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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE52 クラインの悲哀 カズト・アスナ・エリカの身内動画

 
前書き
今回は久々にキリトの視点の話です。 

 
全プレイヤーに身内動画part2が配信されて、数時間後の出来事であった! by立木ナレ


クライン「ああ~……お、俺はもう、何を希望にゲームクリアを目指せば良いんだろうな~……」

俺「なに、大の男が女々しく泣いてるんだよクライン……ついに攻略組の主力になって、これからバリバリとフロアボス戦に参加するんだろ、お前も、お前のギルドの仲間たちも」

両眼から大粒の涙を流し続けるクラインを俺は呆れ混じりの目でそう言い聞かせていた。俺にとってクラインはアインクラッドで初めて知り合った友人であり、ソードアート・オンラインがデスゲーム化した直後、先を急ぐ俺に対してクラインは仲間達を見捨てておけず、結果的に俺はクラインを見捨てて一人、自己保身的な行動に走ったわけだが―――最近になってクライン自身がリーダーとなって結成したギルド『風林火山(ふうりんかざん)』の仲間たちと共にクラインは攻略組の主力としての地位を固めつつあった。

久々に俺と再会したクラインは昔と何も変わる事無く、俺に対しても気さくに接してくれた。お互いに納得の上とは言え、クラインを見捨ててしまった俺には本来、友人面して付き合う資格など無いはずなのに、クラインはまるでそんな事は気にしていなかったのだ。

クライン「キリトよぉ~、き、聞いてくれよ~」

俺「聞くからさ、とにかく目から溢れ続ける涙を止められないのかよ?」

大の大人の男が目の前で号泣している光景を見続けるのは流石に忍びないので俺は、それだけ言っておいた。
クラインは両手で目の当たりをゴシゴシと拭くが、それでも目の周りには涙が零れているが、このSAOと言うのは感情表現がややオーバー気味に表現されるので、仕方が無いと割り切り、クラインの話を聞く事にする。

クライン「さっきよぉ、あのガチャモンとモックのヤロー共が身内動画のpart2をガチャパットに配信しやがっただろ?」

俺「ああ、そうだけど―――それを見てあんなに泣いてたって事か!?」

俺はクラインがあっさりと自分の身内動画を見た事に対して、驚嘆の声を上げていた。俺は前回の身内動画で、妹の直葉がマスコミから幾度も取材を求められて、半泣き状態で逃げ隠れしている動画と写真を見て、罪悪感を痛感した事もあり、さっき配信された身内動画のpart2はとてもじゃないが、これからも見る気にはなれなかった。

クライン「あ、ああ、part1は別に俺にとっちゃ、大して気にするような事じゃなかったからよぉ。今回もどうせ大したことねーだろって安易に思って見ちまったんだがよぉ……」

俺「大の大人の男のお前が号泣するような、内容だったのか?」

俺は少しだけだが、重苦しさを感じながらそう聞き返した。万が一クラインの家族や友人に重大な事態が起きたと言うのなら、それは決して笑い飛ばしたり、軽口で済ませられる話ではないからだ。

クライン「そ、そうなんだよ!」

クラインは再び両眼から涙を溢れさせて、心からの叫びをあげた。

クライン「このゲームの正式サービスの少し前に、お、俺、合コンに参加してさ―――そこで少し仲良くなって脈ありな気がしてた女の子が身内動画に出てきたんだよ!」

俺「そ、その人が、どうかしたのか?」

俺は固唾を飲んで、クラインの話の続きに耳を傾け続ける。クラインは震える身体を懸命に抑えながら、続きを話すのだった。

クライン「そ、その娘がよぉ―――お、俺の陰口を言ってたんだよぉ!!」

俺「…………は?」

俺は口を開けて、返す言葉が思い当たらず、そのままシステムの不具合とは関係なく、自発的にフリーズ状態と化していた。

クライン「せっかく脈ありだと思ってたのに―――俺の事を二十歳(ハタチ)過ぎにしては老けてるとか、サラリーマンって言ってる割にはニートやフリーターっぽさがするとか、友達付き合い程度ならありだけど、彼氏としてはあり得ないとか―――もう、散々な言われようだったんだぜ!!」

俺「…………」

大粒の涙を零し続けるクラインの、心の底から悲壮感に満ちた叫びを、俺はどこか、虚ろな気分で聞き流すだけだった。

クライン「このゲームをクリアして、現実世界に戻ったら、アタックしまくろうって思ってよぉ、ここまで生き延びて来たってのにそりゃあんまりじゃねーかよ!し、しかもその娘、さ、最近になって――無職のジャマイカ人の男と良い感じってどーなってんだよぉ!!」

