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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE64 キリトとアスナの対立・アルゴからの誘い

西暦2024年3月6日。第56層のフィールドボス攻略会議が行われていた。血盟騎士団、聖竜連合、天穹師団といった、攻略組を代表する3大有名ギルドの他、クライン率いる風林火山、オズマ率いるMBTなどと言った小規模ながらも有力な攻略ギルド、そして――その他一部のソロプレイヤーが集まり、フィールドボスをどのようにして討伐するかの話し合い。

そんな中、今回の作戦の指揮を執る、血盟騎士団の副団長アスナが、机を手で叩きながら発言!by立木ナレ


アスナ「フィールドボスを村の中に誘い込みます!」


アスナのその作戦案を聞いた、攻略組の一同が一斉に騒然とし始める。アスナが考案したフィールドボスを村の中に誘い込むと言う作戦―――それはすなわち、村の中にいる、NPCの村人たちを生贄にすると言う事だった。
だが、その作戦に息を呑む者や緊張感を孕んだ表情を浮かべる者は大勢いれど、表立ってアスナに対して意見をする者は誰もいなかった。

俺「まあ、当然だわな」

この場には血盟騎士団の団長であるヒースクリフがいない事もあり、実質的に血盟騎士団の副団長であるアスナが最もこの中で高い発言力を持った存在だった。
ただでさえ攻略の鬼として名高いアスナに対して異を唱える事など、恐れ多い事である上に、アスナが今回の作戦の指揮を預かっている以上、アスナの指示に従うと言うのが暗黙の了解と言う奴であり、俺も特にアスナの作戦に対して異を唱えるつもりなど皆無で、このまま話は進むかと思った時だった。

キリト「ちょ、ちょっと待ってくれ!そんな事をしたら村の人達が……」

アスナとかつてコンビを組んでいたキリトが、唯一アスナの作戦に対して異論を唱えようとしたのだったが、そんなキリトの異論など最後まで聞く事無く、アスナは凛とした厳しい表情で言った。

アスナ「それが狙いです。ボスがNPCを殺している間に、ボスを攻撃、殲滅します!」

キリト「NPCは岩や木みたいなオブジェクトとは違う!彼らは―――」

アスナ「生きている――とでも?」

キリト「…………」

キリトの意見をアスナは再び一蹴するかのように、そう聞き返すと、キリトは言葉を失い、小さな声を上げるのみだった。

アスナ「あれは単なるオブジェクトです。何度殺されても、またリポップするのだから」

これまでのキリトとアスナの言い合いを見て――俺がどちらの意見に同意するかと言われれば、それはもう迷うことなく分かり切っている。

エルダ「さて、NPCをオブジェクトして割り切って、ボス攻略のために利用するアスナさんと、NPCを生きた存在として見なして、無碍に殺す事に反対するキリト君―――正しいのはどっちかしら?」

俺「んなもん、100%アスナだろ」

妙に楽し気にエルダが俺の意見を聞きたいと言わんばかりに、そう聞いてくるが、俺は迷うことなく瞬時にアスナの言っている事の方が正しいと言い切った。

エルダ「あら、どうしてかしら?」

俺「説明何て、さっきアスナが全部言った通りだろ――現実世界で間違いなく生きてる俺達プレイヤーの命と―――単なるゲームの中のプログラムで、幾らでもリポップするし、代わりなんてどうにでもなる、生き物ですらないNPC、どっちを優先しなくちゃならないかなんて、ずば抜けた馬鹿でも分かる話だ。てか、お前だって分かってて聞いてるんだろ?」

俺がエルダにそう言い返すと、エルダはくすっと微笑を浮かべてから言った。

エルダ「ホント、アスナさんの言う通りだし、オズマ君が今言った事も私も全面的にその通りだと思うんだけどね―――大勢の集団の中においては、一人か二人位はいるもんなのよね、その当然、当たり前から外れた事を言いだす人が」

レイナ「……キリト、ね」

エルダがそう指摘したのは、レイナが口にするまでも無くキリトの事だった。ただでさえはぐれ者のソロプレイヤーで、血盟騎士団の副団長であるアスナとは、比較にならぬほどの人望の差、この攻略会議の場に限らず、圧倒的アウェーな立場になるキリトは、首を横に振り、アスナの至極真っ当な正論に対して反論する。

