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三十三歳独身

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第二章

「先輩のお部屋って実はね」
「かなり奇麗で」
「そう、普段の食事もね」
 それもというのだ。
「かなりいいものなんじゃないかしら」
「栄養バランスしっかりした」
「そういうのじゃないかしら」
「何か適当なものを貪っててね」
 事務員は自分というか彼女を知る者の猫母のイメージを話した。
「それでね」
「お掃除とかもね」
「全然しないってね」
「そんなイメージあるわよね」
「そうよね、けれどね」
「先輩そう言われたのね」
「そうなの、だから今度ね」
 若いレスラーはさらに言った。
「先輩のお部屋に行ってみてね」
「実際どうなのかって」
「確かめてみようかって思ってるけれど」
「まさかと思うけれどね」
「けれど言われるにはね」
 それならというのだ。
「本当にね」
「そうかもって思うから」
「行ってみてこの目でね」
「確認するのね」
「そうしようかしら」
「あんたがそうするのなら」
 事務員は若いレスラーの話を聞いて言った。
「私もね」
「一緒に来てくれるの」
「だって猫母先輩って猛獣みたいな人じゃない」
 そのレスリングスタイルはというのだ。
「野獣とも言われるし」
「そんな人が実際はどうか」
「あんたに言われて興味持ったし」
「だったらね」
 それならというのだ。
「一緒にっていうのね」
「そう、行ってね」 
 猫母の部屋にというのだ。
「そうしてね」
「確かめようっていうのね」
「そうしましょう」
「よし、じゃあ二人でね」
「行きましょう」
 こう話してだった。
 二人は猫母に彼女の部屋に行っていいかと尋ねたが猫母の返事は即答だった。
「いいわよ」
「いいんですか」
「そうですか」
「ええ、今日の帰りにね」
 トレーニングの後でというのだ。
「寄っていってね」
「今日ですか」
「それはまた早いですね」
「今日なんて」
「あんた達寮にいるけれど」
 それでもというのだ。
「それでもね、遊びに来たらいいよ。あとね」
「あと?」
「あとっていいますと」
「御飯も食べていったらいいよ。今日はちゃんこ作るしね」
 力士がよく食べる鍋だがレスラーもよく食べる、そうして大きなくかつ健康な身体を作っているのだ。
「食べていってね」
「いいんですか、お料理も」
「そちらも」
「いいよ、食べていけばね」
 それでとだ、猫母は二人に笑顔で答えた。そしてだった。 
 二人はトレーニングの後で猫母の部屋にお邪魔した、すると。
 部屋は何処も奇麗に掃除されていた、若いレスラーはその状況を見て言った。 
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