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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE40 レイドパーティーの危機!氷漬けになる者たち



西暦2023年3月某日。第24層フロアボス戦は順調そのものであった!レイドパーティーの連携の取れた攻防によって、死者は無論の事、誰一人としてHPをレッドゾーンにまで減少させる事なく滞りなく進み続けて、そして――― by立木ナレ



カレラ「食らいやがれぇぇぇぇっ!!」

曲刀のソードスキル『レイジング・チョッパー』による、一歩踏み込んでからの三連撃からの、突き攻撃によってザ・ジャンボ・スノーマンの3本目のHPバーが完全に底を尽き、ラスト一本のHPバーを残すのみとなった。

キバオウ「ええでええで!ラストスパートや!最後のHPバーになったで!この調子で踏ん張るんや!!」

キバオウのその声も、順調に進んでいるフロアボス戦に気を良くしているように感じた。カレラのソードスキルで3本目のHPバーを損失したジャンボ・スノーマンは今までと同様に一度はその巨体を横転させていたが、再び上体を起こして立ち上がる。

エルダ「ねえ、何か……おかしくない?」

俺「あ、ああ、何時になったら、チビのスノーマンたちは出てくるんだ?」

今まではHPバーを1本削り切るたびに、ジャンボ・スノーマンが起き上がると同時に、周辺一帯に、プリチー・スノーマンが大量に出現していたのだったが、今回に限ってはどう言うわけか一体もプリチー・スノーマンが現れず、ボス部屋の中央でたった一体俺達の前に立ちはだかっているジャンボ・スノーマンは息を吸い続けていた。

俺やエルダが感じが不安は、他のプレイヤー達も一人、また一人とそれを感じてきたようで、殆どの者達は迂闊に攻撃しにいく事なく、その様子を静観していたのだったが―――

カレラ「どいつもこいつも、なにやってんだよ!ボーっとしてる雪だるま相手に!!」

俺「待て!迂闊に攻めるなぁ!」

カレラはそんな警戒心など気にする事なく、単身で曲刀を構えて、ジャンボ・スノーマンの真正面に向かって斬りかかっていた。

だが――その曲刀の攻撃がジャンボ・スノーマンに届く直前に、それまで息を吸い込み続けていたジャンボ・スノーマンは、まるで溜め込んだ空気を体内から吐き出したのだった―――超低温の冷気として。

カレラ「うわぁぁっ!!」

キバオウ「な、なんやぁ―――――――!?」

レイナ「―――――!?」

俺「レイナ!!」

キリト「皆、体勢を低くしろ!すぐにしゃがめぇ――――――!!」

ボス部屋中央に陣取っているジャンボ・スノーマンは胴体の上の顔だけどぐるりと360度回転させながら、口から溜め込んだ空気を超低温の冷気として吐き出し続けていた。
俺自身も冷気を浴びたために、既に下半身が氷漬けになりま共に身動きが取れない状態になっていた。そして俺はまだ自由が利く上半身を動かして周囲を見渡してみると、ジャンボ・スノーマンが吐き出す冷気によって次々と氷漬けになる物が現れていた。

そして、ジャンボ・スノーマンが口から吐き出した冷気の攻撃が終わる事には、全レイドパーティーメンバー達の半分ほどがその身を氷漬けにされており、一切身動きが取れない状態になっていた。

氷漬けにされているプレイヤー達の中にはレイドパーティーのリーダーであるキバオウ、俺と同じパーティーメンバーのユッチ、H隊のパーティーメンバーであるエギルの仲間二人、そして―――

カレラ「あ、兄貴!?な、なんで――――」

カレラを庇ったのだろう、ボクスターは盾を構えるような体勢でカレラの前で氷漬けの状態にされていた。

エルダ「想定外だったわ……盾で防ぎきれない攻撃だったのね」

俺「無事だったんだなエルダ?」

ボクスターと同じ盾持ちのエルダだったが、彼女は氷漬けにはなっていなかったようで、自由の利く身体で俺の方に歩み寄って来てそう言うが、普段から右手に持っている盾が無い状態だった。
恐らく、盾が氷漬けになっていくのを見て、とっさの判断で捨てたのだろう。

エルダ「って言うかオズマ君―――アンタ、下半身が!!」

俺「ああ、見ての通りガチガチの氷漬けだ。仮想世界だってのに、凍るとマジで冷たいもんだよ。こんな冷たいのを感じるくらいなら、いっその事全身氷漬けにされちまった方がマシだったかもな」

