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魔法科高校の劣等生の魔法でISキャラ+etcをおちょくる話

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第百四十一話

あの後、伸した二人と追加で数名の武装義肢保持者を警察に引き渡した。

祭り自体は柳韻さんと組長のお陰でなんとか続行されるらしい。

そして俺と箒はと言えば、事情聴取中だ。

柳韻さんが道場の更衣室を開けてくれた。

そして幸か不幸か、担当者が知り合いだった。

「いいかい。もうこういう事はしないでくれよ。
君達に向かって弾幕が放たれたとき私も主人も目の前が真っ暗になったんだから」

「いやでもアレは俺達悪くないですよ阿良々木さん」

「そうではなくてだね、伏せるっていう選択肢は無かったのかい?」

俺と箒は顔を見合せ…

「「そういえばそうですね」」

何故あのとき避けなかったのだろうか。

「安心してください。私も一夏も全弾切り払いましたから」

「勘弁してくれ…。そういうのは火燐だけで十分だから…」

事情聴取は直ぐに終わった。

どうやら正当防衛で済ましてくれるらしい。

「ところで一夏君。君はあの義手の女達に心当たりはあるかい?」

「女性権利団体しかないでしょう。既に調べはついてますから後で資料に纏めて渡しますよ」

カンファレンスに命じたら3秒で出来た。

案の定女性権利団体でバックには女性政治家がいるらしい。

いつぞや貝木と潰した組織と違ってこっちは公権力に干渉できるかもしれない。

「篠ノ之博士か……」

「そういうことです」

「わかった。これで聴取は終わりだ」

気を付けるんだよ、と言って阿良々木さん…暦さんのお母さんが出ていった。

「ふぅ。祭りは続行。口コミで来場客は二割増し、か」

「ああ、そうだな…」

「能天気な奴等だよなぁ。今度は自分が撃たれるかもしれないっていうのに」

「紛争地域にボランティアに行くのに死ぬ覚悟をする奴はそうそう居まい。
まして、平和ボケした日本人ならば」

「お、まるで自分は平和ボケしてないと言わんばかりですね箒さん」

「銃を向けられて平和ボケしていられる訳ないだろう」

そりゃそーだ。

「で、この後どうすんの? もう七時半だけど」

「鈴達と合流しよう」

「OK」

side out








「来てみれば舞は銃撃で中止になるし一夏君には会えないし。
ほんとう、ついてないわ。ねぇ、神原」

「そうだなー。いやしかしあの格好はズルい!
猫耳!巫女服!はだけた薄い胸元! 今回の一件でイケナイ趣味に目覚めた人数が知りたい物だ」

育に誘われたヴァルハラコンビは暦を通じて弾達と合流していた。

会場の角の森との境界線上あたりで集まっている。

どこで待つかという話になり、邪魔にならない所で、となったのだ。

「よー。待たせたな」

「すまん遅れた」

そこに聴取を終えた一夏と箒が駆けて来た。

その瞬間人混みが割れた。

二人の姿は装束を纏い帯刀したままだ。

「一夏、着替えなくていいのかよ?」

弾が問う。

「ああ、この方が目立つしな」

一夏が刀の柄に手を伸ばし、少しだけ抜く。

そこには真剣の煌めきどころか、鋼すらない。

「それにこの刀も拵えだけだ。刀身は戻してきた」

「なるほど、抑止力って訳か」

一部の客がスマホで写真を取るが、一夏も箒も気にした様子はない。

『そういう』結界を張ってあるからだ。

「とはいえ、刀の柄だけでも我々は戦える。
柄があれば発動が楽になる魔法が幾つかあるのだ」

「ふーん…。あ、そうだ一夏」

弾が指差す方向にはヴァルハラコンビがいた。

「後で聞かせろよ」

「はいはい」

育と談笑していたヴァルハラコンビの下へ、一夏が歩みをすすめる。

「じゃ、私はここで」

そう言って育が離れる。

「来てくれてありがとう、直木さん」

「当然の事よ。それよりも、怪我は無いかしら」

「あったらここにいないよ」

「そう、よかったわ」

直木が本当に安心した、といった顔を見せる。

「御主人! 格好よかったぞ!」

「神原、ステイ」

「ワン!」

と『お座り』する神原。

「御主人ってなに?」

「おかしな事をいうなぁ御主人は。
御主人の御主人なのだから御主人ではないか」

敢えてルビを振るなら御主人(箒)の御主人(夫)である。

「ああ、そう。勝手にしろよ雌犬」

「くっ…! 私のニーズに直ぐ様答えてくれるだなんて…! やはり御主人は私の御主人だ!」

『なぁ箒』

『まぁ、いいのではないか?』

『いいのかよ…』

『神原はそれだけの借りがお前にある。
お前の性格が善良でなければ今頃性奴隷にされていてもおかしくない借りがな』

(神原が一方的に得をしてる気がするのは気のせいだろうか…)

一夏が考えている合間に、雌犬、もとい神原はニヤリと笑った。

「おい神原。いつまでそうしている。
いい加減立て」

「御主人の命令とあれば!」

そう言って神原は立ち上がる、と同時に一夏の緋袴の裾に手をかけた。

バサッ!

