| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

FILE76 ラフコフ討伐戦 決着

願わくば、無血投降の成功を祈って――――が、どう言うわけか攻略組の討伐作戦の情報が漏れていたのか、ラフィン・コフィンは自分たちのアジトを強襲しに現れた討伐隊に対し、背後からの不意打ち!
当初の目論見は大きく崩れ、攻略組の有志によって結成された討伐隊は翻弄され、ラフィン・コフィンと血みどろの争いに発展したのであった!


「ふぎゃっ!」

俺「そこで大人しく痺れてな!」

俺の納刀術ソードスキルの不殺蓮千撃により、ラフコフの刀使いはHPバーをレッドゾーンの状態で生き延びたまま、麻痺の阻害効果(デバフ)を食らい、床に倒れて痺れていた。
討伐隊は当初かなりの混乱に見舞われたものの、突発事態への対応力こそ、攻略組にとって重要とされるため、すぐに体勢を立て直した俺達は反撃を開始していた。

オックス「ふははっ!所詮は自分よりも弱い者を相手に手に掛けてきた連中かぁ!まるで話にならんわぁ!」

「テメェ――ぐはっ!」

聖竜連合のタカ派とでも言うべき男、オックスの両手剣がラフコフの一人の身体を頭上から縦に垂直に斬り付けて、HPバーを大幅に削り、敵を圧倒的に組み伏せる事にまるで快感を得ているかのように高笑いをあげていた。

アスナ「もう少しだわ!やっぱり人数も平均レベルも私達が上だわ!充分制圧可能よ!」

レイナ「……敵の平均残りHPは既に当初の半分以下だわ」


アスナが指摘した通り、当初の苦戦と混乱を乗り越えた討伐隊はラフコフを追い詰めて、追い詰めて、追い詰め続ける!気が付けばラフィン・コフィンの面々は袋の鼠!
ラフコフ側のメンバーの大半は既にカーソル下に表記されているHPバーが注意域のイエロー、或いは危険域のレッドゾーンと化しており、討伐隊リーダーのシュミットを始め、今度こそラフコフの降参は時間の問題であろうと考えていた!

だが、ラフコフと討伐隊の間には、シュミットやアスナも思いもよらなかった決定的な差が存在していた!それは殺人への忌避感の有無!
言うまでも無く、攻略組の有志によって結成された討伐隊にデスゲームと化したソードアート・オンラインにおいて、PKの経験がある者などは、レイナなど、ごく一部の例外を除き皆無に等しく、それはラフコフに対して殲滅、根絶やしを豪語していた聖竜連合のオックスですら例外ではなかった! by立木ナレ


オックス「どうした?もう立ち上がる気力すらないかクズが!」

曲刀使い「…………」

床に伏せ、フードの奥から除く目の奥底からオックスを睨み付けるラフコフの男であったが、そんな姿を見てオックスは嘲笑しながら罵った。
オックスのHPが未だに6割近いグリーンゾーンを保っているのに対し、対峙しているラフコフの曲刀使いのHPは既に3割のレッドゾーン。
どちらに分があるかは見るまでも無く、オックスも自らの圧倒的優位を確信しての態度であった。そして、そんなラフコフの曲刀使いを見下ろしながら、オックスは更に高慢な物言いでこう言った。 by立木ナレ


オックス「クズの命など幾ら潰えようがまるで問題ない!だが―――クズはクズなりに生き延びる努力でもしてみたらどうだ?」


これではどちらが悪役なのか分からないだろう――――と、そんな感想を複数の討伐隊メンバーに抱抱かれつつも、オックスは徹底的に上から目線の態度で言い放つby立木ナレ


オックス「クズに相応しく……見苦しく、見っとも無く、そして無様に懺悔するがいいわ!もはや貴様のような何の価値も意味も持たぬクズが生き延びる唯一の方法だろう……さぁ、始めるがいい―――」


ところがであった、そんな思い上がった態度を取り続けて、すでに敵が襲ってくることなど考えもしていなかったオックスに対して、それまで床に伏せていた曲刀使いは素早く立ち上がると、油断しきっていたオックスに対し、死に物狂いの渾身の一撃のソードスキル、レイジング・チョッパーによる踏み込みからの三連撃を放ち、更に……突進しながらの突きをお見舞いしたのであった! by立木ナレ


オックス「き、貴様ァァァ!!この俺が貴様風情の地を這うクズ如きに生かすチャンスをくれてやったと言うのに、何のつもりだぁぁぁぁ!!」

俺の耳元に、そんなオックスの恐怖と怨嗟が入り混じったような雄叫びが響き渡って来ていた。一体何事かと思いながら、一瞬オックスの方に目を向けてみると、いつの間にか奴のHPバーはレッドゾーンにまで減少していたのだった。

