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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE88 遺言と疑念!

記録結晶に残されていた音声。それは、月夜の黒猫団の少女サチがキリトへ宛てた遺言……!彼女は全て知っていたのであった、キリトが自分達よりも遥かに高いレベルのプレイヤーである事を。サチはいずれ、キリトが自分から話してくれるであろうことを信じ、マオを含めた他のメンバー達にはそれを黙りつづけてきた事……そして、キリトと出会った事を良かったと……それが彼女の意思!そして、それはキリトからオズマとレイナを通じてマオへと初めて知らされたのであった。 by立木ナレ



マオはしばらく記録結晶を握り締めながら、しゃがみ込み、無言のまま涙を流し続けていた。月夜の黒猫団が壊滅したのは去年の6月なので、既に一年以上も前の話。
すなわちマオは久しぶりにギルドのかつての仲間の声を聞いていたのだった。それはキリトに対して宛てられたメッセージで、マオが恨み続けてきたキリトをサチはキリトが自分達よりも遥かに高いレベルのプレイヤーである事を知ったうえで仲間として受け入れ続けてきた事、そしてキリトとの出会いを消して後悔していなかった事を証明する内容だった。

マオ「ったくキリトの奴、アタシ達が知らない間に随分とサチと親密になってたのね……」

そう言いながら顔をあげたマオの目からは涙は拭い去られていた。俺達の前でこれ以上弱みを見せたくないのか、思いっきり泣いて、ある程度落ち着いたのかのどちらかは分からないが。
そんなマオに対してレイナが物静かな表情のまま歩み寄り、目を合わせて声を掛ける。

レイナ「……キリトがこのメッセージを聞いたのは去年の12月。それから今日に至るまで、貴方にこれを聞かせてこなかった理由は……分かるかしら?」

マオ「私がこんなのを聞いちゃったら、もう私はキリトを恨み切れなくなる、そうなったら私が強くなろうとする原動力を失い、私まで自殺しちゃうんじゃないかとか思ったんでしょうね」

マオの答えはレイナがキリトに対して指摘した通りの言葉だった。自分が恨まれ続ける事でマオが強く生きる原動力になると決めたキリトの思惑は実際に成功していたのだろう。
あの時は中層のギルドの一介のメンバーだったマオは現に今はこうして攻略組の一員となり、フロアボス戦に参戦するまでに至っている。

レイナ「……これを知って貴方は、キリトを憎む気持ちは変わったかしら?」

レイナの問いに対してマオはしばらく無言の間を置いてから、小さく首を横に振って口を開いた。

マオ「今更……少なくとも今すぐにキリトに対する憎しみの感情を消し去る事は出来ないわね。私は今でもキリトに対する憎しみは残ってる―――これは否定できない事実ね」

俺「ま、流石にそれは無理もないか……」

今の今までマオは、ギルドの壊滅の一件でキリトを憎み続けて、その憎しみを原動力に強く生き続けて今に至っているのだ。
それでいきなりギルドメンバーのキリトに対する遺言を聞き、かつての仲間がキリトを恨んでいなかったと知ったとしても、そう簡単に割り切るのは難しいだろう。
事実、キリトがレベルを偽ってギルドに加入したのがギルド壊滅の遠因になっている事は確かなのだから。

マオ「けど、キリトの事を知っていたサチがキリトの事を最後まで仲間として認めていたって言うのなら……そんなサチに対して私の私情で『キリトは仲間なんかじゃない』なんて事はとても言えなかったでしょうね……キリトは私にとっては今でも憎しみの相手だけど―――それでもサチにとっては最後まで仲間だった、それは否定できないから」

レイナ「……貴方なりの結論を、折り合いを付ければそれで良いと思うわ」

マオ「そうね、そうするわ……」

その後マオは記録結晶をキリトに返してほしいと言って、再び俺達は記録結晶を預かる事になった。キリトの方はマオにそれを渡したままでも構わないと言っていたが、そのマオはあの記録結晶はサチがキリトへ宛てた物だから、サチの意思を尊重してキリトの元にあるべきだと言い、俺達は再び返却の為にキリトのホームを訪れたのだった。

