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おぢばにおかえり

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第四十六話 受験が終わってその十六

「お話したいって思ってます」
「そうなの」
「はい、いいですか?」
「どうせ来るんでしょ」
 阿波野君をむっとしたお顔で見つつ言いました、何かこの子とお話している時だけよくこの表情になる気がします。
「そうでしょ」
「そのつもりです」
「全く。阿波野君結構詰所にお世話になってるから」
「御飯頂くこともありますし」
「お風呂も入ってね」
 自分のボディーソープやシャンプーまで用意してです、スポンジやバスタオルまで持って来てですから徹底しています。
「図々しいでしょ」
「そうですか?」
「そうよ、泊まったりもしてるのよね」
「夏休みとか結構」
「殆ど詰所の住人じゃない」
「快適ですよ」
「詰所の人がいいって言ってもよ」
 こうしたことは笑顔でいいと言ってくれる人達ばかりですが。
「それでもよ」
「駄目ですか」
「もうちょっと謙虚になりなさい」
「詰所の人達からは礼儀正しく謙虚って言ってもらってますけれど」
「それはお世辞でしょ」
 それ以外には考えられないです、というか私以外の人は皆阿波野君を礼儀正しいとか謙虚とか言います。
「お世辞は真に受けないの」
「お世辞ですか」
「阿波野君の何処が謙虚なのよ」
 私にはとても思えずこう返しました。
「詰所の人達も先輩達もそう言うけれど」
「先輩のお父さんお母さんも」
「それがわからないわ」
 どうしてもです、本当に。
「阿波野君みたいな図々しい子いないのに」
「先輩から見ればそうなんですね」
「そうよ」
 怒って返しました。 
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