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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE51 身内動画part2 前前前科!

西暦2023年9月26日――アインクラッドでは名の知れた温泉宿でオズマは――by立木ナレ



レイナ「……オズマ、力加減……これくらいで良いの?」

俺「そうだな、お前の筋力ステータスだと、少しばかし強すぎたりしないか心配だったが、問題ないぜ。力加減が上手いんだな」

レイナ「……だって、初めてじゃないから」



オズマ、決して広くはない風呂場で、レイナに自分の体を洗わせる!無論、風呂場である以上、洗われるオズマは勿論、洗う側であるレイナにまで同じ姿をさせるオズマ!

――まさに豪遊!欲望の権化!ギルドメンバーである美少女に自らの身体を隅々まで洗わせて、オズマはその欲求を満たす!――だが、レイナが言った通り既にこれは一度や二度の事ではなかった。第31層での出来事以降、オズマはレイナが自身に対して従順である事を良いことに幾度も、レイナに対してまるで娼婦かソープ嬢の様な真似事を頼み続けていた! by立木ナレ



前々からレイナにやらせてみたいと思っていたソーププレイに俺が愉悦に浸っていた時に、それに水を差す様な展開が起こるのは、本当に唐突であり、その原因となる連中は毎回決まっていた。

レイナ「……ガチャパットがオブジェクト化されたわ」

俺「ほっとけよ、どーせ下らない奴らのコントかなにかだろ」

今の楽しみを邪魔されたくない俺は、オブジェクト化された俺とレイナのガチャパットをそのまま放置しておくように言ったのだったが、ガチャパットは宙に浮いた状態で自動的にその映像が始まるのだった。

ガチャモン『…………』

モック『…………』

が、映像に映し出されたガチャモンとモックは、半分近くが欠けている墓石の前で黒い喪服姿で両手を合わせて、目を閉じていた。

俺「何してんだこいつら……今度は墓参りの真似事かよ」

レイナ「……お墓に名前が書かれてるわね」

俺「ホントだな――って、これって!?」

ガチャパットの映像に移っている墓の名前『アカギの墓』と書かれているのを見て、俺は今日の日付を思い出し、こいつらがやろうとしている事に気が付いたのだった。

ガチャモン『今日で、あの人がいなくなってからもう、24年が経つんだね……』

モック『時が経つのは早いものですなぁ……あの人が無くなったのは1999年9月26日。今日で本当に丁度24年も経ってしまったんですな~』

ガチャモンとモックは上を見上げると、二人揃って、黄昏手いるような雰囲気を漂わせるのだった。

レイナ「……1999年の9月26日に誰か亡くなったのかしら?」

俺「漫画のキャラだよ……俺も知ってる――な」

レイナ「……そう、なの」

そして、ガチャパットに映っているガチャモンとモックはようやくカメラの方を振り向いてから、話を始めるのだった。

ガチャモン「さて、皆。皆は熱い三流を目指してるかな~?」

モック「いや~、あの言葉には本当に私ね、全身に電撃が走ったかのようにビビッと痺れましたですな~」

ガチャモン「うんうん、何か思い出したらすっごく気分が良くなっちゃったからさ。プレイヤーの皆にお待ちかねの―――身内動画part2を提供したいと思いまーす!!」




ガチャモンのその発表の直後、アインクラッド全土をプレイヤー達の不安、恐怖、動揺、これらの感情が一斉に覆いつくしたのであった!

だが、中には少しでも現実世界で待っているであろう家族や友人たちの情報を知りたいが故に、それに希望を見出す者も決して少なくはなく、まさに新たなる身内動画の発表は多くのプレイヤー達の心を揺さぶる事となった! by立木ナレ



レイナ「……また、あれを配信するのね」

俺「別に、俺のはどーせ下らない動画だろうがな……」

重要なのはレイナの方だった。現実世界の記憶を喪失しているレイナにとっては、現実世界の自分自身に繋がる情報を得られる数少ない機会であり、前回の身内動画ではレイナの両親がレイナがSAOに囚われた事で夫婦仲が険悪になっている事、そしてレイナには姉か妹がおり、同じようにSAOに囚われている事が分かったが、その姉妹がレイナに接触してくる気配は全くなく、既に死亡しているか、最初からレイナに会う気が無いかのどちらかであると、既にレイナは結論付けていた。

ガチャモン「今回は強制的に再生はしません。皆のガチャパットにそれぞれ、自分の身内動画を配信しておいたから、見たい時に見ちゃってくれて良いからね~」

モック「おお~、今回は敢えて見ないと言う選択肢もあると言うわけですな!ぐほほ、身内動画の内容が貴方方にとって希望か絶望か、それは見てみるまでは分からないと言うのがまたじれったく感じるんでしょうな~」

