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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE48 不死の犬!

西暦2023年7月某日。ユッチはビーストテイマーのシリカをどうしてもギルドに入れる為に、オズマに現メンバーを一人、脱退させてでも入れようと懇願してきたのであったが、それをどうにか退ける事に成功。そして、レイナと共に二人で迷宮区の探索へと向かうのであった。 by立木ナレ



俺「レイナ、スイッチ!」

レイナ「……了解」

第31層の迷宮区で出現するモンスターは主に四足歩行の俊敏な動きが特徴の犬型モンスターの『ラビリンスドック』が過半数を占めていた。
如何せん、動きが速いので、その動きを足止めするには素早い攻撃技を命中させて、そこで一時的に動きが止まってから一気に止めを刺すのが得策だった。

レイナの両手剣は威力こそ折り紙付きのダメージを与えるが、全体的にソードスキルも含めて大振りな技が多いので、隙が大きめで、俊敏なラビリンスドックを相手に一撃を与えるのに少々手間取るので、俺がダメージを与えてから、弱ったラビリンスドックに止めの一撃を与えると言うやり方を続けていた。

俺の片手直剣の斬り払いで、軽くノックバックしたラビリンスドックに対してレイナがその隙を付き、両手剣ソードスキルの単発技であるバックラッシュで反時計回りに回転しつつの水平斬りの一撃で止めを刺していた。

だが、ラビリンスドックは後更に二体が俺達と対峙している。俺は自分からラビリンスドックに瞬時に接近すると、鞘に収まったままの剣で殴りつける。
一対一であれば、このまま更にソードスキルに繋げて、倒しきれるだろうが、もう一体のラビリンスドックが俺に攻撃を加えてこれば、それは難しいのだが―――

レイナ「……オズマの邪魔はさせない」

もう一体のラビリンスドックは、レイナがソードスキル発動後の効力が解けると同時に、自ら攻撃を仕掛けて、ラビリンスドックの憎悪値(ヘイト)を向けさせたのだった。
俊敏なラビリンスドックには攻撃を避けられたが、これで俺はもう一体のラビリンスドックを速やかに一対一で始末できるわけだった。



オズマとレイナ、第一層時から共に戦い続けている二人は、洗礼された連携、コンビネーションにより、迷宮区内のMobを次々と討伐しながら上層を目指し続けていた!

そして、道中には自分たち以外の攻略組のパーティーと何度か遭遇したりもしながら、更に一段上に上がる階段を発見し登り終えて、しばらく迷宮区内を探索し続けた所に―――



アスナ「貴方達もここまで来てたのね」

アスナだった。第25層でキリトとのコンビを解散後は、血盟騎士団の副団長となったアスナは純白に赤色の紋章が掛かった、ノースリーブの騎士服を身に纏い、パーティーメンバーである、いずれも自分よりも数歳以上は年上であろう男性プレイヤー達を従えていた。

俺「そっちこそ、流石に速いもんだな、Kob(血盟騎士団)の副団長さんが引っ張ってるとやっぱり大したもんだな」

アスナ「からかわないで、攻略組のギルドとして、ゲームクリアの為に最善を尽くすのは当然の事よ」

別にからかったつもりはないのだが、アスナはこちらからの冗談などまるで聞かないと言わんばかりの雰囲気だった。

血盟騎士団の副団長となり、攻略組の中でも絶大な発言力を得たアスナに対して最近、付けられるとうになった異名に『攻略の鬼』なんてのがあった。

攻略を徹底的に最優先し、効率の良さ、ギルドメンバー全体の強化を徹底的に妥協を許さぬその姿は、身近なプレイヤー達からは畏怖されるようになっていたのだった。

俺「この辺りにはMobは出ないみたいだから、軽く休憩中ってところか?」

アスナ「ええ、今日は早い時間から召集して迷宮区の探索に掛かり切ってるから、流石に疲れた人もいるみたいだから止む終えないわね」

その言い方からして、アスナはまるで本当であればまだまだ攻略に時間を割きたいと言った様子が伺える。

レイナ「……何時頃から、迷宮区で探索をしているの?」

アスナ「今日は朝の6時かね」

俺「6時間ぶっ通しかよ……」

現在時刻は既に正午の12時手前。アスナは自分を含めて6人のパーティーで迷宮区で、それだけの長時間もの間を、迷宮区内での探索に駆り出して、断続的に活動し続けていたのか。
アスナのパーティーメンバー達は皆、その辺りの床で疲れ切ったように項垂れているのだったが、攻略の鬼のアスナはそんなメンバー達の方を振り向くと、凛とした、反論すら許さないような厳しさの籠った声で告げるのだった。