クラインはそう叫びながら自分が持っていたガチャパットを俺に見せつけた。その画面に映っていたのは身内動画の後に表示される実写の写真で、その写真にはクラインが言っていた、脈あり――と、クラインだけが思っていた女性が、パンチパーマ頭の黒人と仲良さげに食事を共にしている姿だった。


クライン「無職だぜ無職!?こいつ、ぜってぇにヒモじゃねーか!もしかしてあれか?この娘が好きなのって、所謂、ダメ男か!?だったら俺も無職になっちまえば、この娘と付き合えるってか!?このゲームをクリアしたら再就職しねーで無職の状態でこの娘に告白すりゃ良いってのか――――!?」

俺「お、落ち着けクライン!世界の半分は女なんだぞ!たった一度の失恋くらいで、仕事を投げうってどうする!?」

自棄になり、ダメ人間真っ只中に自ら墜ちようとしかねないクラインを俺は友人として、必死に止めようと説得の言葉を投げかけてみたのだったが―――俺は知らなかった、クラインの失恋がこれが初めてではないと言う事に。

クライン「たった一度の失恋じゃねーよ!幼稚園の頃に初恋が失恋に終わって以来、もー、数え切れねーくらいの失恋の連続で、その度に自分の涙で俺はぁ枕を濡らしてきたんだよぉ!!」

俺「す、済まないクライン……もう俺にはどうすればサッパリだ」

恋愛経験など今の今まで皆無の俺にクラインの悩みをこれ以上聞き続けるのは不可能だった。せめてエギル辺りに相談でもして、クラインの心の傷を癒してもらうとするとしようか……





『キリガヤ カズトの身内動画part2』

カズトの妹「なんなの……それ?嘘だよね、お母さん……?」

カズトの母「いいえ、今話した通りよ、カズトはね――お母さんの姉さんと旦那さんの子なのよ。そう、カズトが生まれてすぐの頃に交通事故で亡くなってしまった姉さんと義兄さんの……」

カズトの妹「そ、それじゃあ!お、お兄ちゃんは本当は私の妹じゃなくって……従兄だったの?」

カズトの母「そうなの、けどあの子は―――カズトはね、10歳の頃に住基ネットを調べて、気付かれちゃってたけど」

カズトの妹「ま、待って!お、お兄ちゃんがじ、自分が養子だって知ってたって事は―――何も知らなかったのは私だけだったの!?」

カズトの母「ごめんなさいスグハ……本当は、貴方がもっと大きくなってから話そうと思ってたんだけど――――」

カズトの妹「なんで――なんで今まで隠してたのよ!!なんで今になってそんな事を話すのよ!!」

カズトの母「ごめんなさいスグハ……カズトがこんな事になってから一ヶ月で、同じ被害者の人達が2000人も亡くなって―――このままだとカズトもどうなるか分からないって聞いたら、せめてカズトが生きてるうちにスグハにも知ってもらわなくちゃって思って」

カズトの妹「勝手すぎるよ!今の今まで私にだけ隠してきたのに!こんな―――こんな時になって全部話すなんて勝手すぎる!もう私、何も知らない!」


『ユウキ アスナの身内動画part2』

アスナの同級生「ねぇ、聞いた~?」

アスナの後輩「はい、何がですか~?」

アスナの同級生「ユウキさんの事!アンタいっつも同じ電車に乗ってるじゃない」

アスナの後輩「あ、はい。ユウキ先輩ですね、最近学校をお休みしてるみたいなんですけど、怪我でもしちゃったんですかね~?私、心配です~」

アスナの同級生「ははっ!怪我なんてもんじゃないわよ!ユウキさんったら傑作なのよ!あの世界初のVRなんとかって言うゲームの事なんだけど―――」

アスナの後輩「あ~、ソードアート・オンラインの事ですね。私もほんのちょっとだけ興味あったんですけど、ユウキ先輩にその話したら、ゲームなんて時間の無駄だとか、私に対してもそんなのは早く卒業しなさいとか叱られちゃったです~」

アスナの同級生「なにそれ?傑作なんだけど!」

アスナの後輩「傑作ですか?」

アスナの同級生「そーよ!良い、ここだけの話なんだけど……ユウキさんったらね!そのソードアート・オンラインていう変なゲームやっちゃったらしいわよ―――!!」

アスナの後輩「えええ―――――――!?ユウキ先輩がソードアート・オンラインをですか!?あ、あんなにゲームの事もゲームやってる人たちの事も馬鹿にしてたユウキ先輩がですか――――!?」

