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孔雀王D×D

作者:焼肉定食
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17・凰蝶の正体?

アザゼルは、全員の顔を見渡し、一つ咳をした。
 しんと静まり返った部室に、アザゼルの声が響く。
「鳳 凰蝶が、はぐれ悪魔の戦いの時に、無意識のうちに敵をあっけなく滅ぼしたのは、一誠、お前達が目撃したのは、周知の事実だ」
 アザゼルの言葉に一誠達は頷いた。
「そして、敵を倒した術は、空海という坊主が、魔物退治に使った真言というものだったと、黒歌と俺が調べた通りだ」
 誰も、発言することなく、アザゼルの話を聞いている。
「そして、その真言を使う男が、DD戦争前に現れた。その名は、鳳凰。
 あの白龍皇・ヴァーリよりも強いと言わしめた男だ」
 黒歌は、黙って頷いた。
「もし、DD戦争にその男が参加していたと思うと、ぞっとしますね」
 じっと話を聞いていた牙場が、初めて口を開いた。
「あぁ、その通りだよ」
 一誠は、牙場の意見に賛同した。
「確かにな。もし、鳳凰という男が、いたならば、サーゼクスを含めた俺たちが出張らなければならなかっただろうな」
 アザゼルは、サーゼクスやミカエルに顔を向けた。
「ちょ、ちょっと待って。じゃあ、凰蝶が、その男と対等の力を持っていたのなら、我らではどうにもならないということになるんじゃないか?」
 ゼノヴィアは、みんなが心の中で思っていたことを口に出した。
「まぁ、そうなるな。が、鳳が、その男と同じ術を使ったのは、偶然かもしれんしな。 何故なら、その男は、消えてしまったのだから」
 みんなは、納得して頷いた。
「だが、偶然でないとも、考えられるのだろう、アザゼル?それが、君が考えてる推測なんだろう?」
 サーゼクスが、みんなに反した質問をアザゼルにぶつけた。
「さすがだな、サーゼクス」
 アザゼルは、にやりと笑った。
「どういうことなのです、お兄様?」
 リアスは、凰蝶の力が偶然の物と納得しようとしていた。
「リアス、考えてみるといい。アザゼルが、偶然の力だけで、パラレルワールドの話まで持ち出すと思うかい?」
 サーゼクスは、いつもの優しい笑顔でリアスに言った。
「あっ、もしや、その鳳凰という男の魂の憑依」
 リアスは、サーゼクスの言葉の意味を考えたのちの答えを述べた。
「その通りだ。さすが、紅髪の滅殺姫。俺の推測は、こうだ。
 鳳凰という男は、確かに別次元からやって来たに違いない。何故なら、こちらの世界にずっといたのなら、名前は知れ渡っていたに違いない。が、それは、なかった」
 全員がその通りだと思い頷いた。
「だが、それは違う。鳳が、術を発動させたのは、はぐれに襲われた時だろう?そして、気を失うというか、鳳が、身に危険を感じた時に発動したのだろう?」
 アザゼルは、立て続けにリアス達に質問をぶつけた。
「ええ、その通りです」
 一誠が、代表して答えた。
「もし、憑依ならば、そのあとはずっと、鳳は鳳凰という男に乗っ取られているにちがいない。が、今現在も、鳳は鳳のままで生活している」
「じゃあ、憑依ではなければなんだというの?」
「あっ、二重人格ということは、考えられませんか?」
 アザゼルの話を、じっと聞いていたロスヴァイセが、言った。
 ロスヴァイセは、アザゼルと同じく駒王学園の教師であるが、リアスの眷属に属している。
「なるほど、そういう考え方もある。人格が変わるということは、その人間になにか障害があるか、変えてしまうトラウマ的なものがある。が、鳳に関しては、そういう物はない。
 中流家庭でありながらも、優しい両親、仲間たち。ごくごく普通で健やかな精神を培っていると俺は、思う」
