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普通だった少年の憑依&転移転生物語

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【魔法先生ネギま!】編
  245 〝別荘〟での修業


SIDE 春原 真

「斬ラレナ!」

「御免、被る…っ!」

「よく(さば)くものだ──しかし、チャチャゼロにばかりかまけていいのか? リク・ラ・クラ・ラック・ライラック…」

全長40センチほどの喋る人形──エヴァンジェリンの従者であるチャチャゼロがその全長と同じくらいは有りそうな刃渡りの、包丁とも鉈ともつかぬ凶器を振り回してきたので〝双籠手〟で受け流していると足を止めたのが悪かったのか、俺から見て7時の方向、地上5メートル、距離にして10メートルの位置でこの〝別荘〟のあるじであるエヴァンジェリンが詠唱に入る。

エヴァンジェリンから〝〝別荘〟の利用許可〟と〝蔵書の閲覧の許可〟を貰って、〝別荘入り〟してから約十年。エヴァンジェリンの〝別荘〟──【レーベンスシュルト城】は氷雪地域にて俺は、一言に云うなら死に目を見ていた。

「詠唱──させるか!」


――“魔法の射手(サギタ・マギカ) 連弾・雷の9矢(セリエス・フルグラリース)”


チャチャゼロも退避していて、その位置で詠唱に入ったと云うことは、〝闇の吹雪〟や〝氷槍弾雨〟やらが飛んできてもおかしくなく──咄嗟に前以て(とど)めておいた〝雷矢〟をばら蒔けば、狙い通りエヴァンジェリンの詠唱を止めさせることに成功。

「やるじゃないか!」

「〝対・魔法使い〟では詠唱潰しは初歩の初歩だからなっ」

さて何でこんな事になっているかと云うと…。

俺はエヴァンジェリンに〝暇なら〟と云う(てい)で頼んだのだが、どうやら吸血鬼として600年とな永い年月を生きているエヴァンジェリンからしたら〝暇〟と云うものはバーゲンセールで売りに出せるほどに有ったらしく、俺の体感時間にして1年くらい前からだろうか。エヴァンジェリンが〝そろそろ身体も出来てきた頃だろう? この私が直々に指導してやろう〟といきなり襲いかかってきて、今でも月に一度のペースで〝指導〟しにくる。

「ケケケ、〝ソノ赤ト白ノ籠手〟ハ飾リカ?」

「ああ、今はな…っ」

「私からもいくぞっ、それ!」


――“氷神の戦鎚(マレウス・アクィローニス)”


(やばっ、とりあえず…)

「〝とりあえず〝瞬動〟で回避〟──だろう? いい加減癖は読めている」

「……っと──げっ!?」

またもや距離を詰めてきたチャチャゼロの攻撃を()なしていると、不意に巨大な氷塊が俺を中心に影を作り、一も二もなく重力に逆らわず降ってくる。エヴァンジェリンにもバレていた様に〝瞬動〟で一旦回避しようとしたのだが、左足首に違和感。

違和感の正体を確認してみれば左足が糸でがんじがらめになっていた。エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルの異名が一つの≪人形使い(ドール・マスター)≫としての能力だ。

しかもご丁寧に糸の一本一本が注連縄(しめなわ)よろしく()われている。……これではちょっとやそっとの力では千切れないだろう。

……エヴァンジェリンの〝指導〟──それは地味に俺が望んでいたことだから良い。しかし、いろいろと〝不具合〟もあって…

「ふふふ、どうした? ≪赤い龍(ウェルシュ・ドラゴン)≫の力は使わないのか」

〝不具合〟その1。エヴァンジェリンにドライグの事がバレた。エヴァンジェリンは前述した様に〝吸血鬼〟である。故に、ある時〝対価〟──と云うわけではないが、血を吸わせてみたところ、なんとナギ・スプリングフィールドがエヴァンジェリンに掛けていた〝登校地獄〟の呪いが解けてしまった。

……その事を考えれば〝不具合〟その1+その2か。

当初は俺もエヴァンジェリンも、どうしてナギ・スプリングフィールドのバカ魔力で掛けられたバグの様な呪いが解呪出来たか意味不明だったのだが、ドライグからの言葉で俺がドライグと魂魄レベルで同調していたのを思い出し得心がいった。

その昔、ドライグの最大のライバルであった≪白龍皇≫ことアルビオンを下して、アルビオンからその力を譲り受けてからそれ以来はドライグと俺は≪赤龍皇帝≫を自称しているが、その実質はやはり≪赤龍帝≫なのだ。

そして≪赤龍帝≫は力を高める存在であり、その血を口にすればどうなるかは、エヴァンジェリンと同じく吸血鬼である【ハイスクールD×D】のギャスパー・ヴラディが示してくれている。

更にそもそもな話、【東方Project】な世界線で〝幻想郷〟が出来る前にミネルヴァ──ミナを召喚した時、ミナの維持の為に“大嘘憑き(オールフィクション)”でちょっくら〝ズル〟をしてMPをアホみたい増やしたりもしている。

エヴァンジェリンはそんな俺の血を飲んで、不意に急上昇した魔力にてナギ・スプリングフィールドに掛けられた呪いを打ち破ったのである。

……当然のことながら、訳知り顔で頷く俺にエヴァンジェリンも気付き──それが〝〝不具合〟その1+その2〟の顛末(てんまつ)であった。


――“風花(フランス) 風障壁(バリエース・アエリアーリス)”


俺はエヴァンジェリンの放った〝氷神の戦鎚〟を〝風障壁〟で受け止める。10tトラックの衝突も受け止められるという〝風障壁〟は割りと優れた防御魔法であるがその効果は一瞬。