俺「ったく、キリトのホームを訪ねて、マオが止まってる宿屋を訪ねて、そんでもって今度はまたキリトのホームにこれを返しにと、今日の俺等は使いっパシリだな」

レイナ「……パーティーリーダーとして必要な事よ、パーティーメンバー同士の誤解や不和を取り除くのは」

珍しくレイナに軽く諭されてしまった。これを済ませて自分のホームに戻ったらその後は今日の疲れを癒すべくレイナには徹底した奉仕を要求しようと俺は決意を固めていた。



キリトのホームに辿り着く前に既にオズマは淫らな妄想を頭に思い描き、今この場でレイナを押し倒してしまいたいと言う性犯罪者染みた欲求を堪え、キリトのホームを再度訪問、キリトに事のあらすじを伝えて記録結晶を返却したのであった! by立木ナレ



キリト「そうか、マオはサチの言葉を聞いてもやっぱり俺の事をまだ憎んでるか―――仕方ない事とは言え、元ギルドメンバーから憎まれ続けるってのは結構堪えるもんだな……」

キリトはそれもある程度は覚悟していたようで、それほど暗い表情を浮かべる事無く、どちらかというと少しばかり肩の荷が下りたようなため息をついていた。
これでキリトとマオの重苦しい関係にも僅かな変化があれば俺としても良いとは思いつつも、コイツが最前線を離れている最中に中層のギルドの女子プレイヤーと一定の期間、毎晩同じ部屋で夜を共にしていた事を思い出した俺は口を尖らせて言った。

俺「だが迂闊だったな、一緒に寝た女に自分のウインドウを後ろから見られてたとはな……浮かれて隙でも作ってたか?」

キリト「げっ――――!?お、お前ら……まさかマオと一緒に記録結晶を……?」

レイナ「……聞いた」

どうやらキリトは、マオが一人で聞く事を前提に考えていたようだが、その目論見はこうして大きく外れた事になった。
何故ならマオは記録結晶に記録されていた音声の内容など知る由もなく、その場で俺達がいる前で再生してしまったのだから。

俺「毎晩毎晩ベットで隣で、大丈夫って言ってやってたのか……とんだ役得だったな」

キリト「待ってって!た、確かにお、同じベットで寝てたのは確かだけどな―――そ、それだけだ!それ以外何も起きてない!指の一本も触れてない!ノータッチ!完全なノータッチだったんだ!!」

俺「嘘を吐くなぁぁ!」

キリト「何で嘘なんだよ!?」

誰が信じるか、つうか、あり得ねぇだろ。思春期真っ只中の男子が同年代で容姿もマオ曰くそこそこ良いらしい女子と毎晩同じベットで寝て、完全なノータッチだと?
あり得るかそんな話!俺がキリトの立場だったら最初の一晩でレイナと同じことをしてるに違いない、これは自信を持って言える事だ。

俺「取りあえず、色々とこっちのパーティーにも変化がありそうだって事を副騎士団長さんに報告しておかねーとな……その経緯に至るまでの何から何までを事細かに全てな!」

キリト「止めてくれ!そんな事されたらフロアボス戦を待たずしてまごう事なく死ぬだろ!」

結局、キリトの懸命の――死に物狂いの必死の懇願に押される形で俺は、アスナに対しては今回の事は伏せておくことにした(特にキリトが二か月間の間に特定の女子プレイヤーと親密になった一件)。しいかし、いっその事第一層の時みたいに、記録結晶の音声を利用して強請ってやろうとすら思いたくなる気分だった。

キリトとマオの関係にこれから先変化があるか否かは当事者たちにも分からぬ事であった。一方でオズマ、SAOにおいて限られた同年代の女性プレイヤーと尽く親密な関係を構築し続けるキリトに対しては激しい疑念!コイツわざと狙ってやってるに違いないと言う激しい疑念はさらに強まる!圧倒的疑念! by立木ナレ 
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