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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE80 始まる地の底からのロッククライミング・・・最初に脱落する者!

1000万円獲得のために命を張るのは8人の負け犬たち!ガチャモンによる容赦のない叱責を受けて、オズマ達はついに第二回リアルマネーゲーム、『地の底からのロッククライミング』を始めるのであった!

ガチャモン「では、大変長らくお待たせしました!これより30秒後にゲームスタートの合図をするからね。スタートから10秒後には君達が今立っている浮遊する足場も消えちゃうから、モタモタしてると針山地獄に真っ逆さま~!あ、それと途中に何本か、ふと長い黄色い棒があると思うけどさ、それに触ったりしたら電流で感電してほぼ100%落下するだろうからくれぐれも気を付けてね~」

すっかり普段の口調に戻ったガチャモンが、命懸けのゲームを取り仕切っているにしては緩く、軽いノリで最後の説明を終えたのだった。
最早俺達は後戻り不可能、登り切って1000万円を獲得するか、もしくは――――落下して命を失うかのどちらかしかないのだ。

ディンゴ「オ、オズマ君……ほ、本当にこ、このままじゃ、勝たなくちゃし、死んでしまうよ……」

俺「当然だろうが、奴らが作った舞台に上がり込んだ以上、何が起きてもおかしくないんだ……」

ゲーム開始直前になって、泣きそうな声と表情で俺に声を掛けてくるディンゴだったが、今回ばかりは俺もこいつをフォローなどしてられないだろう。
仮にこいつが俺の目の前で落下しそうになったとしてもその時は……気の毒だが自己責任としか言いようがない。

ザザ「今に見てろよ……」

掠れるようなザザのその一言は、ガチャモンとモックに向けられた一言だったのか、或いは病院の跡継ぎの座から一方的に見限った父親に対しての一言なのかは、俺には分からぬことだ。
ゲーム開始までのカウントダウンの数字が減り続けて、そして―――ついにそのカウントが0になった!

ガチャモン「ゲームスタートォ――――――!」

モック「では、我々ははじまりの街の広場でモニターを通しながら皆さんの活躍を見守るとしますかな~」

ガチャモン「君達も急がないと、ボーっとそこで突っ立てる場合じゃないからね、それじゃ、まったね~」

アッサリと転移してその場から消えたガチャモンとモック、そして俺達はすぐにでも崖登りを始めなくてはならない、足場が消えるまでの時間的猶予は既に10秒未満だ。

ザザ「うわぁぁぁっ!」

ディンゴ「い、行った……」

真っ先に足場から飛び出し、崖に張り付いたのは唯一のオレンジプレイヤーにして前回のゲームで100万円の権利を獲得したザザだった。
そして、それに触発されるように、或いはここに突っ立っていては数秒後に針山地獄に落下すると言う逃れられない現実を実感したか、俺を含めた他の参加者たちも次々と宙に浮遊する足場から飛び、断崖絶壁の崖にしがみ付く事になった。
そして、俺達をさっきまで支えていた足場はそのすぐ数秒後に呆気なく消え去ったのだった。

ディンゴ「ひぃ……ひぃ……」

ハスタ「ど、どうしよ……ど、どうすればいいんだよぉ~……」

俺「んなもん――登る以外ないだろ!」

真っ先に崖に飛び移ったザザは既に数メートルは先に登っていた。これは競争ではなく、登り切った者全員が賞金の権利を獲得できるはずのゲームなのだが、今のザザはラフコフ討伐戦の時以上の闘争心、或いは意地を掛けているように見えなくも無かった。


※ ※ ※


一方その頃、第一層始まりの街にある転移門前広場では、ガチャモンとモックが軽い簡易休憩所を作り、そこで二人してまたしても親子丼を食べながら、モニターに映し出されたオズマ達参加者の様子を高みの見物! by立木ナレ

モック「しかしガチャモ~ン。何と言いますか……少し勿体ない気もしますね」

ガチャモン「ほえ?」

モック「ギャンブルとしてはこれ以上とないショーだと言いますのに、今回のデスゲームの出資者であるVIPの皆さんは、アミュスフィアでフルダイブする事無く、ただ独自のネットワーク回線を利用し、パソコンやスマホを通じて眺めておられるだけだなんて……」

