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DQ8 呪われし姫君と違う意味で呪われし者達(リュカ伝その3.8おぷしょんバージョン)

作者:あちゃ
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第二十話:逃げるは恥だが、役に立ちまくる

 
前書き
後書きにリュリュちゃんの歌を掲載。
タイトルは『ひみつのリュリュちゃん』です。
そうです、ひみつのアッコちゃんのリズムで歌ってね。 

 
(マイエラ地方・マイエラ修道院)
ラングストンSIDE

「いい加減出しやがれ!」(ガンガン!)
聴取の続きは明日と言う事で、我々は手厚い対応で牢屋に放り込まれた。
我等が裏リーダーが余計なことを言いまくったことも作用されての対応だ。

「うるっせーぞヤンガス! 少しは静かにしろ」
被害者の一人であるヤンガス氏が騒ぐのを、冷ややかな目で注意する裏リーダー。
慣れない人間には、全て貴方の所為に思えるんですよ。

「静かになんてしてられねーでがすよ! 大体何でアッシが盗んだことになってるんでげすか!?」
ククールしに託された指輪のことを言ってるのだろう。
彼は自らの罪を逃れる為に、指輪を盗まれたことにしたから……

「しょーがねーだろ。お前が一番手癖悪そうな外見なんだから」
あれ、おかしいな?
つい先日は外見で為人を判断してはダメだと言っていた様な……

「何言ってんでがすか! あのククールって野郎が、自分だけ助かる為に嘘を吐いただけでげしょう。何でそれに乗っかってんでがすか!?」
うむ、当然の意見である。だが先々を読んでの行動となれば、ウルフ殿が正しいのだろう……と思う。

「ヤンガス……ウルフさんは穏便に事を済ませる選択肢を選んだんだよ」
流石はリーダーのアハト殿。
それなりに理解はしている様だ。

「俺はさ……アイツ等と戦争するつもりもあったんだよ。だからアドバンテージとる為に、あのデコ助を挑発しまくった。でもククールがさぁ、指輪の件で嘘吐いたじゃん。それで方向転換……穏便に済ませようって考えたわけ(笑)」

「穏便に済ませる割には、ククールの野郎が嘘を吐いた後も、デコ野郎への口撃(こうげき)が止まなかったでげすか!?」
それはこの人の性格が……

「でも、未だ俺等は投獄されているよ。穏便じゃないか。ククールに策が無ければ、今頃俺はこの牢屋の鉄格子をイオナズンで爆破し、この建物全体をベギラゴンで火の海にし、再建不能になるくらいバギクロスで粉々にしてたからね」

「そ、そんな事したら、アッシ等は世界中でお尋ね者じゃねーでげすか!」
それを予想したからククール氏は嘘を吐き、ウルフ殿は穏便にすませようとしたんだ。
だが完全に解ってなかったヤンガス殿は勿論、全貌まで見えてなかったであろうトロデ殿とゼシカ嬢の顔から驚きを覗える。

「でもさぁ……それは俺等に関係なくね? だって俺等3人は、この世界の住人じゃ無いし……帰れる様になればサッサと居なくなるし(笑)」
あ~ぁ……言わなければ良いのに、言ってしまった。流石ウルフ殿だ。

「む、無責任じゃねーでげすかぁ!」
「無責任じゃないよぉ……元々責任が俺に押しかかることが問題なんだろ」
戯けた表情で肩を竦める。憤りを感じるのは何故であろうか?

「で、でも……そうはならない様にしたんでしょ? 穏便に済むんでしょ?」
趣味悪くウルフ殿に惚れてしまってるゼシカ嬢が、現在の重い空気を和ませる為にフォローを入れる。
意外と健気だ。

「そういう事だな」
期待と恋心の混じった瞳でウルフ殿に視線を向けてたゼシカ嬢だが、それに答えたのは牢屋の外からだった……そう、我々を巻き込んだ張本人、ククール氏である。

「き、貴様! 貴様の所為でアッシ等は「デカい声を出すな!」
現れたククール氏に文句を言うヤンガス殿……だが落ち着いた声でそれを制する。
若いのにクールだ。

「あまりデカい声で話されると、睡眠薬で寝てる連中ですら起きてきちまうよ」
「す、睡眠薬……でがすか?」
やっと状況を理解してきたのか、流石に声を落として喋り出すヤンガス殿。

