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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE60 詳細説明、パックハント・ドライブ

 
前書き
予告なしで済みませんが、小説のタイトルを『ソードアート・オンライン 人生黙示録』から『ソードアート・オンライン 遊戯黙示録』に変更しました。 

 
ガチャモンとモックにより急遽開催が決定したリアルマネーゲーム、『パックハント・ドライブ』……!現時点で判明している詳細は、プレイヤー達は車を運転する事、そして……獲得賞金は100万円!その100万円を最大で3度獲得のチャンスがあると言う――― by立木ナレ



20人の参加者たちは道路のど真ん中の一箇所に集められて、同じように俺達と正面を向き合っているガチャモンとモックが更にゲームの詳細説明を続ける。
が、その詳細説明の直前に一人のプレイヤーの叫び声が、その場にいた者達を一瞬にして凍り付かせるのだった。

「お、オレンジプレイヤーだ!こ、こ、コイツ……あ、赤眼のザザじゃねーか!?」

キバオウ「なんやてぇ!?」

キバオウがそう叫びながら、声がした方を振り向き、俺を含めた他のプレイヤー達も一斉にそちらを振り向くと―――その先には髑髏を模したマスクで顔を隠し、赤くカスタマイズされた髪と眼、そして、まるで血盟騎士団のイメージカラーと紋章を揶揄するような、赤の逆十字を彩ったフードマントを纏ったエストック使いの姿があった。

俺「ラフィン・コフィンの赤眼のザザまで参加してやがったとはな……」

ザザ「それが……どうした?金に釣られて……のこのこ誘われてきやがったのはここにいる連中……全員一緒だろう」

殺人ギルドのラフィン・コフィン。今月の元旦の日にアインクラッド全土に正式に結成を宣告された殺人ギルドの幹部格のプレイヤーの赤眼のザザは、ラフコフがギルドになる前の単なるPK集団時代から恐れられていた男だった。

キバオウ「おうおんどれらぁ!どーゆうこっちゃ一体!?」

この場にザザがいる事に気が付いたキバオウがガチャモンとモックを指差して大声で怒鳴り付けるが、それに対してガチャモンとモックは二人揃って首を横に90度傾げて―――

ガチャモン「はて?どーゆうこっちゃ一体とは?この人は一体何が言いたいんだろーねモック?」

モック「さてはて、切羽詰まってる人と言うのは、時折訳の分からない事を叫ぶことがありますですからな~」

キバオウ「とぼけとるんちゃうわボケェんだらぁ!!なんで、殺人ギルドのオレンジ(もん)が、この場におるんやねん!!」

どうせ、ガチャモンとモックもキバオウが言いたい事に気が付いてるのだろうが、ワザと恍けて、キバオウを愚弄するような言動でキバオウの怒りに火を注いでいた。

が、そんなキバオウの問いかけに対してガチャモンとモックは答える必要などまるでないと言わんばかりに華麗にスルーして詳細説明を再開する。

ガチャモン「それじゃ、今から参加者の皆には、自分が運転する車を選んでいただきまーす」

モック「車マニアの方にとっては嬉しビックリかもしれませんですな~、なにせ、現実世界で流通している、あるいは過去に流通した事のあるあらゆる車を選択して、このゲーム中の自身の愛車に出来るんですからな~」

キバオウ「話、聞かんかワレェ!!」

キバオウは自分を無視し続けた二人に対してなおも喚き怒鳴り付けるが、俺としては今に限っては、キバオウの話を無視してドンドン説明を続けてくれて構わない気分だった。

俺としてもここにザザがいようがいまいが、全く関係の無い事と割り切っていたからだった。そして、俺達の目の前にウインドウ画面が表示される。
どうやら、ここから車種、年代、メーカー、などから車を検索して、自分がこのゲームで運転する車を選択するようだった。

ガチャモン「あ、このゲームではどんな車を選んでも、基本性能はそれも一緒だから安心してね。ミッションも自分のお好みに合わせてATかMTを選べるからね~」

モック「とは言え、今の若い人達でMTを運転した事のある人なんて殆どいないでしょうがな~」

俺はこの時点でガチャモンとモックの説明を適当に聞き流しながら、迷うことなく、検索エンジンから愛車にしたい車を検索していた。

俺「あったぜ……ユーノス・ロードスターJリミテッド!」

それは、俺が小学生の頃から一目見て、何時か手に入れて見せたいと思っていたマツダの参加ブランドであったユーノスのライトウェイトスポーツカーだった。
1989年から1997年にかけて生産されたこの車は、実質の初代マツダ・ロードスターでNA・ロードスターとも呼ばれている。
ユーノス・ロードスターは後進のロードスターに比べて様々な限定モデルが開発された事でも知られている。このJリミテッドもロードスター初の限定車で91年に限定800台で生産され、Jリミテッド限定のサンバーストイエロー食が人気を博し、注文殺到で後日抽選となった代物だ。

