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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE89 アスナ、ドタキャン!第67層フロアボス攻略会議

パンダがな……あんまり人気者だでな……ガチャモンもな……オイラも一丁なってみるべと、パンダにばけたとよ……ひあたりやまの、ガチャモンがな

モックがな……あんまりうまくばけたでな……キツネもな……オイラも一丁やってみるべと、パンダにばけたとよ……ひあたりやまの、モックもな

そこへじんべえさんがやってきて
こりゃたまげた びっくらこいた
オラがやまにも パンダがいるぞ
ランランもカンカンも そろっているぞ
むらんしゅうはよこい みんなこい
パンダだパンダだ いけどりだ
ソレ! ソレソレソレつかまえろ

ガチャモンがな
いのちからがらにげだして
モックもな
やっとこさっとこにげだして
くちをそろえて
パンダがナンダ パンダがナンダ
ひあたりやまで いったとな

パンダがナンダ・・・・・・・・

リリース:1975年
   歌:ガチャモン



ガチャモン「ふぅ~、また歌っちゃったぁ~。パンダの人気っぷりにはウンザリしてたからさ、その苛立ちと嫉妬心を歌に込めてみました」

モック「分かります、分かりますぞガチャモン!なんでアイツばっかり動物園のアイドル扱いなんですかね!?奴は中国が寄こしたパンダ外交の刺客じゃないですか!」

ガチャモン「ホント、愚かだよね~。中国の都合の良いかね儲けの為に押し付けられてるパンダ目当てに可愛い可愛いとか言って押し寄せる客がいるから何時まで経ってもパンダ外交に搾取されてるってなんで気が付かないかね~?」


※ ※ ※



第67層フロアボス戦の偵察戦が行われた。MBTからはユッチが参戦し、フロアボスの詳細が判明し、フロアボス戦に向けての攻略会議が行われるのであったが―――集まったプレイヤー達にとって予想外の事が起きるのであった。by立木ナレ

ヒースクリフ「今回の第67層フロアボス戦の指揮を執る事になっていた我が血盟騎士団のアスナ君なのだが―――一身上の都合により、フロアボス戦への参加を見送る事になり、急遽私が指揮官を勤めさせてもらう事となった」

副団長の代理がその上である団長であると言うのもおかしな話だが、これでアスナがフロアボス戦に不参加となるのは3層連続だった。

キリト「アスナ、ようやくホラーエリアが終わって前線での活動に参加できるようになったってのに、どうしたんだよ急に……?」

クライン「キリの字よ、アスナさんの前でそれ言ってやるなよ。あれで当人は隠しきってるつもりなんだぜ、大のホラー嫌いをな」

神妙な様子のキリトに対して、クラインが肩をポンポンと叩きながらヘラヘラと笑みを浮かべながらそう言った。
それはキリトやクラインだけでなく、多くの攻略組のプレイヤー達が知っている事だった。攻略の鬼にして血盟騎士団の副団長であるアスナが大のホラー嫌いだと言う事を。
それ故に第65層と66層のホラーエリアではアスナはミドルゾーンクラスのプレイヤー達の育成だとか、攻略済みの迷宮区の再度の調査を言い訳にして完全に攻略をサボっていた。

そして最前線が第67層になり、ようやくホラーエリアが終わり、アスナも堂々と最前線に復帰したと言うのにフロアボス戦直前になりまさかのドタキャン!