「ちゃんと逃げる算段は整ってるんだろうな? 牢の鍵を開け見張りを睡眠薬で眠らせたから、その後は勝手に……とかだったら大暴れするぞ(笑)」
「分かってるさ。あんな男(兄貴)が居ても、ここは俺の家なんでね……壊されると困る」

「俺も出来ることならば修道騎士団に追われるなんて状況は避けたいからな。脱出に協力してくれるのなら、穏便に済ませるよ」
「ウ、ウルフの旦那とククールは、あの一瞬で意思疎通をしてたんでがすか!?」

「意思疎通って言うか、コイツが指輪盗まれたってバレバレの嘘吐くからさ……何とか時間を稼ごうって伝わってきたんだよ。だってさぁ……いくらあの馬鹿デコ助でも、指輪が盗まれたなんて信じるわけ無いじゃん」

「だけど……(すげ)ー……でげすよ」
「おい、そろそろ逃げるぞ。静かに付いてこい」
ウルフ殿はリュカ様に、そう言う事柄を鍛えられましたからねぇ……

しかしククール氏の作戦を理解出来る者が居なかったら如何してたんでしょうね?









我々はククール氏の後に付いていき、マイエラ修道院が誇る素敵な拷問部屋へとやって来た。
何だ……結局はこの部屋に来る必要が有ったんですね。
デコ助殿の期待を裏切って、ここへは来ないつもりだったのに。

「この拷問部屋から逃げ出すことが出来るのか?」
「ふっ……それは自分の目で確かめるんだな」
まだククール氏のことを信用しきってないトロデ殿が、不安感を露わに訪うた。

すると徐に拷問器具(アイアン・メイデン)の扉を開いて中を見せてきた。
半信半疑のトロデ殿が中を覗く……すると、
「ほれ!」と一言言ってトロデ殿を蹴りやり拷問器具(アイアン・メイデン)の中へと押し込む。

「ぎゃ、ぎゃぁぁぁぁぁぁ……………あ?」
押し込まれたトロデ殿は、最初こそ悲鳴を上げたのだが、中で何かを発見した様で、突然悲鳴声が疑問の声に変わる。そして……

「おおアハトよ! この中には隠し通路が存在するぞ!」
「一人ずつしか入れないけど、この扉を閉めると奥の抜け道が開く仕掛けになっている。さぁ、ここから外に出れるぞ」

「なる程……拷問器具が隠し通路になっているなんて誰も考えない。ましてや(いず)れ身に降りかかるかもしれない物の傍になんか近寄らないもんな。これを考えた奴は我が国の金庫制作を考えた奴の同類だろう……性格の悪さが滲み出ている」

「それは我が国の国王陛下のことでしょうか、ウルフ宰相閣下?」
効果は無いだろうけど、リュリュさんの手前、嫌味で釘を刺しておく……
しかし以前も金庫のことを言っていたが、どれ程性格悪い造りなのだろうか?

「ああゴメン……言い方が回りくどかった? それ以外の表現をしたつもりはないんだけどね」
「ほんっとコイツ腹立つ……」
案の定、嫌味の効果は無く、むしろリュリュさんの機嫌を悪くするだけだった。

「ククールちゃん、ちょっと……」
「ク、ククール……ちゃん?」
それ程親しくなってるとは思えないし、実際親しくないことがククール氏の反応から覗えるが、リュリュさんは気にすることなく話し掛ける。ここら辺は父親譲りだろう。

「この抜け道拷問器具は通常の拷問器具として使用出来ないの? ある特定の人物が抜け道を使用する時だけ拷問器具に変更したいんだけど」
「い、いや……そういう事は……」

「ククール、気にするな。この女のマゾな性癖に付き合うことないぞ」
「わ、私用じゃ無いわよ! お前用だ!!」
ククール氏もリュリュさんが如何いう意味で言ったのかは理解してるだろうけど、それでも腹立つ返しをしてくる。

「分かった、分かった……そういう事にしといてやる。ククール……コイツの性癖のことは忘れてやってくれ」
「だから、お前用だって言ってんだろ!!」

「分かったって。皆……そういう事にしてくれよ。これでも彼女は姫君だからさ(笑)」
「うぅぅぅ~~~!!!!」
リュリュさんが美しい顔を歪めて悔しがる。誰もリュリュさんの性癖を疑ってはいないが、ウルフ殿の言い方が兎も角腹立つ。

「お、おい……良いからサッサと行ってくれないか」
流石に付き合ってられなくなったのか、ククール氏が脱出を急かしてきた。
そんな彼をウルフ殿は軽く見ると、肩を竦めて戯ける。性格悪すぎ……

「トロデのオッサンが先行してるから、次はアハト君が行ってくれ。その後にレディーファーストでゼシカ。ヤンガスはその次……文句ないだろ?」
別に脱出の順番に文句を言うつもりは無いが、ゼシカ嬢をレディーファーストで先に行かせるのに、何故リュリュさんは後回しなのだろうか?

