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アルマロスinゼロの使い魔

作者:蜜柑ブタ
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第十五話  宝探し

 
前書き
キュルケ達と宝探し。 

 
 アルビオンから帰って、十日以上が経過した。
 日が経つにつれ、あの日、あの場所であったことは、現実味を失っていく。
 けれど現実は現実。あの日、ワルドに裏切られ、ウェールズを目の前で殺され、アルマロスが怒り狂った。その事実は変わらない。
 ルイズは、アウストリの広場のベンチに腰かけ、編み物をしていた。
 アルマロスは、少し離れた位置の樹の木陰に座っている。
 ルイズは、編み物の合間に、始祖の祈祷書を開いたりして、時折溜息を吐いていた。
 思いつかない。全然、良い詔が思いつかない。
 まさか同盟の婚姻時の巫女に選ばれるなんて、そんな夢のまた夢みたいな大役を仰せつかるなんて思わなかった。
 そんな一生に一度とないことを急にやれと言われて、できるものじゃない。だがやらなければならない。
 ふとアルマロスの方を見ると、ウトウトと木陰に座ったまま居眠りをし始めていた。
「……のどかねぇ…。」
 のんびりとした昼休み。確かにお昼寝には絶好の気温と天気である。
 ウトウトと寝かけているアルマロスを見ていると、こっちまで眠くなってきて、ルイズはあくびをした。
 このままアルマロスに寄りかかって寝ちゃおうかなんて考えも過るが、昼休みが終わればまた授業があるのでやめた。
「何してるの?」
 後ろから急に声を掛けられて、ビクッとなったルイズは慌てて振り返ると、そこにはキュルケがいた。
 ルイズは、慌てて作っていた作品を始祖の祈祷書で隠した。
「なによ、隠さなくたっていいじゃない。」
「べ、別にいいじゃない。」
「あらあら、ダーリンってばお昼寝? 私も一緒に寝ちゃおうかしら?」
「ダメ! ダメよ! ダメだったらダメ!」
「しーっ。ダーリンが起きちゃうでしょ?」
 小声でキュルケに言われ、ルイズは、口をつぐんだ。
「なにその本。白紙じゃない。」
「これは、始祖の祈祷の書よ。国宝よ。」
「なんでそんな国宝を持ってるわけ?」
 ルイズはキュルケになぜ自分が始祖の祈禱書を持っているのか説明した。
「なるほど、じゃあこの間の旅は、ゲルマニアとの同盟が絡んでたわけね。」
 キュルケの言葉に、ルイズは、少し考えて頷いた。
「誰にも言っちゃダメよ。」
「ギーシュのようにお喋りじゃないわよ。ところで、同盟国同士になったんだし、あたしたちも仲良くしようじゃないの。」
「だからってアルマロスは、あげないわよ?」
「…ちぇ…。」
「こら。」
「冗談よ。ねえ聞いた。アルビオンの新政府は、不可侵条約を持ちかけて来たそうよ。あたしたちがもたらした平和に乾杯。」
 キュルケがルイズの肩に手を回して微笑んだ。
 ルイズは、アンリエッタのことを想うと、あまり明るい気分にはなれなかった。好きでもない相手に嫁がなければならないのだから。
「ところで何作ってたの?」
 ルイズの隙をついてキュルケが祈祷書の下にある、ルイズの作品を引っ張り出した。
「あ! ちょっと、返しなさいよ!」
「なにこれ?」
「せ、セーターよ、セーター…。」
「どこがよ? ヒトデにしか見えないわ。それも新種の。」
 ルイズは、編み物がド・下手だった。
「セーターなんて編んでどうする気?」
「別にいいでしょ。あんたには関係ないわ。」
「…は、はーん…。なるほどねぇ。」
 キュルケは、何か察したのか意地悪く笑った。
「ダーリンにプレゼントしようってことね?」
「ち、違うわよ。」
「いいのよ。ルイズ、私分かってるから。」
「違うってば! いいから返しなさい!」
「ねえ、ダーリン。プレゼントだって。」
「えっ?」
 見るとアルマロスが、キョトンッとした顔でルイズ達を見ていた。いつの間に目を覚ましたのだろうか。
「これだけ騒いだら起きちゃうわよねぇ。」
「あ、アルマロス…。」
「フォォン?」
「あの、これは…その…。」
 ルイズは、涙目で赤面していた。
 アルマロスは、首を傾げた。
 やがて場に空気に耐えられなくなったルイズは、キュルケからセーター(?)を奪うと、始祖の祈祷書も持って走り去ってしまった。
 残されたアルマロスは、キョトンッとし、キュルケは、くすくすと笑っていた。





***





 走り去ったルイズは、自室のベットに潜り込んでいた。
 追いかけて来たアルマロスは、ルイズに声をかけた。
「べ、べべべべ、別に変な意味はないんだからね!」
「フォ?」
「もう勝手にしなさいよ! どこへなり勝手に行きなさいよ! あのメイドの故郷とかにも行ってきなさいよ!」
「フォーン!?」
 いきなりまくし立てられ、アルマロスは戸惑った。
「いいわね!」
「フォ…フォォン…。」
 アルマロスは、とりあえず頷いた。
 えっ、これって許可が下りたってことかっと悩みつつ、アルマロスは、部屋を出た。


