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戦国異伝供書

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第十話 朝倉攻めその十二

「軍勢を幾つかに分けて入れ替わり立ち代わり」
「そうです、そうして攻めるやり方もありますな」
「攻め方にはな」
「それを行ってもいいですし」
「とかく数と武具の有利を活かしてか」
「戦えば」
 それでというのだ。
「敵は宗滴殿お一人、しかも兵の数の違いもあるので」
「勝てるか」
「最悪宗滴殿だけが朝倉の将ではありませぬ」
 竹中はこうも言った、
「宗滴殿が実質の総大将でもあの方が直接率いられる兵以外は朝倉家の他の将の方々が率いられます」
「朝倉家の家臣衆のお歴々がな」
「この城でもそうでしたし」
 その者達はもう信長に降って許されているか逃げてしまっている、朝倉家の中には既に当主義景を見限って織田家に仕えだしている者達もいる。そうした者達はもう家族も信長に預け都に向かわしてさえいる。
「ですから」
「それでか」
「はい、宗滴殿と戦わずとも」
「朝倉家の他の将とその率いる軍勢を叩く」
「そうしていけば」
「同じか」
「宗滴殿に勝てずとも他の方に勝てばいいのです」
 それでもいいというのだ。
「さすれば宗滴殿とあの方が率いる僅かな兵ばかりになり」
「朝倉家の力はなくなる」
「そうなりますので」
「朝倉家との戦い方は幾らでもあるか」
「左様です」
「半兵衛殿の言う通りだ」
 黒田もこう言った。
「幾ら宗滴殿といえどな」
「戦い方はありまする、そして我々は」
「その戦い方を多く持っている」
「それを使っていき」
 そうしとだ、竹中は話すのだった。
「宗滴殿を攻めていきましょうぞ」
「そうして勝てるか」
「間違いなく」
 竹中は柴田にまた答えた。
「ですから」
「宗滴殿も恐れず攻めていくか」
「そして朝倉家を降しましょうぞ、殿の下で」
 竹中は確かな顔で言った、そしてだった。
 織田家の家臣達は今は金ヶ崎城で酒を楽しんだ、そうしてさらに攻め込もうと考えていた。そこからすぐに状況が変わるとは夢にも思わずに。


第十話   完


                  2018・7・15 
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