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真ソードアート・オンライン もう一つの英雄譚

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インテグラル・ファクター編
  月夜の黒猫団

それから色々あった。第三層では黒エルフと森エルフの抗争に出くわしたり、ディアベルと再会してギルド間の冷戦状態を解消したり、第三のギルド血盟騎士団が現れアスナとコハルがスカウトされたりキリトが突然前線に現れなくなったりした。
またネズハ達レジェンドブレイブスは無事お金を返し終え、なんと本格的に鍛冶屋を始めたらしい。最初こそ疑いの目があったプレイヤー達だったが少しずつ信用を取り戻し、今では立派に鍛冶屋を営んでいるようだ。

そして、俺はβテスト以来のソロプレイヤーに戻った訳だけどやっぱり

「慣れないよなぁ」

溜息をこぼしつつMobを狩っている。なんていうか、こういう作業ゲーはあまり得意ではないため早速飽きてきた。

「たまにはレベリングだけじゃなくて武器の素材集めとかにでも行こうかな……」

レベルは既に最前線の安全マージンを超えている。最近は気分を変えていつもの片手直剣ではなく違う武器を使ってレベリングしていたが、こちらも飽きては次の武器と何周も行ってきていた。

「とりあえず街に戻るか。最前線のアイテムはかなりあるし、エギルに売りつけて偶には豪華な飯でも食おうかな」

俺は転移門まで行くと、転移して街に戻った。

「とりあえずアイテムを売るか」
「あ、アヤト」
「ん?」

振り向くとサチが立っていた。

「サチじゃないか。久しぶり。どうしたんだ?また留守番か?」
「違うよ。みんなは近くの武器屋に寄ってってるんだ。私は特に用がないから外で待ってただけだよ」
「そっか。どうだ?狩りは出来るようになったのか?」
「うん。新しい仲間もできて私も頑張らなくちゃって思って」
「そりゃよかったな」
「アヤトは……さ、どうなの?コハルは血盟騎士団ってギルドに入っちゃってどうしてるの?」
「まぁ気軽にソロ活動かな。レベリングもかなりやったしちょっと武器素材集めに下りてきたって感じだよ」
「そっか。あのさ、アヤトさえよかったらうちのギルドに……『おーい!サチ!そろそろ行くぞ……って貴方は!!』」

サチの後ろの方から声が聞こえてきた。高校生くらいの男の子だ。サチの知り合いか?

「アヤトさんですよね!このSAOが始まってすぐに助けていただきありがとうございました!」
「助けてって俺、君に何かしたっけ?」
「あ、これのことです!このレポート用紙覚えてますよね?」
「ああ!それはコハルと作ってサチに渡したレポートじゃないか!じゃあ君は」
「はい!僕はケイタっていいます!サチと同じギルドのリーダーをやってます!左からダッカー、テツオ、ササマルそして本当はもう一人いるんですけど今ちょっと出ててキリトっていうんですけど」
「キリト?」

ケイタからキリトという名前が出てくるとは思わなかった。アイツ最近前線に出てこないと思ったらこんなところにいたのか。

「もしかしてキリトとはお知り合いなんですか?」
「へ?あーなんていうかまあね。それより、歳もそんなに変わらないだろうしタメで大丈夫だよ。敬語疲れるでしょ?」
「あ!すみません……じゃなかった。おっけー!じゃあこれからはアヤトって呼ぶよ。そうだ!俺達これから新しい武器の調整をしようと思うんだ。アヤトの戦いも見てみたいし『なんなら戦いのコツみたいなのを見てもらえよケイタ!』……と言うわけでよかったら来てくれないかな?」

おいおいマジかよ。教えるって言っても俺説明上手くないしなぁ。コハルには戦い方の基本の『基』を教えてほとんど丁度居合わせたキリト先生に丸投げしてたしなぁ。ケイタ達は目をキラキラさせてるけど。

「まぁ教えるのは難しいけど一緒に狩りに出るのはいいよ。あ、そうだ。俺はアイテム売りにこの層に来たんだった」
「アイテムを売りに?」
「そうそう。レベリングの副産物なんだけど、もうこれの使い道が無いから売ろうと思って」
「あ!このアイテム次の武器の強化素材だ!今の僕達じゃあこのアイテムゲットしに行くのは無理だしって当分諦めてたやつだよ!」
「そうなのか?じゃあこれあげるよ」
「え!?いいの?」
「元々売る予定だったって言ってるだろ?今はお金に困ってないし使ってもらった方がこのアイテムも本望だろうしな」
「あ、ありがとう!!」

ケイタ達が凄い勢いで何回も頭を下げてきた。俺は慌てて顔を上げさせる。

「じゃあ早速強化してくる!」

ケイタ達は早速鍛冶屋に頼み武器強化を行なっていた。

「おまたせ!キリトにもメールしたから来ると思う!僕達は先に圏外に出てよう」

俺達はとりあえず森のダンジョンに行く。俺は素材集めに、サチ達はレベリングを目的に来たわけだけど、どう担当分けをするかな。

「とりあえず危険になったら助ける感じでやっていこうか。一応見ながら俺も戦うからさ」
「分かった。よしみんな!アヤトに僕達の戦い見てもらおうぜ!」
「「「おう!!」」」

