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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE67 マオとの再会

いつか、最前線で再会しよう……既に一年以上も前の口約束ではあったが、2024年4月24日。午後4時に行われたフロアボス攻略会議の場で、それは果たされたのであった。

ケイタとマオ。かつてオズマ達がギルドホームの購入を巡る一件で出会い、オズマ達は二人に協力し、ギルドホーム購入のために一肌脱ぐ事となった。

別れ際、ケイタとマオは自分たちのギルドもいずれは攻略組に加わり、オズマ達と肩を並べて戦う事を誓っていたのであった。 by立木ナレ



マオはソロプレイヤーとして、攻略組の一員に加わった。だが、その横にギルドのリーダーであったケイタの姿は無かった。
それに、俺達は直接会った事は無いのだが、ケイタとマオの他にも5人のギルドのメンバーがいると聞いていた。
その5人はどうしているんだ?

色々と疑問を感じている間に、マオは軽い淡々とした自己紹介を終えて、攻略集団の中に混じったのであった。

クライン「あ、ああ~……まあ、女の子だったな」

クラインはマオが自分が妄想していたような美貌の女戦士ではなかった事に軽く呆気にとられていたのか、頭をポリポリと掻きながら、そんな一言を呟いた。

ユッチ「なんだよもぉ――!攻略組の女性プレイヤー、全員美人神話が台無しじゃないか!」

ユッチは、マオが自分が妄想しいた美貌の女戦士では無かった事に露骨に苛立ち、一人勝手に不貞腐れるのだった。

マオは見た目こそ大体、俺達と同年代くらいだが。背は女としては長身かつ骨太な体形で、顔にはソバカスが目立っており、お世辞にも美人とは言い難い。

特にレイナやアスナ、エルダが近くにいると猶の事、霞んで見えてしまうのも無理はなかった。

エルダ「まさか、彼女が攻略組に加わるソロプレイヤーだったなんて……聞きたい事が色々とありそうだけど、何か聞き難い気もするのよね……」

俺「ここは一瞬の気の緩みが命取りになるデスゲームだからな、最悪の事態も考えられる」

俺とエルダが想定した最悪の事態は、言うまでも無くマオのギルドが、彼女を除いて全滅してしまったと言う事だ。

ギルドホームを購入した後に、一体何が起こったのかは定かではない。あれ以降一度も会う機会は無かったのだから。
仮に、ケイタとマオがギルドホームを買いに行っている最中に、最前線付近の迷宮区に行っていたと言うギルドのメンバー達の身に何かが起きたのだとしても、それならマオだけでなくケイタも少なくともその時は助かっているはずなのだがな。



何故?……マオがたった一人で?……ケイタは?……他のギルドメンバー達は?
オズマの中で様々な疑問が浮かび上がる中で、ヒースクリフとアスナによる、第59層フロアボス戦のパーティーメンバーの編成が行われた。

編成の結果、A隊とB隊がそれぞれ、ヒースクリフとアスナがパーティーリーダーを務める血盟騎士団。C隊とD隊が聖竜連合のパーティ。E隊とF隊がDKBに次ぐ攻略組の大規模ギルドである天穹師団(ディヴァイン・ディヴィジョン)。G隊がクライン率いる侍ギルド風林火山。そしてH隊がオズマ率いるMBTのオズマ、レイナ、エルダに加えて、第50層のアルゲードを根城に店を構えるようになった商人プレイヤー兼攻略組最古参の斧使いのエギル、同じく最古参の黒の剣士キリト、そして―――新参の女ソロプレイヤーのマオ。

