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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE37 レイナのPK

オズマとレイナは鍛冶職となったリズベットからの依頼で、最前線である第24層の野営地にあると言う、鍛冶職人向けのアイテムの獲得のための護衛を引き受けていた。

宝箱に擬態していたモンスターであるミミックを倒し、ドロップアイテムこそがリズベットの求めたいた匠の木槌であり、依頼は無事完了―――が、主街区に戻ろうとした矢先にオズマ達を襲ったのは、数多くのプレイヤー達を襲っているPK集団であった! by立木ナレ



ウサギマスク「それじゃ――いっただきまーす!!」

ウサギマスクの娘が鉈を振り上げると、俺に襲い掛かって来て、次いでレイナに向かって曲刀使いと槍使いが飛び掛かってきた。

リズベットに狙いを定めてる者は今の所居ない―――それに気が付いた俺は、ウサギマスクが振り下ろしてきた鉈を鞘で受け止めてた瞬間に叫んだ。

俺「リズ、こいつらから離れろ!レイナがさっき索敵スキルで3人だって言ったから、他に敵はいないはずだ!」

リズベット「え、は、はいっ!」

ウサギマスク「えへへ……イケメンのおにーさんったら、あのおねーさんが襲われるのが怖いのぉ~?だけど今はさ、大きい剣持ってるお姉ちゃんの心配した方が良いよ~。あの二人ってさ、ただ殺すだけじゃ詰まらないとか言ってさ~―――女のプレイヤーが相手だった場合は殺す前に色々とえっちぃ事とかしちゃうんだよね!!」

ウサギマスクな俊敏な動きで、一旦俺から距離を取ったかと思うと、恐らくあれは軽業(かるわざ)スキルだろう。それで、ショートジャンプからの大ジャンプで俺の背後に回り込むと、振り向きざまに、速攻の4連続攻撃ソードスキルである『ファッド・エッジ』を放っていた。

背中を向けたままの俺が今更振り向いたところで、防御が間に合うはずも無く、そのままソードスキルの4連続攻撃を全てまともに食らう――――なので俺は振り返って防御は諦めて、そのまま真っ直ぐ猛ダッシュしていた。

ウサギマスク「はぁッ!?な、なにいきなり―――あ、しまっ―――」

俺が猛ダッシュで突っ走った先にいたのは、レイナと対峙する槍使いと曲刀使いの二人組だった。連中はレイナが自分達の予想以上に手強い手合いであった為か、苦戦を強いられていて、ウサギマスクと戦っているはずの俺が、よもや自分達に襲い掛かって来るとは思ってもいなかっただろう。

曲刀使い「て、てめっ!な、なんで―――ぐおわぁっ!!」

俺「戦いの構図は思わぬ所で変化するってなっ!!」

俺が曲刀使いに対して食らわせたのは、俺が習得している納刀術ソードスキルで最も一撃の威力が重い単発技の裂震虎砲(れっしんこほう)だった。

鞘を叩きつけると、巨大な獅子の形をした闘気が発生し、曲刀使いに襲い掛かると、その男は大きくノックバックして吹き飛ばされていた。

レイナとの戦いでHPが既に残りHPが6割以下となっていたその男のHPバーはその一撃だけで大幅に減少して残り1割と言う所まで削られていた。

俺「やべ……ギリギリ残ったってところか――」

危うく曲刀使いのHPバーを0にしてしまう所だったが、辛うじてHPバーの減少が止まり、俺は微かに安堵していた。
曲刀使いも、そしてその相棒らしい槍使い、そしてさっきまで俺と対峙していたウサギマスクの娘も、裂震虎砲の一撃の威力に驚愕していたようで、奴らの指揮や戦意を削ることには成功したようだった。

