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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE58 蘇生アイテムを巡る騒乱!

蘇生アイテム!――!それは、デスゲームと化したSAOでは決してあり得ぬ存在であるはずであった。だが、2023年12月24日、第35層の迷いの森に出現すると噂される背教者ニコラスを倒す事によって得られると噂される蘇生アイテムの存在を巡り、プレイヤー達の思惑が渦巻いていた! by立木ナレ

俺「それじゃ、そろそろ出発するか」

俺はギルドメンバー6人のパーティーを組み、第35層の転移門広場の前で待ち合わせたメンバー達にそう告げた。
今回集めた6人のメンバーは初期メンバーである、俺、レイナ、ユッチ、エルダに加えて、乗馬スキルを習得しているマークとハミルの二人加えた構成となっていた。

ユッチ「他のギルドやプレイヤーを出し抜いて、蘇生アイテムをゲットっすね!」

エルダ「正確には、その真偽をハッキリさせる事ね。もし本当に蘇生アイテムがあるんなら、それを手に入れる、無かったならそれを伝えれば、回廊結晶は私達の物になるわね」

そんな会話をしながら、ゲートから出ると、前線とはまるで違い、広場は静まり返っていた。

ユッチ「他に誰もいないんっすかね?」

レイナ「……ここは中層プレイヤーの主戦場からも少しずれてる上に、主街区自体も見所が無いからだと思うわ」

レイナの言う通り、農村風の造りだからか、プレイヤー達を引き付ける物に乏しいのだろう。街区から出ると、すぐに俺達は時折周辺に湧出する雑魚モンスター達の相手に時間を割く事無く、マークとハミルが操縦する馬車に乗って、スピーディーに移動し続けた。

この周辺一帯に湧出する程度の雑魚モンスターであれば馬車での体当たりで難なく撃退可能なレベルだった。
マークが操る馬車に俺とレイナが乗り、ハミルが操る馬車にエルダとユッチが乗り、ほんの数分程度で迷いの森の入口に到達していた。

俺「ここから先は、俺がアルゴから買った地図アイテムを基にしたマッピングデータでナビをするから、先頭はマークで、後ろからハミルで目的地まで向かうぞ」

このフィールド・ダンジョンは屋外なので馬で走る事はまだ可能だが、無数の四角いエリアに区切られており、それ俺を結ぶポイントがランダムで入れ替わるので、地図を確認しなくては踏破は非常に困難だった。

俺「……レイナ、やっぱり代わりにナビゲートしてくれないか?」

レイナ「……分かった、難しいものね」

俺はレイナに地図を渡して、レイナにその役目を託した。マーカーを付けてある区画を起点にし、そこに至る経路を逆に辿ればいいのだろうが、その作業が俺にとってはややこしく、レイナに任せた方が確実に一直線に辿り付けると判断しての行動だった。

そして、レイナの的確なナビのおかげでワープポイントを的確に移動して、最後のワープポイントに入り、転移してすぐに、複数人のプレイヤーが前方に集まっている光景を目の当たりにした。

レイナ「……風林火山のメンバーとキリトだわ」

俺「出遅れたみたいだな……」

当然、向こうも馬車で俺達が接近すれば、すぐにこちらに気が付いて振り返っていた。クラインが真っ先に馬車から降りた俺達に駆け寄って声を掛けてくる。

クライン「おう、オズマ!オメーもキリトを止めてくれ!」

俺「話が見えねーよ、キリトが何を仕出かそうってんだ?」

と、俺は一応聞いてみるが、クラインの返答はおおよそ俺の予想通りだった。キリトは確実にニコラスがドロップするアイテムを手に入れる為にソロで挑もうとしている事。
そして、クラインはそんな無謀な事を挑もうとしていたキリトに対して自分達と合同パーティーを組む事を要請しているとの事だった。

エルダ「キリト君、貴方……一時、最前線から離れてたわよね?」

クラインの話を聞き終えた後、無言で俯いていたキリトに対してエルダが声を掛ける。

エルダ「その間に、何かあったのだとしても、やっぱり単独でなんて自殺行為だって分かり切ってるわよね?」

そう言ってから今度は俺の方に振り替える。

エルダ「オズマ君、依頼人の人は蘇生アイテムが本物だったら、絶対に手に入れてほしいって言ってたみたいだけど。オズマ君自身は蘇生アイテムの存在を信じてないのよね?」

俺「ああ、少なくとも――とっくの昔に死んだ奴を生き返らせるような代物なわけがない。現実世界の人間が死んでる状態で、ゲーム内のプレイヤーだけが生き返ったりするかよ」