俺「クソ真面目な副団長さんがそんな事するようには思えねぇんだよな……」

そして、俺達がアスナの唐突なフロアボス戦の不参加の理由は攻略会議が進むうえですぐに分かる事になった。
それは、偵察戦によって明らかになったフロアボスの詳細だった。ボスモンスターの名称は『TADATUSI』そのまんまローマ字読みでタダツシと読み、フロアボスにしては珍しく名前にTHEが含まれないパターンだった。
そして、討伐隊の報告によると、そのタダツシ自体は一切攻撃を仕掛けてこず、そしてプレイヤー側の攻撃を一切受け付けず、やってくることと言えば自らのHPを消耗し配下のモンスターであるアンデット系のモンスター達を生み出すくらいの事らしい。

エルダ「納得したわ、アスナさんが急にフロアボス戦をドタキャンした理由が」

キリト「せっかくホラーエリアが終わって最前線に復帰したのにまさかフロアボスがまたホラー系統とはな……アスナにとっちゃ多分今がアインクラッド始まって以来の鬼門に直面してる状態なんだ」

俺「いや、鬼門に直面してるとか言っても、徹底的に逃避してるだろ……」

何はともあれ、アスナは再びフロアボス戦には参戦しない事になったのだ。そして偵察隊の報告を聞く限り、第67層のフロアボスは実質、フロアボス戦と言うよりも――雑魚のゾンビモンスターの大群との戦いという形になりそうだった。

ユッチ「あ、でもそのゾンビ連中なんっすけど。全員例外なく武器を持ってやがるんすよ、だからソードスキルが厄介になるかもしれないっすね」

偵察戦の一員として参加したユッチが思い出したように付け加える。ゾンビ系のモンスターには武器を一切持たず、噛みついて来たり、しがみ付いてくると言った攻撃を仕掛けてくるタイプの他に、武器を手に持ちソードスキルを駆使してくるタイプがあり、大抵脅威になるのは十中八九後者のタイプだ。

ヒースクリフ「ゾンビモンスター達を倒せば倒すほどに、タダツシは新たなるゾンビモンスターを生み出すが、その度にボスであるタダツシのHPは減少する、すなわち―――それを繰り返す事によってやがてタダツシは自らのHPを削りゾンビを生み出し続けた末に自壊すると推測できる」

ヒースクリフの言った通り、タダツシに直接ダメージを与える事が出来ない以上、プレイヤー達はタダツシが生み出すゾンビモンスターを倒し続けるしかない。
恐らくそうしてタダツシのHPを間接的に減らすしかないのだろう。

マオ「今までだって大抵のフロアボス戦は犠牲者無しで突破して来たんでしょ?だったら今回だって、入念に準備をしての戦いなんだから、やれるはずよね……?」

マオが同じパーティーメンバーである俺達に対してそう問いかける。マオと同じパーティーを組んでいるのはMBT組の俺、レイナ、エルダ、そして血盟騎士団からゲストとして派遣された盾持ち剣士のアギト、そしてもう一人は、元ギルドメンバーでマオが憎み続けてきた……正確には今でも憎しみを遺している相手であるキリトだった。

キリト「そうだな……少なくとも今はまだクォーター・ポイントじゃないからな」

マオの言葉に対してキリトが敢えて自分から応答していた。

レイナ「……次のクォーター・ポイントは75層……気が付けば、だいぶ近くなってきたわ」

エルダ「そうね、25層の時はアインクラッド解放隊が壊滅して、50層の時もレイドが総崩れになりかけた事を考えると―――今はまだいい方よね」


これから攻略を続けていく以上は決して避けて通る事の出来ぬ圧倒的脅威が予測されるクォーター・ポイント!
しかし、今は目の前のフロアボス戦である第67層をクリアしなくてはならない―――!アスナが逃げ出すほどのゾンビモンスターの群れを倒し切り、進まねばならぬ! by立木ナレ


※ ※ ※


48人のレイドメンバーで第67層の迷宮区のボス部屋を目指して歩き続けて、俺達はついにボス部屋の前に辿り着いていた。
先頭に立っているのは言うまでも無く、血盟騎士団の団長にして今回、アスナの代理としてレイドパーティーの指揮官を務める事になったヒースクリフ。
アスナの代わりにヒースクリフが参戦する事が決まった事により、今回のフロアボス戦は俺、キリト、ヒースクリフ、三人のユニークスキル使い全員が参加するフロアボス戦となった。
そして、もうすぐフロアボス戦が始まると言うときになり、マオがキリトに近づき声を掛けていた。

