| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

FILE91 襲い掛かる亡者たち

第67層フロアボスモンスターのタダツシは自らのHPを削る事と引き換えに、武装したゾンビモンスター達を次々と生み出す……圧倒的、悪魔的な生産能力を有していた!
だが、タダツシにダメージを与える方法が他に存在しない以上、レイドパーティーの面々はゾンビモンスターを倒す、タダツシがゾンビモンスターを生み出す、これの繰り返しによりタダツシのHPを削り切るほかあり得ぬのであった!

続々と出現し続けるゾンビモンスター達をレイドパーティーの面々は狩り、排除、蹴散らし、そして―――その違和感に気が付く事になる。
自分達が次々と葬っているゾンビモンスター達が何なのかを! by立木ナレ


クライン「畜生が……そういう事かよ……ふざけんな、ふざけんなよクソったれぇ!!」

ゾンビモンスターの正体に既に気が付いたのだろう。クラインの怒りに悲しみが混じった叫び声がタダツシに向けて放たれたが、ヒースクリフ曰く海水魚をモチーフとしたその不気味な、形容しがたい姿のボスモンスターは宙をフワフワと浮き舞うのみだった。
こうしてる間にも俺達は武装したゾンビモンスター達の討伐を強いられる事になる。

俺「コイツら間違いねぇぞ……ただ適当にデザインされたゾンビじゃねぇ、こいつらは―――」

レイナ「……かつて、このアインクラッドで命を落としたプレイヤー達ね」


まさに悪夢!望まざる再会!タダツシが生み出し続ける武装したゾンビモンスター達の正体、それは……このデスゲームアインクラッドでHPを失い、現実世界でも命を落としたプレイヤー達であった!故にゾンビたちの姿にレイドパーティーは心当たりがある、そして中には……明確に面識のある者や、或いは親しい仲であったゾンビモンスター達もいるのである!そして、まるでプレイヤー達がゾンビの正体に気が付いたのを見計らったかのようなタイミングで姿を現すのは、この第67層フロアボス戦をデータ改竄を施し、現在の形に作り替えた張本人たちであった! by立木ナレ


ガチャモン「いやぁ~、まさに感動の再会だね。君達も死んだ人達と再会できるなんて夢にも思ってなかったでしょ~?」

モック「いやはや、全く苦労しましたですぞ~。ガチャモンってば我侭でしてな、日夜厳しい戦いで魂を削ってる攻略組の皆さんにかつてこのアインクラッドで死んでいった人たちとせめてもう一度会わせてあげたいなんて言い出したもんですからな―――少しばかし第67層フロアボス戦のデータを改竄させてもらいましたですぞ~!」

クライン「っつテメーらぁ!テメーらが仕組んだ事かよぉ!?」

フロアボス戦の真っ最中に唐突に姿を現すと同時に奴らは、嬉々とした様子で、まるでお膳立てをしてやったとでも言わんばかりの態度でそんな事を言ってのけて、クラインが真っ先に怒りを露わにしていた。

ガチャモン「ゾンビモンスター達は一体一体がそんなに強くないからさ、かつて親しかった仲間をうっかりすぐに殺しちゃわないように注意しながら戦ってね」

モック「皆さんよく考えてくださいですぞ、大して親しくない、同じレイドパーティーを組んでるだけの連中と、かつて心を通わせ、会いたくて会いたくて仕方なくて、ようやく再会できたかつての仲間と……優先すべきはどちらなんでしょうなぁ~?」

ガチャモンとモックはまるで、俺達にゾンビと戦うなと遠回しに口にしてから、さっさと姿を消したのだった。

エルダ「悪趣味な奴らね……どうせ元は普通のゾンビモンスターを呼び出すだけのタダツシのデータを改竄して、死んだプレイヤー達のデータを元に、彼らの姿と装備を模したゾンビモンスターを生み出すようにしてくれるなんて」

ヒースクリフ「皆、動揺するな!あのゾンビモンスター達は消して死んだ者たちがゾンビ化したわけではない!あくまで死んだプレイヤー達と同じ姿で再現されたアンデット系モンスターに過ぎない!躊躇せず、今まで通り戦闘を続行せよ!」

プレイヤー達の間にかつての仲間たちと戦わねばならないのかという動揺が広まる中、指揮官を勤めるヒースクリフは至って冷静さを欠く事無く、指揮官としての役目を果たそうと的確な指示を下し続けていた。

俺がさっき見たゾンビモンスター達の中には血盟騎士団のコスチュームを身に纏ったモンスターもいた、それをヒースクリフが見たかどうかわからないが、それでもヒースクリフはその動揺を押し殺し、あくまで指揮官としての職務に徹し続けるだろう。