アスナ「皆さん、大変かもしれないけど、後15分休憩したら探索を再開します!HPの回復、武器の耐久値などは問題ないですか?戦闘中の事故やトラブルを減らす為にも、準備は念入りに今の内から済ませて下さい!」

この副団長様の美貌に憧れて、血盟騎士団に入りたがっているプレイヤーも相当数多くいると聞くが、実際にアスナの元に付いたが最後、容赦のない攻略最優先の方針により、休む間もない日々が始まるわけか。

俺がそんな事を考えていると、まるでついさっきまでそこで隠蔽(ハイディング)スキルで姿を隠していたかのように、一人の小柄で丈の長いフード付きマントを着用したプレイヤーが姿を現した。

アルゴ「ほ、本当に大丈夫なんだよナ?こ、ここにはあの犬たちって出てこないんだよナ?」

ガタガタと身体を震わせながら、俺やアスナにそう震えた声で聞いてきたのは、情報屋のアルゴだった。
まるで、中ボスクラスの凶悪なMobにでも追われてきたかのように、周囲を激しく見まわしながら警戒している。

アスナ「え、ええ、ここは大丈夫だけどアルゴさん、どうかしたの?」

俺「この辺に出てくるラビリンスドックくらいなら、お前でも一対一ならどうにでもなる相手なんじゃないか?」

俺が軽い気分でそう言うと、アルゴは瞬時に俺の方を振り返ると、とんでもないと言わんばかりの勢いで言い放った。

アルゴ「オイラは情報屋なんだぞ!無駄な戦いは出来るだけしたくないんだヨ!だいたいアイツらしぶといんだヨ!やたら鼻が利くからかなり遠くまで逃げないと何時までもおってきやがって~。そ、それにあの……全身から禍々しいオーラを放ってる犬はやば過ぎるナ……ありゃ戦っちゃいけない奴だナ」

アスナ「禍々しいオーラを放ってる犬って何なの?」

俺「俺も、今までそんなのは見た事ねーな」

今までに、この迷宮区に見たことの無いMobの情報のようだった、タダでその情報を得られるのなら儲けものだ。

俺とアスナは早速興味を示し、アルゴからどんなモンスターなのかを聞こうとしたが、そこはアルゴもプロの情報屋として気を抜いたりはしなかった。

アルゴ「禍々しいオーラを放ってる犬だよ。無料で話せるのはここまでだナ~」

アルゴはフードの奥の表情を二カッとした笑みを見せる。詳しい情報を聞きたければ、一定量の金を払えと言うわけだそうだが。

俺「実際に戦って見りゃ分かるんだろ?そいつに遭遇したらその時だしな」

アルゴ「相変わらず、オズ坊は行き当たりばったりだナ~。さっきも言ったけど、戦っちゃいけない相手だからナ~」

アスナ「……戦っちゃいけない禍々しいオーラを放ってる犬ね、覚えておいた方が良いわね」

俺とレイナは、血盟騎士団の面々の休憩が終わる前に、その場を素通りし、再びもうしばらくの探索を続けるのだった。

しばらくの探索で俺達が発見したのは、下水路沿いの道だった。

俺「お世辞にも綺麗とは言えねー水が流れてやがるな」

レイナ「……落ちたら、水の流れに巻き込まれて何処かに流されてしまうわね」

俺とレイナは迷宮区の下水路沿いの道を歩きながら、再びラビリンスドックが襲ってこないか、レイナの索敵スキルで視界を利かせつつ、俺の聞き耳スキルで聴覚を働かせつつ、周囲を警戒しながら迷宮区を進み続けていた時だった。

俺「聞こえたぞ、前方から犬っころがハーハーと息してる音がな……」

レイナ「……私の索敵スキルも、犬モンスターの影をさっき見たわ。一匹分の影が―――」

俺の聞き耳スキルと、レイナの索敵スキルが共にラビリンスドックを察知したのだった。だが、レイナの索敵スキルで発見されたラビリンスドックは僅か一匹だけ、通り過ぎるついでにサクッと瞬殺してしまえば良いだけだろうと、この時の俺は楽観視していたのだったが。

