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戦国異伝供書

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第十話 朝倉攻めその一

                第十話  朝倉攻め 
 朝倉家は信長の求めに応じての上洛に首を縦に振らなかった、それも一度ではなく何度もだ。それでだ。
 信長も家臣達を集めこう言った。
「さて、朝倉家じゃが」
「はい、またですな」
「また殿のお言葉を聞かれませんでしたな」
「何度も文を出しておられるのに」
「それでもですな」
「当家との格を思って意地になっていますな」
「そんなところでありましょう」 
 こう口々に言う、そしてだった。
 信長もだ、こう言った。
「それではじゃ」
「はい、そろそろですな」
「越前攻めの用意も整ってきました」
「それではですな」
「これ以上殿の言うことを聞かれぬのなら」
「最早ですな」
「仕置きをする」
 こう言うのだった。
「よいな」
「わかり申した」
「では我等もですな」
「戦の用意をしておく」
「左様ですな」
「そうじゃ、そうしておけ」
 まさにと言うのだった。
「わかったのう、それで猿夜叉にはな」
「はい、戦の後でですな」
「朝倉殿への助命を受け入れられて」
「お顔を立てますな」
「猿夜叉は絶対に言ってくる」 
 このことを読んでのことだった。
「それでじゃ」
「それを入れられて」
「浅井殿の顔を立てて」
「そうしてよしとしますな」
「そうじゃ、そうする。しかし朝倉家は待てば」
 こうも言う信長だった。
「もう宗滴殿もご高齢じゃ」
「ですな、幾つまで生きられるか」
「もうわからぬ程です」
「もう七十をとうに超えておられます」
「それではですな」
「もう宗滴殿がおられぬ朝倉家なぞな」
 それこそというのだ。
「敵ではない」
「それは当家だけでなく」
 ここで竹中が言ってきた。
「他の家から見てもですな」
「一向一揆から見てもな」
「実質あの方でもっているところがあるのは否めません」
「そうじゃな」
「その宗滴殿がおられなくなれば」
「もう何でもない」
 そうした家になってしまうというのだ。
「最早な」
「ですな、では」
「それまで待ってもよいが」
「はい、それはですな」
「わしはせぬ」
 信長は言い切った。
「待つ間に他の家がどう動くと思う」
「武田、上杉、毛利等ですな」
 すぐに蒲生が言ってきた。
「こうした家々がどう動くか」
「特に武田がな」
「だからですな」
「倒せるうちに倒す」
 そうするというのだ。
「それも出来るだけ早くな」
「そうして憂いを取り除きますか」
「さもなければ後で厄介なことになりかねぬ」
 朝倉家を降すことに時をかけていてはというのだ。 
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