 アザゼルは、堕天使の総督ではなく、教師としての目で凰蝶を分析した。
「さて、ここからが、俺の推測なんだが」
 ようやく、アザゼルは、本題に入るように言った。
「お前たちから、いろいろな意見は出たが、どれもこれも正解かもしれないし、正解じゃないかもしれない。まして、俺の見解もあくまで推測として聞いてほしい。もし、質問があれば、俺の話が終わった後、聞いてやる」
 アザゼルは、みんなの顔を見渡した。だれもが、頷いた。
「DD戦争が始まる前に現れた鳳凰という男は、それ以来、こちらの世界に現れることはなかった。たぶん、現れた時も消えた時も、決して交わることがない平行世界だったこちらと鳳凰がいた世界が、なんらかの事象が起き、交わってしまった」
 アザゼルは、一気にそこまで話したあと、一息つくかのように息をはいた。
「そのなんらかの事象は、俺にはわからない。ただ、こちらの世界の次元の歪みとあちらの世界の次元の歪みが、たまたま、交じり合った結果、鳳凰と男が、こちらの世界へ紛れ込み、そして、再び、なんらかの事象が起こった結果、消えたのだと俺は、考える」
 アザゼルの考えに一誠は、違和感を覚えた。
(その次元の歪みが、何故、凰蝶に関わるのか)と。
「一誠、何か異論がありそうだな?」
 アザゼルは、その表情を読み取って、一誠に言った。
「えぇ、まぁ。。。。」
 一誠は、今さっき自分の考えが、正しいのかわからない為に言いよどんだ。
「なんでもいいぞ、お前が考えた事をいってみろ」
 アザゼルは、一誠に教師のような口調と一誠を真っ直ぐ見つめた。
「なんかその男の事情に凰蝶ちゃんが、何故関わるのか今一つわからないのですが?」
 一誠は、恥ずかしそうに頭を掻きながらアザゼルに言った。
 確かにそうだ。
 その男が、消えようが現れようが、なんら凰蝶には、関係ない。が、何故、アザゼルが、こうも次元の歪みと鳳凰という男にこだわるのか、全員が不思議でならなかった。
 そして、凰蝶の力に、鳳凰という男が、どう絡むのかを。
「どうやら、回り道をしすぎたようだな。おそらく、その鳳凰という男は、俺は、死んだと思っている」
「あっ、わかりました」
 アザゼルが何をいいたいのか解ったアーシアが、小さくつぶやいた。
「どうした、アーシア?何か気づいたのか?」
 ゼノヴィアが、アーシアに問いかけた。
「はい、なんとなくですが。でも、ミカエル様、それは、確率的にどうなんでしょうか?」
 アーシアは、アザゼルではなく、ミカエルに問いかけた。
「なるほど、そういう事なのですね。アーシア・アルデントの言うとおり、確率的には低いでしょ」
 ミカエルもアザゼルとアーシアが、言わんとすることを察した。
「何がなんだかわからないぞ」
 ゼノヴィアは、のけ者になったような気がして、大声を上げた。
「落ち着きなさい、ゼノヴィア。アーシア・アルデントとアザゼルが言わんとしていることは、鳳君が、鳳凰という男が、この世界に転生した姿なのではないかということです」
ミカエルは、アーシアとゼノヴィアに微笑んだ。
「さすが、ミカエル。正解だ。俺は、鳳は鳳凰という男が転生したのではないかと、考えた。
 今まで、次元を超えてきた人間は、皆無に等しい。が、鳳凰は2度も次元を超えた。だがら、俺は、こう考える。
 こちらの世界で次元の狭間で生き残ったのは、一誠だけだ。生き残ったというか、一遍死んだ。が、竜王達のおかげで、なんとか一誠でありながら、一誠ではない龍人として蘇った」
「あっ、そういう事か。鳳凰という男は、2回も次元を超えてみせた。が、その影響で、死んだと君はいいたいのだな」
 ミカエルは、アザゼルの考えを理解した。