エルダ「そう思ってるんなら、ここでキリト君や風林火山の人達と合同パーティーを組んでも―――」

レイナ「……まってエルダ」

エルダが俺に対してここで、合同パーティーを組む事を提案しようとした矢先に、レイナがその先の言葉を制した直後だった。
このエリアに、新たなる侵入者が姿を見せたのはその瞬間だった。

ユッチ「うわうわっ!なんかゾロゾロと出て来たっすよ!」

ユッチの言う通り、10人とか6人程度の連中ではなく、ざっと見た感じ30人以上はいる大集団だった。

キリト「お前らも尾けられたな、クラインか、オズマか知らないが」

クライン「……ああ、そうみてぇだな……」

俺「しかも、なるべく大っぴらに対立したくない奴らっぽいな」

50メートルほど離れたエリアの端から、俺達を無言で見つめる集団の中に、何人も見知った顔を俺は見ていた。

レイナ「……聖竜連合みたいね」

ユッチ「げっ!フラグボスの為なら一時的にオレンジになる事もお構いなしの奴らっすか!?」

聖竜連合はリンドがリーダーを務める、DKBが他のギルドを吸収合併をした結果誕生した血盟騎士団に次ぐ名声を誇る、攻略組最大のギルドだった。

ユッチ「アイツら、数の力でドロップアイテムを掻っ攫うつもりっすよ!」

俺「言われなくても解る事を大声で言うな」

そんな下らない会話の直後、クラインの叫び声が響き渡った。

クライン「くそっ!くそったれがっ!!」

クラインは腰の武器を抜き放つと、背中を向けたまま怒鳴った。

クライン「行けッ!キリト!ここはオレらが食い止める!お前は行ってボスを倒せ!だがなぁ、死ぬなよ手前ェ!俺の前で死んだら許さねェぞ、ぜってぇ許さねェぞ!!」

キリト「…………」

エルダ「クラインさん……本気で言ってるの?」

だが、時間はもうほとんど残っておらず、すぐにでもニコラスが出現する時間が迫っていた。キリトは無言のまま背を向けると、そのまま最後のワープポイントへと足を踏み入れたのだった。

そしてすぐに、リンドを筆頭とした聖竜連合の面々たちが俺達の前に並ぶ。

リンド「ニコラスがドロップするアイテムは攻略のために役立てるべきなんだ。ソロプレイヤーに独占させて言い訳が無い!」

俺「まあ、オタクらも、ここに来るまでに何人も犠牲を出して、生き返らせたい奴はキリトなんかよりもよっぽど大勢いるんだろうけどさ……」

俺がその先を口にする前に、クラインが左手で俺を制して言った。

クライン「オズマ、ここは俺に任せてくれねーか?」

俺「一人であの集団とやり合うとか、それこそたった今、ニコラスに一人で挑みに言ったキリトと同じくらいの自殺行為だな」

が、クラインは首を横に振った。流石に、一人で聖竜連合のプレイヤー達に斬りかかる等と言う愚行に出る事は無いようだった。

まあ、一人でも斬ってしまえば、その時点でクラインはオレンジプレイヤーと化してしまい、他の聖竜連合のプレイヤーに取り押さえられて、第一層の黒鉄宮にぶち込まれてしまう。
小規模とは言え、ギルドのリーダーとして流石にそんな無責任な事は出来ないだろう。

エルダ「どうする気なの?」

クライン「へ、決まってんだろそんな―――特にトッププレイヤー同士の意見が分かれた時に決着をつける方法なんてよぉ」

クラインは、強気な笑みを浮かべてそう言ったのだった。



その後、クラインは聖竜連合側のリーダーであるリンドと一対一のデュエルを申請!リンドも流石に数の力でグリーンのプレイヤー達である風林火山のメンバー達を攻撃して強行突破する事は躊躇い、そのデュエルでの決着に同意!
激しい死闘……凄まじき決闘……そんなデュエルを最終的に制したのはクラインだった!―――最も、そのクラインも大ギルドのリーダーであるリンドと一対一でやり合い、余裕など残すはずもなく、大幅に消耗したうえでの辛勝となった! by立木ナレ