モックが今回のリアルマネーゲームのスポンサーとも言えるVIP達が前回のリアルマネーゲームのスポンサーであった成金たちの様にフルダイブせずに、現実世界からオズマ達の様子を眺めているだけである事を惜しむモックに対してガチャモンは―――

ガチャモン「くすす、良いんだよそれでね―――愛でるだけでね。今回のスポンサーのVIPの皆さんは、前回のリアルマネーゲームでバカ騒ぎしてた成金連中とは違うんだよモック」

モック「と、言いますと?」

親子丼を食べながら不敵にそう語るガチャモンに対してその意味を問うモック。 by立木ナレ

ガチャモン「あの人たちはギャンブルだとか、大金を掛けた命懸けのゲームだとか、そんなのはとっくに卒業してるんだよ。あんなのは所詮は……貧乏人のする事だってね―――そうさ、賭けなくたって十分楽しめるのさ、僕にはわかるよその気持ち、人が・・・ 恐れおののきながら不安定な崖を登っていく……泣きながら登っていくのさ……それを安定した場所から見てるだけで充分感じされるんだよ――――安全でいる事の愉悦をね。」

モック「おお~、安全でいる事が愉悦とは―――まさに普段の日常生活を送っているだけでは気が付く事の出来ない愉悦ですなガチャモ~ン」

ガチャモン「それが思いのほか美味でさ、だから賭ける必要なんて無いんだよ。」

モック「成程ぉ……まさに役得ですなぁ~、我々はこうして彼らがくし刺しになる様を高みの見物しているだけで愉悦を感じられると言うわけですか~」

そんなまるで8人の参加者たちが全員死を迎える事を前提とでもしているかのような発言をするガチャモンとモックに対して、始まりの街の転移門広場にいたプレイヤー達は嫌悪とも、恐怖心とも取れる視線を二人に向けるのであった。
いずれにしよ、公然とプレイヤー達の前に姿を堂々と表して寛いでいる二人に声を荒げる物は誰一人としていないのであった! by立木ナレ


※ ※ ※


俺達が命懸けのロッククライミングを開始してから一分ほどが経ったのだろうか?思いのほか、この崖は手を掴める場所、足を引っかけられる場所、そんな岩が出っ張っている部分が多く、今現在は誰一人として落下する事無く、程度の差こそあれど、始まった時点に比べて上に登りつつあった。
そして、今現在一番上に登っているのはスタート時に真っ先に動き出した赤眼のザザでそれに俺が続いている状態だった。

俺「何も考えるな……恐怖心を……いや、ありとあらゆる感覚を麻痺させるんだ……!」

俺は己を律するように、そう小さく口ずさんでいた。上に登る事だけを考え、心の奥底に潜む恐怖と言う最大の敵を抑えるように登る……それは恐らく、他の連中も同じなんだろう。


そして、そんな無言で崖を登り続ける参加者たちの有様は全プレイヤーが、そしてガチャモンとモックが見ているのである! by立木ナレ


ガチャモン「さてと、もう何時限界が来てもおかしくない……まやかしの奮起や覚醒なんて所詮ここまでになるさ」

モック「ぐほほ、私にも分かりますですぞ!連中の恐怖心が今に暴発する寸前と言うわけですな~」

ガチャモン「もうすぐ開くよ、魔物を招いての宴の扉がね……人は生まれながらにして、心の中に魔物を飼ってるんだ、普段は心の奥底の扉に鍵をして、忘れようとしてるけど……鍵も扉も所詮は無力さ、あっと言う間にこじ開けて現れるのさ―――死という名の魔物がね!全てを握りつぶして台無しにする……圧倒的に逃れる事が出来ない、絶対的に逃れる事が出来ないんだよ」


そして、ガチャモンの言葉通り、既に崖を登っているオズマ達には変化が現れていた……そしてそれはオズマとて同様!死の恐怖と言う魔物は、容赦なく8人の負け犬たちに襲い掛かるのである! by立木ナレ


俺「くそ……どうなってんだよ!」

失敗しても生き残る可能性が残されている状況下であった前回と、失敗すれば確実に死ぬしかない今回―――たったそれだけの違いで何かが決定的に違うと言わんばかりに、俺の精神は死への恐怖心に追い詰められているのをまざまざと実感せざるを得なくなっていた。

俺「登れ……早く登るんだよ……!」

こんな風にモタモタしてたら、登り切る前に落ちるだろ!なんだってんだ……?今まで命懸けのフロアボス戦やらラフコフの討伐戦とかの修羅場を散々潜り抜けて来たってのに、こんな崖登り位で何を今さら死ぬかもしれないとか怯えてるんだ俺は?