俺は氷漬けになり、まるで自由の利かない下半身を見て、そう自嘲するのだった。そして、そんな冗談を口にした俺の横でレイナが、珍しく震えた声を発したのはその時だった。

レイナ「……どうして?オズマ、私を庇ったの……?貴方は冷気を浴びせられそうになった私に飛び掛かって、それで代わりに――――」

俺「さーな、なんだかんだで一番長い間一緒に組んでるからなお前は。少しばかり情が映ったのかもな……」

が、そんな軽口を言い合っている余裕も無い。先程のジャンボ・スノーマンの攻撃でレイドパーティーの半分ほどが氷漬けになりまともに身動きが取れない状態と化してしまった。
幸いにも、プリチー・スノーマンは出現していないが、氷漬けになったプレイヤー達が何時になったら自由になれるかは定かではない。

俺の下半身を含めて、俺から少し離れた場所のユッチなど、氷漬け状態のプレイヤーのカーソルには氷漬けを示すデバフアイコンが表示されているのだが、そのデバフアイコンはこの氷漬けが何時まで続くのか明確なカウント表記がされていなかった。

リンド「焦るな皆!こうなっては氷漬けになった者達を置いてボス部屋から出るなどと言う事は出来ない!今俺達がやらなければならない事は、HPバーが最後の一本になったジャンボ・スノーマンを倒す事だ!恐らくだが―――そうすれば氷漬けになった者達も元に戻ると思う!」

それまでレイドパーティーのリーダーを務めていたキバオウが氷漬け状態になってしまった事も有り、リンドが自ら暫定でリーダーとして残っているメンバー達に声を上げていた。

残っているメンバーにはALSの者達も複数いるが、こうなってしまっては二大攻略ギルドを率いているもう一人のリンドに指揮官を任せるのが適任である事は誰もが認めているようで、リンドの臨時リーダー就任に異を唱える者は誰もいなかった―――と言うか、そんな事で言い争っている余裕など誰にもない事は明白だったのだろう。

俺「とにかくお前ら、氷漬けになってるユッチやボクスターが無防備だからなるべくアイツらが攻撃を受けないように気を付けてくれ!今の状態であのクソ雪だるまが転がり攻撃なんてしてきやがったら、凍ってる連中は致命的だ!」

エルダ「分かったわ!今はとにかく、この窮地を終わらせるためにもボスを倒さなくちゃいけないわね!」

エルダの判断は素早く、俺の意図を汲んで真っ先にボス部屋の中央を陣取り続けて、周囲のプレイヤーに雪玉を投げ続けるジャンボ・スノーマンへの攻撃に向かって走っていた。

レイナ「……けど、けど、オズマがここから動けないわ」

俺「今はまだHPに余裕もあるから大丈夫だ!俺を含めて、凍ってる連中の安全をすぐに確保するには、ボスを倒すのが先決だろ!」

レイナは珍しく、冷静な判断が出来ずに、俺の元から離れようとしなかった。俺がレイナを庇い下半身が氷漬けになって動けなくなっているのを気にしているのか、レイナはボスを倒す事よりも、俺の傍で俺を守る事を最優先するべきだと考えているみたいだが、今この状況下では、そう言うわけにはいかない。
あのままジャンボ・スノーマンを活かし続けて、何度も転がり攻撃をされてしまえば、凍っているプレイヤー達は無抵抗のまま攻撃を食らう事になる。

と言うか、今だってジャンボ・スノーマンが投げつけてくる雪玉を氷漬けになっているプレイヤー達は避けることがままならない状態だ。

凍り付けになったプレイヤー達はポーションを飲む事が出来ず、それはすなわち回復手段すら絶たれている状態であるわけだった。

俺「だから、俺達を助ける為にも―――早くボスを倒す事を優先するんだ!!」

レイナ「…………分かった、絶対にオズマを死なせたりはしないから!」

俺が声を荒げてそう一喝すると、レイナは何時もよりも長く、無言の間を置いてから、そう決心してジャンボ・スノーマンを倒しにに走り出していた。

既にジャンボ・スノーマンを先に倒すことが先決であると判断したエルダやキリト、アスナ、カレラなどのプレイヤー達が先に限られた人数で連携し、投げつけられる雪玉を諸共せずにソードスキルを交互に浴びせ続けていた。

一部の盾持ちのプレイヤーは憎悪値(ヘイト)を自分に向けるスキルで、ジャンボ・スノーマンの攻撃が凍っているプレイヤーへ向けられないように援護をしていた。

リンド「凍っている者達へ攻撃が当たらないように配慮しつつ、ジャンボ・スノーマンへの攻撃を欠かすな!撤退が出来なくなった以上、速やかにボスを倒す事を優先するんだ!!」

再度、リンドの命令がボス部屋に響き渡っていた。48人中、現在動けるのは30人にも満たない状況下で、動ける者達は凍っているプレイヤー達に気をまわしつつ、いち早くジャンボ・スノーマンを倒すべく、絶え間ないソードスキルを交互に浴びせ続けていた。