以上の6人×8パーティーによる48人のレイドパーティーが第59層フロアボス戦におけるメンバーとなった! by立木ナレ


エルダ「エギルさん、久しぶりのフロアボス戦の本戦だけど、腕は鈍ってないかしらね?」

エギル「舐めてもらっちゃ困るぜ。商売が忙しくて、確かにフロアボス戦に参加する回数は減っちゃいるが、戦いの勘が鈍るほど、訛っちゃいねーよ」

俺「つーか、あの店って商売が忙しくなるほど繁盛してるようにも見えないがな」

俺が的確な指摘をしてやると、エギルは一瞬、たじろいでしまったような表情を作り、すぐに言い返してくる。

エギル「オメーは間が悪いんだよ。いつもいつも、丁度店が暇になったタイミングで現れやがって!今度は俺が呼び出した時にすぐに来な、商売で大忙しなオレを見せてやろーじゃねーか!」

俺「いや、それは普通に迷惑だから止めてくれ」

エギルの言っている事の真偽はどうであれ、そんなもの見たさに、態々あのぼったくり商店に呼び出されるほど俺も暇ってわけじゃないんだ。

エギル「迷惑とはお言葉じゃねぇじゃ。おいキリトよ、オメーからもオズマに何か言ってやってくれ~」

俺「無駄だぜ、キリトなんてあの店に対する悪口を俺よりかずっとブツブツ言ってるしな」

エギルのぼったくり商店も、俺がレイナと共に購入したホームも、そしてキリトのホームも、いずれも第50層の主街区のアルゲードにあるので、必然的に顔を合わせる機会は多くなっていた。

キリト「…………」

が、キリトは無言で立ち尽くしたまま、まるで全身が石化してるのかの様に固まって動かなかった。まるで何も見えていない―――いや、そのキリトの目から光が消えたような視線の先には、俺達と同じパーティーを組む事になったマオがいる。

エギル「おい、キリト。ボーっと突っ立てどーしたってんだ?」

エギルがキリトの肩を掴み、ボリュームのある声で声を掛けると、ようやくキリトは我に返ったようになり――

キリト「あ、ああ、悪いエギル、少しボーっとしてた……」

俺「ボーっとしてたどころか、完全に固まってたじゃねーか」

それも、マオに視線をガッチリと向け続けたままに―――という言葉を口にするのを俺は躊躇った。塔のマオはというと、刺して俺達の会話に加わってくるわけでもなく、自己紹介の時と変わらぬ冷静な顔つきで事の成り行きを見守っていた。
俺は試しにとばかりに声を掛ける事にした、もしかしたら俺達と一日だけあった事を覚えていないかもしれないと思い。

俺「久しぶりだよな、俺等の事、覚えてるか?」

俺が声を掛けるとマオはこちらを振り向く。そして、初めてその表情が、微かにではあったが笑みを浮かべて言葉を発する。

マオ「当然でしょ。凄くお世話になった人たちだもの、オズマ、レイナ、エルダ……1年と半年ぶりくらいかしら?」

レイナ「……前に会ったのが、西暦2023年6月12日だったから。ほぼ一年半ぶりの再会で正しいわ」

俺「そんな詳しい日時までよくはっきりと覚えてたもんだな―――取りあえず覚えてくれてて何よりだな」

エルダ「そうね、まさか本当に攻略組の一員になるなんてね」

俺達MBT組がマオと顔見知りであると知ったエギルは、多少意外そうな表情を浮かべて、バリトン声で俺達に対して食い入るように声を掛ける。

エギル「おいおい、お前たち、この新入りさんと知り合いだったのかよ?もっと早く言えば良いじゃねぇか」

俺「知り合いっつっても、一日会っただけで、それっきりだったからな。てっきり忘れちまったんじゃ仲と思ってたんだが、そりゃ杞憂だったって事か」

俺が若干申し訳なさそうにして、そう言うと、マオはさして気にしているようなそぶりも見せる事無く、言葉を返してくる。

マオ「オズマ達こそ、覚えててくれて嬉しいわ。あの一件以来、攻略組を目指す者として、ちょっとした憧れだったんだから」

その表情は、かつて出会った時の、勝気な感じを思わせる表情と変わらなかったが。どことなく、俺にはそれが無意識ではなく、意図的に作り出した表情のように思えてならなかった。