「脱出路を知ってるククールは全員に気を配れる様に中間としてヤンガスの後ろ。殿はラング……任せて良いか?」
取って付けた様な理由で脱出順番を決めてるウルフ殿……だが私の殿を言い付ける時だけ真剣な目になった……何だ?

「万が一何かトラブルがあった時は、後方からの敵襲をラングが押さえる……レディーファーストでリュリュさんを先に行かせても良いが、そうなると俺が貴女の後ろだ。俺に守られるのは嫌だろ? それとも嬉しい?」

「死んでも嫌!」
「ふっ……じゃぁ俺がリュリュさんの前で、次にリュリュさん。そして殿のラングって順番な」
何だろうか……ウルフ殿から、何としても私やリュリュさんより先に脱出したい意思が覗える。

とは言え誰からも反対意見は出なかったので、ウルフ殿の指示通りの順番で各自脱出を開始する。
自分の順番を待っていると、ウルフ殿が私に近付いてきて……「おいラング……外に出てリュリュさんが我が儘を言いだしたら、絶対に俺に同調しろ。これは宰相としても命令だ……背いたら処刑する」と私以外に聞こえない声で呟いた。

彼は性格こそ極悪だが、公私は分けている人だ。
けして地位を盾に他者を恫喝することは無い。
そんな彼が地位を言い出したのだから、絶対に何かあるに違いない。

処刑の件は脅しだとしても、逆らってグランバニアに帰還したらクビにはなるかもしれない。
それもリュカ様が納得する理由で……
逆らわない方が良いだろう。








着いた先は修道院の外にあった馬小屋。
一本道の抜け道は迷う事なく、無事に修道院の外へと脱出出来た。
先に脱出した方々は既に馬小屋の外に出ている様だ。ただ何やら騒がしい……

何かと思い、一瞬先に抜け道から出たリュリュさんと顔を見合わせる。
そして徐に馬小屋のドアを開け外に出る……
すると、そこには真っ赤に燃え上がる修道院の建物……いや、院長の住まいが!

「た、大変だ……い、院長!!」
事態の重大さに我を取り戻したククール氏が、悲鳴にも似た声を上げて修道院へと駆けだした。
それにつられる様に、アハト殿がククール氏の後に続くと、ヤンガス殿とゼシカ嬢も慌てて修道院へと駆け出す。あぁ、序手でにトロデ氏も。

「あ、あの道化師が……また院長を襲いに来たんだわ! 助けに行かなきゃ!」
アハト殿等と同じ事を思ったリュリュさんが、修道院へ向かおうと数歩動いた……が、それをウルフ殿が遮る。

「ちょっと退いて! 急がなきゃ院長が殺されちゃうでしょ!」
「そんな事は関係ない。リュリュさん……貴女を今あの場へ行かせるわけにはいかない」
彼は何を言ってるのだろうか!?

……そ、そうか。
先程ウルフ殿が言っていた『リュリュさんが我が儘を言いだしたら、絶対に俺に同調しろ』は、この事か。
彼はこれを予測してたから、脱出の順序も決めてたんだな。

こ、これは……アハト殿等に恨まれそうだな。

ラングストンSIDE END



 
 

 
後書き
♫みんなの前では普通の娘 ツンとおすまし それはだれ♪
♫それは姫様 大きなお国の姫様♪
♫大好きパパが現れた ラブ ラブ ラブ それはだぁれ~♪
♫それはリュリュちゃん 姫様リュリュちゃん ファザコンリュリュちゃん♪

♫朝から晩までアレばかり 変な妄想 それはだれ♪
♫それは姫様 大きなお国の姫様♪
♫ムカつく宰相 現れた イラ イラ イラ それはだぁれ~♪
♫それはリュリュちゃん 我が儘リュリュちゃん ファザコンリュリュちゃん♪

♫大人も子供も幼児でも 男を惑わす それはだれ♪
♫それは姫様 大きなお国の姫様♪
♫お酒を飲もうと誘われた~ ゴク ゴク ゴク それはだぁれ~♪
♫それはリュリュちゃん 酒豪のリュリュちゃん ファザコンリュリュちゃん♪ 
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