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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE96 第74層迷宮区探索

俺とレイナは第74層迷宮区の最上部近くまで訪れていた。左右に円柱の立ち並んでいる長い回廊の途中で俺とレイナが出くわしたモンスターの群れはデモニッシュ。サーバントと言う名の骸骨剣士のモンスターで、身長が2メートルを超える大柄な身体で長い長剣と円形の金属盾を装備したモンスターで、体格と剣の長さゆえにリーチが長く、当然ソードスキルを扱う上に防御も侮れない相手だった。

骸骨剣士は喧しい雄叫びをあげながら、残光を残しながら剣を振り下ろしてくる。だが、俺は剣のリーチと、奴の振り下ろしの動作からギリギリで当たらないであろう距離を取ってソードスキルの構えで待ち構えていると、案の定―――奴の剣技は俺の顔をギリギリで掠めて終わった。
その直後に鞘を振って真空を生み出し、骸骨剣士を斬り付ける。更にそこから回し蹴りで追撃する納刀術技の旋狼牙(せんろうが)だった。

骸骨剣士がよろよろと骨だけの身体で立ち上がり、それを庇う様にもう一体の骸骨剣士が左手の盾を前に突き出した状態で前衛に飛び出てきた。
だが、すぐにレイナがスイッチで俺の前に出て、第59層のフロアボス戦でドロップした高威力の両手剣の『グラビティレイザー』で右払いからの続けざまに左払いで、盾を構えていた骸骨剣士の態勢が崩されるのだった。

レイナはその隙を逃すことなく、ノックバック用技のトーレントで柄での打撃を加えて、骸骨剣士を弾き飛ばしていた。
その一方で最初の俺の攻撃を食らった骸骨剣士がレイナに向かって片手剣4連撃ソードスキルのバーチカル・スクエアを放ってくるが当然俺はそうはさせる事無く、鞘に剣を収めたままなので納刀術ソードスキルで獅子の形の闘気を放つ裂震虎砲(れっしんこほう)を先に発動した。

最初の一撃目がレイナの身体を僅かに斬り付けられるが、その直後に獅子の闘気で派手に吹き飛ばされた事によりレイナへのダメージは最小限となった。

レイナ「……骸骨剣士たちはどちらも弱ってるから、新手が出現する前に倒しましょう」

俺「そうするか、最後は大技で決めてやろうな」

レイナ「……別に、残りのHPからしてそこまでの大技でなくても充分」

あくまで冷静に判断し行動するレイナだった。ひとまずレイナが先に俺の裂震虎砲で吹き飛ばした骸骨剣士に対して上から馬乗りになる様に襲い掛かり、首、腕、足を次々と斬り飛ばしてHPを完全に全損させていた。
俺もソードスキルの硬直終了と同時に地面を蹴り飛ばすように駆け出し、盾を構えてるもう一体の骸骨剣士に対して勢いに任せたダッシュ斬りを放つが、それは盾でガードされる―――しかし、僅かに盾を持つ左手がぶれたのを逃さす事無く、すかさず剣を鞘から抜く事になる納刀術技の抜刀(ばっとう)を発動すると、今度は明確に盾を持つ左手は押し払われていた。

俺「隙だらけだっ!」

宣言通り俺は片手直剣ソードスキルの大技を食らわせる事にした。抜刀発動後の硬直は直後に従来の武器のソードスキルを発動する事によりキャンセルして即座に発動する事が出来るので片手剣の最上位技である10連撃のノヴァ・アセンションを食らわせたのだった。
1撃めの上段斬りは非常に発動が速く、大抵もモンスターは盾を持っていようが中々ガード出来ない技である。

しかし、HPが減少していた骸骨剣士に対しては10連撃全てがヒットする前にHPが全損して、骸骨剣士の身体はバラバラに飛び散り四散消滅したのだった。


※ ※ ※


それからも俺とレイナは何度かモンスターの群れと遭遇しながら、それを倒して切り抜けるを繰り返した。
俺もレイナも特に大したダメージを負う事はないまま迷宮区を進み続ける。レイナの索敵スキルは既に熟練度を極めるまでに至っているので、不意打ちされる事はほぼ無かった。

