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戦国異伝供書

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第十一話 退く中でその十一

「門徒達が動いたらな」
「攻めますか」
「そうしてですか」
「そして一揆を鎮圧しますか」
「そうしますか」
「そうじゃ、それでじゃ」
 だからだというのだ。
「若し何かあっても収めるぞ。そして近江は延暦寺もあるが」
「近江ならばですな」
「浅井殿がおられますし」
「あの方にも動いてもらいますか」
「猿夜叉がいてよかったと思うぞ」
 その時が来ればというのだ。
「まさにな」
「ですな、確かに」
「あの方がおられるとです」
「近江は安泰です」
「それだけの方です」
「今小谷の城は再建しておるが」
 先の戦でかなり焼かれたがだ。
「しかしな」
「それでもですな」
「浅井殿と軍勢は健在ですので」
「だからこそ」
「いざという時は」
「そうじゃ」
 だからだというのだ。
「猿夜叉にも話しておく」
「では」
「猿夜叉殿に文を送られますか」
「殿が」
「そして竹千代でもじゃ」
 その彼にもというのだ。
「今のうちにな」
「文を送られますか」
「あの方についても」
「用心の為に」
「そうしておく、しかしここで一石でも投げられれば」
 その時はというのだ。
「それこそじゃ」
「本願寺と我等は」
「即座にですな」
「戦になる」
「そうなってしまいますか」
「我等も今気を張っておるが」
 本願寺への政にとだ、信長は述べた。
「しかしな」
「それはですな」
「本願寺も同じですな」
「あちらも」
「左様ですな」
「そうじゃ、双方そうした状況ならじゃ」
 気を張っている、即ち警戒しているならばというのだ。
「少しでも何かあるとな」
「戦になる」
「そうなりますか」
「穏便に済ませようとも」
「そうなってしまいますか」
「そしてそうなるとな」
 一旦だ、そうなるとというのだ。
「後はな」
「戦ですな」
「当家の領地の多くと三河まで巻き込んだ」
「そうした戦になりますな」
「まさに血みどろの」
「そうなる、若しその中で武田や上杉、毛利と戦になれば」
 信長はその場合のことも危惧して述べた。
「余計に厄介じゃ」
「外の諸大名と戦いつつ」
「内の本願寺ともなると」
「余計にですな」
「厄介なことになりますな」
「そうじゃ、だからあの諸勢力への備えもしておこう」
 今のうちにというのだ。
「具体的には美濃の東、播磨、そして越前じゃな」
「その三国にですか」
「備えを置きますか」
「そうしますか」
「あと山陰と瀬戸内にもじゃ」
 この二つの場所にもというのだ。 
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