槍使い「お、おい大丈夫かよ!?い、今の―――やべーぞ流石に!!」

ウサギマスク「だいじょーぶぅ~?あのお兄さんったら、攻略集団でちょっとした有名なギルドのリーダーやってるだけの事はあるよね~」

俺「おいおい、俺が何者なのか、分かったうえで襲ってやがったのかよ?相手との力量差とか、少しは気を付けながら襲ったらどうだよ?」

さっきの曲刀使いと言い、この手の輩が考える事はますます分からない。俺にさっき吹き飛ばされたばかりの曲刀使いも未だに戦意を失っていない―――いや、むしろ高騰しているようで、ひしひしと感じる殺意を俺に向けていた。

槍使いの方はまだこの中ではまともなのかもしれないようで、既に俺達と戦う事意志は喪失しているようで、ガタガタと震えて逃げ腰になっていた。

曲刀使い「ざっけんなコラァ――!こんなんで勝ったと思ってんじゃねーぞぉ!!」

喚き散らしながら、曲刀使いは剣を持ち直して立ち上がると、さっきまで戦っていたレイナの横を通り過ぎて、ソードスキルの構えを取りながら俺に斬りかかろうとしたが、それは敵わなかった。

曲刀使い「ぐっ!?」

レイナ「……やらせない」

背後からレイナが、持ち前の筋力ステータスで曲刀使いの防具の首元を掴むとそのまま高く持ち上げていたからだった。
その時の俺はまだ気が付かなかった、レイナがこの時―――目の前の曲刀使いの命を絶とうとしていた事に。

曲刀使い「うわぁ―――――ッ!?」

槍使い「な、なにぃ!?」

更に驚愕だったのは、レイナがそのまま曲刀使いの男を宙に高く、垂直に方向に向けて投げ飛ばした事だった。
5メートル以上の高度まで投げ飛ばされた男は、空中ではまともに身動きが取れずに、両手両足をジタバタと振り回している状態でまさに完全に無防備状態―――そして、レイナのソードスキルの構えを見て、俺は反射的に叫ぼうとした。

俺「よ、止せ!レイナ―――」

レイナ「……終わりよ」

俺の制止は間に合わず、レイナがその場で発動したソードスキルは、両手剣を投げつけて攻撃する、SAOでは数少ない遠距離攻撃技のソードスキルの『スローイングソード』だった。
空中でまるで抵抗が出来ない曲刀使いに向けて、レイナが投げ放った、巨大な両手剣が曲刀使いの胴体を一撃で貫き貫通し、そのダメージは既に残りHPバーが一割を切っていた曲刀使いの息の根を止めるには十分すぎる物だった。

リズベット「レ、レイナ……あ、あんた、な、な、なにして……分かって……」

槍使い「や、やりやがったぁ!こ、こ―――この女ぁ、お、俺等の仲間を殺しやがったぞぉ!!」

離れた所から、戦いを見ていたリズベットがその場で座り込み、目から涙を零しながら、震えた掠れた声を喉から絞り出していた。
槍使いの男はさっきまで自分たちがやろうとしていたPK行為を、自分の仲間達がやられた事で錯乱し、大声で喚きパニック状態になりつつあった。

ウサギマスク「あははっ!あのおねーさんやるぅ!自分の剣を投げ飛ばすなんて~」

槍使い「こんの女ぁ―――――――!!」

槍使いは相棒である曲刀使いが殺されて、再び殺意を燃え上がらせるようにレイナに襲い掛かっていた。レイナが投げ飛ばした両手剣は曲刀使いの胴体を貫き、その命を奪った後は、曲刀使いの身体が四散して消滅したので、床に突き刺さった状態となっていた。

そんな丸腰の状態になっているレイナに槍使いが猪突猛進の直進攻撃を繰り出したのだったが、レイナはスローイングソードを習得した時点で―――あのエクストラスキルを習得していた。

槍使い「なに―――あぐぁっ!!」

レイナが槍使いに対して放ったのは武器を持っていない状態でも使う事が出来る体術スキルだ。単発水平蹴り→中段の回し蹴りを繰り出す体術ソードスキルの水月(すいげつ)によって槍使いは返り討ちにされてしまっていた。