そんな時、索敵スキルを発動し続けていたレイナが、左手を斜め上に上げながら小さな声をあげるのだった。

レイナ「……この先に戦闘中もモンスターとプレイヤーがいるわ」

俺「それ自体は別に珍しくも何ともないが、プレイヤー連中の方が気になるな」

レイナ「それって……軍の噂があるから?」

俺「ああ、無理を推して最前線まで来てるとしたら、迷宮区にまで手を伸ばしてるって事も有り得るからな」

俺が今言った軍の噂と言うのは、アインクラッド解放軍の事だった。奴らは基本的に50層以下の中層や下層の狩場を数の力で独占し、最前線に出る事は滅多になく、それゆえか最近では一般の中層以下のプレイヤー達からは極力軍には近づくな、という共通認識が生まれていた。

そんな軍の連中であったが、噂によると……その軍が方針を変更して上層エリアに出始めていると聞いたのだった。
元よりアインクラッド解放軍―――旧・アインクラッド解放隊は第25層で壊滅的な打撃を被るまではDKB――現・聖竜連合と双璧を為す攻略ギルドだったわけなので、長期間最前線から離れている事に対して不満を抱くメンバーも少なくは無いようだった。

レイナ「……大人数で迷宮区に入って混乱したら元も子もないから、一部の少数精鋭が送り込まれて、その成果でクリアの意思を示すつもりなのかもしれないわね」

俺「あくまで不満を口にしてた連中に対して最前線で戦う意思があるぞって言うアピールって事か。それなら流石にフロアボス相手に手出しするような事はないはず―――だよな?」

レイナ「……少なくとも、今の軍のプレイヤー達のレベルでは攻略組に入って、フロアボス戦に参加できるメンバーは恐らく数える程度になるわね」

俺「そもそも、今まで中層でかなりの安全マージンを取る事を前提にしてきた奴らが急に最前線に出てきたりしたら、苦戦するに違いないだろうがな」

そこまで話したところでレイナは、俺の不安を振り払う様にこう言い切った。

レイナ「……けど、プレイヤーの人数は6人――つまり1パーティーだから軍の可能性は無いと思うわ」

俺「なら別の攻略ギルドか、どっちにしろ軍の連中と関わるよりかは遥かにマシだな」

実際に、最前線の迷宮区で他のパーティーとすれ違う事などしょっちゅうある事で、大抵は軽く挨拶を交わして素通りする事が殆どなので俺とレイナはこの先でモンスター達と戦っているプレイヤー達を普通に素通りするつもりだったのだが――――


※ ※ ※


クライン「んだよ、俺等だって気が付いてて、スルーしようとはよぉ。水くせーぞオメェら~」

俺「ある意味軍よりも面倒だったかもな……」

レイナの索敵スキルで存在が確認された6人のプレイヤーとは、クライン率いる風林火山のメンバー達だった。
更に狙いすましたかのようなタイミングで俺達がその場を通り過ぎようとしたところでクライン達はモンスターの群れを倒し切り、普段と変わらぬ気さくでひょうきんな態度で俺達に声を掛けてきたのだった。

クライン「オメーさん達もここまで来てるって事はあれか、ボス部屋を探しに来たって事だろ?」

俺「迷宮区の最上部付近をうろつく理由なんて他にないだろうしな、俺等が一番乗りになるかと思ってたが―――まさかお宅らもとはな……」

クライン「ったりめぇーよ!何時もこういう所で手柄を真っ先に立ててるのは血盟騎士団やら聖竜連合だろ?俺等は攻略組ん中じゃ、小規模ギルドだけどよぉ。たまにはそんな大ギルドを驚かせるような功績位立てたって良いだろぉ?」