この層のMobは一撃で倒せてしまうため、とりあえず適当に虫系のモンスターを切り倒していく。

「サチ行ったぞ!」
「しっかりしてくれよサチ!」

サチはタンクなのか?以前五層で助けた時は槍持ちだった筈だけど……。
サチはMobの攻撃によれてしまい倒れ込んでしまった。

「こりゃ仕方ないか……」

カマキリ型のモンスターが自分の鎌を上げてサチに斬りかかろうとした時、俺はその攻撃を受け止めた。

「早く下がれ!」
「う、うん」

サチはモンスターから距離を取る。俺は鎌を弾き返す。

「よし、一斉攻撃!」

ケイタの一言からメンバー全員で一斉に攻撃を仕掛けた。どうにかゴリ押しで倒すことは出来たけどこれはちょっとまずいな。

その後キリトも合流してレベリングを再開する。
キリトの立ち回りは攻撃を受け止めてその間にみんなで攻撃するというものだ。やはりこのままだとちょっとまずい事になりそうだ。








「どういうことだよサチを外した方がいいって!」

ダッカーが俺の意見に噛み付く。

「アヤト。説明してもらってもいいかな?」
「ああ。今日一緒に戦ってみてわかったことがある。それはこのダンジョンでの推奨レベルをみんな超えているにもかかわらずピンチになった」
「だからってそんな一回のミスでサチを外せって言うのかよ!いくらアンタのレベルが高いからって言っていいことがあるだろ!」
「ダッカー落ち着くんだ」
「くっ!」

ケイタの一言でダッカーは黙ったが、まだ俺を睨みつけている。他のメンバーも言葉を発してないだけで意見ありげな顔を向けている。

「勘違いしないで欲しいのはサチには違う形でメンバーとして活躍してもらった方がいいということだ。サチ、裁縫スキルとか鍛冶スキルはあるか?」
「裁縫スキルならあるけど……」
「よし、サチはこれから生産職に転職してもらう。生産職ならモンスターと戦わずに済むし、間接的にメンバーを支えることができる。どうだ?やってみないか?」
「生産職……みんなは?大丈夫なの?」

サチは心配そうに他のメンバーを見る。メンバー達は考えるように顔を伏していた。

「いいんじゃないかそれで」

はじめに反応したのはキリトだった。

「サチを休ませてやろうぜみんな。アヤトの言う通り生産職があるから俺たちは安心して戦えるワケだしな。そうだろ?」
「そうだな……それでいこう」

皆納得したように頷いた。

「もちろん提案者としてみんなが慣れるまで俺も協力するよ」

それからは俺もギルド月夜の黒猫団と共に活動するようになった。サチには初心者生産職の修行の場と師匠をつけることにした。

「で、なんでアタシなのよ?アタシこれでも忙しいのよ?」
「そこを頼むよ!ネズハも考えたけどやっぱり男女だと色々やりにくいだろうし、鍛冶屋の知り合いはリズしかいないんだよ。いいだろ?今度また素材集めに行ってやるからさ!」
「もう、約束よ?貴女名前は?」
「あ、サチっていいます。よろしくお願いします」
「よろしく。アタシはリズベット。やるからにはビシバシやるわよ!」

リズベットはそういうとサチを工房の中に連れて行った。

「んじゃあよろしくな。頑張れよサチ!」
「う、うん」

サチの声が聞こえてきてどうやら大丈夫のようだしとりあえず戻るか。



「で、サチはどうなったんだよ?」
「安心しろ。知り合いの鍛治師が引き受けてくれたからな」

ダッカーに説明すると、それと同時に黒猫団全員は胸を撫で下ろした。

「サチがいない分今までより役割の担当が増えるからそこだけ気をつけて組まないとな。僕はテツオとタンクやるよ。ササマルとダッカーは後衛で頼む。キリトも同じで」

黒猫団はこうして再スタートを切った。はじめこそやった事のない役職に困るケイタ達だったが、次第に慣れそれから半年以上順調にレベリングを続けていった。
そしてある日、レベリングの帰りにケイタから溜まったお金でギルドホームを買おうという話が出てきた。

「そうだ!アヤトも黒猫団に入らないか?そうすれば宿からわざわざ来ないでもすむし近いうちにギルドホーム買うからそっちに住めるしさ!」
「まぁもう俺たちの仲間だしギルドメンバーみたいな感じだけどな!」

ダッカーの一言で笑いが起こる。慣れるまでとか言ってもう半年以上一緒に行動しているからな。よし!

「そうだな。せっかくなら俺も正式に入団しようかな」

俺はケイタから送られてきたギルド申請のメッセージを承諾した。まさか俺がギルドに入るなんてな。これまで他のゲームでも野良パーティに参加して戦うぐらいでギルドに入るのは初めてだった。

「よし!ギルドホームまであと少しだ!アヤトも入ったし、みんなでもっと稼ぐぞ!」

おお!とみんなで声を上げた。すると少し後ろの方を歩いていたキリトがふと笑う。俺はキリトの隣に並ぶようにして歩く。

「いいよな……こういうの。みんな優しくて、眩しくて……彼らとはいつまでも一緒にいたいって思うよ」
「何言ってんだよキリト。いつまでも一緒だし、それに」

俺もケイタ達が楽しそうに話をしているのを見て呟く。

「あいつらならお前の本当のレベルを言っても……いや、『ビーター』って言われてることも絶対受け入れてくれるよ。な?」

俺は拳をキリトに向ける。キリトはしばらく俺の拳を見つめる。そして頷き拳を突き合わせた。

「おーい!何やってんだよ?二人とも早く来いよ!この後は宿屋でアヤトの正式なギルド入りした歓迎パーティーやるんだからさ!」
「「ああ!今行く!」」

俺たちは彼らの輪の中に戻っていった。 
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