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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE79 負け犬の参加者たち・・・金は命よりも重い!

第二回リアルマネーゲーム、地の底からのロッククライミング!高くそびえ立つ断崖絶壁を見上げるプレイヤー達の目の前にガチャモンとモックが出現し、詳細説明が開始される……by立木ナレ


ガチャモン「さてと、まず最初に言っておくとね、この第二回リアルマネーゲームは、負け犬の人生を救済するチャンスを与える意味があるんだよ」

ザザ「負け犬……だと?」

ガチャモンが口にした負け犬の人生を救済するチャンスという言葉の意味、まず負け犬に付いてだが、それはおそらく――――

俺「俺達の事を意味してやがるのか?」

モック「ぐほほっ、そりゃ勿論ですとも!貴方方8人が参加者に選ばれた理由―――それは皆さんが参加希望者達の中でも、特に現実世界で救いようのない、負け犬人生真っ只中の8人だったからですぞ~」

モックがゲラゲラと笑いながら俺達8人に対して容赦なく負け犬人生真っ只中と嘲笑し侮蔑する。無論、その言葉は俺達8人の中から反抗心を剥き出しにする者たちを煽る言葉だった。

「ああん!?誰が負け犬だコラァ!適当な事抜かしてんじゃねーぞテメーら!」

見るからに不良少年と言った感じの風貌の参加者が真っ先に顔を真っ赤にして怒りをあらわにして食いかかっていた。
だが、ガチャモンとモックはそれに対して全く怯む様子を見せず、小さなため息をついてから嘲笑するように言った。

ガチャモン「強がるよねぇ~、リアルでは所属してる不良グループの一番の下っ端の使いっパシリでさ、見た目と態度だけで喧嘩も弱っちいからグループ内じゃ使いっパシリや万引きの際の囮役とか損な事ばっかりさせられてるって恥ずかしくて誰にも言えないよねぇ~――バスター君?」

バスター「て、てめぇ……!!」

バスターと名前を呼ばれたその不良少年の反応はまるで、ひた隠しにし続けていた自分の弱み、弱点を鋭く抉られたかのような狼狽えようだった。
そしてガチャモンは次に、メガネを掛けた小柄な参加者、ディンゴの方に顔を向ける。

ガチャモン「悲惨だねぇ~……勉強も運動も落ちこぼれで、一番の趣味のゲームですら大してうまくない上に、学校じゃ周囲からのび太何て言うあだ名を付けられて、笑いものでいるのが君の日常なんだよねディンゴ君?」

ディンゴ「そ、それは……」

さらにガチャモンは、今度は小太りで顔のそばかすが目立つ青年参加者の方を振り向き、容赦のない指摘を続ける。

ガチャモン「20代後半で童貞、彼女いない歴=年齢……くすす、本当は彼女作りたいのに、その冴えない容姿と人付き合いがダメなせいで、初対面の女性から尽く引かれちゃってさ、君が女の人と付き合うには―――お金持ちになるしかないよね、ハスタ君」

ハスタ「や、やめてくれよ!ぼ、僕は彼女を作れないんじゃなくって、出会いが無いだけなんだ!」

ガチャモンの指摘に対して、ハスタと呼ばれた小太り男は典型的なモテない男にありがちな言い訳を必死に口にするが、ガチャモンは直ぐにハスタを無視して今度はハスタとは対照的に、長身痩躯の長髪で、爽やかで清潔感のある青年参加者の方を振り向いた。

ガチャモン「アリウス君……君はSAOが始まった時点で大学4年生だったけどさ、高望みばっかりしてるせいで就職活動は40社連続の不採用、内定一つも取れずに卒業控えてて、ニート寸前じゃないか~」

アリウス「だ、黙れ!ぼ、僕は自分の能力を生かせないような中途半端な企業には興味が無いんだ!」

端正な顔を歪ませてガチャモンに対して声を荒げるアリウスだったが、ガチャモンは軽くスルーして今度はボサボサの黒髪で目のクマの目立つ女性参加者の方を振り向いた。

ガチャモン「対人恐怖症なのかなマリーヌさんは?大学を3カ月で中退して学生寮からも出て、実家で無職の引きこもり生活でさ、何時両親から出て行けって言われるのが怖くて怖くて、毎日不安な日々だったんだよね?」