同じ攻略組のギルドとしては小規模に分類されるギルドのリーダーとしてクラインの考えはある程度は賛同できる俺だった。
だが、クライン率いる風林火山はフロアボス戦ではキッチリと自分達のギルドだけでちゃんと6人パーティーを揃えているし、その点では俺達のギルドに比べて平均的な戦力は勝っているのかもしれないな。

レイナ「……目的地が一緒なら、このまま行動を共にしても支障は無さそうね」

クライン「おっほぉっ!良いこと言ってくれるねレイナさ~ん」

レイナの方から行動を共にする事を提案されて、クラインは表情を分かり易い位に歪ませて、鼻の下を伸ばしていた。
レイナは単に戦力としてクライン達を当てにしてるに過ぎないのだが、そんな事関係なしに男だけのギルドのリーダーの刀使いは、その中にたった一人でも美少女プレイヤーが加わるだけでこうも気分が舞い上がるようだった。

俺「それじゃ、このままフロアボスの部屋を探すとするか……MBTと風林火山で共同で見つけた手柄って事にしてな」

クライン「おっけ、早い所見つけちまってよ、攻略組の連中に良い報告してやろうじゃねぇか」

それからしばらくの間はクライン達と適当に談笑しながら迷宮区を突き進み続けた。途中で何度か遭遇したモンスターも人数が増えた事も有り、俺とレイナが率先するまでも無く何体かはクライン達だけで始末されていた。

クライン「今度のボス戦も、犠牲者ゼロで済ませたいもんだよなぁ……」

不意にクラインが、哀愁を帯びたような声でそう言葉を漏らしていた。クラインが今思い出しているのは恐らくあの時の事だ。

俺「今の所――第67層が最後だな、フロアボス戦で犠牲者が出たのは」

クライン「そーなんだよなぁ……けど、やっぱりどうしてもよぉ、その後の犠牲者0で突破で来た68層~73層のボス戦よりも、一人が死んじまった67層の事ばっかり思い返しちまうんだよなぁ」

それはクラインに限った事ではないだろう。なんだかんだでフロアボス戦に挑む際には事前の偵察戦、本戦においても回復アイテムなどを充分に用意し、ほぼすべてのプレイヤーが緊急脱出用の転移結晶を最低でも一個は所持した状態である事を推奨されていて、更にヒースクリフやアスナの采配でボス戦に適した48人のレイドメンバーが組まれている事も有り、フロアボス戦での死亡率は意外にも低い状態を保っていた。

クライン「あの時に死んじまったマオって娘はよぉ……キリトの奴が昔入ってたギルドでよぉ、アイツ以外のメンバーで唯一の生き残りだったてのに、あんな最期なんてあんまりじゃねぇかよ……もうあんな事はこれっきりにしてぇところだよな……」

レイナ「……フロアボス戦は今度の第74層を含めて後26戦よ、流石にそれだけのフロアボス戦を犠牲者0で済ませるのは困難」

レイナの言った事は、手厳しい指摘だが否定しようのない事実でもあった。クラインもそこは分かっているので、深いため息をつきながら小声で「やっぱそうだよなぁ」と漏らしていた。

俺「問題はやっぱり次の75層、クォーターポイントだからな」

第25層ではアインクラッド解放隊が大打撃を被り、第50層ではレイドパーティーが総崩れになり、現時点で確定しているのは第25層おきのフロアボス戦は群を抜いた強力なフロアボスが出現し、いずれも攻略気味に大きな損害を与えていると言う事なので、それは75層でも起こる可能性が高いと覚悟を決めた方が良いだろう。

そして、俺達8人は迷宮区の中の程にある安全エリアに近づいたところで、二人組の男女のプレイヤーを発見する事になった。

俺「アイツら……やっぱりあのままここまで来てたんだな」

その二人はソロプレイヤーのキリトと、血盟騎士団の副団長であるアスナだった。やはり朝のデュエルでクラディールを退けたようで、コンビを組んでここまでやってきたようであった。 
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