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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE82 アスナの告白・・・死神の脅威!

第二回リアルマネーゲーム、地の底からのロッククライミング……参加者の一人であるハスタの死により、他の参加者たちの間に狂乱と恐怖が拡散!オズマとザザ以外の者達がギブアップ宣言をするがガチャモンはそれを認める事無く、参加者たちを病気と一蹴!

そんなガチャモンに対して果敢に抗議したのは血盟騎士団の副団長であるアスナを筆頭とした一部の攻略組のプレイヤー達だった。
だが――ガチャモンはアスナに対して言い放つ。アスナはガチャモンの詭弁、極論に対し、僅かながら同意していたのではないかと。更に、追い打ちをかけるようにガチャモンが言ったのは、アスナは元々、リアルではゲームとは全くの無縁に加えて、むしろVRMMOなど、ゲームに熱狂しているゲーマー達に対して呆れの感情を抱いている事を! by立木ナレ



俺ことキリトは、アスナがVRゲームやMMORPGどころか、ありとあらゆるゲームの経験が全くの皆無である事は、第一層の迷宮区で出会い、その時から既に知っていた事だったのでガチャモンの指摘が事実だったとしてもそれほど驚く事は無かった。

アスナはガチャモンの指摘に対して、無言で何も答える事無く……凛とした凛々しい顔立ちのままガチャモンを睨み続けていた。

ガチャモン「アスナさんってさ、僕がオズマ君達みたいなクズたちを叱る時に対照的な人間として挙げた、いわゆる―――レールの上を歩く、エリートと呼ばれる連中の一人だもんね?」

それも何となく、俺は気が付いていた。アスナと行動を共にするのが当たり前だったあの頃に見せた時折見せるアスナの豊富な知識の片鱗は、とても俺と同年代の一般的な女子からはかけ離れた一面を見せる事が多々あった。
きっと彼女はかなりいい所のお嬢様なんだろうな――くらいには思っていた。

ガチャモン「君にとって人生は幼少の頃から常に本気であり続ける事が当然、学生の内は学業が第一、社会人になったら仕事だ第一……それが君にとっては当然の事であり、そうであり続けなくてはならない。仕事や勉強を二の次にして、趣味や遊びを優先してる人達は競争社会の一員として失格!そして君はこう思ってたはずだよ―――オズマ君達みたいに生活に困窮してる輩、定職に付けずに、住所もロクに持たないような人達は仕事や学業を蔑ろにしてた人達ばかり―――自業自得でああなってるんだってね」

アスナ「…………」

俺達が見ている目の前で、ガチャモンはアスナの現実世界での一面を――本人のプライベートの一部までも平然と口にし続けるのだった。

クライン「ば、馬鹿言え!適当な事抜かしてんじゃねーぞぬいぐるみヤロー!」

アスナ「クラインさん、良いのよ……確かに私は、本来は貴方達の信頼を得られるような人間じゃないから……」

クラインがガチャモンの言葉を適当なホラであると否定するが、それを制したのはほかでもないアスナ自身だった。
俺はこれからアスナが何を言うのか想像も付かないが、ガチャモンを相手に率先して参加者たちを解放するように申し出る為に行動をし始めた彼女を一人で戦わせていいのかと思い、不器用で満足に回らない頭で何とか言葉を選び声を掛ける事にした。

俺「あのさ、アスナ……現実世界のアスナがどんな風だったとしても、俺達にとってのアスナはこのソードアート・オンラインの―――血盟騎士団副団長のアスナなんだ!アスナは、この世界では攻略組にとっての―――いや、全プレイヤーにとっての希望だ!だから――――」

アスナ「ありがとうキリト君」

俺はその先に何を言えば良いのか何も考えてはいなかったのだが、アスナはそれを知ってか、知らずか、そんな感謝の言葉を口にして、誰もが見ほれるような笑顔を俺に一瞬向けてから、ガチャモンに対して厳しい表情を向ける。

アスナ「確かに以前の私は――いえ、今でも少なからず、学生でいる今は学業にすべてを費やして、良い高校、いい大学に進学して、良い仕事に就いて……そして社会人になったら仕事第一でキャリアを積み重ね続けるのが真っ当な生き方……あるべき生き方だと教えられて、そうすべきだと思ってた」

