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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE75 ラフコフ討伐戦 開戦!

殺人ギルド、ラフィン・コフィンのアジトが判明し、討伐作戦が開かれていた。だが――アジトを制圧した後に、ラフコフのメンバー全員を無血投降させると言う方針に対し、聖竜連合の一員であるオックスがラフコフに対して殲滅、皆殺しを強硬に訴えて猛反発!
更に、オズマに対しても、幾度もラフコフのメンバーと対峙しながら、消して相手に止めを刺す事の出来ない納刀術ソードスキル不殺蓮千撃(ふさつれっせんげき)を引き合いに痛烈に批判したのであった。

そんな中、血盟騎士団の女性プレイヤーにして、オズマと同様、エクストラスキルの納刀術スキルの使い手であるイオナが過激な発言を繰り返すオックスに対して真っ向から反論した上に、言い切る――――ラフィン・コフィンのメンバー達が為すべき最大の償いは命での償いではなく、心からの改心であると!! by立木ナレ



オックス「貴様……ふざけるのも大概にしやがれ!奴らが心からの改心だとぉ?あり得るかそんな馬鹿げた話が!」

イオナ「いえ、馬鹿げてなどいません。何故ならどれだけ業の深い人間にも、必ずその奥底には人の根幹である善意が存在するからです!」

イオナがラフィン・コフィンのメンバー達に対して心からの改心などと言う、あまりにも冗談染みた事を言いだしたことに対して、オックスは顔中に皺を寄せて、烈火の如く怒りをぶちまけるが、イオナは頑なに引く事無く、人間の根幹は善意などとまで言い出していた。

イオナ「何れ彼らも気が付くはずです、自分達がどれだけ許されざることをしてしまったのかを!その時、彼らは本当の意味で心からの改心を望み、そうする事で被害にあった人達もまた真の意味で救われるのです――違いますか?」

最後の一言はオックスだけではなく、この場にいる全員に対して向けた言葉だったのだろうが、流石に俺も含めて、イオナの慈悲深すぎる考えに付いていける物はいない様子だった。
やがて、このままではらちが明かないと判断したシュミットがオックスを半ば強引に止めて、アスナはイオナをなんとか抑えさせて、ようやくラフコフ討伐会議は本来の作戦立案、事前打ち合わせが行われたのだった。

その結果、当初の予定通り最良なのはアジトを完全に生活してからの無血投降であること。ラフコフの連中と実際に剣を交えるのは、奴らが往生際悪く抵抗・反撃に打って出た時に限ると言う、条件を定めたのだった。

オックスは相変わらず納得がいってない様子で、イライラとした表情を包み隠さず露にし続けていた。


※ ※ ※


ラフコフのアジトへの強襲は午前の3時と言う、本来であればプレイヤーの大半がご就寝の深夜の時間帯だった。
そんな時間帯にアジト強襲が行われる事になったのは、言うまでも無く奴らが寝静まっている可能性が高い事を見越し、よりスムーズにアジトを制圧できることを狙っての事だった。

結成された討伐隊の人数はおそらくではあるが、ラフコフの総員数を上回っているはずで、総合的な平均レベルでも奴らを超えていると思われて、この戦力差であれば余裕を持って奴らを制圧する事は充分可能だと考えられていた。

キリト「完全に見落としてたな……まさか本当にこんなところを拠点にしていたなんてな……」

レイナ「……これでは、ラフコフ側からの密告が無ければ、後何カ月あっても見つけられなかったかもしれない」

既に60層を超えている攻略組の最前線から遥か下層の小洞窟は、俺もずっと前に一度だけ足を少し踏み入れた程度の場所で念入りに探索などはしていなかったし、こんな事が無ければ間違いなく、二度と訪れる事などはあり得ないだろう。

エルダ「それじゃあ、私達は逃げ道の封鎖が役目だから、ここで待たせてもらうわね」

シュミット「ああ、俺等が捕まえ損ねた奴らがそっちに逃げる可能性が高いから、その時は君達に確保を任せたぞ」

エルダを始めとした一部の討伐隊メンバーは念のため、小洞窟の通路を封鎖して、ラフコフの連中の逃げ道を完全に断つ役目を担うために、この場所で待機する事となった。
最も、俺達が当初の予定通りに奴らを完全に制圧して無血投降に成功させてしまえば、エルダたちの役目は特にやる事が無いまま終わるのであるが。

アスナ「もうすぐ、例のダンジョンに入ります―――全員、念のためにいつでも応戦できる準備をして下さい」

今回の作戦のサブリーダー的な存在であるアスナが討伐隊の面々にそう指示を出すと、その場で全員が武器を構えていた。だが、俺はこの討伐戦は主に納刀術スキルを駆使して戦う予定なので、剣を鞘に納めたままの状態だった。
その理由は無論と言うか―――なんだかんだで俺は奴らの命を絶つ覚悟など無いままであるからに他ならない。

