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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE47 ビーストテイマーシリカをスカウト?

西暦2023年7月某日。アインクラッドの最前線は第31層であった!そして、その迷宮区の上層付近の、安全地帯の―――人の目が届かぬ、狭い洞穴の空洞の中で―――by立木ナレ



レイナ「……オズマ、なんだかすごく興奮してるわ」

俺「興奮しない方がおかしいだろ……お前は自覚してないかもしれないけどな。レイナはアインクラッドの数少ない女プレイヤーの中でも相当上玉だからな。つーか、このゲームに閉じ込められてからもう8か月間だぞ!一度も女を抱いてなくてな―――もうウンザリしてたんだよ……我慢し続ける毎日にな」



人の目の無い、そこでは、一糸纏わぬ姿となったオズマが、同じく裸体を晒すレイナを上から押し倒し、オズマらしからぬ興奮をし、息を荒立てながら、レイナのか細い、白肌の肢体を貪り尽くそうとしていた!

その光景はまさに強姦の現場!何も知らぬ第三者がその光景を目の当たりにすれば、間違いなくオズマがレイナを一方的に襲っていると思われかねない光景であったが―――レイナはオズマに対して一切の抵抗をする事なく、オズマのすべてを受け入れる覚悟を決めているのであった!!

なぜ?オズマとレイナがこのような行為に及んでいるのかは1日前に遡る! by立木ナレ




第31層の食堂にユッチが一人の幼い、12歳か13歳程度の短剣を装備したツインテールの小娘と、水色の小さなドラゴンのようなモンスターを連れてきたのは朝っぱらの事だった。

ユッチ「どうっすかオズマさん?今、中層や下層では新たなるアイドルプレイヤーとして人気の高い竜使いのシリカちゃんっす!」

シリカ「あの、ユッチさん―――別にアイドルなんかじゃないですよ……それに注目されてるのはピナですから」

ユッチは自分の隣の席に座っている、その竜使いの少女プレイヤーのシリカを俺に紹介し、心底機嫌の良さそうな表情でそうシリカを称賛しているが、シリカは恥ずかしそうに、謙虚するような言い方をしているが、本人もまんざらではなさそうで、はにかんだ笑顔を浮かべていた。

レイナ「……ビーストテイマー、噂に聞いてたけど、本当にいたのね」

シリカ「はい、ピナと会ったのは今年の2月なので、もう5カ月も一緒なんです!ね、ピナ~」

ピナ「きゅる~」

シリカはピナと名付けている水色の小型のドラゴンモンスター《フェザーリドラ》を軽く撫でながら、微笑ましそうにそう答えた。

レイナが口にしたビーストテイマーとは、モンスターを自らの使い魔にしたプレイヤーの通称であり、システムで規定されたクラスやスキルではない。

本来であれば攻撃的なモンスターが稀にプレイヤーに対して友好的な興味を示してくるイベントが発生する場合がある。
その際に餌を与えるなどして飼い慣らしに成功するとそのモンスターはプレイヤーの使い魔となって、微力ながらもプレイヤーをサポートしてくれるらしいが、俺も実際にビーストテイマーと使い魔を見たのはこの瞬間が初めてだった。

ユッチ「それで、オズマさん。ここからが重大な相談なんですっすよ!」

ユッチは両手で机を軽く叩き、身体を前のめりにして、ニヤッと笑みを浮かべていた。だいたい、ユッチが何を言いたいのかは想像は付くが、とりあえず聞くだけ聞いてみる事にした。

ユッチ「ずばり、このビーストテイマーのシリカちゃんを―――我がギルド、MBTにスカウトしてみたいと思うっす!」

シリカ「ええ―――――――――!?」

全く持って、予想通りの事を言いやがった。俺だけでなく、レイナにとっても完全に想定通りだったようで、眉一つ動かすことなく動じなかったが。
その中で唯一、張本人であるシリカだけは高い声で絶叫を上げて、大いに驚き、目を大きく丸めていた。
この様子からして、この相談はユッチが一人で考えていた事で、シリカはここに至るまで何一つとして知らされていなかったのだろう。

シリカ「ま、待ってくださいユッチさん!そ、そんな―――私なんかがMBTに入るだなんて――」

ユッチ「大丈夫だよシリカちゃん」

シリカ「え……?」

シリカは大慌てで、ユッチに対して、そんな唐突な話を断ろうとしたみたいだったが、ユッチはドヤ顔でサムズアップをして見せて、特に何の根拠も無しに大丈夫などと言ったのだった。