俺「奴ら言ってやがったな、100万円ゲットのチャンスが計3回だとか……」

その言葉通りなら、俺が万が一、上手くやって100万円程度では流石に厳しいだろうが200万円以上をゲットすれば、現実世界に帰還後に大金を得れば―――

俺「200万円あれば確か足りるはずだ……それなりに状態の良い中古品のJリミテッドが買えるはずだ……」

俺はそんな淡い、夢のような期待を思い描きながら、ユーノス・ロードスターJリミテッドを選択し、カラーリングを当然イエローに、同色のリアウィングを設定して、ミッションをMTに選択して、このリアルマネーゲームでの愛車を決定した。

そして、俺に遅れて他の者達も続々、操縦する車を選択して、ガチャモンとモックの説明は次のステップに進む。

ガチャモン「はい、車が決まったところで、お次は君達が車を使ってやってもらう事を説明しまーす」

モック「プレイヤーの皆さん、あちらをご覧ください!」

モックがそう言いながら南の方角を指差すと、俺達も一斉にそちらを振り向くと、次の瞬間にはその場所に巨大な黄色い、直径250㎝ほどの大きさの球体のモンスターが出現していた。
その目はデフォルメ化された棒線状で、コミカルさを感じさせ、巨大な口を開けてこちらをじっと見ていた。

ガチャモン「これが、君達がこのゲームで倒すべきモンスターのパックちゃんでーす!」

モック「皆さんには、ご自身が選択したお車を運転して、車体の正面からパックちゃんに体当たりして、パックちゃんをやっつければ、見事!100万円の権利を獲得ですぞ―――!!」

ガチャモン「パックちゃんは計3回出現するからね、最初に言った通り、上手く一人で三体全てを倒しちゃうなんてファインプレーを実行すれば、単独で300万円ゲットだってあり得る話なんだよね~」

やっぱりそうか!確率的には圧倒的に、天文学的に少ない確率だろうが……それでも僅かながらあり得るかもしれない、俺が300万円を獲得しえる可能性が!

ガチャモン「けど、ここで注意しなくちゃいけないのが、パックちゃんを倒すには、必ず車の正面から体当たりする事、それと―――パックちゃんの口にぶつかったら、問答無用で木っ端みじんに粉砕されちゃうって事だね―――車も、そして人も……ね」

そのガチャモンの最後の言葉を聞いた途端に、俺達は瞬時に察した。やはりこのゲーム、下手をすれば命を落とすリスクも有り得ると言う事に!
こちらを見ながら大きく口を開け続けているパックちゃんとか言うあのモンスター。奴の口に捕まってしまえば、車は木っ端微塵になり、乗っているプレイヤーもその巻き添えとなれば、それはつまり―――搭乗者が死ぬと言う意味で間違いないだろう。

モック「では、これにて説明を終了と言う事でよろしいですかな~?」

19番「ま、待ってくれ!!」

モック「はい~?」

モックが説明を終えようとした矢先、19番のゼッケンを付けている男性プレイヤーが震えた声をあげながら、手を上げていた。

19番「そ、そんな、失敗したら死ぬかもしれないなんて―――お、俺は聞いてない……聞いてないぞ!!」

ガチャモン「うん、そりゃま~、言ってなかったからね」

19番は死のリスクがあるとは、参加が決定する前まで想定していなかったようで、怒りを孕んだ叫び声で抗議するが、ガチャモンは全く悪びれる事無く平然と言ってのけた。

19番「ば、バカヤロー!そ、そういう事はちゃんと先に説明するのが当然だろ!こ、こんな危険なリスクのあるゲームなんてや、やってられるか!中止だ中止!」

19番が死の危険性を理由に中止を要求すると、さらに数人の参加者たちがそれに便乗するように喚きだす。

6番「そ、そうだそうだ!金のために命懸けのゲームなんて冗談じゃない!中止しろ!」

11番「その通りだわ!他の皆もそれで良いわよね?こんな事に付き合う義理なんてないんだから!」



自分達のみならず、他の参加者たちに対してもボイコットを呼びかける者達!それはまさに、自分達だけでは歯向かう勇気が無いが故に、他者を巻き込み、自分達の行動に付き合わせようとする矮小な考えの現れであった!
しかし、そんな筋の通らない喚きや戯言は次の瞬間、思わぬ者たちの出現と罵声により、呆気なく鎮静化する! by立木ナレ