マリーヌ「そ、それが何なのよ!わ、私がど、何処で何してようと―――わ、私の勝手だわ!」

そして、ガチャモンは同じく女性プレイヤーの、だが……年齢はこの中で断トツで最年少の、俺よりも数歳は年下に見えるツーサイドアップの髪形の少女の参加者にその顔を間近まで近づける。
それだけでその少女は目から涙をこぼしていた。

ガチャモン「ミリルちゃんだっけ~?君には悪気はないんだろうけどさ、間延びした喋り方やおっとりした振る舞いがクラスの女児達からの反感を買うばかりか、担任の女性教師からも疎まれてクラス内で完全に孤立状態、それを改善する気もゼロなんだよね?」

ミリル「リ、リコ……悪くないもん!リコはなんにも悪い事してないのに、皆がリコを虐めるのが悪いんだよ!」

恐怖と悔しみからか、目から涙をボロボロとながしながら、恐らく自身の本名であるリコと言う一人称を口にしながら懸命にガチャモンに対して言い返すミリルだった。
そして、ガチャモンの向ける視線は遂に俺にその対象を変えていた。

ガチャモン「オズマ君は何処までもクズとしか言いようがないよ。小学校卒業以来、全然学校に通わないでさ。たまに地元で日雇い労働したり、年齢を誤魔化して短期のバイトをする程度で一年の大半をダラダラと遊び惚けて過ごして……未成年の癖にゲーム以外の趣味はお酒、たばこ、ギャンブルに女遊び何て、その癖大金は欲しい、スポーツカーが欲しいとか思ってる割にはそれを実現するために努力を重ねる様子は全くないときたもんだから、望んでるだけでそれを得る努力をしないクズだよ君は!」

俺に対して二度、クズと罵倒し嘲笑うガチャモンに対して俺は軽い含み笑いを見せてから言い返す。

俺「当然だろ。望むのは俺の勝手さ、大金が欲しい、車が欲しい―――だが、それはあくまで大した苦労や継続した努力をしないで手に入ればの話だ。いくらほしいものの為とは言え、その為に一日の大半を勉強だの仕事だのと、そんな忙しくて、息苦しい生活に耐えるくらいなら、高望みしないで堕落した心地いい生活に甘んじてる方がよっぽど俺にとっちゃ幸せなんでな」

ガチャモン「成程ね、まさに君は長期にわたる努力の先に得る大きな成果よりも、目先の小さな快楽や欲に浸る事を迷わず選ぶクズでいつづけるって事か」

ガチャモンは最後に、参加者唯一のオレンジプレイヤーの赤眼のザザの方を振り向いて、軽い微笑と共に言った。

ガチャモン「皮肉ですなぁ~、大きな病院の院長の長男だって言うのに、君自身は生まれつき病弱で、そのせいで跡継ぎから早々に見限られたばかりか、そのしわ寄せが君の弟の―――」

ザザ「だまれぇぇぇぇ!!」

ガチャモンが話している途中に、ザザは今までに上げたことの無いような、喉から絞り出したような絶叫を喚き散らして話を遮ったのだった。
ザザが大病院の院長の息子だとか、生まれつきの病弱だとかの話には意外性を感じたが、それが前回も今回も奴がリアルマネーゲームに参加した理由と何か関係があるのあろうか?


ガチャモンは参加者8人をあくまで人生の負け犬たちと侮辱したまま、ゲームの本格的な詳細説明に入った。
8人にとって幸いだったのはこの時点では参加者以外のプレイヤー達にその様子が中継されていなかった事であろう。
そして、この瞬間を持って参加者以外のプレイヤー達はガチャパットを通じリアルマネーゲームの様子を観賞する事が可能となった。 by立木ナレ




ガチャモン「ゲーム開始の合図と同時に皆にはこの崖をよじ登って、頂上のゴールを目指してもらいます。尚、君達と僕たちが今立っているこの足場なんだけどね、ゲーム開始の合図から10秒後に消滅するからね」

ディンゴ「な、えぇ!?」

俺達が今立っている、つまり俺達を今支えているこの足場がゲーム開始からわずか10秒後に消える、その言葉を聞いて、プレイヤー達の間に悪寒が走っていた。
そして、俺達のそんな不安を楽しむかのように、今度はモックがおどけた態度で説明を続ける。

モック「そして、この橋の下は真っ暗な暗闇に覆われて良く見えませんのでどうなってるのか気になってますですよな~?ガチャモン、そろそろネタ晴らしでよろしいのではないのでしょうか?」