何時も通り、俺たちプレイヤー達が自分達の行動によって、狼狽える姿を想像して楽しんでいるのが目に見えて分かるガチャモンとモックだった。

そして、ガチャパットの映像が終了し、オブジェクト化されたままのガチャパットが残されていた。まるで俺達に今すぐにでも身内動画を見ろと促すかのように。

俺「さて、親父か爺さんか、その他の連中か、誰が映るか知らねーが、あれからどーしてやがるのか、見せてもらうとするか」

俺は自分のガチャパットを手に取り、躊躇なく『身内動画part2』を選択し、再生をタップしたのだった。

レイナ「……清々しい位に躊躇ないのね」

俺「見た方がスッキリするとも考えられるしな」

そして、前回と同様に早速、タイトルが表示される。

『オダギリ ハズマの身内動画part2』

相変わらずの、色彩の無い白黒のアニメーションで、登場人物たちは黒いシルエットだった。そして、台詞も全く変わらず、それぞれのキャラクターに吹き出しのマークが出た状態で、画面下に台詞がテキストメッセージの文章で表示されるだけだった。

ハズマの父「お勤めご苦労さん、クソ親父」

ハズマの祖父「ったく、めんどくせーったらありゃしねー!」

俺の自宅アパートの中と思われる場所で、親父と爺さんの二人きりでの会話の場面だった。爺さんはまた何か気に食わない事があったらしく、黒いシルエットの姿でも分かる位に不機嫌さを出していた。

ハズマの祖父「なんで、泥棒市で女子中学生の裏ビデオ売ったくれーで察に捕まらなきゃならねーんだ!毎日毎日、ここじゃそこらじゅうで毎朝やってる事じゃねーか!」

ハズマの父「警察の連中、近頃は大人しくしてやがったと思ったら。久々に大胆に泥棒市を取り締まってきやがったな。ま、逃げ遅れたあんたも迂闊だったってわけだ」

ハズマの祖父「あの警官の態度がムカついてしかたがねー!俺の生活保護を打ち切るだぁ!?バーカ言ってんじゃねーぞ!テメー如きにそんな権限あるわきゃね―だろうが40過ぎの平巡査如きが!出世してから出直してきやがれってんだ!」

ハズマの父「一週間で釈放されたとは言え、これでアンタは前科三犯になったわけか。前前前科ってか?だははははっ!!」

ハズマの祖父「歌の歌詞に例えて笑ってんじゃねーバカ息子が!だいたい国民の税金で給料もらってるのは公務員連中だって同じじゃねーか!なのに何で同じように国民の税金で給料もらってる俺ら生活保護受給者を見下しやがるんだ!こっちから言わせりゃ、同じ税金食い虫でも、テメーらの方が金取ってるだろうが畜生が!」

そこでアニメーションは終了し、その直後に俺の爺さんが警察署から解放される直後と思わしき実写の写真が一枚表示されたのだった。

レイナ「……オズマ、お爺さんが―――」

レイナが俺の事を気遣う様な事を言いかけたが、俺はその言葉がレイナの口から出る前にそれを遮る。

俺「別に気にする事なんて何もねーって。さっきの動画でも言ってたろ?爺さんが何か仕出かして警察の世話になる事なんて、今までにも何回もあった事で、最初の逮捕何て俺が生まれる前だったしな」

確か、埼玉県に行った際に、野球賭博を仲間内で楽しんでいた所を県警に捕まったのが初めての逮捕だとかを、酒に酔った勢いで愚痴っていたのを俺は覚えていた。

桐ケ谷(きりがや)とか言う堅物の警官に口やかましく説教されたとか何とか、愚痴り続けているのを俺は右から左へと聞き流していたのに対して、一歳年上の姉は心底軽蔑するような視線を向けていたのは今でも朧気ながら俺は覚えていた。

レイナ「……オズマが平気だって言うのなら―――大丈夫なのね」

俺「そう言う事だよ、それよりも肝心なのはお前の方だけど―――どうする?」

レイナ「……一緒に見てくれる?」

レイナは俺の顔をじっと見て、微かに、不安を抱いているのではないかと思わせるような表情を浮かべていた。
普段は徹底して冷静で、無表情のレイナだが、ここにきて、自分が失っている記憶に関する情報に触れる事に対して微かに不安と言う感情を感じたのかもしれない。

