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空に星が輝く様に

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94部分:第八話 ファーストデートその二


第八話 ファーストデートその二

「いいな、それは」
「えへへ、いいでしょ」
「もうおねしょもしないし食べる時も零さないしな」
「陽子偉いんだよ」
 陽子は満面の笑顔で兄に話した。
「何だってできるんだから」
「賢いよ、確かに」
 温かい顔だった。妹に向けるのに相応しい顔だった。
 そしてその顔でだ。陽子にまた話した。
「そのうちいい彼氏もできるかもな」
「彼氏って?」
「いい彼氏見つけろよ」
 まだ小学一年生の妹にこう話すのだった。
「御前を幸せにしてくれる彼氏をな」
「彼氏。まだいないよ」
「今はいなくていいんだよ」
 微笑んでの言葉だった。
「それでも。何時かな」
「うん、陽子彼氏見つけるから」
「それもいい彼氏をな」
「うん、見つけるから」
 陽子もまた話す。
「絶対にね」
「そうしろよ。お兄ちゃんもな」
「お兄ちゃんも?」
「見つけたからな」
 こう言うのである。
「幸せにやっていくからな」
「お兄ちゃんも幸せになるんだ」
「なるよ。だから今から行くんだよ」
「今からそこに」
「ああ、行って来るな」
 こう話してであった。食べ終えて歯を磨いて家を出る。そうして最初に行った場所は余所行きの駅だった。そこに向かったのである。
 駅に降りるとそこは前に奇麗な噴水がある駅だった。白い白鳥が飾られているその噴水を見ながらだ。そこで暫く待っているとだった。
「おはようございます」
「おっ」
 その言葉がした方に顔を向けるとだった。普段の制服とは違う月美がいた。白いロングスカートはフリルはひらひらとしたものだ。そして黄色いブラウスという楚々とした格好である。その月美が来たのである。
 彼女は陽太郎を見るとだ。すぐに言ってきた。
「斉宮君はその服なんですね」
「ああ、駄目かな」
「いいと思いますよ」
 にこりと笑って答えた月美だった。
「とても」
「そんなにいいか?」
「いいです」
 笑顔はそのままだった。
「とても」
「そう言ってもらうと嬉しいよ」
「そうですか」
「ああ、嬉しいよ」
 見れば彼は白い半袖のシャツに黒いアーミー模様のジーンズである。普段のあの青い七つボタンの長ランや青と水色の夏服とは違って随分とラフな姿である。靴も黒い皮靴だ。
「とてもね」
「ラフな格好にされたんですね」
「こういう服も好きなんだ」
「そうなんですか」
「ああ、それでこの格好にしたんだよ」
 また話すのだった。
「それにしても西堀の今の服だけれど」
「はい」
「それも似合うよな」
 今度は彼からの言葉だった。
「ロングスカート似合うんだな」
「ロングスカート好きなんです」
 ここでその顔が笑顔になったのだった。
「昔から」
「そうだったんだ」
「学校の制服はあれですけれど」
「まあ学校の制服はね」
 陽太郎もそれはわかった。学校の制服は、である。
 
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