マオ「キリト、少し良い?」

キリト「あ、ああ……どうした?」

キリトは今になってマオの方から声を掛けられたことにやや戸惑いを見せていた。何を言われるのか不安を感じているのか、そんな思いもあるだろうが、キリトはマオからの話に耳を傾ける。

マオ「サチが貴方に残した言葉は聞かせてもらったわ……サチが貴方の正体に気が付いてて、その上で貴方との出会いを後悔していなかった事もね……」

キリト「そうか……」

俺の後ろにいる二人に会話は俺の聞き耳スキルによってハッキリと聞こえるが、2人の表情までは伺えなかった。

マオ「けど、やっぱり私はまだ割り切れない―――あなたに対する憎しみを断ち切れる気がしないけど―――」

キリト「それは仕方がない、君が俺を憎み続けるのは当然だ。だって俺のせいで黒猫団が……君の大切な仲間達を壊滅させた事実には変わりが―――」

キリトが言い切る前に、マオの強い意志、決意、熱意が入り混じった声がキリトの言葉を打ち切った。

マオ「サチが貴方の強さを知った事で嬉しかった……それを知った事で安心感を得ていたのなら、私もこれからは貴方の強さを信じて―――少なくとも戦いでは背中を託せる相手だと信頼する事にするわ。以前と同じようにね」

キリト「…………」

キリトはどんな表情を浮かべているのかは分からないが、恐らくさぞ驚いた面を見せているのだろう。数秒間の沈黙がそれを物語っている。そして、しばらくの沈黙の後にキリトが発した言葉は穏やかで、親しみを感じさせる声になるのだった。

キリト「ああ、そこまで期待されたとあっちゃ―――それに応えられるように気合入れてやるとするさ!」

俺「ま……今のところはそれで良いかもな」

パーティーリーダーとして、キリトとマオのそれまでの歪な関係に一区切りが打たれた事は好都合な事だった。
これからはキリトはマオに対してもう以前の様に、後ろめたさや罪悪感を抱いたまま接する事はない―――少なくとも同じパーティーメンバーとして、戦闘中くらいは俺達と同じようには接するだろう。マオも改めてキリトの強さを信じ、戦いの最中背中を託せる相手として見なすだろう。無論、普段からそこまでの状態と保てるかどうかは微妙なところだ。
未だにわだかまりが完全に解かれたとは言い難い、だが――――確実に何かが変わったはずだ。キリトとマオのそれまでの関係に確実に何かが変化があった。
そして、そんな二人の関係に変化をもたらす切っ掛けになったのは意外な事に、今まで他人に対しては大抵は無関心で不干渉で、口を滅多に挟まない俺のパートナー的な存在であるレイナだった。

レイナ「……何をじっと見てるの?」

俺「何でもねぇ……」

俺の視線に目ざとく気が付いたレイナが首を小さく傾げてそう言うが、俺は少し目を反らして答える。そして、そこに乱入するのは攻略組屈指の非モテ男である風林火山リーダーの刀使いなわけで―――

クライン「ったくイケメンは得だよなぁ~。美女や美少女をガン見してても、睨まれたり、逃げられたり、警察を呼ぶとか言われて脅される事もねぇんだよな~。俺が同じ事してた日にゃよ……ちくしょう……」

俺「これからフロアボス戦だっていのに、なに悲惨なリアルの過去を思い出して泣いてんだよ」

左手で目を覆い隠し、めそめそと女々しい涙を見せるクラインに対して一抹の不安を感じざるを得なかった。
まあ、ただ見てるだけで警察を呼ぶとか、そんな不審者扱いを受ければ俺も頭に来るとは思うが。

ヒースクリフ「では、これより第67層フロアボス戦を開始する!」

 
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