※ ※ ※


私、マオの目の前に姿を見せたゾンビモンスターは懐かしい顔だった。いや、正確には私が良く見知っている彼の顔はこのソードアート・オンラインがデスゲーム化する直前に見た物であり、本来のリアルの顔はほんの一瞬だけ見た程度に過ぎないのだけど。

私「コペル……久しぶりね」

コペル、第一層のはじまりの街で出会い、私にソードアート・オンラインの基礎を教えてくれたベータテスター。そして、デスゲーム開始宣言から間もなく、私を見捨てて姿を消したコペルがまさか死んでいたなんて――――

私「せっかく元ベータテスターで、自己保身の為に利己的な行動をとったのに……報われない結果になってしまったのねコペル」

コペル「はは、そンナに畏まらなクテも良いヨ。僕はコペル、よろシクね」

その台詞は、初めて私とあった時に交わした挨拶だった。そしてコペルはそんな懐かしいセリフと共に私に対して剣を振り下ろしてくる。
それを私は横にステップして軽々と回避した。

私「久しぶりに会ったばっかりだけど……貴方の後に出会った本当の仲間達の想いに報いる為にも……もう一度死んでもらうわ!」

一気に懐に飛び込み、短剣をコペルのがら空きの脇腹に食い込ませた私、もしかしたらコペルだけではなく、サチやケイタ、月夜の黒猫団の皆までゾンビモンスターとして現れたら―――私はあの皆と戦える?

私「ダメ、考えるな!今は――こいつを倒さなければ!」

そんな最悪な展開を脳裏から吹き飛ばすように、私はコペルに止めのソードスキルを放ち蹴散らしたのだった。


※ ※ ※


俺、キリトはマオがたった今、倒したゾンビモンスター、かつて俺を間接的にPKしようとしたコペルが短剣スキルで倒されたのを目の当たりにして、心の中でもう一度コペルと別れの言葉を述べたのだった。

俺「まさか、コペルがマオとも知り合いだったとはな……」

俺もマオも、ゾンビモンスター達の正体がかつて死んだプレイヤー達を模していると知った時から、月夜の黒猫団の皆と対峙する事を恐れていたが、まさかコペルとこんな形で会う事になるとはな……

俺「もし、これを仕組んだのがアイツらだとしたら……」

脳裏に思い浮かぶのはガチャモンとモックの嬉々とした態度だった。奴らがこのゾンビモンスター達をデータ改竄によって差し向けたと言うのなら、アイツらは俺達攻略組にとって顔見知りの死んだプレイヤー達を差し向けてくる可能性が高い、それはつまり―――俺の驕りにより、かつて壊滅に追い込まれたギルドのメンバーがゾンビとなり自分達の死を招いた俺に剣を向けてくる事すら有り得るのだ。


※ ※ ※


一度タダツシにタゲを取って見ると、残りのHPは辛うじて半分以下のイエローの領域にまで減少したようだった。
一定のゾンビモンスターが倒されるたびに、奴は自分のHPを削り新たなるゾンビモンスターを生み出し続ける。
そして、新たに生み出されたゾンビモンスターの中には、死んでからそう日が経ってない事が明確に分かる者も現れた。

オックス「殲滅ダ……!ラフコフは殲滅ダ……!根絶やしダ……!」

俺「聖竜連合のオックスか……!」

その両手剣使いの男は、かつてラフコフ討伐戦でラフコフのメンバー相手に無血投降に異議を唱えて、殲滅する事を強く主張し、納刀術ソードスキルの不殺蓮千撃の使い手である俺に対しても食って掛かってきた聖竜連合のオックス。
最終的にいざ、虫の息と化したラフィン・コフィンのメンバーを相手に手を下せないまま返り討ちに遭ってしまったわけだがな。

オックス「殲滅……根絶やし……」

俺「とか言って、結局殺せなかったんだよなっ!」

両手剣を大振りに振り上げた所に俺は補足転移ソードスキルのラウンジを発動した。オックスの頭上に瞬間移動、下突き、切り、突き、切り上げと連続攻撃し、攻撃終了直後に元の場所に瞬間移動で戻る。

ラフコフ「シネェェェェ……」

俺「―――っ!」

が、ソードスキル発動直後に俺に襲い掛かってきたのは、恐らく討伐戦で死んだ者であろう、ラフコフのメンバーの証とも言える笑っているような棺桶のマークの付いたマスクを被った刀使いだった。