「あぁ、そういう事だ。が、どういう形で死んだのか。はたまた、一誠と同じで鳳であって鳳ではないのかもしれない。が、彼女は、人間の両親から生まれた。そう考えると、転生という答えが、妥当だろう」
「だが、彼女が鳳凰の転生した姿であっても、修業もせず、術はつかえまい」
 サーゼクスは、鳳凰転生に少し疑問視であった。
「お前が、疑問を感じるのは、よくわかる。いくら転生したとはいえ、過去の記憶が蘇ることは、奇跡に等しい。が、希に過去の記憶が蘇る人間が、いるらしい」
「それが、鳳君と?」
 アザゼルとサーゼクスは、論議を戦わせた。
「サーゼクスよ。俺は、あくまで可能性を言っている。断言するには、断言するための要素が必要だ。が、その原因としては、はぐれとの遭遇にあると、俺は思う」
 アザゼルは、サーゼクスを諭すように言った。
「では、鳳君が、はぐれに遭遇していなければ、記憶が蘇ることは、なかったと?」
 サーゼクスの後をついで、ミカエルが、アザゼルに問いかけた。
「まぁ、そうなるはな」
 アザゼルは、にこりと笑って、ミカエルに答えた。
「堕天の総督は、嘘が下手らしい」
 サーゼクスとミカエルは、皮肉ぽっく笑ってみせた。何故なら、サーゼクスもミカエルも、アザゼルが、何かを隠していると気づいていたからだった。
「まぁ、これは、不確かな情報ではあるのだが。。。。。」
 アザゼルは、サーゼクスとミカエルに係れば隠し通すことができない事を判断した。が、言うべきか迷いがあった。
「やはり、何か隠していますね、アザゼル?」
 ミカエルの穏やかな笑顔をみて、諦めた。
「わかった。わかった、言うよ。実は、これは、オーフィスからの情報なんだが、どうやら時空に歪みが発見されているらしい」
 オーフィスは、元時空の住人である竜王である。
 一誠が、時空に飛ばされてしまった時に、DDと共に尽力を尽くした経緯があり、そのせいで能力を一時期失いかけてしまった。が、じょじょではあるが、力が蘇って来てはいた。
「アザゼル、それは本当のことなのか?もし、本当の事なら大変なことになる」
 サーゼクスは、アザゼルを睨むような眼つきで言った。
「さぁな。本当かどうかは、一応オーフィスに調査を依頼してはいる。が、もし、そうなら、サーゼクスが言うように大変なことがおきるやもしれん」
 アザゼルは、サーゼクスに頷いた。
「先生、その大変な事ってどんなことが起きると言うのですか?」
 一誠は、不安そうにアザゼルに聞いた。
 その不安は、一誠とリアスが一番知っていた。何故なら、二人は時空の狭間を除いたことがあるからだ。
「そうだな、考えられることは、2つある」
 アザゼルは、腕を組み、一誠の問いについて考えた。
「まず一つには、こちらの世界の人間が、あちらの世界に行ってしまうかもしれないということ。
そして、もう一つは、逆ということだ。こちらの世界に存在しない人間かこちらの世界にやってくるということだな」
 アザゼルは、一誠に答えた。
「今、先生は、人間と言いましたが、それは本当に人なんですか?」
 アザゼルの答えに疑問を抱いたアーシアが続いて聞いた。
「痛いとこをつくな。俺が言った人間はあくまでも可能性の一つにすぎない。
人間かもしれないし、動物かもしれない。はたまた、見たこともない魔物かもしれないし、大災害かもしれない」
 アザゼルの答えに、全員が息をのんだ。
「まぁ、そう緊張するな。俺が、言ったことは、あくまでも可能性の一つだ。
 もし、そうなったとしても、いつでも、対応できるようにしておけということだ」
 アザゼルは、みんなの動揺を鎮めるかのように、笑ってみせた。
「そうよね。私は、みんなを信じている。もしそうなったら、私たちの力を見せつけてあげましょう」
 リアスは、オカルト研究会の面々を見渡した。
「はい!!」
