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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE54 第47層フロアボス戦開始直前!・小田桐家を訪れた女

西暦2023年某日。第47層フロアボス『ライトニング・ザ・デーモン』はその名通り、雷撃攻撃を得意とした悪魔であった!
更に、身の回りに常に電撃波を放ち続けており、プレイヤー達は満足に近づく事すら敵わぬ状態であったのだったが―――by立木ナレ


俺「これが……『補足転移(ほそくてんい)』のソードスキルだっ!」

アスナ「し、瞬間移動ですって!?」

レイナ「……あれが、オズマのユニークスキル」


フロアボス戦で起きた、プレイヤー達の度肝を抜かせたのは、ヒースクリフに次ぐ第二のユニークスキルの使い手となったオズマであった!
その場から姿を消したかと思った瞬間、即座にライトニングデーモンの頭上に転移したと同時に連続の剣技を繰り出したのであった! by立木ナレ


ヒースクリフ「お見事だ――やはり、第二のユニークスキルの使い手となったのは君だったか。オズマ君……」


そして、この出来事をまるで必然と言わんばかりに、血盟騎士団の騎士団長のヒースクリフは笑みを浮かべて、そう口にしたのであった。
そして、ここに至るまでの経緯はその日の朝、フロアボス戦の前に遡るのであった! by立木ナレ



ユッチ「と言うわけで、今日のお昼にオズマさん達はフロアボス戦の本戦っすね」

前日に、迷宮区のフロアボスを発見し、偵察戦を行ったメンバーの一人だったユッチは得意気な表情でそう口にした。

俺「ああ、その通達は昨日の攻略会議でもう知らされてるしな。それに第47層のフロアボスの『ライトニング・ザ・デーモン』との戦いもな」

ユッチ「いやはや、アイツはやばいっすよオズマさ~ん。取り巻きの『フォロワー・デーモン』達は、大したことなかったんすけどね~。ボスのライトニング・ザ・デーモンってのがね、ボス部屋の天井から雷落としまくるわ、迂闊に近づくと電撃派で感電させてくるわで、攻撃を食らわせるのに苦労したっすね~。ま、それでもHPバーを一本は削ったっすけどね~」

エルダ「ええ、お疲れ様。ユッチ君は主に、その大したことの無いフォロワー・デーモンたちを引き付ける役割だったのよね?」

自分が大活躍したと言わんばかりに得意気な表情をしているユッチに対して、エルダはアルゴから聞いた、偵察戦の内容を思い出して、皮肉っぽくそう言った。

ユッチ「いや~……まぁ、あれっすね。フォロワー・デーモンたちは別に大したことの無い連中ですけど、アイツらがウロウロとしてやがると、ボスに攻撃し難いっすからね~」

ユッチはあくまで自分は偵察戦で貢献したと言い張りたいようだったので、俺もエルダもそれ以上はユッチに対して何も言わずにそう言う事にしておいた。

それに、今の俺が気になっているのは、偵察戦の事ではなく、今日の朝、ウインドウ画面を見ていると、いつの間にか、特に習得した覚えのないスキルの事だった。

ひとまず、ぶっつけ本番でフロアボス戦で使うわけにはいかないので、俺はその使い勝手を確かめるべく、少し前まで、47層の周辺のフィールドのMob相手に、この当たらに習得した謎のスキルを試してみた所だった。

レイナ「……フロアボス戦までまだ時間があるけど、これからどうするの?」

俺「今日は、それまで各自、自由行動で良いだろ?つっても、ボス戦が控えてるから、アイテムとかは極力消耗しないで置いた方が良いけどな」

エルダ「決まりね。私はギルドのメンバーがクエストでちょっと苦戦してるって聞いたから、手を貸してくるわ」

俺「相変わらず面倒見がいいな」

迷宮区に午後の13時00分に集合となっているので、それまで俺は再び、適当なところで、新しく習得したスキルの練習をやっておくことにしたのだった。


※ ※ ※


午後の13時00分になったと同時に、迷宮区で集合した攻略組のプレイヤー達はマッピングされたフロアボスの部屋まで一直線に突き進み続けた。
道中に出現するモンスター達はこの大人数なので、全く問題にならなかった。
そして、初めて目の当たりにする第47層迷宮区の最上階に存在していたフロアボスの部屋に辿り着き、今回のレイドのパーティーリーダーを務めるヒースクリフがこの場にいるプレイヤー達を見渡して言った。

