たれた16連撃ソードスキルの最後の一撃はグリームアイズの胸の中央を貫通――グリームアイズの巨体は青い欠片となり爆散し、部屋中に粒となり散らばる! そう、これこそがヒースクリフの神聖剣、オズマの補足転移に次ぐ、ユニークスキル、キリトの二刀流であった!by 立木ナレ 
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