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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE90 ゾンビを生み出すドラゴン?

 
前書き
タダツシの元ネタは、とあるホラーゲームのキャラです。 

 
第67層フロアボス『TADATUSI』ついにフロアボスの部屋が開かれ、48人のレイドパーティーメンバーが一斉にボス部屋へとなだれ込んだ!
広間の風景、装飾などはそれまでのフロアボスの部屋と大きな差異は見られず、現時点ではボスの姿は見当たらない。

ヒースクリフ「皆、静かにしたまえ」

今回のフロアボス戦をドタキャンしたアスナに変わり、指揮官を勤める血盟騎士団団長のヒースクリフがメンバー達を制した。
それによりボス部屋が途端に静まり返った―――いや、何かの機械的な音が一瞬俺の耳に聞こえた。

クライン「な、なんだよ今の音……」

レイナ「……徐々に大きくなってくる」

その音はレイナの言う通り、ボリュームを上げて来るにつれて、まるで何かのサイレンの音の様に聞こえるようになってきていた。

マオ「何よこのサイレン音……明らかにソードアート・オンラインの世界に似つかわしくない―――!?」

キリト「あ、アイツがTADATUSI……なのか?」

何時からそこにいたのか誰も気が付かなかった。それは全身の白い皮膚に枝分かれした褐藻のような突起が特徴的な、何かの生き物である事は伺えるが、モチーフは何なのかまるで想像が付かないボスモンスターだった。

ヒースクリフ「まるでリーフィーシードラゴンのような姿だな」

エルダ「何なの……その、リーフィーシードラゴンって言うのは?」

ヒースクリフはドラゴンだと言うが、その姿を見てドラゴンだと言われても俺は全くピンとこない。エルダもヒースクリフが何を言っているのか分からず、問いかけていた。

ヒースクリフ「海水魚の一種だ。本来であれば体長はせいぜい40センチ以下なのだがな」

俺「40㎝どころか、2メートルは軽く超えてるじゃねぇか……」

まるで効いたことの無い生き物だが取りあえずモチーフは海水魚らしい。そんな海水魚をモチーフにしたフロアボスモンスターのタダツシには背中と思わしき部位から無数の羽が生えており、それで空を飛んでいた。
そして、タダツシの羽が一層強く羽ばたかれた時だった。

タダツシ「ううぅぅぅ―――――!!」

まるで、サイレンの音のような鳴き声をやかましく発したのだった。

俺「さっきのサイレンの音はこいつか!」

エルダ「HPバーが表示されたわ!けど、HPが減ってる……これは、まさか!?」

エルダの予感は恐らく俺の予感と共通していただろう。ある程度、タダツシのHPバーが減少した直後、タダツシの身の回りから一斉に湧出したのは、一体一体、個体ごとに様々な武装をしているゾンビ系のモンスター達だった。

マオ「これが、偵察戦で見たフロアボスが呼び出すゾンビ軍団ね!」

キリト「一体一体は大して強くないはずだ、48人のレイドパーティーでなら十分勝てる!」

そして、武装したゾンビ集団は次々と48人のレイドパーティーに襲い掛かってきた。これはかつてない大人数での戦いになりそうだった。
48人のレイドパーティーが戦う相手は実質、一体の巨大なフロアボスモンスターではなく、無数に出現するゾンビ軍団。
タダツシがHPを削って召喚するゾンビたちを、俺達はタダツシのHPが失われるまで倒し続ける事になる。

ヒースクリフ「まずはダメージデイラーたちが前衛でゾンビモンスター達と交戦、タンクは指示があるまで後方へ待機!」

俺「おし、早速出番だな!」

俺達のパーティーはエルダと、血盟騎士団から借りているアギトが盾持ちの片手剣士である以外は、全員が典型的なダメージデイラーなのでヒースクリフのその命令に従い、すぐさまゾンビどもと戦う事になる。