ヒースクリフ「それでは、今日も手筈通りに行こう。各パーティー編成は既にこれで問題はないか、各人何か意見はないだろうか?」

ヒースクリフの問いかけに対して、異論を口にする者は誰もいなかった。俺達の今回の6人のパーティーは俺、レイナ、エルダのMBTの主力組に加えて、ソロプレイヤーのキリト、そして風林火山のメンバーの中からフロアボス戦を戦い抜くに既に十分な実力であると判断されたリーダーのクラインと、大型の盾を構えて、全身を重装備で固めた(タンク)役のトーラスと言う青年プレイヤーだった。

アスナ「団長、緊急時の撤退のタイミングについてよろしいでしょうか?」

そんなとき、ヒースクリフに対して手を上げて、意見を口にしたのは同じギルドで副団長のアスナだった。

ヒースクリフ「うむ、言ってみたまえ」

アスナ「事前の偵察戦で得た情報から、昨日の攻略会議で決定した緊急時の撤退のタイミングは、パアーティーメンバーの内の3分の1のプレイヤーがHPがイエロー領域になってからとなりましたが――安全マージンは現段階では十分とれていると思われるので、緊急時の撤退のタイミングは条件を緩和してもいいのではないかと思います」

アスナの申し出に対して、一部のプレイヤー達が驚嘆の声を漏らすと同時に、恐れを感じる物も中にはいただろう。
血盟騎士団の副団長となったアスナは、その全労力を攻略にのみ注ぎ続けて、攻略より優先される物は人命の安全のみと言う主義の元、ひたすら最前線を戦い続ける様は『狂戦士』または『攻略の鬼』とまで評されており、アスナはアインクラッドではトップ中のトップのアイドルクラスのプレイヤーであると同時に、その戦いっぷりと攻略に対するすさまじい執念で畏怖される存在にもなっていたのだった。

まさに、血盟騎士団の団長であるヒースクリフにそのような、多少の危険を冒してでも攻略のペースを落とすべきではないと言うような意見を言えるのは攻略の鬼の異名を持つアスナだけであった。

直属の部下から意見を出されたヒースクリフは、微動だに表情を変化させる事も無かった。これが聖竜連合のリーダーであるリンドだった場合は微かに眉を顰めるくらいの事はしそうだし、かつてアインクラッド解放隊のリーダーとして攻略組のトップにいたキバオウだったら、『なんでや!』などと喚き散らしそうなのだが、このヒースクリフが持つ、リーダーとしての適性は、第一層のフロアボス戦を率いていたディアベルにも勝り、常に冷静沈着、激情を決して表に出す様な男ではなかった。

ヒースクリフ「そうか……では、万が一、実際にパーティーメンバーの3人に1人のプレイヤーのHPがイエロー領域になった際に、アスナ君―――君自身が先頭を続行するべきか否かをその場の判断で決定してくれたまえ」



ボス部屋の前に集まったプレイヤー達の間に、緊張の糸が走った!―――血盟騎士団の2トップによる、フロアボス攻略戦の方針を巡る意見のぶつかり合い!
もはや誰もがアスナとヒースクリフの話に口を挟む事など不可!全員沈黙――――口チャック!!by立木ナレ



アスナ「分かりました、可能な限りその事態は起きない事に越したことはありませんが、もし実際にレイドメンバーの三分の一がそのような状況になった場合は、私の判断で戦闘を続行するか、撤退するかを決定させて頂きます。―――無論、レイドメンバーの半分がHPイエローの状態となれば、その時は私も迷わずに撤退する事に同意します」

ヒースクリフ「うむ、これで話は決まったと見て言いようだね。他に意見のある者は誰かいないかな?」

結局、アスナ以外に意見を述べる物は誰もおらず、レイドパーティーの面々はフロアボス戦を始める事となった。
先頭のヒースクリフが猛然とプレイヤー達を待ち構えるボス部屋の扉を開けて―――フロアボス戦開始!!