「神原!? お前なに……を………」

それは一瞬の事だった。

一夏は訳がわからず思考停止した。

一瞬の後、ふぁさ、と緋袴が元通りになる。

「おい…雌豚ども……覚悟は、いいか?」

顔を赤くした一夏が緋宵(の柄)に手を掛ける。

「ちょっと、私は悪くないわよ」

「な!? 裏切るのか戦場ヶ原先輩!? 一緒に御主人の緋袴の中を覗こうと持ちかけたのは貴女だろう!?」

「あ、バカ!」

「この処女ビッチどもがぁぁぁぁぁぁ!」

一夏が柄を振り抜く。

「かはっ!?」

「ぐぁ!?」

ヴァルハラコンビが崩れ落ちた。

「なに……これ……」

「くっ…御主人が〔心の一方〕を使えるとは…」

「誰が人斬りか誰が。ただの幻痛だ。
そこで反省してろ」

一夏が使ったのは切影のダウングレード版だ。

簡単に言えばサイオン製の棒でぶっ叩いただけ。

ここで本物の切影やファントムブロウを使うほど、一夏はバカではなかった。

ムスッとした一夏がヴァルハラコンビに背を向ける。

「育さーん。この処女ビッチどもちゃんと抑えといてよー」

「善処します」

「やんわりと否定されたし…」

はぁ…とため息をつく一夏。

現状の面子でヴァルハラコンビと渡り合えるのは育だけなのだ。

ふいに、からんからんと下駄の音がした。

鈴だ。

その小柄な体でより小さい一夏をだきしめる。

「………………………………………」

「何か言えよ」

「………………………………心配した」

「そりゃどうも」

一夏の返事は酷く軽かった。

「俺がシャオシンに心臓ぶち抜かれてるの見ただろ? 仙人でも殺せないのにたかが素人に殺される訳ないだろ」

それは傲慢や自慢ではなく、ただの事実だ。

「そういう話じゃないのよ。そういう話じゃ」

一夏からすれば、体はただの入れ物だ。

何れだけ傷つこうと、再生する。

死ななければ、それでいい。

しかし周りからすれば、痛ましい事この上ない。

「いいじゃん死んでないんだし」

「…………」

「鈴。一夏には何を言っても無駄だ。諦めろ」

鈴が一夏の首筋に噛みついた。

「ちょちょっ、痛いんだけど」

「無茶した、罰よ」

一夏の首筋には鈴の歯形がくっきりと残っていた。

「あ、そ」










side in

「鈴、そろそろ花火始まるぞ?」

鈴は抱きついたまま何も言わない。

発砲騒ぎがよっぽど怖かったのだろう。

箒と束さんも認めてるし、このままでいいかな…

パッと明るくなった。

花火が始まったのだ。

遅れて音がやって来た。

キ━━━━━━━━━━ン!

「みゃっ!?」

うぉぉぉっ!? 耳がぁー!? 耳がぁー!?

とっさに四つの耳全てを覆う。

「あー…そう言えば猫化して花火見るの初めてだったな…」

まだ耳が痛い…

「……………ょ」

鈴が何か言った、気がした。

「何! 何か言った!? 今耳聞こえてないの!
後でもっかい言ってもらっていいか!」

「………………か」

「なんだってー! 後でいってくれー!」




花火が終わってから、鈴に聞いてみた。

「りん。さっきなんて言ったんだ?」

「…………………………なんでもない」

「いや気になるじゃん」

「何でもないの。まぁ、気が向いたら、言うわ」

はぐらかされた……。

無理に聞くような事もないだろう。

そう思ってそれ以上は聞かなかった。

side out










side in

「敢えて聞くが、なぜ告白しなかったんだ?」

街灯の灯りだけが照らす道を鈴と歩く。

「そうね……。私が弱いからかしら」

「それは、肉体的な物か? 精神的な物か?」

「どっちもよ」

目の前の鈴がピタリと立ち止まった。

突然振り向き、私の腹に拳を叩き込む。

「少なくとも、アンタに攻撃の一つでも通るようにならないと」

「お前ならば、直ぐにでも追いつくだろう」

「慰め?」

「いや事実だ」

小星娘々がその気になったならば…

「私は一夏の隣に立ちたいの。守られるだけはお断りよ」

ああ、お前は、そういう女だよな。

「アンタ言ってたわよね、鎖だって。
でも弱い鎖は綻びになりかねない。
だから私は強くなる、一夏を守れるくらい」

「私も、頑張らないとな…」

「アンタでも一夏にはかてないのよね?」

勝つ、か。あり得んな。

「一夏がその気になれば、私なぞ死んだと認識する間もなく消えるだろうな」

「そうよね…」

暗い顔の鈴。

私はアドバイスしかできない。

「鈴。もし一夏を越えたいなら、お前の母親に教えを請うのはどうだ?」

「やっぱりそうなるのね……」

「うむ。私では一夏は越えられない。私の技の全ては一夏に教わったからな。
だが、小星娘々の技を継ぎ、お前が磨けば一夏に勝てる可能性がある」

「勝つ…一夏に…。うん。ママに言ってみるわ」

「そうするといい」

鈴を抱き上げる。

「何すんのよ?」

「肩車」

「なんで?」

「気分だ」

なんとなく鈴を肩車してみたくなった。

「そ、好きになさいな」

鈴を肩に乗せ、暫く歩くと家に着いた。

「ねぇ箒、もう遅いけど泊まっていく?」

「いや、すまないが一夏が待ってるのでな」

「ん?神社には帰らないの?」

「ああ、円香が神社の方に泊まるからな、今日は久々に一夏とセッ」

「何言うのよ変態!」

脳天にエルボーを叩きつけられた…。

「~~~~!?」

鈴、肘くだけてないか…?

肩の上から鈴が降りる。

「アンタねぇっ!」

「エルボーを仕掛けたのはお前だろう」

「そっちじゃないわよっ!」

「セックスの方か?」

私だってたまってるのだ。

先日千冬さんと一夏の行為を覗き見したのも大きい。

「まぁ、そういう訳だ。ではな」

「このヘンタイ! 色魔!」

そういえば一夏からサキュバスって言われた事があったような…。

「子供は早く寝るんだぞ」

「同い年よバカ!」

それだけ言って鈴は玄関を開けて家に入って行った。

「さて、では帰るとするか」
 
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