レイナ「……何かおかしいわ、追い詰めてるのは私達なのに……討伐隊側に動揺が広がってる」

俺「無理もねぇよ、どんだけ追い詰めたところで……実際に相手がどんな奴であれ、本当に殺せる奴なんてそうそういねぇんだ……」

それは、俺自身にも当てはまる言葉でもあった。ラフコフのメンバー達は既にHPバーがイエロー、レッドの状態の者達ばかりという状況下にありながらも降参する様子がまるでなく、それによって討伐隊の多くの者達が、オックスを含めて動揺に繋がっていた。

レイナ「……けど、その状況が起こり得る事は、事前の話し合いでもあったはず……そして、その場合は――」

俺「分かってる、敵のHP全損もやむ無しだったからな」

そのはずだったが、結局の所俺を含めて、実際に虫の息に等しい、HPバーが赤く染まった状態の相手に対して、とどめの一撃を下す覚悟をしていた者は殆どいなかったわけだった。
レイナのその無表情で冷静な眼差しは、既にこうなったら自分が片っ端から弱ったラフコフのメンバーに止めを刺していくこともやむ終えないと言った雰囲気を漂わせていた。

キリト「お、おいッ!何をやってるんだ―――!?殺されるぞぉぉ!」

そこに今度はキリトの大声だった、その声の方を見てみると、キリトの側で戦っていたであろう討伐隊の一人が、あろう事か剣を捨ててしゃがみ込む有様だった。
そして、そんな自らの命を捨てるに等しい行為を見て、嬉々としてその首を狙うのは、俺のよく知っているウサギマスクの小娘だった。

ミリー「はーい、お望み通り首ちょっきーん!」

俺「――――!!ま、待て、ミリー!」

ラフコフの最重要構成員である少女の首狩りのミリーは、戦意を喪失した討伐隊の男を背後からその首を短剣の速攻の一撃で切り落とした、しかし状況が状況だからか、或いはその男の首に興味が無かったからなのか、普段の様に切り落とした首をオブジェクト化する事はなく、斬られた首も、残った胴体もその場で青いポリゴンと化し消滅したのだった。
そして、ミリーは直ぐに俺の方に視線を向けると、グロテスクなウサギマスクで隠れた顔は恐らく嬉しそうに笑ってるんだろうとイメージできる声を上げる。

ミリー「あ、イケメン発見!やっぱりコレクションするならイケメンの首じゃなくっちゃね……オ~ズマぁ~?」

俺「何べんも何べんも……ガキの御守りも何度もやってると、腹が立ってくるんだな……!」

レイナ「……オズマには……手を出させない!」

ミリーの他にも二人のラフコフの直轄の配下と思わしきプレイヤーが待ち構えていた。ミリーを含めて、戦意を失う様子はまるで皆無だった。
そして、その時だった―――

オックス「こ、この……お、俺がぁぁぁ!!」

ジョニー「ワンキール!早くやっちゃわないからだぜ全くネェ~」

オックスの叫び声が聞こえた頃には、奴の身体は青いポリゴンと化し四散し、消滅したところで、いつの間にかオックスがいた場所には、ラフコフの毒使いの幹部プレイヤーのジョニー・ブラックが高い声ではしゃぎながら、大きなナイフを突き立てていた所だった。

キリト「これ以上やらせるかぁぁぁぁ!!」

「ひぃ――――」

キリトのタガが外れたような雄叫びと、一瞬だけ聞こえて、すぐに消えた悲鳴から俺は、キリトが他の討伐隊の命を奪おうとしていたラフコフのメンバーを手に掛けたのだろうと、薄々と察したのだった。
そして、その直後に聞こえたのは、討伐会議の時にはラフコフの連中を改心させることを愚直に望んでいた血盟騎士団の女プレイヤーだった。

イオナ「死ね!死ねぇ!あ、あんた達が―――あんた達が悪いんだから……死んで当然だわ!!」

そして、そこから先は、血みどろの地獄の戦いと化すのであった!瞬く間に死者の数は増え続けて、悲鳴と叫び、狂気じみた声が響き渡る!by立木ナレ


ミリーの配下の二人のラフコフのプレイヤーはレイナに任せて、俺は補足転移でミリーの目の前に瞬間移動し、出現直後に鞘で殴りつけるだけのソードスキルの瞬突(しゅんとつ)を使うが、ミリーはそれを軽業スキルで軽快に避けて、俺の背後に回っていた。

ミリー「もぉらいぃぃ――!!」

俺の首を目掛けて、短剣が振り下ろされたのだろう、だが―――ミリーのその執拗な癖、ある嫌執着のおかげで俺はその攻撃パターンを想定できるので、対処も容易だった。

ミリー「なぁっ!?」

俺はソードブレイカーを握っている左手を自分の首を庇う様に回し、盾にした結果、ミリーの短剣によって傷を負ったのは左手だったので、致命的なダメージを負う事は回避できた。

俺「しっかりと突き刺さってんな?」

ミリー「うぅっ!」

俺の腕にミリーの短剣が深々と刺さっているのは俺のHPバーが減り続けている事から明らかだったので、背後のミリーに対して俺は、ソードスキルでも何でもない、単なる後ろ蹴りを浴びせて、ミリーを後ろにノックバックさせた。