キリト「俺は……その考えには従えない」

アスナ「今回の作戦は、この私、血盟騎士団の副団長のアスナが指揮を執る事になっています――私の言う事には従ってもらいます」


キリトとアスナ、圧倒的衝突!!だが、その対立は互角とは程遠いものであった!―――攻略会議の場に集まったプレイヤー達の殆どは、オズマを含めてアスナの意見を支持する者達が圧倒的大多数!それ以外は、どちらにも肩入れしない中立派がそこそこの人数である位で――キリトに全面的に同意する者はまさしく皆無!
元より人望でアスナに遥か劣るキリトが、アスナの命令を覆す事など許される事であった! by立木ナレ


しばらくして、血盟騎士団のプレイヤーの一部の者達が、キリトの意見を聞いているうちに滑稽に感じたのだろう、クスクスと失笑し始める者達が現れていた。
だが、中には全く笑えないどころか、キリトに対して憎悪の籠った目付きで睨み付けている者も中にいる。

レイナ「……結局、どうなるの?」

俺「どうなるもこうなるも、作戦の指揮を執ってるアスナの指示である以上、キリトの意見なんざ最初っから通る見込みなんてあるわけが―――」

ガチャモン「ファイッ!」

モック「さー、始まりました。血盟騎士団副団長のアスナさんVSキリトさんのフィールドボス討伐作戦を巡るトークバトル!レフェリーを勤めますのは、かの悪名名高い阿部シローをも超えると言われている悪徳レフェリーのガチャモン!そして、実況解説は―――この私、モックが務めさせていただきますですぞ――!!」

緊張感に満ちた攻略会議の場で、気の抜けたやり取りをしながら割り込んできたのは自称SAOのマスコットキャラクターのガチャモンとモック。
まるで、格闘技の試合でも取り仕切るかのようなテンションで現れた奴らに対して、その場にいた者達の白い眼が一斉に向けられていた。

ガチャモン「…………あれ?トークバトルはやらないの?僕がレフェリーをやる限りは、お金次第で判定を幾らでも覆してあげるから安心して良いから、やったいなよYOU!」

モック「金ぇぇぇ!!初っ端から賄賂貰う気全開じゃないですかガチャモン!全くアンタって人は、レフェリーになってますますインチキ臭くなっちゃったじゃないですか!」

クライン「インチキくせーのは元からどっちもだろうが!」

「すっこんでろポンコツカスコットが!」

「話の邪魔なんだよぉ!」

クラインを筆頭に、ガチャモンとモックに対するブーイングが恒例の様に浴びせられるのだった。アスナも、奴らの出現で興が冷めたようで、一旦フィールドボスの攻略会議は翌日に持ち越しとなり、その場は解散となった。

そしてその日―――全くの予想外だったのは、フィールドボスの攻略方針を巡って対立していたキリトとアスナが、どう言うわけかデュエルで決着をつける事になった事だった。



※ ※ ※



そして、キリトとアスナがデュエルを行った翌日、情報屋のアルゴからの呼び出しで、俺達は56層よりも2層下の第54層の主街区に来ていたのだったが―――

アルゴ「おっしゃ、ちゃんと集合時間に遅れずに間に合ったなオズ坊もキー坊も!おねーさんは時間を守る子は好きだゾ」

キリト「え……なんで、オズマとレイナが?」

俺「こっちも、まさかお前まで呼ばれてるなんて全く聞いちゃいなかったぞ。説明してもらおうかアルゴ?」

取りあえず、アルゴは今回の依頼とやらに関して、俺とレイナ、そしてキリトの二重契約でもしたわけで、アルゴはそれを早々にネタ明かししてくれたわけだった。

アルゴ「慌てナイ、慌てナイ、おねーさんがこれから手取り足取り丁寧に説明してやるから、よーく聞くんだゾ」

取りあえず、俺達は一旦口を閉じて、アルゴの話に耳を傾ける事にした。アルゴは、俺たち全員が話を聞く姿勢になっている事を確認すると、ヘラヘラとした表情が若干締まった表情になる。

アルゴ「実はナ、ラフィン・コフィンの一部のメンバーがこの第55層のフィールドで活動してるって情報が入ったんダ」

キリト「ラフィン・コフィンだと!?」

俺「随分と最前線付近で動いてるみたいだな……」

そのギルドの名を聞いて、俺達はアルゴの話がかなり真面目な内容である事を瞬時に察した。
殺人ギルドのラフィン・コフィンが結成が宣言されてから既に2カ月以上。奴らによる犠牲者の報告は、日を追うごとに増えていく一方だった。