ガチャモン「オッケー!それでは皆で橋の下に注目、暗闇を取り払いまーす!」

俺達は一斉に暗闇に覆われて全く見えなかった橋の下、つまり崖から落ちた先の光景をこの時初めて目の当たりにする事になった。

マリーヌ「な、な……なんなのよぉ……!」

ボサボサの黒髪女性プレイヤーのマリーヌの慄く声が、その有様に対する感想だった。暗闇が消えると同時に、その下に見えた光景は、無数に並ぶ巨大な針の数数だった。
つまり、俺達がこの崖を登っている最中に落下でもしてしまえば、盛れなくこの針の山にくし刺しになると言うわけだった。

モック「ご安心を!このゲーム中に限り、参加者の皆さんのステータスは全員一律に平均化されておりますので、レベルが低い人だけが不利を強いられるなんて事はございませんですぞ~」

ハスタ「ま、待ってくれよ!」

申し訳程度のフォローをするモックに対して小太りの参加者であるハスタが半泣きの状態で手を上げて意見を申し出る。

ガチャモン「はい、なにかなハスタ君?」

ハスタ「ぼ、僕たちが今立ってるこの橋……宙に浮いてる足場はゲームが始まってから10秒後に消えるんだろ?」

ガチャモン「うん、さっきも説明した通りだね」

ハスタ「そ、そんな状態で、も、もし……壁の岩を掴み損ねて落下でもしたら……か、確実に全身くし刺しって事じゃないか!」

ガチャモン「そうそう、まさに針山地獄にいっちょくせ~ん。君達には命綱無しで、この断崖絶壁を登って天辺を目指してもらうからね」

ハスタ「い、命綱無しって……」

あっけらかんとした様子で残酷な事を口々に軽いノリで説明し続けるガチャモンに対して、不良少年のような風貌のプレイヤーのバスターが痰を切ったように声を荒げたのはその直後だった。

バスター「ざっけんなぁ!馬鹿にしてんのかテメェ!!こ、こんなところを命綱無しで登れだぁ……?しかも崖の下は針山地獄だぁ……?こ、こんなの、し、失敗したら……絶対に死んじまうじゃねーか!!」



そう、このゲームはクリアしなければ確実に死!すなわち参加者8名はゲームをクリアして1000万円を獲得するか、クリアできずにこの場で命を落とすか、その二つのどちらかしかあり得ないのである!
まさに天国か地獄!前回のようなクリアできぬとも命びろいはするなどと言う、中途半端な生還の仕方は許されぬゲーム!そして、参加者数人がこの過酷なゲーム条件に対して怒りの声を口々に荒立てるのに対し―――久々にガチャモンが、ガチャモン節を炸裂! by立木ナレ



ガチャモン「失敗したら死ぬ……そんなの、当然だろうが」

バスター「なに……!?」

唐突に見せたガチャモンの剣幕に真っ先に声を荒げた不良少年風のバスターも一瞬にして押し黙らされていた。
その姿は、第一層で、デスゲーム開始から一週間後に現れた際に大勢のプレイヤー達を一喝した際に見せた姿だった。

ガチャモン「安くはないんだ!1000万円って言う金額は……勘違いするな若造共めらが!」

これも第一層で初めて俺達の前に姿を現した時と同じ状況だった、ガチャモンのたまに見せる異様な迫力を前にすると、プレイヤー達は一切の反論も出来ぬまま押し黙らされる。

ガチャモン「世間の大人どもが本当のことを言わないなら僕が言ってやるっ……!金は命より重い……!そこの認識をごまかす輩は生涯地を這う……!!」


金は命よりも重い!!その言葉は、安易に参加者たちに対して、お前たちの命の価値は、1000万円と言う大金に遥か劣ると言う意味を含んでいた! 完全に強張り、無言と化した参加者たちに対し、ガチャモンの更なる弁舌が炸裂する by立木ナレ

ガチャモン「好む好まざるにかかわらず、人は金を得るために、その時間、人生の多くを使っている。いいかえれば自分の存在、命を削っている。存在そのものを『金』に変えているんだ。つまり、人は皆、サラリーマンだろうと公務員だろうとフリーターだろうと命がけで金を得ている。気がついてないだけなんだよ……極端に薄まってるから、その本質を多くのものが見失ってるだけなんだ」