そんな中、パーティーメンバーで唯一の成人にして最年長のエギルが、大きなバリトン声で『よし、お前ら!』と声を上げてから更に続けて言う。

エギル「新入りさんのマオの歓迎会も兼ねて、H隊メンバーで俺の店に集合だ!飯の用意くらいはしてやるからよ!」

エルダ「あら、たまには気前の良いことを言ってくれるわねエギルさん」

俺「つーか、あの狭い店に6人は多少手狭じゃないか?」

本当に、とてつもなく珍しい事にそんな気前の良い事を言ってきた、エギルに対して俺もエルダも素直とは言い難い言葉を返していた。

エギル「ったく、これだから21世紀生まれの連中は可愛げがありゃしねぇ……んで、肝心のマオはどうだ?この後に用事があるってんなら無理にとは言わないが」

マオ「是非、お邪魔させてもらうはエギルさん。攻略組の大先輩の話を聞けるなら、猶更こちらからお願いしたくらいだから」

マオはエギルの申し出に対して、俺やエルダとは正反対の素直な態度と表情で答えて、エギルも『そうこなくちゃな』と満足げな表情を浮かべて首を縦に振った。

俺「キリト、お前はどうする?」

キリト「お、俺……か?」

俺「他に誰がいるんだよ……」

明かに様子がおかしいキリトに対して、俺は自然に訝しむようにキリトを見てしまう。

エギル「今更、自分だけは不参加だなんて景気の悪い事は言いっこなしだぜブラッキーさんよ。まさかまた、アスナと二人きりでどっかに行くとかじゃねーんだろ?」

レイナ「……そもそも、アスナはこの後も恐らく、血盟騎士団の活動で忙しいはず」

また、キリトがアスナと二人きりで行動し、血盟騎士団のメンバー、もといアスナのファンの連中から不服を買いかねない事を仕出かしたのかもしれないらしいが、面倒何でそこには全く触れないでおこう。

ともかくこれで半ばエギルに強制される形であったが、第50層アルゲードにあるエギルの店で軽い歓迎会を兼ねた食事となったのだった。



※ ※ ※



第50層主街区アルゲードは、転移門から出た俺達6人を、相変わらずの猥雑な喧噪で出迎えた。転移門が有効化(アクティベート)されてからそれほど経ってるわけじゃないのだが、既に目抜き通りの商店街にはプレイヤーショップが開店して、ざわざわとしていた。

エルダ「ここって、お店を構えるのにそんなに良い所なのかしら?」

この主街区に訪れる事など殆ど無い、エルダが不思議そうに街中を見渡しながらそう疑問を口にする。

俺「ここでは店舗物件の代金が下層の街と比べても格安で設定されてるんだよ。当然、それ相応に店は狭いし外観も汚くて、これから行くエギルの店も例外じゃないがな」

エギル「テンション下げるようなこと言ってんじゃねーよ。店の手狭さと外観はともかく、店の中はしっかりと整理整頓が行き届いてるだろうが」

実際の所、どうなのだか怪しいエギルの言葉だった。

それはともかく、俺としては何となく地元の山谷を少しばかし感じさせるこの雰囲気が馴染み、ここでえ格安のホームを購入する事に決めたのだった。
屋台から流れるジャンキーな食い物の臭いが漂う中、この場所に慣れている俺、レイナ、エギルが先頭で歩いていく。
キリトも、ここにはたびたび訪れており、つい最近ここでホームを買ったらしいのだが、それにしては相変わらずその表情は硬く虚ろ気味で、下ばかりを俯いているように見えてならなかった。

そして、目的の場所であるエギルの雑貨屋に到着した。人で賑わっている場所故に誰かが途中ではぐれていたりなんて事になっていないか確認してみるが、流石にそんな事は無かったようで、6人全員が揃ってエギルの店に辿り着いたことを確認し、俺達はエギルを先頭に店の中へと足を踏み入れていくのだった―――そしてこの店の中で、キリトがこれまで隠し続けていた己の罪を曝け出す事になるとは、この時は当事者たちを除いて誰も想像など出来るわけが無かった。 
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