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夢幻水滸伝

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第六十五話 人間の姿でなくともその四

「慣れますと」
「そやねんな」
「はい、それでなのですが」
「ああ、ここに来た理由はな」
「僕達に会いに来てくれたのですね」
「そこで一人称は変わらへんか」
「はい、誰にも」
 ここで田中は志賀を見てから中里に話した。
「それは志賀さんと同じです」
「僕も誰に対しても一人称変えないです」
 志賀も中里に答えた。
「そうしています」
「そやねんな」
「はい、そういうことは」
 相手によって一人称を変えるという様なことはというのだ。
「しません」
「成程な」
「はい、それでですね」
「ああ、そっちの子達もな」
 中里は二人の少女も見て言った
「挨拶させてもらうか」
「こちらの世界でははじめまして」
 一六四程の背で口元がやや犬を思わせる少女だった、丸い目がかなり大きく黒目の部分がかなり多い。眉は短めで濃い。癖のある黒髪は肩に少しかかる位だ。すらりとしたスタイルをピンクのワンピースタイプで襟は白く紐のリボンが赤い制服で覆っている。短めのスカートから見える素足は黒タイツで覆っている。
「泉美奈代です」
「ああ、自分が美奈代ちゃんか」
「はい、一年A組にいます」
 美奈代は中里ににこりと笑って答えた。
「宜しくお願いします」
「そうやねんな、そういえばな」
 中里は美奈代の挨拶を受けてからこんなことを言った。
「美奈代ちゃん畜産科みたいやけどな」
「はい、畜産にいますが」
「そやからあっちの世界では牧童か」
「そうだと思います」
「やっぱりそやな」
「はい、それであちらも世界では酪農や牧業を頑張っています」
 牧童としてだ、そうしているというのだ。
「そうさせてもらっています」
「成程な、そうやねんな」
「これからも頑張りますので」
「ああ、お陰でうちの牧場かなりよくなったわ」
 中里は芥川に笑って応えた。
「これから太平洋全体に仕事の範囲拡がるけれどな」
「太平洋全域でもですね」
「宜しゅうな」
「はい、やらせてもらいます」
 こう笑顔で言う美奈代だった、そして最後は。
 クリーム色の長袖のセーターを下に着たえんじ色のブレザーとミニスカートに赤い可愛いデザインのリボンが首にある可愛い制服の少女だった、足には白いハイソックスがある。小柄で背は一四二位だ。黒髪はさらりとしたロングヘアで楚々とした目と小さな唇に雪の様に白い肌が印象的だ。その少女が三人に挨拶をしてきた。
「小林千歳、一年C組です」
「あのコロボックルの娘か」
「はい、風水師の」
 中里に見上げる形で応えてくる。
「宜しくお願いします」
「こっちこそな」
「出身は札幌です」
「ほんまに北海道やねんな」
「どうもそのせいかです」
「種族は小人やねんな」
「コロボックルになっています」
 そう呼ばれているというのだ。
「蝦夷では小人はです」
「そう呼ばれてたな」
「そうです。それでなのですが」
 千歳は楚々とした可愛らしい声で言ってきた。
「これからはこちらの世界でもですね」
「付き合っていこうな」
「はい、先輩後輩として」
「友達としてな」
「先輩後輩であり」
「何か先輩後輩にこだわるな」
「この娘はそうなんです」
 美奈代が言ってきた。 
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