一見すると、極論にしか聞こえないガチャモンのそんな言葉に、俺達は完全にガチャモンのペースに飲まれて黙って聞かされ続けるばかりだった。

ガチャモン「想像してみなよ。何も築いてこなかった君らに、どこまで想像が届くかわからないけど想像みな。いわゆるレールの上を行くエリートたちの人生を。君らのようにボォーっとしちゃいないよ。小学中学と塾通いをし、常に成績はクラスのトップクラス……有名中学有名進学校と受験戦争のコマを進め一流大学に入る」

それは、俺にとってまるで現実離れした別世界の話だ、まさにあり得ぬ人生。塾何て言った事など一度も無いし、行きたいと思った事すらない、そもそも学校自体、小学校を卒業してから一度だって行ってすらいないんだ。小学校の頃の成績だってトップクラスどころか常に下から数えた方が早く、それが当然の事で改善する気などあるはずなど無かった、ましてや受験戦争なんて言葉は聞く事すら鬱陶しい。

ガチャモン「入って3年もすれば今度は就職戦争……頭を下げ会社から会社を歩き回り足を棒にしてやっと取る内定、やっと入る一流企業。これが一つのゴールだが、ホッとするのも束の間すぐ気が付くレースがまだまだ終わってないことを……」

就職何て俺には無縁の話の賜物だろう。なにせ、短期のバイトや日雇いの仕事を機が向いた時にだけやってるだけだ。
定職に就くなんて―――そんな事間違っても仕出かした日には、毎日のようにその仕事に縛り付けられるなんて溜まったもんじゃない。

ガチャモン「今度は出世競争、まだまだ自制していかねばなくちゃならない。ギャンブルにも酒にも女にも溺れず仕事を第一に考え、ゲスな上司にへつらい取り引き先にはおべっか遅れずサボらずミスもせず―――毎日律儀に定時に会社に通い残業をし、酷いスケジュールの出張もこなし、時機が来れば単身赴任」

ギャンブルも酒も女遊びも無い人生だと?―――バカな、どんだけ仕事で成功しようが、どんだけ高い給料をもらってようが、その三つが無いなんて、その時点で俺にとっては生き甲斐の大半を失ってるも同然だ。

ガチャモン「そんな生活を10年余続けて気が付けばもう若くない30台半ば、40―――そういう年になってやっと蓄えられる預金高が1000万円って言う大金なんだ」

冗談も大概にしろって話だ、そんな生活を10年余りだと?そんな生活10年どころか10日間だって続けられるか大いに怪しいもんだ。
余りにも極論過ぎる弁舌を繰り広げるガチャモンに対して俺は心中、毒を吐き続け、その間にもさらにガチャモンの説教染みた弁舌は続く。

ガチャモン「分かってんの?1000万円は大金…大金なんだ!世間一般の道、つまり命を薄めて手に入れる場合はこれだけのことをしなければならなんだ!それに比べ君らはなんだよ?必死に勉強したわけでもなく、懸命に働いたわけでもない。何も築かず、何も耐えず、何も乗り越えず、ただダラダラと過ごし、やってる事と言えば 四六時中、24時間ぶっ通しでのVRゲーム―――なめるなっ!あんなもので1000万円っていう大金が手に入るもんか!」

そもそも俺達が24時間ぶっ通しで四六時中VRゲーム漬けなのは茅場のせいだ、それで働いてないだとか、勉強してないだのと言われたところで、俺達にどうしようもないに決まってるだろうに。まあ、仮にSAOに閉じ込められてなくても、俺の場合は、懸命に働くだとか、必死に勉強するだとか、そんな事は到底あり得ないわけだが。

ガチャモン「君等のように 継続した努力が出来ない連中は 本来大金なんて夢のまた夢、それでも手に入れたい、どうしても手に入れたい、となったらこれはもう命を張る以外ないっ!当然さ、君等は10年15年いう歳月で薄めず、たった1日で分不相応な 大金を手に入れようというのだからね」



金は命よりも重い―――ガチャモンはその理屈を8人の負け犬たち大して容赦なく、的確な根拠を交えた説明をしながら言い放つ……圧倒的弁舌を前に負け犬たちなどはガチャモンの敵ではなかったのである! by立木ナレ 
 

 
後書き
今回のガチャモンの説教は知っている人はご存知の通り、カイジの利根川が鉄骨渡りの直前に参加者たちに対して口にした説教そのものです。 
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