ユッチ「君は何も言わなくても大丈夫。全て僕に任せておいて、僕に任せてくれれば君は今日にでも僕らのギルドの一員だからね」

シリカ「で、ですから―――あのぉ~」

シリカにその気が無いのは明白だが、ユッチは良かれと思ってやっていると言った様子だな。そして、再び俺の方に向き直したユッチは、自身に満ち溢れた表情で言う。

ユッチ「と言うわけで、オズマさん。今日から新メンバーのシリカちゃんをよろしくお願いするっす!無論、シリカちゃんのお世話係はこの僕が―――」

俺「諦めてくれ」

ユッチ「そう、諦め―――てぇぇぇぇぇっ!?」

ユッチが勝手にお世話係だとか言い出したが、俺は途中で単刀直入に諦めるように言うと、ユッチは遅れ気味の反応で、『まさかこんなはずでは!』と、言わんばかりの形相で絶叫したのだった。

そして、その隣ではシリカがほっと溜息をついて安堵の表情を浮かべたのだった。

ユッチ「な、な、なに言ってんっすかオズマさん!?ビーストテイマーのシリカちゃんのギルド加入希望を却下何て、笑えない冗談っすよ!!」

レイナ「……シリカは、まだ一度もギルドに入りたいと一言も言ってない」

まさにレイナの言う通りなのだが、俺が却下した理由はそれだけではない。

俺「ギルドを結成した時にも話したことあっただろ?あんまり規模がデカくなりすぎると、DKBとか、今はもう半壊しちまったALSみたいに舵取りに苦労して面倒だから、メンバーの数は最大で10人までにしようってな」

ユッチ「あ、ええ……確かに言いましたっすね」

それはユッチも当然覚えているようだった。何せギルドを結成する際にコイツもそれで意気揚々と同意していたのだからな。

俺「そして、今のMBTのメンバーは丁度10人――つまり定員いっぱいだからこれ以上は増やせないって事だ」

一人くらいなら良いかと言った感じで、増やし始めると結果的に10人どころか20人、30人と膨れ上がってしまい、ギルドを統制し難くなってしまうのでそこだけは決して譲らないようにしなくちゃならない。

だが、ユッチは何が何でもシリカをギルドに入れたい様子で、食い下がり、こんな提案をしてくるのだった。

ユッチ「じゃ、じゃあ……その~、シリカちゃんを入れた上で、ギルドメンバーがその~、10人になってればいいって事っすよ――ね?」

等と言い出したユッチのその表情は、如何にもふてぶてしい、横着な考えをにじみ出させているかのような表情だった。



そして、そんな予想を裏切る事無く、ユッチが提案したのはまさに身勝手の極み!自らの欲望と自己満足の為に他者を―――ギルドメンバーを蔑ろにする、度し難き提案であった! by立木ナレ



ユッチ「誰か一人を―――抜けさせちゃいますか?」

ユッチは左目をウィンクさせて、まるでささやかな悪戯でも提案してるくらいの気分であるかのようにそんな事を言い出したのだった。

俺「誰か一人を抜けさせるって、お前な……」

ユッチ「そうっすね~、マークとハミルの内のどちらかはどうっすか?アイツらって役割が被ってるから、そろそろどっちか抜けさせても良いと思うんすよね~」

マークとハミルは、どちらもSAOでは珍しく、比較的ゲーム序盤の時点から、馬に乗って走らせることが出来る乗馬スキルの使い手であり、既に馬の後方にもう一人のプレイヤーを乗せた状態でも走れる――いわゆる、2人乗りが出来るほどの熟練度に達したところなので、最近はどちらも長距離移動で乗せてもらう際に重宝していたのだった。

俺「あり得ねぇ、アイツらは長距離のフィールドとかを移動するのに重要な存在だ。二人いても、全然良い位だろ」

実際に二人以上で長距離を移動したいのであれば、マークとハミルの両方の馬にそれぞれ一人ずつ乗らなくてはならないのだから。

俺にそう言い刎ねられるとユッチは、左手を顎に当てて、まるで某探偵漫画の探偵たちが推理や考え事をするときのようなポージングでしばらく考え込んでいた。

ユッチ「では、オズマさん―――ウォルターをクビにするのは如何っすかね?」

俺「ついにストレートにクビと言う単語を使ってきやがったか……」

ユッチ「えへへ、いや~。組織改革にはある程度のリストラもやむ終えないって、実際にこうしてギルドをやってみると痛い位に実感するっすねぇ~」

まるで社会人の何たるかを既に悟ったかのような事を口走るユッチだった。ウォルターは釣りスキルと潜水スキルを高めており、水深深くに行かねば手に入らないアイテムなど、釣りでしか手に入らない魚介類系の食材アイテムを手に入れる事が出来る、唯一のメンバーだった。