そして、そんなリンドの指揮のもとのプレイヤー達の奮闘もあり、氷漬けになっている連中は今の所は誰も犠牲になる事無く、ついにジャンボ・スノーマンの残り一本のHPバーが遂に半分を割り込み、イエローゾーンの領域にまで減少した時だった。

キリト「ボスが転がり攻撃をしてくるぞぉ―――――――!!」

キリトの大声が、ボス部屋に響き渡っていた。キリトの言う通り、ついにジャンボ・スノーマンはその身体を完全な球体化させて、ボス部屋を縦横無尽に転がり続ける転がり攻撃のモーションに入っていた。

リンド「防御と回避に徹するんだ!こちらの攻撃は一切通用しないが、転がって来るボスにソードスキルを当てる事で、敵の攻撃の軌道を反らす事は可能だ!」

リンドの言った通り、転がり攻撃をしているジャンボ・スノーマンに対しては一切ダメージを与える事が出来ないのだが、強攻撃、またはソードスキルを当てる事で、転がって来るスノーマンの進行方向を買える事は出来る―――つまり、その要領で凍っているプレイヤー達を守る事も可能だと言う事だ。

辛うじて凍っていないプレイヤーが凍っているプレイヤーを僅かに上回っているので、凍っていないないプレイヤーは凍っている状態のプレイヤーを一人守る事に専念出来そうだった。

カレラ「ごめんな兄貴……アタシのせいで―――だから、ちゃんと守るよ!」

既にカレラは自分を庇い氷漬けになったボクスターの側に陣取っていた。他のプレイヤー達もなるべく自分のパーティーメンバーの凍っている者の側に寄り、守り手が足りないパーティーは人手が余っているパーティーから人を借りる形で守りの態勢が出来ていた。

レイナ「……オズマ、安心して。絶対に守り切るから」

そして、下半身が氷漬けで動けない俺の傍にはレイナが両手剣を構えて、身構えていた――直後にジャンボ・スノーマンは球体化した体を転がり始めていた。

リンド「守り切れぇぇぇ!!絶対に誰も死なせるなぁぁぁ!!」

それからしばらく、転がって来るジャンボ・スノーマンをソードスキルで押し返し、押し返された方向に転がってきたら、今度はそちらにいるプレイヤーがソードスキルで押し返すの繰り返しだった。
氷漬けになっていないプレイヤーはHPが減少してもポーションや回復結晶(回復クリスタル)でまだ、回復可能だが、氷漬けになっている者はそうはいかないので、エギルなど、一部の物は身を挺して氷漬けになっている仲間を守る者すらいた。

そして、今までに比べて長時間の転がり攻撃が続き、カレラのソードスキルが自身とボクスターに向かって転がってきたジャンボ・スノーマンを弾き返した後に、ジャンボ・スノーマンが転がってきた先は俺とレイナがいる方向だった。

俺「とうとう、こっちに気やがった!」

レイナ「……受け止めるわ」

勢いをつけて転がってきたジャンボ・スノーマンの転がりながらの体当たりをレイナの両手剣が受け止めた直後、回転エネルギーを加え、剣を振り抜く両手剣ソードスキルのアラウンドで押し返した直後だった、ついに転がり攻撃が出来る時間を終えたジャンボ・スノーマンは再び元の姿に戻る。

そして―――今までと同様に転がり攻撃を終えた直後のジャンボ・スノーマンは一時的な行動不能状態だった!

カレラ「おっしゃ!今の内に食らえぇぇぇ!!」

カレラが真っ先に曲刀のソードスキルを食らわせたのを皮切りに、次々と行動可能な状態のプレイヤー達がソードスキルを絶え間なく、一斉に浴びせ続けるのだった。

その後も、行動不能状態から回復したジャンボ・スノーマンは遠くのプレイヤーに雪玉を投げ続けつつ、接近してくるプレイヤーに対して体当たりのパターンで攻撃を仕掛けてきたが、転がり攻撃はしてこないまま、HPバーは減り続けてついに残り数ドットを残すのみとなった。

キリト「いっけぇ――――――!!」

早速、キリトがソードスキルの構えでジャンボ・スノーマンのLAを狙うかの如く、猛スピードで走っていた。
ジャンボ・スノーマンの雪投げ攻撃を避けるべく、数秒間程壁を走りながら、瞬く間にその距離を詰めていたのだったが―――

レイナ「……これで終わりよ」

最後の抵抗と言わんばかりに大量の雪玉を縦横無尽に投げ続けるジャンボ・スノーマンに対してレイナがソードスキルの構えを取っていた。
そのソードスキルの構えは、数日前にレイナがPK集団の一味を返り討ちでPKした際に使った技――『スローイングソード』だった。
レイナが愛用の両手剣を投げ飛ばすと、それは巨体であるフロアボスのジャンボ・スノーマン目掛けて一直線に飛んでいき、キリトのソードスキルすらも間に合わず、雪玉の顔面を貫いたのだった。


 
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