レイナ「……あのラビリンスドック、何か違うわ」

俺「ああ、俺も見えたぞ―――あれって、アルゴが言ってた禍々しいオーラを放ってる犬っころか?」

そのラビリンスドックは――いや、あれはラビリンスドックじゃないのだろう。おそらくはアルゴが言っていた似たような別種の犬型モンスターだ。

レイナ「……《カオスフォームドック》だわ」

俺「へぇ~、そう読むんだな」

俺もオーラを放っている犬型モンスターにタゲを取って見ると、カーソルの頭上に固有名が表示されるのだが、無論アルファベットで表記されているので、俺が読めるわけが無かった。

レイナ「……アルゴは戦ったらいけないと言っていたわ」

俺「取りあえず、一発食らわせてやるか」

真正面からこちらに走り寄って来るカオスフォームドックと言う名称の犬型モンスターに対して、俺はダッシュで接近すると、鞘から抜いた状態の片手剣で真正面から突進してくるカオスフォームドックに対して突きを放ったのだったが―――――

俺「―――突き抜けやがっただと!?」

そして、俺はもう突進してきたカオスフォームドックの飛び掛かられて、そのまま勢いで押し倒されたのだった。

レイナ「――――オズマ!」

スグにレイナが俺を押し倒しながら、鋭い牙をむきながら、ぐるぐると唸り声をあげるカオスフォームドックに対して両手剣ソードスキルの上段ダッシュ技、アバランシュを発動し、突進しながらの
斬り下ろしを食らわせたのだったが―――俺が突きを放った時と結果は同じだった。

レイナ「……剣がすり抜けてる」

俺「何だよこいつ……武器がすり抜けちまうのかよ?」

とにかく俺は、力づくで上から押しかかっているカオスフォームドックを押し退けて、何とか立ち上がる事が出来るようになる。

レイナ「……オズマ、大丈夫?」

俺「HPが少しばかし減ったくらいだ……あの犬っころ、普通のラビリンスドックに比べてスピードや攻撃力が高いだけじゃないみたいだな」

レイナ「……アルゴの言っていた、戦っちゃいけないと言うのは―――こういう事だったのかも」

ったく、こんな事ならケチケチせずに金を払ってでもアルゴから事前にカオスフォームドックの情報を買っておくべきだったか?
もしかしたら、アルゴはカオスフォームドックを倒す方法も既に知っているかもしれないしな。

俺「今は倒せないなら、逃げるっきゃねー!」

レイナ「……来た道を戻るのね」

俺「そう言う事だ!」

俺とレイナは来た道を全速力で走り戻る事にする。俊敏性の高い上に、鼻の利くカオスフォームドック相手にのんびりとしていると簡単に追いつかれてしまう、俺達は後ろを振り返る事無く来た道を戻って走っていたが、更にそこで事態は悪くなる。

俺「って、こっちからもかよ!」

レイナ「……ラビリンスドックが三体、どうするの?」

俺「後ろから、あの不死身の犬っころが追ってこなけりゃ、正面のラビリンスドックなんて殲滅しちまえば良いだけなんだがな……」

三体のラビリンスドックを倒し切るまでにはある程度の時間がかかり、倒し切る前に背後から追ってくるカオスフォームドックが襲ってくるだろう。
まさに、俺とレイナは前後から挟み撃ちにされてしまったわけだった。



オズマとレイナはまさに逃げ場を失った獲物!従来、逃げ道を失った非捕食者の末路はほぼ例外なく、捕食者によって食らい尽くされるのが自然界の掟!そして、食物連鎖の避けられぬ現実であった!

が、ここはVR世界ソードアート・オンライン。そして―――オズマとレイナも単なる非捕食者ではなく、自ら思考し、活路を見出す為に可能性を見出す事の出来る人間である!そして、オズマは大雑把で単調なやり方を好む思考力の頭脳で、一つの決断を見出すのであった! by立木ナレ



俺「レイナ、逃げ道はここだ」

レイナ「……本気なの?」

俺が、指差した方角をレイナは確認すると、か細い声でそう聞き返す。

俺「ああ、まさに流れに身を任せろって話だな」

俺が指さした先は、汚い水が勢いよく流れ続ける下水路だった。通路がラビリンスドックとカオスフォームドックによって挟み撃ちになっている以上、この状況を脱するにはここしかない。

俺「俺は今から飛び込むが、レイナは良いか?」

レイナ「……他に選択肢も無さそうだし、オズマに付き合うわ」

俺「話が分かるなお前は本当に―――んじゃ、行くか!」



オズマ、レイナを抱き寄せた状態で水が流れ続ける下水路へとダイブ!果たしてこの選択はオズマとレイナをどう導くか? by立木ナレ 
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