クライン「アスナさん……」

エギル「今は、副団長の話を黙って聞こうぜ」

俺もアスナの言葉を静聴し続けるつもりだ、彼女が俺達みたいなゲームに熱中してるような輩に対してどんな感情を抱いていたとしても、それが彼女のすべてではないのは確かなのだから。

アスナ「趣味や遊びを優先して、勉強をサボる事ばかり考えてる同年代の学生とか、仕事の責任が重くなるのが嫌だから定職に就かずにいる大人に対して私は、絶対自分はああいう風にはなってはならないってね――――ソードアート・オンラインの発売のニュースで大勢のゲーマーの人達が大盛り上がりして、列に並んでるのを見て、仕事や勉強はどうしてるんだ?そんな事に時間を無駄に浪費して愚かな人達だって思ってたわ」

モック「ぐほほっ!認めましたねアスナさん!それで血盟騎士団の副団長でVRMMOであるSAOのトッププレイヤーだなんて、血盟騎士団の人達がそれを知ったらどう思うやらですな~」

アスナの語りに対してモックが嘲笑う様に騒ぎ出すが、アスナは全く臆する事も動じる事も無く、更に自分の言葉で自分の想いを口にする。

アスナ「けどね―――興味本位で兄のナーブギアを借りて、生まれて初めてのフルダイブを経験して、このソードアート・オンラインの世界に閉じ込められて―――キリト君や血盟騎士団の人達……オズマ君達MBTにクラインさん達の風林火山……第一層の頃から一緒に戦ってきたエギルさん、鍛冶屋の友達のリズベット……他にもいろんなネットゲーマーの人達と関わってやっと気が付いたのよ。この世界の人達だって適当に、いい加減に人生を送ってるわけじゃないんだって、いつか必ず、SAOをクリアして現実世界に帰還する為に頑張ってる人達に対して人生を無駄に浪費してるとか、愚かな人間だとか思っていた私こそが愚かで、恥知らずだったのよ!」

アスナのその言葉は紛れもなく彼女の心から吐き出した本心、嘘も偽りも一切ない、彼女自身がこの2年近いデスゲームの中で導き出した答えなのだ。

ガチャモン「へぇ~……人って変わるもんなんだね。君みたいに変わる人も少し入るって事も確かに否定は出来ないって事かもね―――」

そんなアスナに対してガチャモンは彼女の意志力の強さに僅かながらも認めざるを得ないと思ったのかそんな事を言いだした。

ガチャモン「けど、君の場合はそうだとしてもね。オズマ君達はやっぱり変わらないよ、さっきも言ったように彼らは目の前で起きてる現実の問題、戦いを全て都合の良い『仮』として認識してるんだ。そして通常連中は生涯その『仮』から目が覚めない」

だが、アスナが代わったと言う事を認めつつもガチャモンはあくまでオズマ達の事は徹底的に蔑む事を止める様子はない、そしてそれは同時に、今生き残っている参加者たちのギブアップも認める事は決してないと言う意味にもなる。

ガチャモン「愚鈍に寝たいだけ寝て……不機嫌に起き出し、半ば眠っているような意識で日々を繰り返す。退屈を忌み嫌いながら その根本原因病理にはほおかむり、少し熱心になる時間といったらケチな博奕やどーでもいい異性を追いかけまわす時ぐらいだよ」

クライン「ぐぅ……!」

俺「クライン、心当たりがあったとしても狼狽えるな……」

恐らく、ガチャモンが最後に行ったどーでもいい異性を追いかけまわすと気がクラインには現実世界で幾度も経験した事なのだろうが、それは正直どうでもいい。

ガチャモン「なぜそんなくそ面白くもない気分で、この人生の貴重な1日1日を塗り潰せるかと言うとね、いつもどんな時も現実連中にとって『仮』だからさ。つまり偽物、現実(こんなもの)が自分の本当であるはずがない。連中はそう思いたいんだよ。そして、30になろうと40になろうと連中は言い続けるんだ。自分の人生の本番はまだ先なんだと!『本当のオレ』を使ってないから今はこの程度なのだとね……そう飽きずに言い続けて―――結局は老い、そして……死ぬっ!」