俺「どっちみち、この風呂場で二人で一緒にいるんだから、お前がここで見るなら、俺も見る事になるって事だ」

レイナ「……ありがとうオズマ」

レイナはガチャパットを操作し始めて、身内動画part2の再生をタップする。


『サワイ レイナの身内動画part2』

映し出された映像に移っているのは、小さな個室と思わしき部屋と、一人の真っ黒な女と思わしきシルエットだった。

レイナの姉「ごめん、ごめんねレイナ……」

テキストウィンドウには台詞の前にハッキリと『レイナの姉』と表記されている。つまり、このゲームにレイナと同じようにフルダイブして、そのまま囚われたレイナの姉妹と言うのは姉の事だったわけだ。

レイナの姉「私が……貴方をソードアート・オンラインにフルダイブさせたばっかりに!」

レイナの姉がレイナをソードアート・オンラインにフルダイブさせた―――それはつまり、レイナの姉がレイナにソードアート・オンラインを勧めて、自身も共にフルダイブしたと言う事なのだろうか?

レイナの姉「私が――私が絶対に貴方を助けて見せるわ!私の考えが正しければ……あの人もきっと、この世界にいるはずだわ。だから―――あの人を探し出せば!」

俺の身内動画に比べて格段に短い再生時間で動画は終了した。その直後にガチャパットの画面に表示されたのは―――

俺「ここって、はじまりの街の宿屋じゃねーか!」

レイナ「……つまり、この身内動画の内容は、現実世界じゃなくって、このソードアート・オンラインの中での出来事だったことになるのね。そして、私の姉がこの世界のどこかに――まだいるかもしれない」

俺「最も、この身内動画が具体的に何時頃なのかが分からないのが厄介だな」

この身内動画が、ソードアート・オンラインがデスゲーム化された直後とかだった場合は、既にこの身内動画に移っているレイナの姉が死んでいると言う可能性も有り得ることになってしまう。
写真に写っている部屋が第一層であるはじまりの街の宿屋であるので猶の事その可能性は高い。

レイナ「……それに、映ってるのは宿屋の風景だけで、肝心な私の姉の姿が足しか映ってない」

俺「この写真じゃ、レイナの姉貴の顔が分からねーな……」

ガチャモンとモックもワザと、ヒントを小出しにしているのではないかと思いたくなるような露骨な隠し方だった。

レイナ「……とにかく、今日はエルダを含めた三人でのクエストだから。それに専念するわ」

俺「ああ、その切り替えの早さは普段のレイナだな」

内心では色々と気にしているのかもしれないが、それを完全に心の奥底にしまえるのであれば、俺としても安心して背中を任せられるってもんだ。

俺「せめて、もう少しばかしここでゆっくりしてたいが、あんまり遅いとエルダが待ちくたびれて先に行っちまいかねないからここで切り上げるとするか」

レイナ「……分かった」

レイナの裸体を見ている時間が終わるのを惜しみつつも、俺達は温泉宿を出て、エルダとの待ち合わせ場所である最前線の転移門まで移動して、そこでエルダを発見した。

少し遠くに見えるエルダはガチャパットをじっと凝視している様子だった。

俺「もしかして、例の身内動画を見てる最中だったか……?」

レイナ「……そうかも」

ともかく、エルダは俺達から見て真横を向いている状態なのでここからエルダの身内動画を見てしまう可能性は低いので俺はレイナを連れてそのままエルダに近づき、声を掛けた直後だった。

エルダ「―――――!!」

俺「……どーした?」

こちらに顔を向けたエルダの表情は今まで一度も見た事が無い位に険しく、まるで許し難い、度し難い光景を目の当たりにでもしたような表情だった。
が、そんな表情も数秒後には瞬時に普段の落ち着いた顔色に戻り――

エルダ「あ、ごめんなさいね。ちょっと、びっくりしててつい……」

レイナ「……さっき配信された身内動画の事?」

レイナにそう聞かれるとエルダは、首を小さく縦に振って肯定した。

エルダ「私にとっても完全に予想外の事だったから――けど、今日のクエストに支障をきたすような事はしないから安心して」

俺「何を見ちまったかは知らねーが、取りあえずよろしくな。どっちみち、なにを見せられたところで、俺達はそれに干渉する事なんて出来ない状態なんだからな」

エルダ「……そうよね」

未だに、影の暗い様子が拭えないエルダだったが、俺達はエルダを含めた三人で予定通りクエストを進めるのだった。
 
 

 
後書き
オズマの祖父が言っていた桐ケ谷と言う警察官と言うのは、キリトの亡くなった元警察官の祖父の事です。

孫たちに剣道を強いるなど、かなり厳しい人だったらしいですからね。 
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