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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE92 懐かしき者達

大詰めを迎えた第67層フロアボス戦であったが……オズマの目の前に現れた新たなるゾンビモンスタはなんと、第二回リアルマネーゲームで最初の脱落者――すなわち死者と化したハスタであった!
かつて死の間際、自らの妄想の生み出した存在していない風に煽られて落下した男は、再びオズマの前に現れる!悪魔的再会!



ハスタ「風に……風に飛ばサレルぅぅ――――!た、助けてぇぇぇぇ!!」

死に際に残した最後の台詞を再び、ゾンビモンスターと化して叫びまくるハスタは言葉とは裏腹に手に持っていた片手斧を振り回していた。

俺「…………」

俺は鞘に納めたままの状態だった剣を抜かないまま、ハスタをしばらく無言で眺めていた時だった……ゾンビ化したあの時の脱落者はハスタだけではないと気が付く事になった。

バスター「もう嫌だコンナ崖!嫌だ嫌だ嫌だ!助けてくれぇぇぇぇ!!」

俺「なんだこれは……?ピンポイントで俺を揺さぶってきやがるのか?」

今度は不良少年のような風貌でありながら、ハスターの死後は真っ先に怯え狂っていたバスターが現れる。

バスター「や、やっぱり止めとけば良かった!ヤルンじゃなかったんだ!し、死にたくねぇ!俺は死にたくねぇよ!だ、ダカラ……だから……」

そうだ、あの時あんなゲームに参加さえしなければ、こいつらも今頃ゾンビになってこの場を漂う事にはならなかっただろう。
最もその場合は、他の参加希望者の中から参加者が選ばれて、代わりに針山地獄の餌食になっていただろうが。

ミリル「もう無理だよぉ―――!嫌だ!嫌だ!助けてパパ!助ケテママァ―――!!」

参加者の中でもダントツの最年少だった少女のミリル。

アリウス「お金はイラナイ!お金は諦めるから早くここから転移しテクれ!頼むよガチャモン!お願いだぁ―――――!!」

アリウス、コイツが落ちた時点で残りのメンツは3人になってそれからは――――

マリーヌ「く、来るんじゃないわよ!や、止めて――――い、今、あ、アンタに掴まれタラ!」

マリーヌは最終的に錯乱したミリルに掴まれて、巻き添えになる形で落ちちまったんだっけな―――どっちにしろ、巻き添えを食らわなくても、落ちるのは時間の問題だったのかもしれないが―――

レイナ「……オズマ、下がって!」

ハスタ「助け―――!」

が、俺をそんな過去の記憶から引き戻したのは、レイナがハスタに対して容赦なく心臓を突き刺し、更に斬り払いでHPを全損させたのを目の当たりにした事だった。

レイナ「……このゾンビたちは私一人で充分だから、オズマは他のゾンビモンスターと戦って」

レイナは俺がかつて第二回リアルマネーゲームで脱落した連中のゾンビたちと戦うのを躊躇っている事を瞬時に見抜いて、代わりに戦うと申し出るが、そんなレイナの残りのHPもそろそろ半分を切ろうとしている状態だった。

肝心な時に……躊躇ってる場合か!そもそもアイツらは実際に死んだ連中がゾンビになったんじゃなくってあくまでそっくりな姿で再現してるだけに過ぎない!ガチャモンとモックがプレイヤー達を戸惑わせるために仕組んだ茶番だ!

俺「手間掛けさせたな……レイナっ!」

レイナ「……オズマ?」

俺は単独でバスターやミリル、アリウスにマリーヌを相手にしていたレイナをフォローすべく、一箇所に固まっていたミリルとマリーヌに対して再び納刀術ソードスキルの裂震虎砲(れっしんこほう)を放ち吹き飛ばした。

皮肉にも生前の末路同様に、ミリルがマリーヌにしがみ付いていた事でまとめて攻撃を食らわせる事が出来たわけだった。

レイナ「……オズマ、もう大丈夫なの?」

俺「ああ、やれるさ―――つうか、やらなくちゃならないんだ!死んだ連中のゾンビを気遣うよりも、生きてるお前らを優先するのが当然だ!」

アリウスが曲刀を振り回してくるが、俺はそれを左手のソードブレイカーで捌き、直撃を回避した。レイナはそれを見て、すぐさま両手剣ソードスキルのサイクロンでアリウス諸共、バスターも巻き込む形で旋回斬りを浴びせていた。