アスナの同級生「ちょっとアンタ、声が大きいわよ。ここだけの話って言ったじゃな~い」

アスナの後輩「いやいや、そう言う先輩の方こそ、結構大きい声で大発表しちゃってましたよ……」

アスナの同級生「けどさ、実際に傑作でしょ?ウチの学園で屈指の優等生でお嬢様のユウキさんが最新型のゲームに手を出してたなんて!ユウキさんって実はオタクだったわけ?」

アスナの後輩「なるほど~、学校に最近来ないのは、他のSAO被害者の人達と同じで、ゲームの世界に閉じ込められちゃってるんですね~。ゲームの中で死んじゃったら、本物のプレイヤーの人達も死んじゃうって聞いてますけど、ユウキ先輩大丈夫ですかね~?」

アスナの同級生「あははっ!まー長く持たないんじゃない?だってユウキさんってゲーム嫌いで全然やった事ないんでしょ?きっとあと一カ月もする頃には―――」

アスナの友人「そこまでにしておいたら?」

アスナの同級生「あ……モリモトさん」

アスナの後輩「はわっ!モ、モリモト先輩って―――テストで常に学年次席のモリモト先輩ですか!?」

モリモト「貴方達、何時もはユウキさんと如何にも親しそうに、友好的に振舞っておいて、いざ彼女が学校に来なくなった途端に陰口だなんて随分と陰険なのね、まるでユウキさんの心配何てしてないのかしら?」

アスナの同級生「い、いや……別に心配はしてるつもりなんだけど―――あ、今度お見舞いに行こうかしら?」

アスナの後輩「わ、私も行きます!」

モリモト「止めなさい、心の奥底で陰険な事を思ってる人たちが行っても、ユウキさんは歓迎しないと思うわよ」

アスナの同級生「……そ、そうね」

アスナの後輩「反省です……」

モリモト「それじゃ、私、テスト勉強しなくちゃいけないから失礼するわ」


――数日後、期末テストの順位発表――


アスナの同級生「モリモトさん凄いわ!初めての学年主席おめでとう!」

アスナの同級生「今回のテストにはユウキさんが参加してないからもしかしたらと思ったけど――やっぱり繰り上げでモリモトさんが学年主席になったわね~」

モリモト「ありがとう皆――けど、私少しトイレに行きたいから失礼させてもらうわね」


――誰もいない学校の屋外で一人になるモリモト――


モリモト「ふふ……はははっ!!やったわ!ついに――ついに私が学年主席になったわ!あーっははっ!――――私に主席の座を譲ってくれてありがとうユウキさん。誰もいないこの場だから言える事だけど、私、ユウキさんの事だーい嫌いだったのよね!生まれた時から恵まれた生活が如何にも当たり前のように!親が会社の重役と大学教授のエリート家系でお金持ちでさぞ昔から最高の英才教育を受けられたみたいね!こっちは、母さんが離婚するまで、麻雀でお金稼いでるクズ親父と、生活保護を給料だとか言って受給し続けてるクズ爺と、ロクに勉強もしないでゲームばっかりしてるクズ弟と一緒に暮らしてたせいでロクな学習環境じゃなかったわよ!!―――何よアイツ……『モリモトさんって小学生の頃はどうしてたの?』ですって!山谷って言うダメ人間の巣窟みたいな町で、クズ男達と同じ屋根の下で暮らしてたなんて、この学校の人達に……アンタなんかに言えるわけないじゃないのよ!!全くいなくなってくれて清々したわ!所詮、私とアンタじゃ、積み上げてきた苦労の重みが違うんだから!!」


『サワイ エリカの身内動画』


レイナ「……オ、オズマ、は、激しすぎる」

オズマ「そりゃ、お前みたいな筋金入りのアイドルクラスの女が全裸で股開いて、俺に身体を差し出してれば、俺じゃなくたって誰だって興奮しまくるに決まってるからな!お前はどんな気分だ?少なくとも、記憶の上ではこういう事って初めてだろうが、どんな感じだ?」

レイナ「……そ、それは、こ、こんなの初めてで―――うぅっ!!」

オズマ「俺は最高に気持ちいいし、それに新鮮だな。お前のこんな初心な反応が見れてるんだからな」

レイナ「……オズマが、こ、こんな事するから、おかしくなってる……んだわ」

オズマ「これから何度でもやらせてくれるよな?―――いや、絶対にやるぞ!何度でも、何十回でもな!!」 
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