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空に星が輝く様に

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7部分:第一話 最初の出会いその七


第一話 最初の出会いその七

「ったくよ、また御前とかよ」
「嫌なの?」
「中学なんて三年一緒のクラスだしよ」
「そのおかげで色々いい目見てるじゃない」
 津島はこう彼に返した。
「そうでしょ、実際」
「まあお菓子は結構貰ったな」
 こう返しはする狭山だった。
「それはな」
「あたしの家ケーキ屋だからね」
「ケーキなあ」
 狭山はここで腕を組んで述べた。
「不思議と食い飽きないけれどな」
「飽きさせないわよ」
「そりゃどうも」
「高校に入っても私の家のケーキ食べたいでしょ」
「まあな」
 このことには異論のない彼だった。
「じゃあ高校もか」
「宜しくね」
「やれやれだな。何かよ」
 狭山は津島の言葉を聞いてあらためてぼやいた。
「高校でもこんなのかよ」
「いいじゃねえかよ、幼馴染みの彼女と一緒でな」
「高校でもな」
「楽しくやれよ」
「ああ、わかったよ」
 ぼやきながらも返す。
「それじゃあな」
「私とあんたは何があっても離れないのよ」
 津島はにこにことしながら話していた。
「わかったわね」
「もっと可愛い娘だったらなあ」
「何言ってんのよ、こんな可愛い娘いないわよ」
 しかし津島の方が一枚上手だった。
「はっきり言うけれど」
「自分で言ってたら世話ねえよ」
「とにかくよ。あんたが今することはね」
「高校に受かることだよな」
「そう、それよ」
 まさにそれだというのである。言葉には絶対の響きすらあった。
「わかったわね。合格しなさいよ」
「そういう御前もな」
 右手で頬杖をつきながらの言葉だった。
「絶対に受かれよ」
「勿論よ。さて」
 にこにことしながら言う津島であった。
「楽しい受験勉強頑張りましょう」
「やれやれだな」
 狭山はそんな津島の言葉に呟く。そんな二人だった。
 そしてだ。近鉄中学ではだ。椎名愛海が赤瀬炎男と話をしていた。
 椎名は小柄だ。身長は一四五程しかない。肩のところで揃えた髪に白い肌、それと落ち着いた雰囲気の目をしている。中学生というよりは下手をすれば小学生に見られてしまう、そんな女の子だ。
 赤瀬はその彼女とは正反対にだ。一九〇近くある。髪型はスポーツ刈りで顔つきは大人しい雰囲気だ。だがその身体はまさに小山だ。
 二人がだ。クラスで二人だけで机に向かいながら話をしているのだった。
「そう、赤瀬もなの」
「うん」
 赤瀬は椎名の言葉に頷いていた。
「八条高校受ける」
「同じね」
 椎名はそれを聞いてこう述べた。
「それなら」
「じゃあ椎名も」
「私も受ける」
 椎名は感情がこれといって見られない口調で答えた。
 
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