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戦国異伝供書

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第八話 浅井家の内その八

 武田等三家や本願寺以外の諸勢力のことを調べさせた、そしてだった。
 山陰についてだ、彼はこんなことを言った。
「さて、毛利家が尼子家を攻めてな」
「もう尼子はもたぬ」
「やはりそうなりますか」
「そして尼子家の次はですな」
「山陰をさらに進んでいきますか」
「そしてじゃ」
 そのうえでというのだ。
「我等とも境を接するであろうな」
「山陽と同じくですか」
「そうなりますか」
「それで面白い者のことを聞いた」
 ここで信長が言うその者は誰かというと。
「山中鹿之助という者じゃが」
「尼子家の家臣ですな」
 その名を聞いてだ、池田が言ってきた。
「そうでしたな」
「うむ、あの者をな」
「当家で、ですか」
「いざとなれば用いてな」
「毛利家にあたらせますか」
「そう考えておる」
 信長は池田に答えた。
「毛利家は大きくなり過ぎておる、だからな」
「叩いておきですか」
「その力を弱めて降したい」
 これが信長の毛利家への考えだった。
「安芸一国か若しくは周防及び長門を与えてな」
「そのうえで」
「降したい、武田は甲斐そして上杉は越後じゃ」
 それぞれ一国だというのだ。
「そうしたい」
「あまり大きな力はですな」
「持たしたくない」
 織田家以外の家はというのだ。
「下手に大きな家があると乱れるものじゃ」
「だからですな」
「そうしたい、滅ぼさむまでもな」
「力はですな」
「弱めたい」
 信長はそこまで考えていた、そしてだった。
 長曾我部にだ、こう言った。
「お主はこのままじゃ」
「土佐一国をですか」
「治めてもらう」
「一国ですか」
「そうじゃ、頼むぞ」
「さすれば」
「しかし今の毛利はな」
 またこの家の名前を話した。
「大き過ぎるわ」
「あのまま天下に入れますと」
 どうかとだ、村井が言ってきた。
「室町幕府の時の様に」
「山名や大内の様にな」
「後々厄介になりまする」
「だから織田家の力は最初から大きくしてな」
「他の大名家はですか」
「あの様に強くはせぬ」
 室町幕府の時の山名家や大内家の様にはというのだ。
「そうしていくぞ」
「それで毛利家も」
「武田、上杉もな」
「では北条もですな」
「当然じゃ、北条家は相模と伊豆か」
 この二国かというのだ。
「そしてあの小田原城はな」
「小さくしますか」
「街も囲んだ本朝で稀な総惣えの城はな」
「放っておけませぬな」
「いざという時に攻めにくいし篭られる」
 だからだというのだ。
「それでじゃ」
「あの城も」
「うむ、小さくする」
 北条家の領地と共にというのだ。 
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