……しかし俺からしたらその〝一瞬〟で十分だった。


――“魔法の射手(サギタ・マギカ) 火の一矢(ウナ・イグニス)”


「ぐっ!」

真っ赤な炎の矢が、〝千切れない? なら焼けばいいよね!〟と云わんばかりに俺の足ごと縛っていた糸を焼く。火力は調整してあるのでそこまでダメージはない。そのまま〝瞬動〟で〝氷神の戦鎚〟の効果範囲から離れる。

「自分ごと糸を焼くとは、全く無茶をする…。そもそも“赤龍皇帝の双籠手(ブーステッド・ディバイディング・ツインギア)”だったか? それを使えば私など一捻りだろうに」

「それじゃ修行にならねぇよ」

「……それだけ〝切り(ジョーカー)〟を持ちながら、さらに〝手札(カード)〟を増やそうというのか。……ふん、贅沢な奴め」

「〝備えあれば憂いなし〟と云うだろう?」

「〝備えあれば憂いなし〟──確かに道理だな」

エヴァンジェリンの言葉を無言で受け流し、〝火の矢〟を7矢ほど展開し、球状のまま放たずに待機させておく。糸への対策だ。

「……ふむ、しかし貴様も大分やるようになってきたな。今なら〝魔法縛り〟でもタカミチと良い勝負が出来るはずだ」

「そいつはどうも──っと!」


――“断罪の剣(エンシス・エクセクエンス)”


「従者狙いか──甘い」


――“断罪の剣(エンシス・エクセクエンス)”


絶対的なアドバンテージである〝数〟をどうにかしようと、チャチャゼロを狙おうとしたが同じく瞬動してきたエヴァンジェリンに、敢えなく防がれる。

……ちなみに、直接エヴァンジェリンを狙わなかったのは、俺とエヴァンジェリンの白兵戦の戦闘技量はおおよそ伯仲していると云っても良く、そうなると単なる白兵戦ではどちらもクリーンヒットしないので千日手なりえるからだ。

しかも2対1なので、こうやって足を止められてしまえば…

「オイオイ、オレモ見クビラレタモノダゼ」

当たり前の様に、チャチャゼロが襲いかかってくる。

「ぐくっ…!」

自由になっている方の籠手で受けるも、やはりエヴァンジェリンの従者だけあって攻撃が重い。……そして、かなり(まず)い事に両手を塞がれてしまった。

「ふふふ、両手が塞がれてしまったぞ。それにロクに身動きも取れまい」

「諦メナ」

「……だが断る」

……とは強がってみたものの、依然としてピンチなのは変わらない。その時ふと球状で待機させておいた〝魔法の射手〟が目に入って──ふと思いついた。

(……あとはぶっつけ本番!)


――“魔法の射手(サギタ・マギカ) 連弾・火の3矢(セリエス・イグニス)”
――“魔法の射手(サギタ・マギカ) 連弾・火の4矢(セリエス・イグニス)”


「ちぃ──何ぃ!? 〝〝魔法の射手〟の振り分け〟だと!?」

「ナカナカ器用ナマネシヤガルナ」

エヴァンジェリンとチャチャゼロは──前者は驚きつつ後者は呆れた様に俺から距離を取る。俺は並列思考(マルチタスク)が出来る。故にふと思ったのだ。〝それなら、〝魔法の射手〟の射出方向の振り分けも出来るのではないか〟──と。

そしてその思い付きはご覧の通り成功。エヴァンジェリンが驚いていた事から、意外な事に俺のオリジナルなのかもしれない。

(さて──っ)


――ジリリリリリリリリ!!


「……時間か」

「ああ、ここまでだな」

「アーア、今日モ斬リソコナッタカ」

〝今度は俺のターン〟とばかりに、チャチャゼロをこの戦場から今度こそ放逐しようとしたが、そんな俺の出鼻は、どこからともなく聞こえてきたけたたましいアラームに挫かれる。模擬戦開始から30分。模擬戦の終わりがやってきたのだ。

「さて、漸く私相手に30分保つようになってきたわけだが…」

「まぁな」

エヴァンジェリンが〝断罪の剣〟を解くのを確認すると、俺もそれに(なら)う。すると、直ぐ先の模擬戦の寸評が始まる。

「〝魔法の射手〟の威力、展開速度、数──そのどれもが私から見てもかなりのものだと太鼓判を()そう。〝詠唱アリ〟なら私やナギクラスでも十分に喰い下がれるだろうさ」

「……あー、やっぱり気付かれてたか〝無詠唱縛り〟」

「ふん、当然だ」

「俺モ気付イテタゼ」

そもそも、〝2対1〟と云う手前呑気に詠唱なんかしている暇なんてあまり無いのだが、先の模擬戦に()いては特に、使う魔法を無詠唱に限る──〝無詠唱縛り〟なるものを自分に課していた。

「それにしても、〝最強(モノホン)〟クラスとか意外と高評価だな」

「〝ナギの百倍以上の魔力容量(キャパシティ)〟、〝その気になれば〝あの〟筋肉馬鹿(ラカン)へ迫れる〝練気〟〟──この二点だけでも誰もが私と同じ評価を下すだろう。……しかもそこに“咸卦法”が加わるのだ、〝実際〟は上方修正されるだろうな」

「……何か出来たんだよな、“咸卦法”」

「言っておくが、タカミチは私の〝別荘〟を使って数年掛けて“咸卦法”を完成させたんだぞ? ……それを十数秒でそれなりの練度の〝咸卦の氣〟を練ってみせるとは…」

エヴァンジェリンには「タカミチの前では“咸卦法”は控えてやれ。タカミチを泣かせたくなかったらな」と更に言い含められる。

そしてあっという間に〝別荘〟での修業も最後の日がやってくるのであった。

SIDE END 
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