小柄で軽い少女の身体は床に倒れ、無防備を晒していた。そして俺は背後を向き、鞘に収まったままの剣を振り上げて、ソードスキル発動の構えを取ったのだった。

俺「お前の首狩りも―――これで終わったな」

俺は7連撃のソードスキルをミリーに全て叩き込んでやった。だが―――ミリーのHPはレッドゾーンにまで減少したところで、ピタリとそこでHPの減少が止まり、代わりにそのアイコンには麻痺状態を示すデバフアイコンが表示されていた。

ミリー「あ、あはは……やっぱり、こ、殺さないんだね?本当に、本当に……優しいんだから」

俺「そーでもねーよ。生き残ったお前が行きつく先は、始まりの街の黒鉄宮の中なんだからな」

俺自身、我ながらどこまでも甘く、どこまでも自分の手を汚す事を忌避しやがったもんだと、呆れてもいた。だが、俺はそれでもミリーを、ラフコフのメンバーを結局誰一人として殺さなかった事を間違っているとは思いもしなかった。
最も、俺一人が誰も殺さなかったところで既に、討伐隊、ラフコフ側、双方に大勢の死人が出ているのは明白ではあったが――


※ ※ ※


戦闘が終了した時には、討伐隊からは11名、ラフコフ側からは21名のプレイヤーの死が確認されていた。
ラフコフの三大幹部である赤眼のザザ、ジョニー・ブラック、首狩りのミリーの三人はいずれも捕縛されてアインクラッド解放軍が管理する牢の中に回廊結晶を使って送られる中、誰もが気が付いていた事があった。

クライン「おいおい、野郎は……ボスのPoHのヤローはどこ行っちまったってんだよ!?少なくとも誰も倒したわけじゃねーみてーだぞ!」

エルダ「ダメだわ……出入口は私達が封鎖してたけど、やっぱりPoHは見つかってないわ」

HPバーが既にイエロー状態で、必死の形相で姿なきラフコフのボスの行方を詮索するクライン。そしてエルダは討伐戦の最中も常にアジトの入口を封鎖して、ラフコフのメンバーの逃走を完全に塞いでいたはずだったが、どう言うわけか、ラフコフのボスであるPoHの所在が分からず仕舞いなのだった。

アスナ「捕縛したメンバー達の中にも、PoHがいないのは確かだったわ、いったい彼だけどこに消えてしまったと言うの……?」

レイナ「……もしくは、最初からいなかったのかも」

ラフィン・コフィンが壊滅した者の、ボスであるPoHが未だに健在で、捕縛も免れているのであれば、奴が再び第二のラフコフなる組織を作って、再びPKの嵐を巻き起こすなんて事も有り得る為、奴だけは何としても取られなくてはならなかった相手なのである。

俺「後味の悪い終わり方になったもんだな……この戦いで32人が死んで、人殺しの重圧を背負ったまま生きなくちゃならねーのが何人もいるんだもんな……」

少なくとも俺が知り得る限りでは、キリトは最低一人は殺している。レイナもミリーの配下の二人のメンバーを最終的に躊躇なく返り討ちにして、その命を絶っていた。
そして、自分が死ぬことも、殺す事も忌避して、今ここにいる俺……もうこれ以上、ラフコフの事を少しでも考える事が徐々にめんどくさくなっている俺がいた。

俺「もう終わった事だ、明日からまた今まで通り、迷宮区の攻略に勤しんでればすぐに過去の事になる」

エルダ「そうね、けど……この戦いで、図らずも殺人者になってしまった人たちは間違いなく、今日の事を生涯忘れる事はないわね」



※ ※ ※



ガチャモン「ねーねー、兄弟(ブロ)ってばぁ~、少しは僕の相手もしてくれったっていいじゃないのぉ~。そろそろ聞かせてよ、ラフコフと討伐隊、二つの勢力を激突させて大勢の死人を出させた感想をさ」

PoH「ファック、ユー……お前に兄弟(ブロ)と、呼ばれたくはねーな。大勢の死人を出させる感想何て、俺に聞くまでも無いだろう?」

モック「全く、アンタって人もガチャモンに負けず劣らず人でなしですなぁ~。貴方の事をあんなにも慕ってたラフコフの人達だって言うのに最後は自分からアジトの場所を攻略組に密告して、衝突させるなんて何考えてるんですかね~?」

PoH「その質問には答えてやっただろ?デカくなり過ぎたラフコフの舵取りに飽きたからな。―――綺麗に何も残らねーように処分したってだけの事さ」

ガチャモン「言うね~、仲間がキリト君に殺された時に、お腹抱えて大笑いしてた君の下衆顔ときたらもぉ~、フィルムに残しておきたかったくらいだよぉ~」

PoH「鬱陶しい奴らだナ……これからお楽しみはまだまだだってのに、水を差されちゃ溜まらねーぜ……」 
 

 
後書き
最後にガチャモン&モックとの絡みで登場したPoHですが、結局他に出番を出せませんでした……口調もあれでよかったですかな? 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