俺「っ――お前ら、死にたくなかったらさっさとどっかに消えろ!」

槍使い「ひ、ひぃっ!」

俺「さっさと走れ!」

このままではレイナがもう一人も―――いや、それどころかウサギマスクの娘までも返り討ちにして殺してしまいかねないと恐れた俺は、大声でPK集団の連中に逃げるように声を荒げたのだった。
俺がそう怒鳴り付けてから数秒後、槍使いは震える足を何とか抑えながら立ち上がると、そのまま脱兎のごとくの勢いで走り去ったのだった。

ウサギマスク「ええ~、逃がしちゃうのぉ~?これから本格的に血で血を洗う抗争になるってところだったのにー!!」

俺「お前も今すぐに消えろ!本当に殺されたくなかったらな!!」

不服そうに足で地団太を踏んでいるウサギマスクの娘のその姿は、駄々を捏ねている子供そのものだった。
だが、ウサギマスクの娘も流石に今の状況下で俺とレイナを相手に単独で戦うほど冷静さに欠けているわけではないようで―――

ウサギマスク「ま、いっか~。アタシもこ~んなところで楽しい楽しいイケメン狩りを終えたくないしね」

本来であればこんな危険な連中は拘束して、第一層の黒檻鉄球にぶち込んでしまうのが丁度良いのだが、俺もレイナも――無論リズベットもこいつらを拘束できるようなアイテムは持ち合わせていなかった。

ウサギマスク「じゃーね、優しいお兄さん。またいつか、遊んでくれると嬉しいな」

等とこの状況下でウサギマスクの娘はふざけてから、俊敏性を生かしたダッシュで走り出し、その場から走り去ったのだった。

レイナ「…………」

俺「止めろ、レイナ!」

俺はレイナが再びスローイングソードの構えを取り、ウサギマスクの娘を貫こうとしていたのを即座に制止したのだった。

リズベット「レ、レイナ……な、なんで、そ、そこまで―――」

レイナ「……どうして止めたの?」

レイナはリズベットの言葉には答えず、自分の行いを止めた俺に視線を一瞥してそう聞き返していた。

俺「当たり前だろう―――あのまま剣を投げつけてたら、その一撃で殺しちまってたかもしれないんだぞ!つーか、もう一人殺しちまってるしな……」

そう、レイナはこの戦いで一人のプレイヤーをPK――すなわち、現実世界でも殺してしまったのだった。
無論、レイナもその事はしっかりと理解したうえで、レイナはあの曲刀使いを殺した。

レイナ「……どうして、殺したらいけないの?」

リズベット「こ、ころしたらいけないの?―――ア、アンタ、な、なに言って……」

レイナは俺とリズベットが殺してはいけないと言うことそのものが、まるで理解出来ない様子で、表情を普段通りのまま、全くの無表情で、ついさっき一人の人間の命を奪ったなどと言う自覚など無いかのように淡々と、そう聞き返してきたのだった。

俺「―――取りあえず、主街区にさっさと戻るぞ。ここに何時までも居座ってると、さっきの連中が仲間を引き連れて戻ってきやがる可能性も有るからな」

レイナ「……了解」

俺はこれ以上レイナに、どんな言葉を用いて、殺しはダメだとか、言ったところで理解させることは不可能だと考えて、この場から退散する事を優先してそう言うと、レイナもそれ以上は俺やリズベットに何も聞く事なく同意したのだった。

リズベットは未だに目から涙を零したままの状態で、レイナに対して悲しみ交じりの視線を向けていた。

俺「お前も、ちゃんと自分で歩けるよな?主街区に送り届けるまでが俺達の依頼だから、そこまでは取りあえずしゃんとしてくれ」

リズベット「え、ええ……ゴメンナサイ。もう、大丈夫だから」

そう言うリズベットだったが、その先の帰り道はレイナから距離を取って歩いていた事は俺もレイナもすぐに気が付いていた。
相手が如何にPK集団の一味とは言え、そいつらの内の一人を手に掛けたレイナを恐れての事だろう。

ひとまず主街区に戻るまで、さっきのPK集団が再び現れる事無く、俺達は無事にリズベットの依頼を果たしたのだった。 
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