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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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プロローグ

<アリアハン>

「勇者オルテガの娘アルルよ、よく来た!面を上げよ」
ここはアリアハン城内、謁見の間。
玉座に座るアリアハン国王を前に、少女が一人傅いている。

少女の名は『アルル』
10年前、魔王バラモスを倒すべく一人旅立ち、火山で死亡した『オルテガ』の娘である。
「昨今、魔物の活動が活発になってきていると言う!世界を救う為、人々を救う為…そして志半ばで倒れた父オルテガの為、勇者アルルよ!魔王バラモスを成敗して来るのだ!」
「は!微力ではありますが、全力を尽くします!」
少女は力強く答える。
「うむ!…オルテガと同じ轍を踏まぬよう、ルイーダの酒場へ行き旅の仲間を集めよ」
国王は立ち上がり謁見の間を出て行く。
大臣の一人が少女へ近付き、幾ばくかのゴールドと装備の入った袋を手渡し退室を促す。


アルルは城を出るとすぐに先程手渡された袋の中身を確認する。
中にはこん棒2本、檜の棒1本、旅人の服1着、50ゴールド…
「何これ!?ショボ!」
思わず大声を出してしまった自分に驚き、慌てて人気のない裏路地へ逃げ込むアルル。

「はぁ~」
アルルは深い溜息と共に、再度手渡された袋の中身を確認する。
「何度見てもショボイわね…」
満を持してアリアハン王国が、世界へ旅立たせる勇者へ贈る祝儀としては溜息の出るレベルである。
「誰か途中でちょっぱねたんじゃ無いでしょうね!?装備品はともかく、50ゴールドって…その100倍あっても良くない?」

アルルは愚痴をこぼしながら人気のない裏路地から川沿いの小道へと移動する。
幼い頃より『勇者』として使命を帯びた人生を歩んでいたアルル。
剣術も魔法も鍛錬を怠った事はなく、同じ年頃の少女としてはかなりの手練れではあるものの、魔王討伐にたった一人で赴くつもりは毛頭無い。
従って国王に言われるまでもなく、旅の仲間を求めルイーダの酒場へ赴いているのだが…
《この旅は辛く過酷な旅であろうから、最低でも仲間はあと3人はほしい!でも50ゴールドじゃぁまともに装備を揃える事も出来ない…1人ぐらいは装備品の有無に拘わらず、強い仲間が必要ね!居るかしら、そんな都合がいい人?》

アルルが一人先の展望を考え歩いていると、前方の空間に奇妙な穴が出現した!
「な、何よ!あれ?」
地上3メートル程の何もない空間に何処へ通じているのか分からない穴!
好奇心から穴の側に近付くと…

(ドサッ!!)
穴から何かが落ちてきて、穴は閉じてしまった…
「いたたたた…何だよ…乱暴に吸い込んで、乱暴に吐き出すって!しかも此処、何処だよ!?何で僕がこんな所に来なきゃいけないんだよ!!」
穴から吐き出されたのは、一人の青年だった。
20代半ばの青年は、紫のターバンを巻きマントで体を覆っているが、その体躯は歴戦の強者を醸し出している。
手には竜を形取った杖を携え、顔立ちは整った美青年である。
そして何より吸い込まれそうな程透き通った瞳が印象的な青年だ。

その青年がアルルに気付き、視線を向け優しく心地よい声で話しかける。
「やぁ、こんにちは」
10人の女性が居たら、10人とも見とれるであろう青年に、アルルも例外なく見とれ呆けている。
「見ていたら分かると思うけど…僕、違う世界から来たんだよね!でも、怪しい者じゃないよ!出来れば帰る手立てを探したいんだけど…その前に、此処どこ?」



 
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