レイナ「……分かった、それなら私も、オズマに頼るから」

そして、俺とレイナはアリウスとバスター、そしてミリル、マリーヌのゾンビたちを一掃した―――だが、無論これで終わりではない。
あの時のリアルマネーゲームの犠牲者は6人で俺達が倒したのはまだ5人……最後の一人はまるで俺に対する精神的な揺さぶりをかける為の切り札であるかのように遅れて姿を現したのだった。

ディンゴ「オズマ君……僕には……僕にはワカッタんだよ!人には二種類の人間がいるんだ……圧倒的な窮地の状況下で奮い立って立ち向かエル人間と……臆して立ち上がれなくナル人間が……」

ディンゴ―――弟の治療費を得る為に二度もリアルマネーゲームに参加し、最後は弟の救済を俺に託して、そして黙って無言で落ちていった男だ。

ディンゴ「僕の代わリに弟を救ってほしいンダ!」

それは無論だ。俺のアイテムストレージには自分の分の金の延べ棒と、ディンゴの分の金の延べ棒が収められている、このうちの一本は言うまでも無く、ディンゴの弟の治療費を得る為に使う物、ディンゴの弟を救うためにあるものだ。

俺「けど、ディンゴの弟を救うには俺がこのSAOをクリアする事――――」

ディンゴ「勝つんだ、オズマ君!……僕はまた負けた……絶対に勝たなくちゃナラナイこの勝負にすら負けて―――まるで無意味で無価値なイッショウだった……けど、オズマ君はこんな風になっちゃダメだ。オズマ君はカテルはずだから……勝つんだオズマ君……」

そうだ、勝たなきゃならない!勝ってこのSAOから生還し、ディンゴの弟に治療費を渡して救うためにも今は―――

俺「目の前のゾンビ共を蹴散らすんだ!」

俺の7連撃ソードスキルのデッドリー・シンズとレイナの3連撃ソードスキルのデモリショ・ウィールドがディンゴを一瞬にして――――いや、ディンゴの姿を模したゾンビモンスターを消し飛ばしたのはほぼ同時だった。

ディンゴ「カツンダ……オズマ君」

俺「ああ、勝つに決まってる……!勝たなきゃならない理由があの時増えちまったからな……」

既にタダツシのHPは風前の灯火だった。そしてついに何度目か分からないがタダツシが再び新たなるゾンビモンスター達を呼び出す。

タダツシ「ウゥゥゥゥ!!」

羽を羽ばたかせながら、サイレンの音のような鳴き声をけたたましく響かせると、新たに複数のゾンビモンスターが次々と現れてタダツシのHPが減少する。

そして―――ついに奴のHPは自身の能力でゾンビモンスターを生み続けた代償に底をついたのだった。

クライン「おお、ついに消えやがったか!ざまーねーな何とかドラゴン野郎がぁ!!」

エルダ「リーフィーシードラゴンじゃなかったかしら?」

地面に崩れ落ち、頭部が捥げてしまったタダツシを見て、クラインが中指を立てて得意気な表情で歓喜の声を上げていた。クライン以外にもついに第67層のフロアボスが倒された事に早くも勝利に沸き立ち、歓声をあげる者が現れ始めていた。
が、そんな調子づいた者たちを叱責するようなヒースクリフの声が響き渡る。

ヒースクリフ「まだ早い!確かにボスは倒れたが、ゾンビモンスター達が消える様子が無い!つまり―――まだボス戦は終わっていないと言う事だ!」

ヒースクリフが指摘するように、フロアボスであるタダツシが倒れているにもかかわらず、その配下モンスターであるゾンビたちは未だに消える事無く戦いを続けていた。

レイナ「……今までのボスの配下モンスターは、ボスモンスターが倒されたら自動で消滅していたのに」

俺「ゾンビ共も含めてフロアボスって事なのかもな―――どっちみち、もう新しいゾンビモンスターが出てくることはねーだろ!全滅させれば今度こそ俺らの勝ちだ!」

そうだ、タダツシが力尽きたのだから、後はこのボス部屋に残っているゾンビモンスター達を全滅させればついに第67層は踏破される事になる。
俺は自分の視界に移るパーティーメンバーのHPバーを確認し、キリトとマオ、そしてレイナのHPバーが半分を切った事を確認して、指示を出す事にした。

