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龍天使の羽撃き

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11

「おー…今のは危なかったな」

「今の灯俊君の回避って頭おかしいとしか言えないんだけど…」

「ヴォジャノーイとキリトは頭おかしいからね。仕方ないよ」

MSハンガーでキリトとヴォジャノーイの戦闘を見守るリタイア組。

カトラス、リーファ、ユージオだ。

「アスナ先輩の剣もすごいね。片腕だって言うのにサンディちゃんのヘルメシエルと競り合ってる」

「パリング上手いなぁ…あー…くそっ…あの腕がありゃぁ、『最巧』の二つ名も当たり前だよなぁ…」

「葵ちゃんってなんで負けたの?
私は林檎ちゃんと蜜柑ちゃんの連携でおとされたけど…」

「ああ、バエル・ゼブルの胸の全く同じ場所に何回もビームライフル当ててきたんだよ。
ほんっと頭おかしいよな…」

「はは…僕は不意討ちでメティちゃんのドッズランスで貫かれたよ」

ブルーローズは援軍にきたライトニングに貫かれ、撃墜された。

「あー…ありゃぁ仕方ない。ライトニングの真骨頂はその名の通り稲妻並の早さだからな。
不意打ちで狙われたなら誰だって落ちる」

その口振りは、自慢気だった。

「ところであの新人は?」

「ケルディムの中でログ見てるよ」

リーファが<REPAIR>の表示が出ているケルディムを指差した。

カトラスとユージオはケルディムをチラリと見て、ライブ映像に目を戻す。

「あ、ヴォジャノーイの機体が戻ってく」

「あー、敗けだなこりゃ」












「だぁぁぁ!? ここで切れるか普通!?」

カンヘル・クレアードの装甲が赤から銀へ戻る。

『ははっ! トランザムにしてはよく持った方じゃないか!』

「まだだ! まだNTDとナイトロがあるっ!」

白光と蒼炎を散らしながらノワールにGNソードⅤを振り下ろす。

が、しかし…

『随分遅くなったなヴォジャノーイ!』

トライングシステムのスピードに慣れたキリトからすれば、遅かった。

「くっそ…! 無茶苦茶な野郎だ!」

普通、知覚出来ても機体を動かせはしない。

「いいぜ! やってやんよぉ…!
見よ! 龍天使の威光を…!」

カンヘル・クレアードのサイコフレームの色が白から緑へ。

「【心意:TRANS-ActMax】」

『あ! おいズルいぞ!』

周囲に散ったGN粒子がカンヘルへ集束する。

再び赤みを取り戻すカンヘルの装甲。

「ははっ! ははは! はははは!」

赤く染まったGNバスターソードがインカーネイトの左腕を切り飛ばす。

『くそっ…【心意:エリュシデータ】!』

インカーネイトの剣が光を纏った。

カンヘルがGNバスターソードを構え、二撃目を振り抜く。

インカーネイトはそれにあわせてエリュシデータを振るう。

<絶対切断>の概念を纏った一撃。

バスターソードとエリュシデータが打ち合った瞬間、バスターソードが砕けた。





ように見えた。

『奇術師かお前は!』

「GNバスターソードの特性を忘れてたアンタが悪い!」

砕けたかと思われたGNバスターソードは六本のビットと一本の剣に別れていた。

インカーネイトにビットが迫る。

あと少しでビットがノワールを貫く。

が、ビットがそこで動きを止めた。

「?」

『?』

突然ビットが制御を受け付けなくなった事に困惑するヴォジャノーイ。

唐突に攻撃が止まった事に疑問を覚えるキリト。

答えがわかったのは、カンヘルの各部が爆発を起こした時だった。

「ゥヲイ!?」

各関節、腕部ビームサーベル。

その次に爆発したのは……

四基のGNドライヴだ。

『心意で無茶をしたツケが回ってきたみたいだなぁ…!』

「え!うそっ! やっ!待て!待ってくれキリト!
お前こんな勝ち方でいいのかっ!?」

『え? あぁ、うん』

どすっ、とインカーネイトの剣がカンヘルのコックピットを貫いた。

「FA〇KING F〇CK !!!!」

〔WINNER <MONOCHROME-KNIGHT>〕

ヴォジャノーイの罵倒とウィナーアナウンスが響いたのは、同時だった。











MSハンガー

「俺は認めねぇぞオラァ!」

「負け惜しみかヴォジャノーイ?」

「キルスコアこっちが勝ってんだろうがオ"ォ"ン"!?」

「リーダーが落ちたら負けってルールだっただろ」

「じゃぁここでおとしてやんよ!」

キリトに殴りかかろうとしたヴォジャノーイだが、メティとサンディに引っ張られて行った。

「ウチのバカがすまんな和人先輩」

「いや、かまわないさ。今日は楽しかったよ。
またバトルしようって灯俊に言っといてくれ」

「あいよ」

四人はヘルメシエルとライトニングに分乗してインダストリアル7に帰るのだった。
 
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