犠牲者は今の所は、中層のプレイヤー達に偏っている状態だが、普段は迷宮区の攻略に切磋琢磨している攻略組でも、その不安は広がっており、そろそろ本格的に奴らのアジトを探す事にも本腰を上げるプレイヤー達も少なくなかったが、今の所奴らの所在に関する情報はまるで皆無なのが現状だった。

アルゴ「連中が何しに来てるのかまでは分からないが、確かにその一団は奴らのギルドのマークが、薄気味悪く笑ってるようなマークがあったのをオレッちが確認してるんだ」

キリト「だったら、奴らがここにいるうちに、こっちから接触して、生かして捉えたままアジトの場所を吐かせるって事か?」

俺「この層で活動してるのが精々数人程度なら、俺達で制圧するのは充分いけるかもな……」

既に奴らにとって結構な数の犠牲者が出ている以上、早急にメンバーの下っ端とは言え、確保できるチャンスがあるのだとしたら、それを逃す手はないだろう。
ラフコフの連中も、数十人ほどいるとされているメンバーの内、攻略組の手練れと互角以上にやり合えるのはボスであるPoHを含めて数人程度で、後の連中は中層のプレイヤー達からして見れば強いが、攻略組のプレイヤーほどの腕前ではない、いわゆるミドルゾーンに相当するプレイヤー達だろうと目されている。
そいつらが数人だけであれば、俺とキリト、レイナで問題なく生活はだと言い切れる。

レイナ「……具体的に第54層のどの当たりにラフコフはいたの?」

アルゴ「オレッちが奴らを見つけたのは―――《亡者の密林》だったんダ」

レイナ「……アンデット系モンスター達の巣窟ね」

また奴らも、随分と薄気味悪い場所で活動してやがるな。だが――そこはそこで、利点が無いわけではない。

キリト「亡者の密林か……あそこだとアスナの協力は仰げないな」

アスナ「そーなんだよナ。オレッちもさ、アーちゃんには無理だな~、って思ったから声掛けるのを止めておいたんだよナ」

この通り、アスナはやたらホラー系が苦手なようで、アンデット系やスピリット系のモンスターが出現する場所に近寄るのを極力避ける傾向にあった。

俺「まさに、血盟騎士団副団長にして、攻略の鬼の介入を回避するにはうってつけの場所で動いていたわけだ」

キリト「あれでも、アスナは隠してるつもりなんだよな……」

キリトはつい先日、フィールドボスの攻略方針を巡り派手に対立し、デュエルにまで発展した相手の意外な弱点を真っ先に知った者ゆえか、頭を額に当てて、少々嘆かわし気な表情を浮かべるのだった。

アルゴ「そもそも、奴らは少数で移動してるけど間違いなく、転移結晶を持ってるはずダ。迂闊に大勢で動いて捕まえようとしたら、こっちの動きを気取られて全員逃がしちゃう可能性が高いから、今回の作戦は極力秘密裏に、少数のメンツでやるのが良いと思ったんダ」

キリト「それについては俺も賛成だ、最低でも一人……奴らの内の一人でも確保できれば、何か重要な情報を得られるかもしれないんだ。」

俺「んで、結構は何時だ?」

アルゴ「オズ坊、早いうちに捕まえるに越したことはないって言ったけど、焦りは禁物ダ。亡者の密林に近づいたら、まずはオレッちが単独で中を探ってみるつもりダ。オレッちは隠蔽(ハイディング)スキルの他にも忍び足(スニーキング)スキルも高めてるし、索敵スキルも聞き耳スキルもあるから、隠密行動や、偵察はオレッち一人でやるのが一番成功率が高いからナ」

レイナ「……つまり、貴方がラフコフを発見したら、私達が―――」

アルゴ「ああ、すぐに呼ぶサ」

俺もキリトも、アルゴが最も危険を背負う作戦である事は百も承知だったが、同時にこれが最も成功する可能性が高い事も間違いなかったので、アルゴの作戦に乗る事にしたのだった。

結成から僅か2カ月でアインクラッド全土に恐怖の殺人ギルドとして等轟かせている奴らを―――どうにかして早急に壊滅させるための突発的に近い作戦が始まろうとしていた。

 
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