俺「HP半分切ってる奴は早く回復だ!HPに余裕のあるやつにフォローしてもらいながら退避だ!」

レイナ「……了解」

レイナは直ぐに俺の指示通り俺の側についてアイテムストレージからハイポーションをオブジェクト化していた。

エルダ「キリト君とマオさんもこっちに来て!貴方達が回復する時間くらいは稼ぐわ!」

エルダもキリトとマオのHPが少なめになってきた事に気を使い、そう呼び掛ける。だが―――キリトとマオは動かない。

俺「何してんだ、アイツら?」

見ればキリトもマオも3体のゾンビモンスターを前に全身が硬直したかのように固まり、僅かに震えている様子すら見えた。

レイナ「……もしかして、知っている人達?」

言われて見れば、キリトとマオが対峙している3体のゾンビモンスターはいずれも10代半ば、俺達と同年代くらいで性別は全員男だった。

俺「キリトとマオの共通の見知った連中―――まさか!?」

この時点で思い当たる節など一つしかなかった。三体のゾンビモンスターはそれぞれメイス使い、槍使い、短剣使い。
奴らは恐らくキリトとマオのかつてのギルドの仲間達――月夜の黒猫団の面々なのだろう。

俺「レイナ、回復が終わるまでなるべく守りに徹してろよ!」

レイナ「……オズマ!?」

既に三体のゾンビモンスター達がキリトとマオに襲い掛かっている状態だったが、案の定キリトもマオも積極的に反撃する事無く、守りや回避に重点を置いた行動で普段のような動きとは程遠かった。

短剣使い「トレジャーボックス……ハッケ~ン」

相変わらずゾンビモンスター達は言っている事と行動がまるであっていない事が多々あり、短剣使いのゾンビもキリトに対して飛び掛かりながら、フロアボスの部屋にあるはずなどが無いトレジャーボックスを発見したなどと口にしていた。

キリト「っく―――すまないダッカー!」

キリトが覚悟を決めたように剣を構えるが、普段に比べて明らかにその構えには戦う意思が感じられず俺は躊躇なくキリトがダッカーと呼んだ短剣使いのシーフ風のゾンビを鞘に納めた状態の剣で殴りつけたのだった。

ダッカー「あったぼーよぉ~……」

マオ「あ……ダッカー!」

俺「早く回復だ!こいつらは俺が引き受ける!早く回復するんだ!」

俺が怒鳴り付けるようにそう言い放つと、マオは未だにかつての仲間達を見て、悲壮さを感じさせる表情を浮かべていたが、キリトは多少は持ち直したようでマオの手を掴み答えた。

キリト「悪いオズマ……!回復したらすぐに加勢する!」

マオ「け、けど―――」

そう言い残してマオを無理やり引っ張りながら、キリトはゾンビたちの群れを避けながら退避し、丁度そこにエルダがキリトとマオの回復を手伝うためにこちらに急いでやって来たのだった。
レイナも既に回復は済んだようでエルダに続いてこちらに駆け寄って来ていた。

俺「このゾンビ共は、面識のない俺が相手するのが丁度良いだろうな」

月夜の黒猫団で俺が見知っているのはリーダーのケイタと、今同じパーティーを組んでいるキリトとマオだけだ。
いずれはリーダーのケイタや、マオ以外で唯一の女性メンバーであったサチと言う少女も出てくるだろうが、キリトとマオにとっては、偽物とわかりつつも決して剣を交えられない相手だろう。


オズマ、キリトとマオに変わりゾンビと化した月夜の黒猫団の者達と対峙!遂に終局を迎えた第67層フロアボス戦――――次回決着! 
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