 全員が、リアスの言葉に答えるように大きな声で、返事をした。

 リアスの解散の声で、全員が、部室から退散した後に、残ったのは、アザゼル、サーゼクス、サーゼクスのクイーンであるグレーフィア、リアス、ミカエル、朱乃の6人になった。
「リアス、姫島、お前たちも少し、席を外してくれないか」
 アザゼルは、いつもの人を食った言い方ではなく、その視線もいつともなく真剣だった。
「何故、私たちまで席を外さなければならないの?」
 リアスは、アザゼルに食って掛かった。
「リアス、彼の言うとおりにしてもらえないだろうか」
「ですが・・・」
 リアスは、たとえサーゼクスのいう事ではあるが、ひこうとしなかった。
「リアス様、ここはお引きください」
 グレーフィアが、リアスに微笑みながら、言った。が、その目の奥には鋭い光が宿っていた。
「わ、わかったわよ、グレーフィア」
 リアスは、そのグレーフィアの光を感じ、朱乃と共に部屋を後にした。
「すまないね、グレーフィア」
 サーゼクスは、グレーフィアに微笑んだ。
「いいえ。では、私も席を外しましょう」
 そういうと、魔方陣が現れ、グレーフィアは消えた。
「さて、アザゼル。君の話を聞かせてもらおう」
 サーゼクスは、アザゼルを見つめた。ミカエルもまた、重大な事であるのを感じていた。
「お前たちだけを残したのは、彼らに今以上に強くなってもらうための方針を決めようというものだ」
 アザゼルは、ことの他真剣にサーゼクス、グレーフィア、ミカエルに話した。
「彼らは、様々な事件を通じて、かなり強くなっているとは、思いますが?」
 ミカエルは、いつものように穏やかな口調でアザゼルに言った。
「確かに、強くはなった。が、もっと強くなっている事に支障はない」
 アザゼルの念の入れようは、半端ではない。先の事件などで、強敵を打倒せる力をつけさせたのは、何を取っても、アザゼルの用意があったからだった。
「それで、君は何をしようというのかな?」
サーゼクスは、アザゼルの狙いが分かっていたかのように、微笑んだ。
「さすがは、サーゼクスだ。俺は、悪魔天使堕天使全部ひっくるめた悪魔がいうレーティングゲームを再び開催しようと思っている」
「なるほど。お互いの戦士のレベルを高めていこうという算段ですね」
 ミカエルは、大きく頷いた。
「それと、そのゲームには、俺達も参加する」
「な、なんですって?」
ミカエルは、アザゼルの言葉に、驚愕の声を上げた。
「なるほど、それは面白そうだ。が、そこまでしなくてはならないのかね、アザゼル?」
 サーゼクスは、目を細め、アザゼルをみつめた。
「わからないが、何故か嫌な予感がしてならないんだよ。DD戦争より大きな事件が起きそうな、そんな気がしてならない。鳳の力の発動によってな」
 アザゼルは、サーゼクスとミカエルの顔を交互にみつめた。
「それで、いつ開催するつもりのかね?」
 サーゼクスは、楽しそうにアザゼルに言った。
「近いうちが、いいだろう。これから、どうなるかわからないからな」
 アザゼルは、自分の言った言葉に頷いた。
「でも、我々が参加しては、優勝は、我々にならないでしょうか?」
 当然、そうなるだろうと誰もが思っていた。
「いや、それは、わからんぞ?途轍もない奴が現れるかもしれん。だからこそ、彼奴らには、もっと強くなってくれなければならないし、俺達が縦になってやらなければならない」
「堕天使の総督ともあろう男が、いやに優しいじゃないか」
 サーゼクスもまた、アザゼルと同じ考えであった。それ故に、皮肉ってみせた。
「俺は、優しいんだよ。それに、俺は彼奴らの先生だからな」
 アザゼルは、その皮肉ににやりと笑って見せた。
 
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