※ ※ ※



クラインとリンドのデュエルが終わって早々に、聖竜連合の面々はその場から去って行った。そして、それからキリトが戻ってきたのは、更にしばらく事件が経過してからだった。

そのキリトの姿を見て、マシに声を掛けたのは、地面に座り込んでいたクラインだった。クラインは一瞬ホッとしたように顔を緩めたが、キリトの喪失感を感じさせる表情を見て、すぐに口元を強張らせた。

と言うか、クラインに限らず、そのキリトの表情を見れば、手に入れたアイテムは、キリトが望むような代物ではなかった事は明白だった。

クライン「……キリト……」

割れた声で囁いたクラインの膝の上に、キリトは卵ほどの大きさの、七色に輝く宝石を放った。

エルダ「これが……蘇生アイテムなの?」

キリト「ああ、だけどオズマが考え縦通り、過去に死んだ奴には使えなかった。次にお前の目の前で死んだ奴に使ってやってくれ」

キリトはそれだけ言い、出口に向かおうとしたところを、クラインがキリトのコートを掴んだ。

クライン「キリト……キリトよぉ……」

無精ひげが生えた頬に二筋の涙が伝っていた。

クライン「キリト……お前ぇは……お前ぇは生きろよ……もしお前ぇ以外の全員が死んでも、お前ぇは最後まで生きろよぉ……」

泣きながら、何度も生きろと繰り返すクラインの手から、キリトはコートの裾を引き抜き、

キリト「じゃあな」

それだけ言って、去って行ったのだった。キリトが姿を消した直後、レイナが座り込んでいるクラインに歩み寄って声を掛ける。

レイナ「……こんな時だけど、そのアイテムのヘルプを選択してもらえるかしら?」

クライン「あ、ああ……お前らも蘇生アイテム目当てだったんだっけな?待っててくれ―――」

クラインはポップアップメニューを他プレイヤーにも可視化した状態にし、ヘルプを選択すると簡素な説明文が記された。

【このアイテムのポップアップメニューから使用を選ぶか、あるいは手に保持して《蘇生:プレイヤー名》と発音する事で、対象プレイヤーが死亡してからその効果光が完全に消滅するまでの間(およそ十秒間)ならば、対象プレイヤーを蘇生させる事が出来ます】

ユッチ「は?たったの十秒以内……なの?」

俺「過去に死んだ奴は生き返らせられないわけだな」

エルダ「恐らく、この10秒って言うのは、プレイヤーのHPが0になって、アバターが消滅してからナーヴギアがマイクロウェーブを発生させて、現実世界のプレイヤーの脳を破壊するまでの時間の事ね」

クライン「クソったれが!こんなもんの為に……クソっ!」

俺はメッセージウインドウを開いて、ミリオンに事の詳細を伝えておいた。するとすぐにミリオンから返信が来た。

ミリオンからの返信メッセージには依頼人が了承した事――つまり、これで俺達の依頼が完了したことを知らせる内容だった。
結局、蘇生アイテム『還魂の聖晶石(かいこんのせいしょうせき)』はクラインが預かる事となった。


※ ※ ※


ミリオン「と言うわけで、蘇生アイテムは確かにドロップされたけど、蘇生できるのは、実際に死んじゃってから10秒以内って事みたいね」

依頼人「そう……最初からあまり期待してなかったし、それならそれで良いわ。報酬の回廊結晶は彼らに渡してちょうだい」

ミリオン「了解、だけど何で血盟騎士団とかの有力ギルドじゃなくて、ウチに依頼を頼んだの?」

依頼人「それは、貴方達のギルドの……特にあのオズマなら、ボスモンスター相手にも負ける事はないって分かってたからよ」

ミリオン「そーなの、随分とウチのリーダーの腕前を買ってくれてるのね」

依頼人「最も、仮に過去に死んだプレイヤーを生き返らせるアイテムだったとしても……私には選べないわね。あの日、死んでしまった5人の仲間達の中から誰か一人だけを生き返らせるなんて―――」

ミリオン「余り、依頼人の詳しい内情には聞かない事にしておくわね。そう言えば、貴方もだいぶレベルが攻略組のプレイヤーに近づいてる見たいよね?いずれは、ボス攻略会議の場でオズマ達に顔を合わせる事になるかもしれないわね」

依頼人「そうかもしれないわね、彼らとはもう一度会いたいと思ってるけど―――攻略組にはアイツも、キリトがいるんだと思うと、腸が煮えくり返るわね」 
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