※ ※ ※


攻略組の面々による第47層フロアボス戦が始まろうとしていた頃、現実世界にて―――by立木ナレ


時生「久々に尋ねてきやがったと思ったら、アーガスからの賠償金は取れたのかとか、辛気臭い話は止めにしねーか元俺の妻よ」

小田桐家に訪れたのは小田桐時生(おだぎりときお)の離婚した妻である小田桐(かおる)、すなわち、オズマの母親であった!
オズマの母である薫は元夫である時生に対して、不快そうな表情を向けながら口を開く。

薫「辛気臭い話だなんて……息子が、弭間が変なゲームで意識不明なんでしょ!?アーガスにちゃんと責任を取らせるのは親として当然でしょう!弭間の親権は貴方にあるんだからしっかりして頂戴!!」

苛立ちを露わにして、声を上げる元妻の薫に対して、元夫の時生は指で耳をほじりながら欠伸をしながら答える。

時生「それなら金の亡者の親父が散々アーガスとか言う、会社に怒鳴り込んでっつーの!だが、何せ被害者が多すぎる上に、死人も既に出ちまってる状況下だから、一人一人に対して手が回らねーんだとよ」

薫「しっかりしてよね!だいたい貴方がもっとしっかりと弭間のやる事を親として管理してればこんな事にはならなかったんじゃないの!?」

時生「無茶言ってんじゃねーつーの。ありゃフルダイブ機器だったか?まさかあんなのに脳を焼き焦がす機能だとか、一度始めちまったら止められなくなっちまうゲームとか、予想出来るわけね―じゃねーか」

のらりくらりとした態度の元夫に対して薫の苛立ちはさらに募る。そんな元妻のヒステリックになり気味の表情を見た時生は、薫の真意を見抜き言った。

時生「なーんで、そこまでオメーが必死になって賠償金の話で熱くなるんだよ?オメーが守ってやんなきゃならねー桃華(ももか)に関係のある話か?」

薫「な、なにが言いたいって言うの?」

薫が引き取った、オズマの一歳年上である姉の桃華の名前を引き出されて、薫は痛い所を突かれた様に眉をひそめて、表情を険しく変化させる。

時生「苦労してるよな、オメーもそんなに稼げる身じゃねーってのに桃華を私立の進学校に通わせたり、塾に行かせたりと教育費が掛かっちまってしょうがねぇだろ?その辺、弭間は手が掛からねー息子だぜ。中学も行ってなかったからな~、学費もまぁ……それを理由に踏み倒してやったし、塾だの家庭教師だとかもいらねーから、教育費なんて掛からずに済んで、孝行息子だよ」

薫「だから―――何が言いたいって言うのよ!?」

時生は会話の最中にタバコを一服してから、少しの間を置いた後に口を開き、元妻の真意をズバリと貫く!

時生「賠償金が出たら、そのいくらかをコッチにも寄こせって言いて―んだろ?桃華を私立の学校だとか、塾だとかに通わせるための金のためにな」

まさに―――言葉の矢!本心を的確に射貫くその言葉は百発百中の弓矢!

薫「こ、子供の教育の為にお金を注ぎ込むのは当然よ!貴方達と一緒にしないで頂戴!」

結局、薫はそれで逃げ出すように自らもかつて住んでいた山谷のアパートから出て行ったのであった。

時生「ったく……昔は俺とそれなりに気の合う女だったってのによぉ~。なんで女ってのは、結婚してガキが出来ると変わっちまうのかね~?」

 
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