オックス「呆れたものだな、また不殺蓮千撃で麻痺させて無力化して―――なんて考えてやがる!」

オックスが露骨に俺に聞こえる声で苛立ちを露わにしていた。それに対して俺と同じく、剣を鞘に納めたままの状態のイオナがオックスに対して口を尖らせていた。

イオナ「オズマさんは間違っていません!彼らを心からの改心をさせるためにも―――誰一人として殺してはいけないのです!そうですよねオズマさん?」

イオナはまるで俺の事を、自分と同じ考えの持ち主であると思い込んでいるようだが、俺は別に奴らが改心しようが改心しまいがどちらでもよかった。
単に俺は相手が誰であれ、その命を奪う事によって、その先に己に付きまとい続ける事になるだろう、重苦しい十字架を背負いたくないだけだった。

シュミット「静かにしないか!そろそろ奴らがいる安全地帯の大部屋なんだぞ!」

またしてもオックスとイオナが言い争いになりかけるのをシュミットが軽く叱責して黙らせようとする。確かにこんなところでバカな言い争い何てやってりゃ、安全地帯を根城にしてるラフコフの連中に気が付かれてしまい―――おかしい、もうここは安全違いの大部屋のはずだぞ。

マオ「いないみたいだけど……ラフコフの奴ら何処?」

アスナ「本当に……ここであってるのよね?」

討伐隊のメンバー達は徐々に違和感に気が付き、嫌な悪寒、不安に見舞われつつあった。まさか――俺達がここに来ることが事前に漏れていたと言う事か?

俺「事前にどっかに逃げちまったって事なのか……」

俺がそんな事を呟いた直後だった、危機感を知らせるように、俺のすぐ後ろで激しく張り上げるような絶叫が上がるのだった。

キリト「や、奴らだ!ダンジョンの枝道だ――!!」

アスナ「一体どういう―――危ないっ!」

叫び声をあげたのはキリトだった。俺達が一斉にキリトが口にしたダンジョンの枝道、つまり俺達の背後を振り向いた頃には、既に後方の討伐隊のメンバー達がラフコフの連中の奇襲を受け始めていた!

シュミット「あんなところに!だが―――何故俺達の行動が読まれてたんだ!?」

シュミットが想定外の事態に焦りの表情を露にしながら、声を荒げていた。完全にアジトを封鎖して、無血投降させることが目的であったにもかかわらず、早くもその計画は破綻しつつあった。
既に数人の討伐隊のメンバーがラフコフ側の不意打ちで毒を食らったり、混乱状態と化しつつあった。

アスナ「皆、慌てないで!すぐに体勢を立て直すのよ!無傷の人は直ぐに応戦に入ってください!」

慌てつつある主みっちに対してアスナは既に戦う覚悟を定めて、思考を切り替えていたようだった。奴らはどう言うわけか俺達がここに来ることを知ったうえで、事前に逃亡する事よりも待ち伏せして不意打ちで返り討ちにする事を選んできやがった。それはつまり―――

オックス「面白れぇ……俺達攻略組とやり合おうってか!?だったら貴様らに相応しい最期で散らせてくれるわぁ!!」

オックスがまるでこうなる事を期待していたと言わんばかりにたぎった様子で両手剣を構え、自身と同じ聖竜連合のメンバーを追い詰めていたラフコフのメンバーに斬りかかっていた。

俺「これじゃ、無血投降どころじゃねーって事かよ……」

レイナ「……オズマ、私は彼らをまた殺すかもしれない」

不意打ちを食らい、無血投降の可能性が潰えた事を不安に感じている中、既に過去にラフコフの、当時は単にPK集団と呼ばれていた連中の一人を返り討ちで殺しているレイナが俺の隣で両手剣を構えてそう呟いたのだった。

俺「状況が状況だからな、俺もお前に対して誰も殺すな―――なんて事は言えそうにない」

レイナ「……分かった、けど――オズマは無理に殺さなくて良いから」

そう言い残してから、レイナは両手剣を構えて不意打ちからの強襲で既に死者が出るかもしれない状況下に陥っていた者達を助けに向かった。
そして、俺の心中はレイナに見透かされていたようだった。レイナに指摘された通り、討伐隊の中から死人が出る寸前であろうこの状況下ですらお俺は、ラフコフの連中の命を一人でも奪う事に躊躇いを持ち続けていた。

キリト「させるかぁぁぁ!!」

俺の眼前にはキリトがラフコフのメンバーの一人に対して体術スキルで返り討ちにしている光景だった。キリトだって流石に、襲ってきた連中を返り討ちにPKした経験など無いだろうが、それでも今のキリトは、仲間を守る為であれば自らが汚名を被るかもしれない事も厭わない勢いだった。

オックス、アスナ、レイナ、キリト、既にラフコフのメンバー達との戦いで命を奪いかねない覚悟を定める者達と、未だに殺す覚悟定めぬオズマ。だが、これはどちらかが正しいとか、どちらかが間違っているなどと言う簡単な問題では無かった! ともかく―――討伐隊による無血投降の計画は既に破綻し、これから始まるのは血で血を洗う血みどろの戦い、命の奪い合い、生きる為に相手の命を奪わねばならぬ、弱肉強食の戦いであった! by立木ナレ 
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