俺「却下だ」

ユッチ「そんなぁ~、そ、それじゃあ――だ、誰をクビにすればいいのか僕にはもう、さっぱり分かんないっすよぉ~」



ギルドメンバーの誰をクビにするか?そんな、陰険かつ身勝手な悩みでユッチは半泣き状態となり、机の上でぐったりと項垂れるのであった!
今のユッチの脳内を占めている思考は完全にイカにしてシリカをメンバーに加えるか、ただその事のみなのであった!! by立木ナレ



この時一瞬俺は、冗談半分で、お前をクビにしてシリカを入れるか。などと言おうかと思ったが、その言葉はひとまず保留にして、ユッチを引き下がらせる上手い言葉や、言いくるめ方はないかと考えていた時だった。

シリカ「ユッチさん、お気持ちだけでありがとうございます!ですから、もう止めて下さい!」

シリカが、叫び散らすようにユッチに対して、ありがとうございます、などと言う必要のない感謝の言葉を述べてから、そう制止したのだった。

ユッチ「ああ、シリカちゃん大丈夫だよ!何とかするから!なんとかして、シリカちゃんがギルドに入れるように言いく――説得して見せるから!」

シリカ「ユッチさん……わ、私は、ユッチさんに今のギルドの人達と、仲良く一緒にいてほしいんです!」

ユッチ「ほえ?仲良く一緒に……?」

シリカ「はい、だから他の人達を外して、私を入れるなんて―――そんな事はあっちゃいけない事なんです!」

心の中で俺は、もっと言ってやってくれとシリカに期待したのだった。俺が何を言ってもダメとなると―――ここは張本人であるシリカにハッキリと言ってもらうほかなかったからだ。

ユッチ「あ、あのねシリカちゃん――べ、別にギルドのメンバー全員とそもそも、仲良くしてるわけじゃないって言うか――そ、それにこのギルドを辞めたって、行き先何て探せばあるだろうし――――」

シリカ「私は、皆さんが――MBTが攻略組の主要ギルドで、すごく貢献してくれてる人達だって知ってますよ。ちょっと残念ですけど、今の私にはそんなすごいギルドに入る力や能力何て無いですから」

これは、ギルドに入れられるのを断るための方便だとは思うが、俺としてもシリカにハッキリとギルドに入る意思が無い事を表明してもらう方がユッチを引き下がらせるには都合が良かった。

ユッチ「し、シリカちゃん……ほ、本当にあ、諦めちゃうのかい?君なら絶対に、ウチのギルドでも凄く活躍してくれること間違いなしだと思うのに……」

ユッチは未だに、未練がましくシリカがギルドに入る事を望み続けるが、シリカはそんなユッチの未練を断ち切るように、頭を深く下げて断りの言葉を口にして、俺達に別れの挨拶を丁寧に終えてから、自身のホームがあるらしい第8層へと戻って行ったのだった。

そして、ユッチも意気消沈した様子で、ぐったりと力なく項垂れた様子で、食堂からトボトボと出て行ったのだった。
そして、ユッチがいなくなった直後だった。

レイナ「……オズマは、優しすぎる」

珍しく、妙に辛口に感じられるレイナのそんな言葉が俺の耳を突き抜けたのだった。

俺「んだよ急に?それって、誉め言葉か?」

レイナ「……ユッチは自分の欲求の為にギルドに損害を与えるところだったわ。オズマはギルドのリーダーとして、ユッチを処罰しても良かったと思う」

俺「別にそこまでしなくたっていいだろう。結果的に諦めたんだからな、この段階で処罰しても、後で色々と付き合いが悪くなったりとかあり得そうだから、何事もなく済んだんなら、それで良しとして良いんじゃないか?」

レイナ「……やっぱり、オズマは優しすぎる」

俺「やっぱ、誉め言葉じゃねーんだな……」

そしてそれから間もなく、オズマとレイナは迷宮区への探索へと出発する事になったのであった!! 
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