幸い、ソードスキルではなかったので大ダメージには至らなかったが、ソードスキル発動後の硬直中だったのでロクな抵抗も出来ずに食らってしまった。

レイナ「……オズマ、大丈夫?」

俺が刀で斬られた事にレイナがスグに気が付き、こちらに駆け寄ってきた。丁度レイナは第59層のフロアボス戦でドロップした両手剣の『グラビティレイザー』でゾンビの胴体を真っ二つに斬り割いて倒したところだった。

俺「少し予想外だった、ゾンビどもが連携してきやがるなんてな……やっぱり元は生きたプレイヤーだからって事か?」

レイナ「……モンスターにAIが僅かながら存在していたとしても―――それは決してあり得ない事ではないわ」

俺「にしても皮肉なもんだな、あの時の討伐戦で殺し合いになった末に死んだ討伐隊のメンバーとラフコフのメンバーがゾンビになって共闘してきやがるなんてな……」

いつの間にか二体のゾンビは前衛にラフコフの刀使い、そして後衛には聖竜連合のオックスが並び、お互いをフォローし合う様な陣形で俺達に狙いを定めていた。

レイナ「……どんな姿をしていたとしても、今は私達の行く手を遮る敵よ。倒さなければ先に進めないから」

俺「そうだよな、それに連中だって本望じゃねーだろうな。攻略組とラフコフ―――お互いに嫌い合ってる者同士で共闘何て生きてる間じゃ絶対にやりたかないだろうに……」

そして、ラフコフの刀使いが猛ダッシュでこちらに急接近し、狙いを俺に定めて刀ソードスキルの構えに入っていた。
だが、俺は同じ相手に二度も不意打ち出来られる程甘くはないつもりだ、既に剣を鞘に納めた状態で納刀術ソードスキル発動の準備を整えた俺は裂震虎砲(れっしんこほう)を発動し、獅子の闘気を放った。
ラフコフの刀使いはソードスキルを発動する前に獅子の闘気を食らって大きくノックバックさせられていた。

オックス「殲滅……ネダヤシッ!!」

レイナ「……オズマには手出しさせないわ」

ソードスキル発動直後の俺に向かってオックスが襲い掛かってきたが、レイナが俺の前に出て同じ両手剣でオックスの攻撃を相殺―――いや、レイナの横払いの方がオックスの斬撃を払い除けて、隙が生まれたのはオックスだった。
レイナは即座にその隙を逃すことなくオックスの腹をグラビティレイザーで貫いたのだった、俺の攻撃でHPが3割を切っていたオックスのHPバーは全損し、呆気なく姿を消したのだった。

ヒースクリフ「今のペースを維持し続けるのだ!私が確認しうる限りでは、今のところはHPがレッドゾーンにまで落ちた者は一人もいないはずだ!このペースを保ち、必ずタダツシのHPを0にする!」

ヒースクリフに鼓舞されてレイドパーティーは士気を高めて、タダツシが次々と生み出すゾンビモンスター達を倒し続けた。
中にはたまに、旧知の仲だった者がゾンビ化して現れた事により、動揺を見せる者も少なからずいたが、その場合は他のそのゾンビと面識のない者が代わりに戦う事でフォローをしあっていた。
やはり、本物でないと頭では分かっていたとしても、完全に割り切るのは簡単ではなかったようだった。

そしてタダツシのHPバーもついに残り僅かとなっていた。残りあと何体のゾンビを倒せばタダツシは消えるか分からないが、片っ端から倒せば良いだけだ、そう思って次のゾンビに狙いを定めようとしていた時だった。

「うわあぁぁぁ―――――!!カゼだ……カゼだぁぁぁぁぁぁぁ!!」

唐突に、そんな意味不明な叫び声が木霊したのだった。

クライン「な、なんだ?どこのどいつだ変なこと言いやがって……?」

クラインが思わず呆気にとられてしまうのも無理はない。ここは完全な屋内であるボス部屋の中なのだから風など吹くわけがない、実際にこうして戦っておる俺達の中で誰もそんな風を感じる者などいないのだ―――だが俺は、その声の主、そして台詞によって、それがかつて崖から落下し、針山の餌食となった男の声だと否応でも気が付く事になる。

俺「やっぱり、ハスタだったか!」

そのゾンビモンスターは小太りの体形で顔のそばかすが目立つ男でだった。顔色は死人らしく変色してしまっているが間違いなかった。
それは、かつてリアルマネーゲームに挑戦し、自らの妄想の風に煽られて死んでいった参加者の一人のハスタだった。


ついに、オズマの目の前で死んだプレイヤー達がゾンビと化し登場!ガチャモンとモックによる悪意はこれからが真に牙を剥く!
プレイヤー達の精神を確実に痛めつける! by立木ナレ 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