ディンゴ「は、はは……オ、オズマ君……た、ただの崖を登るげ、ゲームなんかじゃ、ないよ……」

下から聞こえてきたのはすすり泣くような声をあげながらのディンゴの言葉だった。奴も既に始まって数分のこの段階で、死への恐怖心により、精神を覆いつくされそうとしているようだった。

俺「止めろ……泣き言なんか言ってどうするんだ?」

俺は自分自身、心中では泣き言を漏らしたい衝動にかられながらも、ディンゴに対してはそう叱責していた。

俺「何を話したところで……今更そんな事で泣いたところで状況は変わらないんだ……!」

ディンゴ「け、けど―――」

まだディンゴが俺に対して何かを言おうとしたが、その先の言葉を口にする前に、更に大きなハスタの悲鳴が全てを遮る事になるのだった。

ハスタ「うわあぁぁぁ―――――!!風だ……風だぁぁぁぁぁぁぁ!!」

ザザ「か、風だと……?」

俺「冗談じゃねぇぞ!こんなところで風に煽られでもしたら――――?」

だが、俺は直ぐに気が付いていた。ハスタがあまりにも大声で風が吹いたとか喚くので一瞬、その場で身を固めていたが、すぐに気が付く、風など全く吹いていない事に。

ザザ「んだよ……風なんて吹いて……ねぇだろ」

ディンゴ「あ、ほ、本当だ……吹いてないよ……ね?」

そうだ、風なんて拭いてないんだ。単なる錯覚に過ぎない、余計な恐怖心に惑わされているから、そんな気分に陥っただけだ、少し冷静になるだけでそんなのは単なる錯覚だと気が付くはずだった。

そう、8人中7人はそれが錯覚だと気が付いた―――

ハスタ「風に……風に飛ばされるぅぅ――――!た、助けてぇぇぇぇ!!」

マリーヌ「な、何言ってんのよアンタぁ……」

バスター「わ、喚いてんじゃねーよデブ!風なんて吹いてねーだろ!」

吹いてもいない風にパニック状態を起こし始めたハスタに対してマリーヌがその恐怖心のみが伝染したかのように、震えた声を漏らし、バスターは自分の動揺を叩き散らすようにハスタに対して怒鳴っていた。
だが、一度始まったハスタの妄想の風は収まる事を知らなかった。

ハスタ「助けて!助けて!助けて助けて助けて助けて助けて助けてぇぇぇぇぇ!!」

俺「―――!ま、まて……それに触るな!」

俺は自分より下で喚いているハスタが、右手で黄色いふと長い棒を―――恐らくガチャモンが言っていたはずの、触ると電流が流れる帽に手を伸ばしている事に気が付き声を上げていた。
だが、妄想の風に煽られ続けて、何かしっかりと確実に掴まれる何かを求めているハスタに俺の声はもう届いていなかったのだった。
その右手は呆気なく、救いを求める右手は黄色い長い棒をガッシリと掴み、その瞬間ハスタはようやく自分は救われたんだと言わんばかりの穏やかな表情を浮かべたのだったが―――それもほんのコンマ一秒の事だった。

ハスタ「うわぎゃぁぁぁぁぁ!!」


電撃棒の仕掛け作動!ガチャモンからあれほど触れば感電すると警告された黄色い棒を掴んだハスタは当然、その全身に電撃が走り続ける!
溜まらず棒を離したハスタは電撃から解放されはしたものの、その力を失った身体を支えるものは何一つなく、彼はそのまま針山地獄が待ち構える暗闇の底へ真っ逆さまに落下したのであった! by立木ナレ 
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