「クーズ!何が中止だクズ共がぁ―――!!」

19番「な、なんだ……こいつら!?」

俺「何時の間に……NPCかこいつら?」

いつの間にか、この車道ステージの障害物となっている無数のちいさな建物の屋上の上に、至る所にSAOの世界観に不釣り合いな、スーツ姿だったり、タキシード姿だったり、ドレス姿だったりと、まるで現実世界の、成金や金持ち連中がパーティーや仕事の場で来ていそうな服装の連中が大勢姿を現していた。

そして、その連中は呆気にとられている俺達参加者に向かって、更に容赦のない罵詈雑言をお見舞いしてくるのだった。

「うだうだ言ってねーでさっさと始めやがれ――!!」

「自分で金欲しさに参加したんだろーが!今更中止も、ボイコットもあるわけねーだろクズ共が!!」

主に、さっきまで中止を要求していた連中に対して、建物の屋上のNPC達は徹底的に罵倒の言葉を次々と言い放つ。

キバオウ「な、なんやこの連中は!?演出やからって、趣味悪すぎるわ!」

ガチャモン「くすす、やっぱりさ、お客さんが実際にゲーム現場にいる方が盛り上がると思ったからさ、こっちで便宜を計っちゃいました~」

モック「それでは、お客様方がとても待ち侘びておりますので、今度こそ始めましょう!全員転移ぃ―――!!」

モックがそう叫ぶと、俺達は一斉にバラバラの場所に強制転移させられた。周囲を見渡すと、他にも何人かの参加者が視界内にいるようだったが、全員のすぐそばに、俺達が事前に選択したこのゲームでの車がすでに用意されているようだった。
そして、その車にも俺達のゼッケンに貼られているナンバーと同じ番号のプレートナンバーが貼られていた。

俺「Jリミテッド……」

俺が選択したイエローのユーノス・ロードスターJリミテッドは、ネットや車屋で見たそれと寸分違わぬ姿で再現されていた。
だが、これはあくまで仮想世界のポリゴンで作られたオブジェクトに過ぎない。

俺「200万円以上……単独で手に入れば現実世界で……買える!」

中古品とは言え、限定品であるユーノス・ロードスターJリミテッドは状態の良い品を買おうとするのなら100万円以上は少なくとも支払う事になるだろう。俺みたいな素寒貧で、金を稼ぐために死に物狂いで働こうなんて気概も、長い年月をかけてコツコツと貯金を溜めようなんて忍耐力も皆無の俺にとっては、一生に一度あるかないかのチャンスであるには変わりなかった。

俺がそう意気込んでいると、アナウンスを通したガチャモンの声が再び響き渡る。

ガチャモン「最後にナビマップの説明をするから、皆一度車に乗ってね~」

言われるがままに、俺は車に乗り込んでいた。ユーノス・ロードスターJリミテッドはオープンカー故にドアを開けるまでも無く、車高の低いドアを跨いで、運転席に乗り込める。

俺「これが、ナビマップだな」

それは本来のJリミテッドには付いているはずの無い、カーナビの様な機械だった。試しに画面に触れてみると、死文がいる場所の周辺一帯を上から映し、それを8ビットの画像にしたような映像が映し出されていた。

ガチャモン「はい、そのナビマップには車の位置から半径10メートル以内の位置情報が表示されます。青い車のマークが君達の車の位置で、今は映ってないと思うけど、パックちゃんは黄色い丸いマークで表示されるから、ナビマップにパックちゃんが映ったら、それを全身全霊で追っちゃいなよぉ~」

モック「ちなみに、ナビマップには他の車は表示されませんので、くれぐれも接触事故にはお気をつけてくださいですぞぉ~」

むしろ、プレイヤーの運転する車同士での事故から発生するトラブルをまるで期待しているかのような楽し気な口調のモックだった。

ガチャモン「では、カウントダウン開始!ゲーム開始まで60秒前ぇぇぇ!」

遂に始まるリアルマネーゲーム、パックハント・ドライブ!オズマは現実世界で仮想の存在ではない、Jリミテッドを欲し、これをまたとないチャンスと見て、200万円以上の単独ゲットを目論む!果たしてオズマ、大金獲得なるか!? by立木ナレ 
 

 
後書き
今回説明したパックハント・ドライブは2015年公開の映画のピクセルでもあった、車でパックマンを追い詰めるゲームを参考に考えました~。 
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