 仕事の休憩中のシエスタを見つけ、シエスタにシエスタの故郷に行っていい許可が下りたことを伝えた。
「本当ですか! よかったぁ。」
 シエスタは、喜んだ。
「でも急にですね。どうしたんですか?」
「フォオオン…。」
 説明しづらい。なんか急に許可が下りたのだから。
「ダーリーン。」
 そこへキュルケが来た。
「フォ?」
「ねえねえ、ダーリン。お宝探しに興味ない?」
 急に言われた。
 アルマロスがキョトンッとしていると、キュルケは何枚もの宝の地図を出した。
「面白そうでしょ?」
「フォオン…。」
 宝探しは楽しいだろうが、危険も付き物だ。悩んでいると、シエスタが横から来て。
「だ、ダメです! アルマロスさんは、私と私の故郷に行くんですから!」
「あら、ダーリンってば、私というものがありながらメイドまで引っかけてたの?」
 アルマロスは、ギョッとしてブンブンと首を横に振った。
「ルイズもすねっちゃってるんでしょ? だったらすごいお宝見つけてルイズをびっくりさせてみない? どう?」
「……。」
 なぜか拗ねてしまったルイズの機嫌を直すには…、っとアルマロスは悩んだ。
 何か珍しい物を見つけて話題でも作るかと思い、キュルケの提案に同意した。
「やった! それでこそダーリン!」
「わ、私も行きます!」
 なぜかシエスタもついていくことになった。
 なお、キュルケがタバサも誘い彼女もついていくことになった。





***





 ルイズは、勢いで言った後、後悔ししていた。
 なんであんなこと言っちゃたんだろう?
 アルマロスは、いない。他の使用人に聞いたら、シエスタとキュルケとタバサと共にどこかに出かけたというらしい。
 キュルケと行ってもいいなんて許可はしていない。
 ルイズは、アルマロスが帰ってきたらこってり怒ってやろうと決めた。
 アルマロスのいない授業はつまらない。
 アルマロスがいない。それだけで今までの生活がまるで色を無くしたみたいにつまらなくなってしまった。
「早く帰って来なさいよ…。」
 ルイズは、授業をさぼってベットでクッションを抱きかかえて横になっていた。
 アルマロスがいない。
 目を閉じると、嫌なことが脳裏をよぎる。
 ゼロ、ゼロと蔑まされること、親からも期待されていないこと、ワルドの裏切り……。
「アルマロス…。」
 アルマロスがいない。たったそれだけのことで、心が押し潰されそうになりそうな気がした。
 少し開けていた窓から、ひゅうっと風が入ってきた。
「さむっ!」
 その風の冷たさに驚き、起き上がって窓の外を見た。
「えっ?」
 そして驚いた。
 雪が降っていたのだ。
 初夏なのに。
 窓の隙間から冷たい風が入ってくる。
 なんだからとても嫌な風だった。





***





 宝探しであるが。
 まあ案の定というか、地図のほとんどは外れであった。
 こうした詐欺は多いのだと、いつの間にか同行していたギーシュが言っていた。
 襲って来たオーク鬼をアルマロスがアーチとベイルで倒していく。
「ダーリン、その武器どうしたの?」
 キュルケがアーチを見て言った。
 アルマロスは、アルビオンで手に入れたと説明した。
「なんだかそれ、神の拳と似てる気がするわね。」
「神の拳って、宝物庫に納められていたものだろう? なんでそれを君が持っているんだい?」
「フォオン。」
 オスマンからもらったと説明した。
「なんだとぉ! 宝物庫の宝を! 君は一体何者なんだね、本当に!」
「まあ別にいいじゃない。ダーリンが何者でも。」
 キュルケはそう言ってギーシュを宥めた。
「みなさーん。ご飯できましたよー。」
 すると、シエスタが食事ができたことを伝えに来た。
 鍋の中に、ぐつぐつと色んな具材が入ったシチューが入っていた。
「どうぞ、ヨシェナヴェです。」
「うまい! これは何の肉何だい?」
「オーク鬼の肉です。」
 ギーシュがブーッと噴き出した。
「う、嘘です。ウサギです。」
「驚かさないでよね。それにしても森にある物でこんな美味しい物を作るなんてすごいじゃない。」
「田舎育ちですから。」
 シエスタははにかんだ。
「しかし、これで七件目だぞ。」
 ギーシュがジト目でキュルケを見た。
 そうここまで収穫はゼロ。
 今までの地図は全部偽物だったのだ。もしくはお宝とは名ばかりで、安物しかなかった。
「あと一件! あと一件だけ!」
 キュルケが最後の地図を出した。
「これよ、これがダメだったら学院に帰りましょう。」
「そのお宝って?」
「神の矢。」
「えっ?」
 シエスタが声を漏らした。
「それ…、私の村にあります。」
「なんですって?」
「はい…。」
「あなたの村ってどこ?」
「ラ・ローシェルの向こうが側です。」
 神の矢と聞いて、アルマロスは、まさか…っと思った。
 残る神の叡智の武器は、ガーレだけだ。
 ガーレは、遠距離武器である。形状は弓矢とは程遠いが、もしかしたら他に例えられる言葉がなかったので、神の拳と例えられていたベイルのようにそう呼ばれているのかもしれない。

 その時、ふとアルマロスは、足を止めた。
「ダーリン? えっ?」
「なっ…。」
「っ…。」
 キュルケもギーシュもタバサも驚いた。
 空から雪が降ってきたのだ。
 ちさちらと少ない量だが、確かに雪だった。
 それとともに冷たい風が吹いた。
「うわ、さむっ!」
「…嫌な風…。」
 初夏の季節に似つかわしくない冷たい風に、体を抱いて震える。タバサは、風から嫌なものを感じ取り眉を寄せた。 
 

 
後書き
不吉な冷たい風は、オリジナルの堕天使のせいです。 
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