俺は剣を鞘から抜いた状態で大きな斧を持った大柄なゾンビ男に対して先手必勝で斬りかかった。斧使いのゾンビ男が僅かに仰け反るが、すぐさま斧を大きく振り上げるが、その時俺は既にバックステップで距離を取っており、ゾンビ男が振り下ろした斧が俺に当たる事はなく、更にもう一撃、今度は腹に剣を突き刺す。

俺「これで充分ソードスキルの圏内だな……」

俺が第59層のフロアボス戦でドロップした片手直剣の『アクセルブレイド』で俺は補足転移ソードスキルのデストラクションブレードを活動した。
武器の周りに剣状の闘気を作りジャンプによる切り上げと落下による切り下ろしで、斧使いのゾンビ男のHPは一瞬にして全損した。

ヒースクリフ「見事だ……凄まじいリーチでありながら発動も速いソードスキル、補足転移はまさに君のポテンシャルをフルに引き出すユニークスキルと言うわけか」

俺「騎士団長様の神聖剣には敵いやしないがな……」

何せ俺は、今までのフロアボス戦でヒースクリフのHPバーが5割以下のイエローゾーンにまで減少した姿を今の一度も見た事が無かった。
圧倒的な攻撃能力を誇るボスモンスターの攻撃に対しても、ヒースクリフの絶対的な防御力を前にそのHPバーを半分以下にまで減らしたことのあるモンスターもプレイヤーも現時点で皆無なのではと思いたくなるほどだ。

キリト「やっぱり、俺達がゾンビモンスターを一定数を倒すたびに、ボスはサイレンの音のような鳴き声を上げて、自分のHPを削る事で新しいゾンビモンスターを呼ぶのか……今のところはゾンビの数が減るだけだな」

キリトの指摘通り、既に数体以上のゾンビモンスターがレイドパーティーの手によって倒されているが、新しいゾンビモンスターが出現している様子はなかった。

ヒースクリフ「どれだけの数まで減らせば、奴が新しいゾンビモンスターを呼び指すのか、そのタイミングも完全に把握しておきたい。回復はなるべく、ゾンビの数が少ない時に済ませるのが無難だろうからね」

俺「同感だな、奴がゾンビモンスターを呼び出した直後は数が多すぎて、ゆっくり回復してられる余裕が無さそうだ」


そして、攻略組のプレイヤー達は余力を持ったまま、フロアボス部屋内のゾンビモンスター達を順調に駆逐し続けて言った結果、再びボス部屋全体にタダツシの鳴き声が、けたたましいサイレンの音が木霊すのであった! by立木ナレ

タダツシ「ううぅぅぅぅ―――――――!!」

クライン「うへぇっ!また始まりやがったか……にしても相変わらずうるせー!」

レイナ「……耳を塞いでる余裕なんて無いわ」

レイナの言う通り、すぐにタダツシの鳴き声、まるでサイレンの音のような鳴き声に反応して、ボス部屋に無数の武器を持ったゾンビモンスター達が現れる。
そして、それに伴いタダツシのHPも減少をし続けていた。

俺「これを何度も何度も繰り返して、奴が自分で自分のHPを削り切るまでゾンビ狩りとなると……アスナでなくっても逃げ出したくなるよな」

思わず俺はこの場にいないはずのアスナの事を僅かに思い返して、薄ら笑いを浮かべていた。ゾンビモンスター特有の腐食しかけの身体、接近すると急に鼻を刺激する悪臭は、ホラー系が嫌いなプレイヤーでなくとも嫌悪感や薄気味悪さを感じずにはいられないだろう。

ヒースクリフ「HPに不安のある者は即座に退避!タンクはHPを回復しに退避した者を守り切れ!回復の時間を稼ぐことに専念しろ!」

このヒースクリフの命令により、数人のダメージデイラーたちが大急ぎでタンク達の後ろに隠れていた。
幸いにもタダツシが実際にゾンビどもを呼び出す直前であった。その数秒後にはタダツシが泣き声によって呼び出した新たなるゾンビモンスター達が武器を手に俺達に襲い掛かって来るのだった。