俺「―――っ!?」

今のは……気のせいか?一瞬だったが脳裏に、老人の様に年老いたオズマが病室のベットで力尽きたかのような姿が浮かんだように思えた。

ガチャモン「その間際に嫌でも気付くだろうね。今まで生きてきた全てが丸ごと『本物だったことを。人は仮になんて生きていないし仮に死ぬことも出来ない……当然だよね。問題は、その当然に気が付いているかどうか……真に覚醒してるかどうかだよ。それがこの世で成功するか否かの最初の分かれ道なの……連中はそれを初っ端から勘違いしてるから能力以前にダメなんだよ!」

ガチャモンは尚も容赦なく……オズマ達の事を今度は能力以前に駄目だと罵っていた。そして、オズマ達は真に覚醒していないとまで言い放った。

ガチャモン「そう考えればこの崖は荒療治だけど連中が生まれ変わるいい切っ掛けかもしれないね。この修羅………死と相対した本当の『生』を突破できれば、目覚めるかも……頭の霧が晴れる!『再生』の扉が開くのさ……」

アスナ「再生の扉ですって……!?」

モック「ぐほほっ!まあ、最もそれも―――突破できればの話ですがな~」


※ ※ ※


俺とザザ以外の5人が幾度もギブアップを宣言し続けて、強制転移での救済を懇願し続けていたが、結局俺達のこの状況は一切変化する事無く、ガチャモンは俺達を転移させるつもりなど一切ないと言う事が身をもって再確認させられただけだった。

アリウス「ダ、ダメだ!アイツめぇ……僕たちをこの場から転移させる気なんて全然ないんだ―――!!」

バスター「うわ…あ、ああ―――――――!!」

俺「お、おい!」

俺の近くで、突然大きな奇声を上げるバスター。また何かトチ狂って騒ぎ出したのかと思った俺だったが、俺が気が付いた。
バスターの右手が石の壁から離れて、その拍子に完全にバランスを崩し、左手までもが崖の岩から離れてしまったのだった。

バスター「うわぁァァァ――――――!!」

俺「クソが……」

その後は呆気なかった。俺とほぼ同等の高さまで登っていたはずのバスターが、あっと言う間に真下まで一瞬にして落下し、針山地獄の餌食と化したのはあっという間の出来事なのだった。

そして、ハスタに続きバスターが死んだことで、生き残っている俺達にもその恐怖は容赦なく伝染し、新たなる死の連鎖に繋がる事になる。

ディンゴ「わあぁぁ――――!!ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

俺「ディンゴ……騒ぐな!落ち着けよ!」

唐突に意味も無く、ただひたすらディンゴが崖にしがみ付きながら、俺の真下でただひたすら無意味な絶叫をあげまくる。
だが、ディンゴはまだいい方だったのかもしれない。

ミリル「た、助けて……助けておねーさん……リ、リコ、怖いよぉ――――!!」

マリーヌ「く、来るんじゃないわよ!や、止めて――――い、今、あ、アンタに掴まれたら!」

最早まともな判断など出来ていなかったのだろう、最年少の少女、ミリルは一番近くにいた女性参加者のマリーヌに縋るように近寄り、そしてしがみ付くと言う自殺行為どころか道連れにも等しい愚行を実行し、マリーヌの抵抗も空しく……二人の女性参加者は共にそのまま針山地獄に向けて落下していった。


連鎖……止まらない連鎖!まるで、オズマ達の周辺を、死神が徘徊し、心の弱ったものから順に憑りつき、殺していくかのように! by立木ナレ


アリウス「だ、ダメダメだぁ!は、早く登らないと―――――!い、急がなければ、モタモタしていたらお、落ちてしまうから―――あっ?」

急に速度を上げて一気に登り切ってしまおうと決意したアリウスのその決断は仇となり、数メートル上に登った直後に足を踏み外し、手を離してしまったアリウスは、まるで自分でも何が起きたのか分からぬかのように、抜けた表情のまま上空を向いたまま、一瞬にして針山地獄に向けて落下していったのだった。


そして気が付けば……ものの数分で、5人が落下し――残るはオズマ、ザザ、ディンゴの三人のみとなった! by立木ナレ 
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