俺「一対一なら余裕だ……つーか二体同時に相手でも問題なさそうだな……?」

大剣持ちのゾンビに単発重攻撃ソードスキルの『ヴォーパルストライク』をお見舞いしたところで、俺はその後ろで細剣を構えているゾンビ男に微かな見覚えを感じたのだった。

いや、顔はハッキリと思い出せないがあのコスチュームは今も覚えている、あのコスチュームは現在はアインクラッド解放軍などと名乗っている最大規模のギルドが今の形になる前―――そうだ、アインクラッド解放隊時代の赤コスチュームにそっくりな……と言うか、それと全く同じ衣装を纏ったゾンビもスターだった。

俺「質の悪い嫌がらせか……?」

俺は一抹の不安と言うか、薄気味悪さを感じながらも赤服のゾンビに対して切りかかった。

レイナ「……確かに似てる」

そこで更にレイナが大剣ソードスキルのバックラッシュを放っていた。大剣の単発ワザとだけあって威力は絶大で、反時計回りに回転しつつの水平斬りは、恐らく俺が弱らせるまでも無く赤服のゾンビを一撃で葬り去る事も可能だったのかも知れなかった。


オズマが感じた奇妙な違和感、薄気味悪さを感じたのは実はこの時、オズマだけではなかった!攻略組の特に積極的にゾンビモンスターと戦っているプレイヤー達にその違和感は伝染……瞬く間に伝染! by立木ナレ


キリト「おかしいぞ……さっきからこいつらは何なんだ?本当にただの、取り巻きのゾンビモンスターだって言うのカ!?」

キリトは既に自分が斬り倒したゾンビモンスター達の中に、かつてのフロアボスで命を落としたプレイヤーに瓜二つとしか言いようのない、プレイヤーにそっくりなゾンビを切り倒したばかりであった! by立木ナレ


エルダ「どうなってるのよ……?良く知ってるギルドのコスチューム姿のゾンビモンスターがやたら多いなんて、単にゾンビの間でコスプレが流行ってるじゃ済まないわよね!」

エルダは何大家ゾンビを倒した時点で、そのゾンビたちのいくつかが、自分自身がハッキリと見覚えがある有名ギルドのコスチュームと全く同じ姿をしたゾンビたちが何体も混ざっている事に悪寒を感じていた! by立木ナレ


マオ「冗談じゃないわよ……!もし、もし本当に……そうだったんだとしたら―――あ、あの時の皆も……黒猫団の皆までもが、出て来るかもって事じゃない……!!」

マオは恐怖による焦りがピークに達しようとしていた。そんなまさか?だが―――戦えば戦うほど、ゾンビモンスターを倒せば倒すほど、48人のレイドパーティーの面々は、気が付く事になるのであった!


タダツシが自らのHPを削りながら呼び出しているゾンビモンスター達の正体は……このアインクラッドで今までに命を落としたプレイヤー達なのではないかという推測……否、核心に至る!

………

……



ガチャモン「お疲れ様モック、なんとかデータの改ざんに間に合ったみたいだね」

モック「本当にいつもいつも忙しくさせるような注文はご勘弁願いたい限りですぞ全く!」

ガチャモン「僕に怒られても困るよぉ~。これだってあの典型的な小悪党キャラのボスからの要望だったんだよぉ~」

モック「はぁ……悔しいですが、主に振り回されるしかないのですな我々としては」

ガチャモン「けどけど、これは面白くなってきたねモック!何せ君がデータを改ざんしてくれたおかげでさ、タダツシが生み出すゾンビモンスター達と戦う事によるプレイヤー達のプレッシャーに緊張感、そしてやりきれない思いがこみ上げてくるだろうね~」

モック「ぐほほっ!そいつは確かに見物じゃないですか~!きっと一人や二人位は必ず出てくるんでしょうな―――かつての顔見知りとは絶対に戦いたくないだなんていう心御優しき―――足手まといが」 
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